「いのち守る」 2つの保育園で今
2018年 07月 17日
14日に東京・東久留米市で開かれた「原のり子 都政報告&トーク集会」から、私の報告を順次紹介しています。2回目は「『いのちを守る』その1 2つの保育園でいま」です。
児童虐待死事件などを受けて、児童相談所の充実だけでなく、子育て支援の場が地域に網の目のように存在することが大事だと強く思っています。民営化がすすめられている、さいわい保育園の現在と今後のことを考えながら、子育て支援のあり方を訴えました。
公立保育園の全園廃止計画を打ち出した東久留米市の並木市政。最初に廃園の対象にされたのが、市立しんかわ保育園です。市は来年度のゼロ歳から段階的に募集を停止して、在園児が卒園する2023年度末に閉園する計画です。これで東久留米市の子育て環境がよくなるのでしょうか。
いま、都議会のテーマは「いのちを守る」ではないか
東京・目黒区の児童虐待死事件で思うこと
私は、都議会のテーマは「いのちを守る」ではないか、と思っています。
東京・目黒区の児童虐待死事件が6月都議会で大きな議論になりました。亡くなった結愛(ゆあ)ちゃん(5つ)は、もともとは都外にすんでいました。このときも児童相談所が入っていたお子さんでした。東京に引っ越してきて、児童相談所の人が行ったけれど、本人に会わせてもらえなかったということでした。
虐待を受けていた結愛ちゃんは、電気のない部屋でひらがなを覚えさせられ、そのひらがなを使って「ゆるしてください」と書いて、亡くなってしまいました。こういうことは絶対に起こしてはいけない、ということで都議会で議論をしました。
都内の児童福祉司は90人も足りない
共産党都議団が代表質問などで取り上げるなかで、専門家である児童福祉司が都内で90人足りないことがわかりました。まず90人を増やしましょう、と議論をすすめています。小池知事も児童相談所について「体制を強化します」と答弁しました。
全会一致で意見書を可決
その後、日本共産党が提案した国に対する意見書(児童虐待防止対策の強化及び充実に関する意見書)が各会派の調整の上、全会一致で可決されました。児童相談所の職員体制の強化、児童養護施設等の充実、他の児童相談所へのケース移管や情報提供等を行うルールの見直しなどを求めています。
児童相談所の強化だけでは足りない
そのうえで、児童相談所の強化だけでいいのか、ということをすごく思っています。もともと児童相談所の数は足りません。ここに児童福祉司が90人増えることはとても大事ですが、それでもやるべきことから見れば不十分だと私は考えています。
やっぱり大事なのは、子どもたちを応援すること、子育て支援をすすめていくことではないでしょうか。地域にどれだけ支えられる施設や場所があるか。ここが決定的だと思います。
保育園、幼稚園、子ども家庭支援センター、児童館、学童保育、子ども食堂などなどが網の目のようにあって、子どもを応援する、子育てを支えることが大事なのではないでしょうか。
さいわい保育園は今年が最後の1年
東久留米市で大きな課題だと思っているのが、さいわい保育園(東久留米市幸町)、しんかわ保育園(東久留米市新川町)の問題です。最初に、さいわい保育園の問題をお話しします。
さいわい保育園は民営化が進行していまして、今年度が最後の1年です。いま5人の年長さんが残っています。この5人を本当に支えようということで、保育士さんやお父さん・お母さんたち、地域の人たちががんばっています。
園庭や保育室を地域の子どもたちに開放
さいわい保育園の活動ですばらしいのは、園庭や保育室を地域の子どもたちに開放して、「どんどん来てください」と言っています。リピーターも多くて、幼稚園が終わったら、さいわい保育園に寄る子もいます。
お母さんたちがお弁当持参で、幼稚園や保育園に通っていないお子さんを連れて、さいわい保育園に朝から行き、お弁当をレンジであたためてお昼を食べる。お茶も用意されていて、眠くなったらお昼寝もできる。そういうふうに園を開放しています。
園児の親でなくても子育ての相談ができる
場所を開放していることだけが大事なのではなくて、そこに専門家である保育士さんがいることが非常に重要です。お弁当を食べながら、子どもを園で遊ばせながら、「うちの子はご飯を何十グラムしか食べないのだけれど、もう20グラム増やしてもいいでしょうか」といった相談もあるそうです。保育士さんは「お母さん、大丈夫よ。保育園の給食はこういうふうになっていて、一人ひとりこうやって食べてるんだよ」なんてことを紹介して、「何十グラムという世界じゃなくても大丈夫なんだ」とお母さんが安心したり。そういうことで、たくさんのお母さんたちが支えられています。
ですから、「さいわい保育園がなくなったら、次はどこへ行けばいいんですか」という声がおきています。
閉園しても子育て支援の機能をしっかり残してほしい
さいわい保育園は、年長さんが卒園すれば閉めてしまいます。問題は、その後の使い道です。「子育て支援の機能をしっかり残してほしい」とお父さん・お母さんたちは求めていますし、共産党の市議団も求めています。小山、幸町、野火止も含めて、北部地域には児童館もありません。さいわい保育園の建物は、建て替えしなくても使えます。ですから売却しないで、子どもたちと子育て支援のために使ってほしい、と声が上がっているのです。
みんなで声をあげて
市では公共施設をどうしていくかという内部の委員会が開かれています。市民参加ではない委員会で、ここで結論を出してしまおうとしています。いちばん良くないのは売却です。保育園は都営住宅のそばにあるので東京都の土地かなと思っている方もいますが、市の土地なので、市が決められます。お父さん・お母さんといっしょに売却しないようにとりくんでいきたいと思っています。
児童虐待がこれだけ大きな問題になっているときに、地域で安心して子育てできるようにしなければいけないときに、安心して行ける施設をなくしてしまったらダメでしょう、と言っていかなければいけないと思っています。
しんかわ保育園も、いまが正念場
保護者 「廃止につながる条例『改正」はさせない」
しんかわ保育園は、並木市長のもとでつくられた公立保育園全廃計画の第1号にあげられています。今年度中に条例の「改正」をして、しんかわ保育園のゼロ歳の募集を来年度から停止してしまおう、というのが市の考えです。この夏は正念場です。
ところが、北村りゅうた市議もよく訴えているのですが、実際には保育園の待機児がいるんです。それなのにゼロ歳児の募集停止をしてしまってはおかしい、とみんなで声をあげています。しんかわ保育園の廃止につながる条例「改正」はさせない、ということで、お父さん・お母さんたちがすごくがんばっています。
8月5日に市が説明会を計画
しんかわ保育園の募集停止・閉園を含めて市の実施計画の説明をする、と7月15日付の市の広報紙「ひがしくるめ」に出ていました。8月5日午前10時から市民プラザ(市役所1階)です。市は募集停止を強行するつもりのようですが、実施させないことがいまとても重要になっています。
園庭があるしんかわ保育園の存在は大きい
西武線より東部には、公立保育園はしんかわ保育園しか残っていません。小規模保育園の人たちからも「しんかわがなくなっては困る」という声があがっています。
いま、園庭のない保育園が増えています。東久留米駅西口の近くにある公園は、小規模保育園の子どもたちなどでいっぱいになっています。
しんかわ保育園には園庭がありますから、小規模保育園の子どもたちも利用しています。そういう場としても、しんかわ保育園は大事です。公園ではどろこんこ遊びはできないんですね。でも、保育園だったら、どろんこになっても水で流せるし、着替えもできます。だから、しんかわ保育園にもたくさんの親子が行っています。
しんかわ保育園を廃止させないために、今が大事なときであることを強調しておきたいと思います。
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by hara-noriko | 2018-07-17 00:47 | 都政報告 | Comments(0)