しんかわ保育園の存続求めて緊急シンポ
2018年 09月 17日
しんかわ保育園父母会が主催
東京・東久留米市議会厚生委員会で、しんかわ保育園廃止条例案が「可決すべきもの」となったその2日後の9月16日、「公立保園全廃差し止め訴訟に向けて 緊急シンポジウム」が東久留米市商工会館ホールで行われました。主催は、しんかわ保育園父母会。
会場は、赤ちゃん連れの保護者をはじめ、市内の保育園保護者や保育者、OB、地域住民などでいっぱい。イスも追加されました。共産党市議団の篠原重信、村山順次郎、北村りゅうたの各市議と、かもしだ芳美予定候補も参加(永田まさ子市議は原水爆禁止世界大会の報告会のため欠席)。市民自治フォーラムの間宮みき市議も出席されていました。
弁護士や研究者、元園長、保護者ら
保育の質の大事さを共有して
パネリストは、原和良氏(弁護士)、垣内国光氏(明星大学名誉教授)、佐藤正勝氏(ほうんネット)、関根美和子氏(元公立保育園園長)、鎌塚由美氏(しんかわ保育園保護者)。コーディネーターは、菅谷悟史氏(しんかわ保育園保護者)。
約2時間半近く、真剣で熱気あふれるシンポジウムでした。東久留米の保育で大事にしていること、保育の質の大事さを共有しながら考え合う大切な場になったと感じました。
「一人ひとりを大切にする保育」を貫いて
東久留米の「一人ひとりを大切にする保育」は、たきやま保育園の民営化のなかで確認してきたこと、という関根先生のお話しに、思わずこれまでの東久留米での民営化に反対するとりくみをふりかえりました。
ひばり保育園、うえのはら保育園、みなみ保育園は民営化されましたが、民営化されたあとも「一人ひとりを大切にする」ことを貫いた運動がねばりづよく進められました。そのなかで、当初は考えられなかった改善もいくつもありました。また、現在、さいわい保育園が民営化の途中ですが、やはり最後の最後まで「一人ひとりを大切にする」とりくみが続いています。シンポには、これまでの民営化に対する運動のなかで頑張り続けてきた保護者の方々の姿も。しんかわ保育園の問題をわがこととして参加されていることに胸が熱くなります。
東久留米の保育は重要無形文化財
垣内先生は、長年、東久留米の公立保育園の保育を研究者として学んできて、全国的にみてもここまで徹底的に子どもによりそい、一人ひとりを大切にする保育実践はなかなかない。公立保育園の保育の聖地、重要無形文化財だと。それほど価値のあるものをなくすのか?築き上げてきた実践や文化を一度なくして取り戻せるのか?と語りかけ、「民間化」ということばは、ことばのごまかしであり、「廃止」というとハレーションが大きいから意味のないことばを使っている、と指摘。
障害児をもつお父さんが発言
もっとも保育を必要とする子がはじかれる危険
フロアからは、障害をもつ娘さんを育てているお父さんが発言。みんなが聞き入りました。
しんかわ保育園に入れたいけれど、だんだんと人数が減っていく、自分より年下の子が入ってこなくなる、ということは、育ちがゆっくりの娘にとってマイナス。保育園探しをするなかで、具体的に小規模保育園の名前をあげて、市に、障害児保育について相談したら、障害のある子を受け入れられるかどうか、「個々に対応していく」「連絡をとってみてください」と。これほど障害児の親にとって辛いことばはない。自己責任で、ということか…。障害者差別解消法にも反するのではないか。しんかわ保育園がなくなって、障害児保育の手立てがどうとられるのかもわからないのに、委員会で条例が通ったことは本当に問題。…と。
もっとも保育を必要とする子どもたちがはじかれかねない。本当に大問題です。
東部地域のゼロ歳児保育が減る
鎌塚さんからも、ゼロ歳児保育が東部地域で純減することを指摘。そもそも今後の待機児の推計もなく、条例案についてのパブリックコメントパブコメさえやっていないなかで進めるのはありえない、と。
佐藤さんも、全国的にみても、レアケース。市長は、子どもの人権・権利をまるでわかっていないのではないか、と。
公には公の役割がある
原弁護士は、今回の「民間化」が違法かどうかを考える物差しを提示。そして、重要だと思ったのは、企業はもうからなければならない、経営を優先させるのは企業の論理として当然。また、社会福祉法人も存続できなければ役割を果たせないので、常に経営を考えながらの運営になる。それは当然のことであり、だからこそ、公には公の役割がある、との指摘です。公立保育園を存続させながら、市の保育全体を充実させていくことの大事さを改めて実感しました。
しんかわ保育園廃止にストップかける
お母さんからは、「こんなふうに条例が通ってしまって、この2日間脱力感で…」との発言があり、会場全体で、本当にそうだよね、と共感しながら、子どもたちのために何をやっていくか話し合われました。
まず、このあと議会では予算特別委員会と最終本会議があります。また、来年4月の市議会議員選挙がどうなるかも重要になってきました。まっとうな声をあげつづけ、公立保育園全廃、しんかわ保育園の廃止にストップをかけるためにとりくもうとの思いを確認して、終了しました。
(シンポは本当に内容が濃く…すべてを書ききれないことをご了承ください。)
(注)
*市議会厚生委員会の賛否 賛成=自民・公明・未来政策。反対=共産・市民自治。
*しんかわ保育園廃止条例案 来年度のゼロ歳児の募集を停止、毎年1歳ずつ募集停止して、2023年度は年長さんだけの保育になり年度末に保育園廃止、というもの。
熱気にあふれた緊急シンポジウム
by hara-noriko | 2018-09-17 14:17 | 活動日誌 | Comments(0)