一般質問から(4)知的障がい者の健康診査・がん検診
2019年 09月 28日
都議会第3回定例会の本会議で一般質問(9月10日)に立ちました。すでに質問全文を紹介しましたが、今回は答弁を含めて再掲載します。
一般質問は、一問一答ではないので、聞いているとわかりにくさがあります。そこで、どの質問に対する答弁なのかがわかるように、このブログで5回にわけて報告したいと思います。あわせて、大事な答弁については太い文字にしました。お読みいただければうれしいです。
大事な都知事の答弁
4回目は、知的障がい者の健康診査やがん検診についてです。
知的障がい者が健診やがん検診を受けやすい環境を整備していくことは必要だと、知事が答弁したことは初めてだそうです。今後、そのために都がどういう役割を果たすことが必要か、議論していきたいと思います。
あわせて、すぎなみ障がい者生活支援コーディネートセンターの人間ドックのとりくみをふまえ、知的障がい者の健診・がん検診の受信の促進を提案。区市町村に働きかけていくことが答弁されました。この点でも、都の役割も含め、議論を進めていきたいと思っています。
また、都保健所での障がい者健診の継続と改善については、管内の施設からの依頼を受けて実施していることが答弁され、適切に対応すると述べられました。
また、重度身体障がい者の方が、住んでいる地域で特定健診を受けようと思ったが受けられず、地域外の可能な病院で受けようと思い役所に相談したが、地域外はだめだと言われ、受け入れられなかった、という事例がありました。仙台市では胸部レントゲンの健診を受けられなかった障がい者の声を受け、市長が謝罪を述べるとともに受けられるように改善しています。今回の答弁では、地域外のかかりつけ医で受けられるようにしている区市町村もあることなどが紹介されました。
以下は質問と答弁です。
【質問1】
知的障がい者の健康診査・がん検診の促進
受けやすくする環境整備が必要
自分の症状を訴えにくい知的障がいの方にとって、健康診査やがん検診を受けることは、病気の早期発見・早期治療などのために大事なことです。
しかし、知的障がい者の場合、何をされるかわからない不安がある、慣れないことをするのが難しい、注射器が怖い、レントゲンで息を吸って止めて、しばらくじっとしているということは難しいなどの理由で受けられない場合があります。
知的障がいの方が、健康診査やがん検診を受けやすくする環境整備が必要です。知事の認識をうかがいます。
【答弁1】
(知事答弁)都民一人ひとりが健康を増進、維持するには、主体的に健康づくりに取り組むとともに、定期的に健康審査を受診し、病気の早期発見、早期治療につなげることは重要でございます。
知的障害者は、言葉による説明を理解しづらい、また、理解できても、話す、書くといった表現が苦手な方もおられることなどを踏まえまして、実施主体である区市町村において、健康審査やがん検診を受診しやすい環境を整備していくことは必要と、このように認識をいたしております。
奥の右は、里吉ゆみ都議
【質問2】
すぎなみ障害者生活支援コーディネートセンター
きめ細かい配慮と工夫 都の施策に生かしてほしい
その点で、すぎなみ障害者生活支援コーディネートセンターが2004年から取り組んでいる、人間ドックのとりくみは大事なものです。
驚くのは、きめ細かい配慮を行うことにより、胃の検査や採血を受けられない人はほとんどいないというのです。事前の医療従事者への研修が大きな力を発揮しています。
研修のなかで、どうやったら負担を軽くして受けてもらえるか知恵を出し合い、初めての場所や雰囲気に慣れることが難しい特性を考慮し、検査服などを事前に渡して慣れておいてもらう、わかりやすいイラストで全体の流れを示す、バリウム検査では直接介助で体位変換し、複雑な検査指示は行わないなど、きめ細かく工夫されています。
このとりくみは、国の重度知的障がい者施設「のぞみの園」が出している、高齢知的障がい者の支援マニュアルでも、先駆的事業として紹介されています。
こうした努力、取り組みに学び、都の施策に生かし、知的障がい者の健康診査・がん検診の受診を促進することを提案しますが、いかがですか。
【答弁2】
(福祉保健局長)都は、区市町村が質の高いがん検診などを実施できるよう、担当者連絡会などで先駆的な取り組み事例を紹介しております。
今後とも、こうした場を活用して、がん検診などの実施状況の共有を図るとともに、知的障がい者を含めた都民が利用しやすい体制を整備するよう働きかけてまいります。
【質問3】
●都保健所での障がい者の健診
●事業の継続と改善を求める
東京都の保健所では、通所施設に通う障がい者の健診を行っています。大事な事業であり、継続することとともに、恐くて採血を受けられなかった人が、もう一度別の日にできるようにする、当日生理になった場合の尿検査は別の日に受けられるようにする、歯科検診を再開する、などの改善を求めますがいかがですか。
【答弁3】
(福祉保健局長)都保健所での障害者の健診についてでありますが、都保健所では、障害者施設等の利用者が地域の医療機関等で健診の機会を確保できない場合に、管内の施設からの依頼を受け、健診を実施しております。
その際には、施設職員から受信者の情報を事前に把握したうえで障害特性に応じて実施方法を工夫しており、今後とも適切に対応して参ります。
【質問4】
重度の身体障がい者の特定健康診査について
住んでいるところで受けられない事態が
障がい者個人が区市町村で実施している特定健診に申し込んだときの合理的配慮も必要です。区市町村ごとに対応が大きく異なっています。重度の身体障がい者が、住んでいる地域の指定医療機関では特定健診を受けられない、という問題がおきています。何らかの方法で、自己負担なく受けられるようにすべきではないでしょうか。
【答弁4】
(福祉保健局長)特定健康審査は、高齢者の「医療の確保に関する法律に基づき、生活習慣病を予防するため、40歳以上74歳以下の方を対象に、医療保険者が実施しております。
国民健康保険においては、居住自治体以外のかかりつけ医療機関で受診できるようにするなど、地域の実情に応じた工夫を行っている区市町村もございます。
都は、保険者協議会などを活用し、こうした事例を共有するなど、障がい者を含め、被保険者が利用しやすい特定健康審査の実施体制を整備するよう働きかけて参ります。
by hara-noriko | 2019-09-28 19:42 | 都議会 | Comments(0)