都議会 総務委員会で質疑   

新型肺炎対策の補正予算案
総務委員会所管分は全会一致
 3月2日、都議会総務委員会でした。新型コロナウイルス対策の総務委員会所管分の補正予算は、全会一致で可決すべきものとなりました。

500億円 スマート東京推進基金設置案
共産党は反対を表明
 ただ、今回の委員会はこれだけではありません。知事が、500億円ものスマート東京推進基金を設置するとの議案も出されていました。自治体としてのあり方、都民の税金を都民のために使っていくという基本の考え方が問われる問題であり、共産党として私が質疑をおこない、米倉春奈都議が意見表明をおこなったうえで、反対しました。
 総務委員会では、共産党以外の会派は賛成でした。以下、質疑の要旨です。

【私の質問から】

基金の積み増しはありうる

 原のり子 最初に確認したい。他の方の質疑で、基金は今後積み増しすることもありうるととれる答弁をしているが、そうなのか?

 都の答弁 今後の状況によってそういうこともありうる。

 原のり子 非常に問題。最初から、どうなっていくかわからない。
 実施戦略には、将来の財政需要に備え基金を創設、とタイトルが書かれ、次年度以降財政需要の増大が見込まれる、とある。一体、どのぐらいを見込んでいるのか、どういう使い方をしていくのか、を聞きたい。
 まず、条例案第一条「東京をソサエティー5.0の実現によりスマート東京に進化させていく」とはどういう意味か?

 都の答弁 スマート東京は、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送ることができる社会。
 基金の活用により、東京をこのような都市に進化させ、都民のQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)や幸福度の向上を図るという意味.

「ソサエティ―5.0」とは

 原のり子 では、ソサエティ―5.0とはそもそも、どういうことなのか。また、いつから、誰が提唱したものなのか改めてうかがいます。

 都の答弁 サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度の融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会。
 国が策定した第5期科学技術基本計画(2016年1月22日閣議決定)において、わが国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱。

 原のり子 ソサエティ―5.0は現政権が提唱したものであり、未来社会論。そして、経団連が一体となって進めてきているのが特徴。ソサエティ―5.0という構想は、都民に、どのぐらい浸透していると考えているか。

 都の答弁 昨年12月、内閣府の外郭団体である、経済広報センターによる調査によれば、ソサエティ―5.0ということばを知っているのは、43%という結果。

 原のり子 この調査は、内閣府の外郭団体経済広報センターの調査で、そのセンターの社会広聴会員になっている人達に対するネット調査。そのなかでも、内容を知っている人はわずか3%。ある程度知っているが16%、言葉は聞いたことがあるが内容は知らない27%。その合計で言葉は知っている43%としている。日常的にネットでのさまざまな調査に回答している人達に対する調査でも、この程度の認識ですから、このソサエティ―5.0が都民に浸透しているとはいえない。いかがか。

 都の答弁 都としての調査はないが、都としてはビジョンも発表している。

基金を使う基準は
 原のり子 都民に浸透もしていない。しかも、政府自体が、「未来社会」と位置付けていて、いつ実現するのか、成功する構想なのかわからない構想を、条例の中に位置付けそのための基金だというのは、問題があるのではないか。
 基金を使う基準は?

 都の答弁 令和2年度予算案では、イノベーション創出基金に充当する予定であった事業に約59億円充当。
 令和3年度以降の具体的な充当事業については、各年度の予算編成の中で検討。

 原のり子 なぜ、イノベーション創出基金を充当する事業を執行したのちに整理して、この基金を提案しようと思わなかったのか、疑問。
 各年度の予算編成のなかで検討する、ということだが、あらかじめものさしとなる基準はつくらない。問題だ。
 ではなぜ500億円なのか? 今後、スマート東京にかかる費用を試算しているのか?

 都の答弁 この基金の充当対象事業として、スマート東京データハイウェイのコアとなる事業や、スタートアップ企業や中小企業等によるイノベーション創出に資する事業を想定しており、このふたつの事業で合計500億円を見込んだ。

財政支出の予測が立たない

 原のり子 基金も積み増しするかもしれない。基金も使いながら事業をすすめるのだから、500億円がマックスではない。
 スマート東京だといえば、予算は青天井のようになるのではないか。
 スマート東京にかかわるさまざまな委託調査が行われている、その仕様書を資料として出していただいた。これらの委託でどのぐらいの費用をかけているか。

 都の答弁 ソサエティ―5.0社会実装モデルのあり方検討会開催支援業務委託等、5つの事業において2200万円で契約。

 原のり子 これらの委託調査の結果、具体的に事業も進めるとなれば、どのぐらいの費用がかかるかわからない。すでに、来年度予算では、基金の枠外でスマート東京で158億円予定されていることをみても、財政支出の予測が立たない。
 ソサエティ―5.0は、先程ご答弁のなかにもありましたが、サイバー空間と現実空間の高度な融合により問題を解決していくとのこと。「現実社会で発生する困難な問題をサイバー空間でAIが解析し、その回答を現実空間にフィードバックすることにより、少子高齢化・地方の過疎化・貧富の格差などの課題が克服される」。また、「超高齢化、災害やテロ、環境・エネルギー問題などの人類が直目する複雑かつ構造的な社会課題の解決も図れる」と政府の広報資料で説明している。ひとつうかがいたい。本当に、貧富の格差がサイバー空間と現実空間の融合によって解決できる課題だと考えているのか。

 都の答弁 行政としてのとりくみはこれまで以上にしていきながら、最先端技術をとりいれていくということ。

東京都の戦略ビジョン

貧富の格差問題は位置付けられていない
 原のり子 しかし、政府の広報では、そうなっていない。サイバー空間を活用する技術が急速に発展していること、それを有効に活用していくことは重要だと思うが、現実社会の課題を丸投げするわけにはいかない。東京都の戦略ビジョンには、貧困問題、貧富の格差問題は位置付けられていない。それらをスマート東京に解消しているのではないか、と危惧する。
 では、都として、具体的に何をやりたいと考えているのか。民間(企業)と都の役割の線引きはどのように考えているのか。

 都の答弁 この基金の充当対象事業は、デジタルツインの実現や、都民の生活の質向上につながるスマートサービスの実装などを想定。
 都と民間が良好な協働関係を構築し、知恵を持ちより、イノベーションを創出。

500億円の基金は時期尚早
お金の使い方が違っている
 原のり子 民間はどんどん技術発展のために研究をすすめている。自治体としてどうかかわるのかは、きちんと線引きが必要。やはりそこがあいまい。結局は、都民のためでなく、企業が自治体をステージに実験していくようなことになりかねない。
 少なくとも、多額の都民の税金を使うことになるものを、今後の財政の見通しもたたない、さらにいえば、現在のサイバー空間には、サイバー攻撃やサイバー犯罪など情報セキュリティからみると欠陥もあり、まだ完全とはいえない。また、たとえば、医療や教育で活用していく技術の発展も当然期待できるが、まだ発展途上。東京都として何を活用していきたいのかも明確とはいえない。この段階で、500億円の基金を設置するというのは少なくとも時期尚早であると思う。基金がなくても、必要な事業だと考えれば、年度ごとに予算提案すればいい。都立病院の独法化をして一般会計の繰り出しを減らしていきたいと言っている状況で、こういう基金は積み立てる。お金の使い方が違う、との意見を述べて質疑を終わります。

駅前で都政報告の宣伝
北村りゅうた・東久留米市議と一緒に
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by hara-noriko | 2020-03-07 21:49 | 都議会 | Comments(0)

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