犯罪被害者等支援条例の制定をめぐって   

条例制定の陳情が全員一致で趣旨採択に
都議会総務委員会
 2月15日、東京都議会・総務委員会で、「犯罪被害者等を支援する条例の制定に関する陳情」の審査をおこないました。自民党以外は、すべての会派が質疑あるいは意見表明をおこない、結果は、全員一致で趣旨採択となりました。今回、この陳情をきっかけに調査し、自分自身、学ぶことがたくさんありました。引き続き、調査していきたいと思います。以下、私の質疑です。

【私の質疑から】

都が条例を制定してこなかった理由は?

 《Q1》 2005年に施行された犯罪被害者等基本法は、第5条において、地方公共団体の責務について、「基本理念にのっとり、犯罪被害者等の支援等に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」と位置づけています。
 その基本理念とは、第3条において、「すべて犯罪被害者等は個人の尊厳が重んぜられその尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する」とあり、3項で「犯罪被害者等のための施策は、犯罪被害者等が被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく受けることができるよう、講ぜられるものとする」とあります。
 国の責務とともに、地方公共団体の責務も重く位置づけられています。犯罪被害者の方が安心して地域で暮らしていけるようにすることはとても重要です。そうしたなか、道府県における条例制定が広がってきているのだと考えます。東京都においては、これまで条例制定をしてきませんでした。その理由をお聞かせください。
 《答弁》 答弁趣旨は、法の規定にもとづき、計画も策定してすすめてきた、というものでした。

凶悪悪犯罪などの認知件数は?
 《Q2》 東京都としては、法にもとづき、地域の実情に応じた計画をつくって施策をすすめてきた、とのことです。そのことは理解できるものです。それでは、直近5年間の、東京都の凶悪犯罪、粗暴犯罪、性犯罪の認知件数の状況を教えて下さい。
 《答弁》 5年間の件数を答弁。まとめると、凶悪犯罪は年間約700~900件の範囲。粗暴犯罪は約8300~9000件弱。性犯罪は約900~1100件。

来年度に実施する事態調査の内容は?
 《Q3》 年によっての変動はありますが、やはり、依然多く発生しているといえると思います。第3期東京都犯罪被害者等支援計画でも、「人口10万人当たりの犯罪率をみると、平成26年(2014年)の全国平均は954件であるのに対し、都内の犯罪率は1196件であり、都内における犯罪発生の水準は依然高い状況にあります」と記されています。当然のことながら、その分それだけの犯罪被害者の方が多くいらっしゃるということです。
 第3期支援計画策定に当たり実施された実態調査では、犯罪被害者の方々の8割が、被害者が置かれている状況を知られていないと回答し、とりわけ、性犯罪・性暴力被害者においてはまったく知られていないとの回答が最多となっています。また、都民のなかで、基本法自体が十分知られていないということも明らかになっています。
 こうした現状をふまえ、第3期の支援計画が策定され、とりくみが進められてきているわけですが、現在の第3期東京都犯罪被害者等支援計画は、2020年度までとなります。来年度は、実態調査をおこなうとのことです。この実態調査については、どのような内容を考えていますか。
 《答弁》 答弁では、支援計画を策定するにあたり実施するもので、前回は、犯罪被害者とその家族、被害者支援団体、区市町村などを対象として実施したことを紹介し、来年度行う実態調査の詳細はこれからつめる、とのこと。
 ぜひ、より現状をリアルに把握できる実態調査が行われるようにお願いしたいと思います。

◇   ◇  ◇  ◇  ◇

基本理念を明確にした条例制定は大事
 第3期支援計画では、被害者の方々から、被害者のおかれた現状の理解を進めるための啓発活動を望む声が多く寄せられていること。社会全体で犯罪被害者等を支えていくためには、被害者への都民の理解をより一層広げる必要があることが記されています。継続してのとりくみが重要になってきます。
 その際に、基本理念を明確にした、法にもとづく条例制定をすすめることは大事であると考えます。犯罪被害者の方々の苦しみは、直後だけのことではありません。埼玉県の条例では、第2条で二次的被害について「風評、誹謗中傷、過度な取材などによる精神的苦痛、身体の不調、プライバシーの侵害」と定義し、第6条に県民の責務として、二次的被害が生ずることのないよう十分配慮することが位置付けられています。また、大分県の条例では、第18条に居住の安定として、県営住宅への入居における特別の配慮も位置付けています。

陳情の趣旨は十分に理解できる
 これからおこなわれる実態調査、また、他県の条例等の調査などをすすめながら、東京都としての条例検討をすすめていくことは必要なことと考えます。本陳情は継続的な支援の必要性をふまえ、条例制定を求めているもので、その願意は十分に理解でき、前向きにすすめるべきと考えます。あわせて、国において、犯罪被害者への経済的支援を強めていくことの必要性も指摘し、質問を終わります。


毎週土曜日の定例宣伝で都政報告
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北村りゅうた・東久留米市議と一緒に
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この日もたくさん激励をいただきました
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by hara-noriko | 2019-02-17 02:06 | 都議会 | Comments(0)

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