9月議会一般質問から(1)保育行政
2012年 09月 14日
一般質問の内容を4回にわけてお知らせします。初回は「保育行政について」です。
最初に、保育行政と市長の政治姿勢についてうかがいます。
「子ども子育て新システム」は、民主・自民・公明の3党合意で修正され、8月10日に可決・成立しました。消費税増税が強行されることと一体となった「修正新システム」は、その内容が国民に十分に伝わらないままの成立となりました。衆議院で可決されたのは6月26日でしたが、3党合意からこのときまでに、審議時間はわずか13時間余りだったとのことです。それも、新システムだけでなく、消費税増税法案を含め、合計8本もの法案です。私は、このような進め方自体、大問題だと思います。
修正された「子ども子育て新システム」の問題点は
「修正新システム」の本格的実施は、消費税が10%に引き上げられる2015年10月以降となります。消費税増税反対の声が過半数を超える国民世論のなか、今後二つの国政選挙もあり、どうなるかまだまだわかりません。私は、「修正新システム」をこのまま実施することには賛成できません。人としての基礎をつちかう大切な保育を支える制度を変えるというのであれば、もっと国民のなかで議論して行く必要があるのではないでしょうか。
保育の市場化をすすめる骨格は変わらない
では、内容はどうでしょうか。「修正新システム」も大変複雑で、問題もいろいろあります。総合こども園が取り下げられたことにより、内容が大きく変更されたかのような報道もありましたが、実際には、保育の市場化をすすめる骨格は変わらないといえます。ここでは、待機児解消という観点からみたときの問題について述べたいと思います。
待機児の解消ができるのか
今回の修正では、児童福祉法第24条の市町村の保育実施義務は残りました。公的保育を守るべき、との立場をこえて広がった運動の成果ではないでしょうか。ただし、これも単純ではありません。第24条の第1項では、「市町村は、保育を必要とする場合において、当該児童を保育所において保育しなければならない」となっていますが、第2項では、市町村は、保育を必要とする子どもに対して、認定こども園や家庭的保育事業等により、「必要な保育を確保するための措置を講じなければならない」と規定しているのです。認定こども園などは直接契約ですから、利用者が申し込んでも入れなければ、それは市町村の責任ではなく、利用者の自己責任になる恐れがあります。
また、現在は認可保育所に入れない場合、無認可施設に入所したうえで、再度認可保育所入所を希望すれば、空きが出た場合は入所の優先順位が高くなります。これが、「修正新システム」では、どうなるのか、共産党の高橋千鶴子議員の質問に、小宮山厚労大臣は「選考で優先させるということにはならない」と答弁しました。いったん、家庭的保育等に入ると、認可園にうつることは難しくなるのです。これは、今の待機児解消の考え方を大きく変更することになります。こうした観点から考えても、この1項と2項を並列にした矛盾は、大きな問題だと思います。
保育園の増設が保証されていない
基本的に認可園増設ではなく、小規模保育や家庭的保育での待機児解消をすすめる、という考えだということがわかります。そのために、認可制度を大幅に緩和し、株式会社の参入を促進していく方向です。
また、児童福祉法第56条の第2項に規定されている民間の児童福祉施設の新設・改築等に係る国庫補助の対象から、保育所が除外された問題があります。施設整備費の保障がなければ、保育園が増設できず、待機児解消もすすみません。国会の議論のなかで「現在の補助水準を下げない」と厚労大臣が言明はしましたが、法的にきちんとした保障がなく大変心配されます。保育園増設で待機児解消を本気ですすめる、そのために、自治体への支援を抜本的に強化する、という立場に国が立っていないといえるのではないでしょうか。
市長は待機児解消をどのようにすすめるのか
さて、馬場市長は、保育園の待機児解消を喫緊の課題と位置付け、今年度予算案でも重点施策としています。これまで、新システムの動向をみながら待機児解消をすすめていく立場で市長は発言されてきていると認識していますが、「修正新システム」が成立したなか、市長は、今後の待機児解消をどのように進めるお考えでしょうか。
また保育園の民営化を発表したが
次に、保育園民営化問題です。市長は、今議会の初日、行政報告においてさいわい保育園を民営化対象園に決定した、と発表しました。みなみ保育園の問題も何ら解決されていないのに、次の民営化を発表すること自体、信じられません。まず、みなみ保育園について、今後どのようにすすめるつもりなのか、6月議会の経過と結果をふまえての考えをお聞きします。
そして、さいわい保育園については、合意形成ができるとお考えなのでしょうか。突然の発表、しかも、これまでいっさい説明のなかった株式会社による保育園も対象にするという決断、時期は未定、という内容で、「わかりました」と誰がいえるのでしょうか。今後どのようにすすめる考えなのか、まずはお聞きします。
キアゲハ(野火止2丁目の雑木林で)
by hara-noriko | 2012-09-14 00:22 | 市政報告 | Comments(4)
さいわい保育園の民営化の話は、園で配られたチラシで拝見しました。市の民営化計画には名前こそ載っていませんが、築年数、施設規模、立地や市の財政状況からいずれ民営化あるとは予想していましたが、やはり唐突の感じを受けました。みなみ保育園ほか当初予定の3園が思うように進まないので、4つ目の園の計画を進め始めてみた(思いつきで)と感じます。非常に無責任で無計画だと思います。
平成19年からの第一回改定版での市役所発表資料では、印刷ミスで一部が消えたまま公表されていましたし、今回も「公表=議会資料で配布、又は答弁」と勘違いしているのか、市の広報誌にもHPにもその記述は一切ありません。数年前の新型インフルエンザ騒動の際のワクチン接種ではクルクル変わる対象者、時期や方法等へのケアが下手で、問い合わせに「十分に広報しているので、これ以上は度すればよいか分かりません」と解答されて酷いと感じましたが、相変わらず酷いで直ってないなと感じます。市長だけの問題では無く、東久留米市役所全体の体質が旧態の「なぁなぁ体質」から脱却していない証拠です。