異常に多い差し押さえ 子ども手当まで対象とは
2010年 12月 25日
このブログでお知らせしましたように、私は12月7日、市議会本会議で一般質問に立ちました。その詳報を4回に分けて掲載します。初回は、税の徴収の問題についてです。
昨年度の差し押さえは1210件にも
現在のくらしの状況の厳しさは、この12月議会で後日審議される補正予算にもあらわれています。生活保護受給世帯が当初の見込みを109世帯上回り、1216世帯となることを見込んでの補正予算、あわせて、就学援助についても受給世帯がふえるための補正予算が提案されています。
決算特別委員会で質問しましたが、そのなかで、東久留米市における昨年度の差し押さえ件数は1210件で、近隣自治体と比べてもきわめて多い状況になっていることがわかりました。
多くの市民のみなさんは、きびしい経済状況の中にあっても納税義務を果たしており、そうしたなか、悪質な滞納者に対し毅然と責任を果たさせることは当然のことと思います。しかし、見極めが難しいケースもあると思います。その点で、担当課の御苦労は理解をするところです。ただ、1210件ということは相当の件数であり、差し押さえが真にやむをえないケースばかりであるかどうか、差し押さえの判断が、十分慎重に行なわれているかどうか、改めて確認していくことも必要です。
第1に、市として、市民の生活実態をどのようにとらえているか、税の滞納状況や相談件数はどのぐらいであるか。
第2に、差し押さえについて、どのような考えをもって「実施する」「実施しない」の判断をしているのか。
第3に、徴税法では、差し押さえ禁止財産を規定していますが、これらを差し押さえしているケースについてうかがいます。
子ども手当10万4000円を全額差し押さえ 法に照らして適切ではない
ひとつは、子ども手当です。子ども手当の目的は、第1条で「次代の社会を担う子どものすこやかな育ちを支援するため」と規定されています。第14条では「子ども手当の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない」と規定されています。ある方のケースでは、子ども手当10万4000円が、残高384円の預金口座にふりこまれた直後に、全額差し押さえされています。これは、法に照らして、適切とはいえないのではないですか。
給与の差し押さえにも問題がある
もうひとつは、給与の差し押さえです。徴税法の第76条では、給与生活者の最低生活の維持に充てるべき金額に相当する給与の差し押さえは禁じられています。しかし、給与しか入っていない預金口座が全額差し押さえされるケースがあります。これも、法に照らして問題ではないでしょうか。
【答弁と感想】
今回の一般質問のなかで、やりとりにもっとも時間をかけました。十分ノートに書ききれなかったこともあるので、くわしくは議事録ができてから、確認したいと思っています。
市は、市民の相談がふえてきていることを説明。“差し押さえについてはていねいにやっているつもりで、あくまで法にそって行なっている。地方税法の規定により、差し押さえしなければならない、ということも位置づけられている”などの答弁。
「あくまで預金口座の差し押さえ」というのですが…
私は、法に照らして子ども手当を差し押さえすることは適法といえるのか、子ども手当を受けるべき子どもの権利を阻害していることになる、と指摘すると、「あくまで預金口座の差し押さえだ」と。預金口座に入ってしまうとそれは財産とみなされて、差し押さえができるという言い分です。「それなら、子ども手当は現金で受け取るようにできるのか」と聞くと、「預金口座への振り込みということになっているので」と。つまり、どうやっても子ども手当の差し押さえは防げないのです。
担当部長は、「差し押さえするには経緯があり、事前に話があれば差し押さえすることはしない。子ども手当の差し押さえの在り方については、国からも特に指示はない」という内容を強調。私は、「当然、国が子ども手当の趣旨にもとづき、差し押さえについてきちんと指導していくことが大切であるが、市としても、明らかに子ども手当を差し押さえしたと明確な場合は、自治体の判断でその分は返していくべき」と指摘し、検討を求めました。
生活実態を把握して、わかりやすい相談体制を
また、生活状況が本当に厳しくなっているなかで、行きすぎた差し押さえが行われないように、生活実態を十分把握すること、そして納税者にとって有利な情報をきちんと提供していくことを強く求めました。あわせて、納税について市民が相談するときに、国保税や市民税は納税課ですが、保育料や給食費などについては窓口が別になります。さらに、生活保護などの相談の必要性が出てくる場合もあります。その都度一から何度も話しをすることは、ご本人にとって本当に大きな負担です。相談体制をできるだけ1回ですむような検討をすることも求めたところ、検討してみたい、との答弁でした。
佐々木憲昭衆院議員事務所とも連携
今回、質問するにあたって、衆議院の佐々木憲昭議員事務所とも連携して準備しました。実は、国会での佐々木議員の差し押さえ問題での質問を通じて、こちらに相談を寄せられた方々もいらっしゃいます。今後、近いうちに佐々木議員もまた国会で質問していきたい、とのこと。国会議員とも連携してとりくめるのが、共産党の強み。ひきつづき、とりくんでいきます。
(佐々木憲昭議員の質問と政府の答弁はこちら と こちらから)
いろいろな反響がありました
質問後、他党派の複数の議員から、「子ども手当まで差し押さえしているとは知らなかった」「実は、差し押さえについて市民から自分も相談されている」などと声をかけられました。職員の方からも、感想が寄せられました。今回の質問でまだ何か大きな改善があったわけではありませんが、厳しい経済状況のなかで、徴税についてはていねいに、市民の生活実態を把握しながらすすめていく、ということがあらためて共通認識になるきっかけになってくれたら…と思います。同時に、生活支援を必要とするまったなしの方もいらっしゃいます。適切な支援が受けられるよう求めていきたいと思います。
《12月議会一般質問から全4回はこちらから》
(2)旧保健福祉センターの跡地利用 市民の声を聞け
(3)事業仕分け 市民委員の意見をどう生かすのか?
(4)障がい者福祉 移動支援の充実が急がれている
一般質問で市の姿勢を問いました
by hara-noriko | 2010-12-25 00:50 | 市政報告 | Comments(6)
ここの市民はそんなに悪質とみなされる滞納者が多いということですか?単純に考えても1ヶ月に100件も差し押さがあるなんて尋常じゃないです。
もしこれが自治体の強硬な態度に原因があるとしたら、本当に生活が苦しくても市民は怖くて一人では相談に行けなくなると思いますよ。
まだ引っ越してきたばかりなのですが、早く別のところに引っ越したくなりました。(悲)
どうかよろしくお願いいたします。
実際に差し押さえされてしまってから戻す、というのは難しいので、すぐ市役所に行って相談したほうがよいと思います。差し押さえされると生活が成り立たなくなってしまう現状をくわしく話し、分納の相談をして計画をたてるなど、差し押さえを回避できるようにする必要があると思います。私も、大牟田の状況はよくわからないので、よろしければ、大牟田の共産党市議団に連絡していただくと、相談にのってくれると思います。
日本共産党大牟田市議団
http://www.justmystage.com/home/kousen/