決算特別委員会の質疑から(3)都市農業への支援をめぐって
2017年 10月 30日
「このままでは農業を続けられない」 悲痛な声を胸に
農業者のねばりづよいとりくみの結果、都市農業振興基本法が成立し、都市の農地は宅地化するものから、保全すべきものと変わりました。これは本当に画期的なことです。
しかし、本当に都市農業を守る、農地を守るためには、農業者を本気で支援していく具体的な施策が求められています。しかも、2022年には、生産緑地の8割が期間満了を迎えようとしているなか、切実さ、緊急性は高まっています。生産緑地はこの10年間に、都内全体で440ヘクタール減少、このうち多摩地域が360ヘクタール減少しています。そして、依然として経済状況は厳しく、このままでは農業を続けられない、農地を手放さざるをえない、という悲痛な声が上がっています。こうした状況をふまえて、決算審査に臨みました。
都市農業活性化支援事業
3戸未満でも申請できる場合がある
昨年度からスタートしている都市農業活性化支援事業は、予算現額4億6468万円、決算額は4億237万円とのこと。執行率は86.6%。しかし、実際には、使い勝手を改善してほしい、との声があります。申請がひとつの農家だけでも、また事業規模が小さくても認めてほしい、と。
答弁では、3戸以上で1件あたりの最低事業費500万円だが、地域的な特性や生産品目などによって集団化が困難な場合には3戸未満でも、1件あたり200万円で対象にできる、と。私は、申請は区市町にすることから、東京都から改めて、3戸未満でも申請できることを十分に周知徹底してほしい、と求めました。同時に、使い勝手については、農業者の声を聞きながら必要に応じて改善をすすめることも求めました。
都内の体験農園は107 特化した支援なし
都市農業活性化支援事業を活用できる
農地を守る、農業者を支援していく、市民にも都市農業を身近に感じていただく、という点で農業体験農園は大変有効な事業です。東京にふさわしい地産地消のひとつのスタイルだと思います。現在、都内に、いくつの農業体験農園があるか聞いたところ、107農園とのこと。しかし、体験農園に特化した支援策はありません。
その点について質すと、「都市農業活性化支援事業を活用して、農業体験農園の開設に必要な整備、農園利用者が共同で使用する休憩所や農機具置き場などの整備を補助対象としている」と。
支援のあり方をさらに検討してほしい、と指摘
私は、ぜひ、その点も周知してほしいということとともに、支援のあり方をさらに検討してほしいと指摘しました。自治体によっては、農園利用者の利用者負担を軽減する支援も行なっています。こうした例も検討し、東京のどこの体験農園でも、同じサービスで利用できるようにしていくことが大事ではないでしょうか。
現に、体験農園に参加した市民の方が学校に出張授業に行ったり、さまざまなかたちで都市農業を守る担い手になっている例も多くあり、そうした点からも支援の強化が必要であると指摘しました。
昨年の新規就農者は都内で50人
最後に、都内の新規就農者について質問しました。昨年度は50人。そのうち、農家の子弟以外の方は何人か聞いたところ、9人とのこと。私も、サラリーマン生活をしていた若いご夫婦が、都内で農業を始められ、継続してがんばっているというケースをうかがっています。
新規就農者への支援は
国の「青年就農給付金事業」や都の「活性化支援事業」
そういう方々への支援についてうかがったところ、国の「青年就農給付金事業」を活用すれば、年間最大150万円、最長で5年間交付され、農業経営を軌道に乗せていく力になる、と紹介されました。あわせて、「活性化支援事業」も活用できる、と。ぜひ、こうした支援策を周知していただき、都市農業の担い手をふやしていくことは重要だと指摘しました。
相続税や固定資産税の負担軽減 踏み込んだ支援求める
そして、相続税や固定資産税の負担軽減など、東京都も国に要請していくことを東京農業振興プランで位置づけているのだから、そこはしっかりとりくむとともに、東京都としてもさらにふみこんだ支援策をすすめることを最後に求めました。
今回で「決算特別委員会の質疑から」をいったん終わります。
詳細を改めて掲載する予定です。

10月30日朝、東久留米駅「冨士見テラス」から


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by hara-noriko | 2017-10-30 22:25 | 都議会 | Comments(0)