さいわい保育園 保護者の思い   

 民営化が進められている東久留米市立さいわい保育園は、今年度、年長さん5人。市は、この1年で閉園するとしています。古いとはいえ、耐震上もまだ使える園舎。地域の子どもたち、若いママたち、市内の小規模保育園の子どもたちが多数集まり、地域の子育てセンター的な役割も果たしてきている。…なくてはならない存在です。この1年を子どもたちが楽しく過ごせるように応援すること。そして、その後も、さいわい保育園が果たしてきた役割をなくしてしまうことのないようにしていくことが重要です。

 新日本婦人の会東久留米支部のニュースに、今年の3月、さいわいを卒園した子の保護者、荒川香子さんが寄稿しました。改めて、さいわい保育園のかけがえのなさ、公立保育園を存続していく大事さを教えてくれ、胸を打たれました。多くの人に読んでいただきたい…。ご本人の了解を得て、このブログで紹介させていただきます。

さいわい保育園、第48回卒園式の日を迎えて
保護者 荒川香子


 3月17日、晴れ渡った青い空の下、さいわい保育園は第48回卒園式の日を迎えました。
 市の計画どおりであれば、昨年の3月末でさいわい保育園は民営化により閉園する予定でしたが在園児、歴代の卒園児の父母、また地域の皆様のあたたかいご支援をもとに市に働きかけた結果、2年間の存続期間が与えられました。その結果迎えたこの日は感慨深く、またさいわい保育園で卒園することができた我が子たちの幸せと成長を思い、多くの保護者が嬉しさと感謝の思いで涙、涙の一日となりました。

 いま、さいわい保育園にはこの日卒園式を迎えた17名の年長と5名の年中、計22名の園児がいます。本来であれば1歳から5歳まで80名定員の園にたったの22名。下に小さい子たちがおらず、また多くの子どもでにぎやかだった園が22名になってしまったらどんなに寂しくなるか…そんな不安もありました。しかしこの1年、先生方の工夫と高い保育力でさいわい保育園は寂しさを感じる場面もないくらいのたくさんのお楽しみと笑顔であふれ、子どもたちは幸せな日々を過ごしてきました。

 何よりも有難かったのはさいわいの先生方の「子どもたちをありのまま受け入れる」という保育方針で子どもたちにたくさんの自信を与えてくださり、他者への優しい心、たくましい心へと導いてくださったことです。

 こんなエピソードがありました。年長クラスで畑を作ることになり、何を植えたいかという話をした際、皆がトマト、キュウリと言う中で「ワカメ」と言った子がいました。野菜が苦手な子で一生懸命自分が食べられる物を考え言った言葉を、先生は「〇〇(名前) ワカメ」とホワイトボードに書き加え、全く否定しませんでした。
 翌日には別の子が「あれ、ワカメって海のお野菜じゃない?」と気付き「これは畑には向かないかもね」という話になりました。ワカメといった子も「そうか!」と、苦手だけれど少しなら食べられる畑の野菜をもう一度考えることができました。
 先生は「もし誰も気付かなかったら本当にワカメを植えてみようと思ったのよ。植えてみてダメだったらそこで気付けるし、それにもしかしたら何か生えてくるかもしれないしね」と笑って仰っていました。
 その場で「ワカメは違う」と否定することは簡単です。でもその子が一生懸命考えたワカメを受け入れ、子どもたち自身の気付きを待ってくれた先生方には本当に頭が下がる思いです。

 こんな話はいくつもあって、その度に保護者としてこの園に子どもを預けられたこと、我が子達がこんな先生方に育まれたことを感謝せずにはいられません。

 子どもたちの長い人生の中で、初めて出会った「先生」がさいわいの先生でよかった。さいわい保育園で過ごした時間、与えられたたくさんの自信が今後の人生において大きな糧となる予感を持ちながら、小学校へと進む子どもたち。17名のさいわいっ子がこの春、さいわい保育園を卒園します。

 大好きなさいわい保育園が、ずっと子どもたちの心に刻まれることを信じて。


カラシナ
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カルガモ
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by hara-noriko | 2018-04-29 22:36 | 日記 | Comments(0)

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