一般質問から(3)医療機関と知的障がい者   

一般質問 答弁含めて再掲載
 都議会第3回定例会の本会議で一般質問(9月10日)に立ちました。すでに質問全文を紹介しましたが、今回は答弁を含めて再掲載します。
 一般質問は、一問一答ではないので、聞いているとわかりにくさがあります。そこで、どの質問に対する答弁なのかがわかるように、このブログで5回にわけて報告したいと思います。あわせて、大事な答弁については太い文字にしました。お読みいただければうれしいです。

都議会本会議で一般質問(9月10日)
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知的障がい者に対する医師などからの差別発言
権利条約を深く学ぶことが重要ではないか
 3回目は、医療機関での知的障がい者への対応についてです。
 医師などからの差別発言について取り上げようと思ったのは、二つの点で見過ごせない、個別の問題にしてはいけないと思ったからです。
 ひとつは、知的障がいの人はどうせわからないだろうと思って言っているのではないか、ということ。
もうひとつは、辛いことを言われても障がい者を受け入れる病院が少ないため、他へ移ることができない。だから家族はじっと我慢している、ということ。
 苦情があったら言ってくればいいではないか、ではなく、障がい者の権利をふまえて対応すべきであることを言わなければと思いました。今回、都としての受け止めや、今後の研修について答弁がありました。私は、障がい者権利条約を深く学ぶことが重要なのではないかと、改めて強く思いました。今後のとりくみを注視していきます。
 また、障がい者が入院したとき、治療上の必要から個室に入ることになった場合は、差額ベッド代は支払う必要がないはずですが、実際には「本人が希望した」とされ支払っているケースもあることについて、以前、文書質問(2018年4定)もしました。あわせて、ご覧いただければと思います。
 以下は、質問と答弁です。

萩の花
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【質問】
差別や無理解で悲しい思いをしている
早急に改善されなければならない
 知的障害者の方が医療機関で差別的な対応をされたとの訴えがあります。ある方は、月経不順で病院に行ったところ、「どうせ子どもを産むわけではないのだから問題ない」などと医師から言われたそうです。また、ある方は、糖尿病のため目の定期検診を受ける必要があり病院に行ったが、「どうせ治療できないから」と医師に言われたといいます。
こういうことが、1件2件ではなく、たくさん起きているのです。障がい者やそのご家族が、差別や無理解のなかで悲しい思いをしていることをどう受け止めますか。障がい者権利条約をふまえ、障がい害者差別解消条例を制定している都として、早急に改善されなければならないと考えますが、どのように対応するのかうかがいます。

【答弁】
 (福祉保健局長)医療機関の受診に際し、障害者ご本人やご家族が悲しい思いをされたことは、まことに残念なことでございます。
 都は、障害者差別解消条例を制定し、障害者への理解が深まるよう普及啓発を行なっているところです。
 都内の医療機関に対しましては、障害者への不当な差別的取扱いの事例などを記載した国のガイドラインを周知するとともに、都の病院管理の手引きには、障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する項目を新たに設け、適切な運営を求めております。
 また、都の施設では、職員一人ひとりの障害者への理解と人権意識が高まるよう人権研修等を行っており、引き続き実施して参ります。


萩の花
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【資料】
2018年(平成30年)第4回都議会定例会
文書質問趣意書 提出者 原のり子
障害者の入院に際しての有料個室の扱いについて


 知的障害のある方が入院する際に、個室へ入るように促され、多額の差額ベッド料金の負担に苦しんでいるケースがみられます。「希望したわけではないのに、個室に入るよう言われ、差額ベッド料金の負担が大変だった」「個室に入ることを拒否したら、入院させてもらえないのではないかと思い、断れなかった」「本来付き添いは必要ないうえ、個室に入ることにもなったのに、差額ベッド代は払い、親の付き添いまでしなければならなかった」「障害者を受け入れてくれる病院はあまりないので、我慢するしかない」「騒ぐとまわりに迷惑をかけるから個室へ、という場合、障害者本人の自己責任ということになるのか」などたくさんの声があります。障害者への合理的配慮という観点から、改善が必要ではないかと考えます。
 2018年3月5日、厚生労働省は、病院の特別療養環境室について、良い環境を求め、自ら選んで入るものであることや、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならないことを明記した通知(保医発0305第6号)を新たに出しました。特別療養環境室とは、1部屋4床以下で、1人あたりの面積が6.4平方メートル以上で、病床のプライバシーを確保する設備がある、とされています。
 東京都は都立病院条例3条1項の4で、個室使用料(希望により使用する場合に限る。)1日2万8000円以内で知事が定める額、と規定しています。
 改めて、東京都のこれまでのとりくみ、通知を受けての考え方についてうかがいます。 (1) 都立病院、公社病院での障害者の受け入れの現状を教えて下さい。昨年度、障害者の入院の状況、その内、有料個室利用数はどのようになっていますか。
 (2)そのなかで、有料個室を本人の希望ではなく利用したケースはどのぐらいありますか。
 (3)本人の希望でなく有料個室を利用する場合、有料個室使用料の負担は自己負担にすべきではないと思いますが、見解をうかがいます。
 (4)公社病院には有料個室の使用について、都立病院について条例で規定しているようなものが見受けられません。希望により使用する場合に限ることを都民に対して明示していく必要があると思いますが、見解をうかがいます。

原のり子議員の文書質問に対する答弁書

 (1)都立病院、公社病院での障害者の受け入れの現状について、昨年度、障害者の入院の状況、その内、有料個室利用数はどのようになっているか伺う。
 回答
 都立病院において平成29年10月に実施したワンデイ調査によれば、東京都の心身障害者医療費助成制度の利用並びに障害者総合支援法に定める更生医療及び育成医療により入院していた患者は合計123名であり、そのうち特別室を利用した患者は9名です。
 また、公社病院が都立病院と同日に実施したワンデイ調査によると、東京都の心身障害者医療費助成制度の利用並びに障害者総合支援法に定める更生医療及び育成医療により入院していた患者は合計48名であり、そのうち特別室を利用した患者は11名です。

 (2)そのなかで、有料個室を本人の希望ではなく利用したケースはどのぐらいあるか。
 回答
 都立病院の9名の患者のうち、治療上の必要で特別室を利用した患者は8名であり、残り1名の患者は本人の希望により特別室を利用しました。
 また、公社病院の11名の患者のうち、治療上の必要で特別室を利用した患者は1名であり、残り10名の患者は本人の希望により特別室を利用しました。

(3)本人の希望でなく有料個室を利用する場合、有料個室使用料の負担は自己負担にすべきではないと考えるが、見解を伺う。
 回答
 都立病院及び公社病院において、本人の希望ではなく治療上の必要により特別室を利用した場合については、個室使用料は徴収していません。
 また、診療報酬改定に併せて発出される厚生労働省の通知においても、「患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならないこと。」とされており、適切に対応しています。
 なお、患者が特別室を希望する場合は、これまでもトイレ、シャワー浴室などの附帯設備や料金等について丁寧に説明し患者の同意を確認の上、利用いただいています。

 (4)公社病院には有料個室の使用について、都立病院について条例で規定しているようなものが見受けられない。希望により使用する場合に限ることを都民に対して明示していく必要があると考えるが、見解を伺う。
 回答
 特別室の使用については、厚生労働省の通知において患者の自由な選択と同意による場合に限られており、公社病院では、設備や料金等について丁寧に説明し、特別室使用申込書で使用の意思を確認の上、利用いただいています。
 また、各病院のホームページでも、特別室は患者の希望により利用できる旨、案内しています。

by hara-noriko | 2019-09-27 23:20 | 都議会 | Comments(0)

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