校則 高校生が都政を動かす
2019年 11月 30日
都政報告会で私とトーク
東京・清瀬市でおこなわれた「都政報告&トーク集会」の詳報を前々回で紹介しました。高校の「黒染め」指導に声を上げて撤回させたクルミさんの話は、大きな反響をよびました。今回は、クルミさんと私がおこなったトークに池川友一都議の発言を加えて、一問一答形式で再現します。
生まれつき黒いのに「黒染め」指導
学校の基準に合わないから、と
原のり子 この報告会にクルミさんが来てくださいました。アルバイトで忙しいなか、ありがとうございます。クルミさんは、3月に都立高校を卒業しました。一度も染めたことのない黒髪なんですが、学校の「黒」ではないから「黒く染めろ」と指導されました。入学したときにその指導があって、「染めるか切るかしなさい」といわれたんですよね。
クルミさん そうです。
原のり子 それで、美容室に行ったんですよね。
クルミさん はい。美容室に行ったら、「黒染めするとよけいに茶色くなるから、黒染めはしない方がいいよ」といわれました。髪を切って、学校で再検査を受けたら、「ダメ」っていわれました。美容室の人が知り合いだったので、美容室の名刺に「黒染めしたらよけいに茶色くなる」と書いてくれて、その名刺を先生に渡しました。このときは、それでオーケーが出ました。
3年生の1学期に、また毛髪指導でひっかかって、「黒染めしてこい」といわれました。1年生のときの名刺のことがあるから、生活指導の先生にその話をしました。そうしたら、「そんなの知らない」みたいにいわれて…。そこから、原さんに話をしたんです。
職員室へ抗議に行って
校則には「髪染め禁止」とあるのに
原のり子 クルミさんは「おかしい」と思って、友だちと一緒に職員室へ抗議に行ってています。
クルミさん だって、生徒手帳(校則)には「髪染め禁止」って書いてあるんです。黒染めも髪染めになるんじゃないか。そうしたら、「黒染めは黒染めだ」っていうんです。
他の生徒ともかかわれない
原のり子 そのことをクルミさんは、SNSに書いたんですね。それについて学校から指摘されて、そのあと特別指導になってしまいます。
クルミさん 特別指導は、自分のクラスで授業を受けさせてもらえなくて、別室に一日中いました。他の生徒ともいっさいかかわることができなくて。他の生徒より早く学校にいって、そこに監禁みたいな状態で、いろいろ課題を出され、先生と1時間ごとに話をする。携帯電話も没収されていました。
原のり子 こういう指導は、ちょっと考えられないですね。作文を書いたりしたと思いますが、「黒染め」のことで書くわけではなかった。
クルミさん 将来の夢とか、高校生活3年間の思い出とかがテーマでした。A4判の紙にいっぱいいっぱい書けって。
クルミさんのお父さんから相談が
都教委と話し合い、指導は撤回
原のり子 そういう時期に、クルミさんのお父さんを通じて事態を知りました。クルミさんがバイトしている先に行って、実際にクルミさんに会うと、この黒髪でどうして指導されるのかとびっくりしました。
この問題を共産党都議団で議論しました。きょう、この場に参加してくださっている池川友一都議が文教委員でした。「これは放置できないね」ということで、東京都教育委員会に話をしました。お父さんがクルミさんのお姉さんとチームを組んで、都教委に話をしに来てくれました。そういう話し合いを積み重ねていったんです。特別指導という形で学ぶ権利を奪っている状態は大問題だ、ということもいいました。特別指導が解除されたときは、どうでしたか。
クルミさん 特別指導が解除されたあと、先生から呼ばれました。謝りたいって。
原のり子 そうやって指導が撤回され、それ以降、「染めて来い」といわれることはなくなったんですね。
クルミさん いっさいなくなりました。
都教委が画期的な通知
池川都議の一般質問を機に
原のり子 クルミさんは卒業したあと、東京都の教育委員会が「人権尊重の理念にたった生活指導の在り方について」と題した通知を出しました(9月4日)。池川友一さんが都議会本会議の一般質問(6月12日)で、クルミさんの体験も含めて、高校生が校則について一生懸命に取り組んでいることを取り上げたあとに出されました。画期的な通知になっています。きょうは、池川さんがお子さんを連れて参加してくださっているので、通知のことなどについてお話しいただければと思います。
池川友一都議 町田市選出の池川です。通知の題名に「人権尊重」という言葉が入りました。都教委が「人権尊重」をうたった。本当に画期的な通知だと思います。具体的な内容のなかに、高校生はときにはまちがえることがあっても、それを含めて人権尊重の対応をちゃんとしなければならないですよ、ということが通知に書かれたんです。
これまでは、その行為のみをとって「校則違反だ」と現場で指導されていたことに対して、高校生が「それはおかしいんじゃないか」と声をあげ学校に突きつけた。それを教育委員会も受け止めながら改善に向かっていった、という意味でも画期的な通知だと思います。
通知のなかでは初めて、生まれつきの髪の色については染めてはならないことが明文化されました。都教委はこれまで、「口頭ではいってきた」というんですが、明文化されたものはありませんでした。僕はこの通知を「クルミちゃん通知」と呼んでいます。都立高校で、人権侵害にあたるような指導をされたときに、「こういう通知があるんだよ」と。高校生自身が「人権尊重」と書いてあるではないかと、この通知を活用してほしいなと思っています。
まだまだ課題が残っています。これからも一つひとつ改善できるようにがんばっていくつもりです。
原のり子 クルミさんの声が都教委の通知に反映され、これからの高校生たちにものすごくプラスになったと思います。クルミさんは、「黒染め」指導以外の問題についても、「こんなことがおきている」と教えてくれています。コンタクトレンズの色とか、生理中でもプールの授業を受けなければいけないとか。みんなが楽しく通える学校にしたいと思います。
クルミさん 「黒染め指導」を経験して、高校生活はいい思いをしなかった。これから改善されて、そういう思いをしなくてすむようにしてほしいです。
ここに都教委の通知そのものが紹介されています
池川友一都議の一般質問
私のブログ記事
政治を動かす若い世代
都政報告&トーク集会



by hara-noriko | 2019-11-30 00:15 | 東京都政 | Comments(0)