予特質問から(1) 公社病院の独法化は中止を   

 都議会第1回定例会(予算議会)。私は予算特別委員会の一般総括質疑(3月13日)に立ち、(1)公社病院の独立行政法人化は中止を(2)障がい者歯科保健医療の充実と障がい者医療費助成拡充の意義(3)人権尊重条例の具体化―パートナーシップ制度の実現をの3点で都の姿勢をただしました。順次、紹介します。最初は、公社病院の独立行政法人化を中止するよう求めた質疑から。

都立清瀬小児病院が廃止され
公社の多摩北部医療センターが努力

 私は冒頭、次のように切り出しました。
 石原都政がすすめた小児病院の統廃合計画によって、清瀬市・東久留米市では都立清瀬小児病院が廃止されました。その結果、小児医療をどうするかが地域の大問題になりました。小児病院の近くに引っ越して闘病していた方が、さらに引っ越しをよぎなくされる、「統合先の都立小児総合医療センター(府中市武蔵台)に通いきれない」という訴えが障害児や難病のこどもたちと家族からあがりました。今も苦労されている方たちもいらっしゃいます。
 そんななか、東京都保険医療公社の多摩北部医療センター(東村山市青葉町)が、地元医師会と協力して、平日夜間の小児初期救急や専門医療を実施するなど、受け皿として力を尽くしています。地域の人たちも充実を求め要望を重ね改善してきました。
 こうしたことを述べて、質問しました。

病院の努力をどう評価しているのか
「小児救急体制の維持・継続に貢献」

 原のり子 都として多摩北部医療センターの取り組みをどう評価していますか。
 病院経営本部長 多摩北部医療センターは、清瀬小児病院の移転統合にともない、小児病床を設置して、受け入れ態勢を構築してきた。小児救急外来の当直を実施するとともに、地区医師会との連携・協力による平日夜間小児初期救急を実施し、地域の小児救急体制の維持・継続に貢献してきている。

当事者や地域への独法化の説明は…
パブリックコメントで!?

 原のり子 大事な役割を果たしていることは認識されている、ということです。ところが知事は、公社病院の独立行政法人への移行準備を進めるという方針を突然発表。あまりに突然のことに驚きと、「多摩北部医療センターはどうなるのか」という大きな不安が広がっています。多摩北部医療センターの医師、看護師、医療技術者、地域の医師会や地域住民に独立行政法人への移行準備について説明をしたのですか。
 病院経営本部長 地方独立行政法人化については、(昨年)12月25日にビジョン素案を公表してパブリックコメントに付した。この議会でも今、議論をいただいている。これらを通じて説明しているとともに、また広報媒体を通じて内容について広報に努めている。
 原のり子 説明をしたのはいつですか。
 病院経営本部長 先ほど答弁したとおり、12月25日に素案を公表してパブリックコメントにかけているということ。

運営協議会も開いていない
当事者をないがしろにした対応

 原のり子 つまり、まだやっていないのではないですか。地域の医師会や関係者とともに、病院のあり方について議論する場である運営協議会というのがあります。運営協議会は、知事の方針表明後、一度も開いていないと思いますよ。(昨年)11月に開いて、その後は開かれていないと思いますが、いかがですか。
 病院経営本部長 この方針につきましては、機会をとらえて説明するように努めており、個別の病院のいつ開いたかは私の方で認識していないが、引き続き広報、説明に務めてまいる。
 原のり子 11月以降、開かれていないことは確認しています。運営協議会を除いて、「説明した」とは絶対にいえないと思います。地域のみなさん、医師会や歯科医師会、そして近隣の病院、そういう方たちも含めて運営協議会をつくって、どう多摩北部医療センターをやっていくのかということを相談している場ですから、そこのみなさんに説明していない。あまりにみなさんをないがしろにした対応だと思います。

独法化―いつから検討を始めたのか
都は正面から答えず

 原のり子 そもそも、公社病院の独立行政法人への移行は、いつから検討を始めたのですか。また、検討を始めるきっかけは何ですか。
 病院経営本部長 (直接、答えず)
 原のり子 都立病院の独法化のなかで、公社病院を加えて独法化するということを決めたのはいつからなのか、その検討を始めたのはいつからなのか、と聞いているんです。
 病院経営本部長 さまざまな検討の過程を経て、今の段階に至っている。ある一定の時期に急に湧きあがって始まったというものではない。医療を取り巻く環境が変わってきていて、地域医療についても、たとえば平成26年の医療法改正で地域医療の包括ケアシステム等が定まったり、平成28年には地域医療構想が決まって、地域医療の重視ということがなされた。そういうことをふまえながら、今の段階にあるということです。
 原のり子 いつからか、という本当に初歩的なことさえ明らかにできないというのは、きわめて重大だと私は思います。

小池知事に質問
石原都政の小児病院廃止をどう見る

 原のり子 小池知事は、都立病院・公社病院の独立行政法人への移行を「改革」だといっています。しかし、過去に石原元知事も「都立病院改革だ」といって清瀬、八王子、梅が丘の3つの小児病院などを廃止し、多くの地域、多くの都民に大きな痛みをもたらしました。このことをどう評価しているのか。3小児病院の廃止についてどう評価しているのか、知事、お答えください。
 小池知事 都立病院は、その時代の社会状況、そして医療受給の変化などに対応しながら、高水準で専門性の高い行政的な医療を提供してまいりました。小児総合医療センターでございますが、小児科医師の不足等をふまえまして、医療機能や医療人材の集約化によって、小児の心から体にいたる広範な高度専門医療を提供しているところでございます。また、隣接いたしております多摩総合医療センターと連携をいたしまして、周産期医療、救命救急医療をはじめとした分野において、都における小児医療の拠点としての役割を果たしているものと認識をいたしております。

「またくりかえされるのではないか」
地域の人たちの心配

 原のり子 私は小児総合の評価を聞いているのではなくて、3小児病院の廃止はどうですか、と聞いたんです。そこをちゃんとしておかないと、地域で病院が失われるという経験をした中で、またこういうことが繰り返されてしまうのではないか、と私は、そして地元は、本当に心配をしています。ですから聞いたのですが、残念ながら知事にはそのことが伝わらなかったと思いました。

独法化素案に「さらなるコスト削減」
小児科などの医療が後退しかねない

 原のり子 地域の子どもたちの命をささえている病院がなくなることの重みをぜひ理解していただきたい。知事が昨年末に発表した計画素案には、公社病院について「さらなるコスト削減を図ることで都の財政負担を軽減させる」とはっきり書いています。そうすると、不採算な小児科などを支えるのに不可欠な都の財政支援を減らすということになって、いまやっている行政的医療が後退しかねないということをとても心配しています。

独法化の中止を求める
産科やNICUの設置こそ

 原のり子 公社病院の独法化はきっぱり中止することを求めます。そして、地域で不足している医療をきちんと担っていくんだとおっしゃるのであれば、多摩北部医療センターは小児科や障がい者歯科、高齢者医療などを拡充するとともに、地域に不足している産科やNICU(新生児集中治療室)の設置に踏み出すことこそ大事なんだということを求めて次の質問に移ります。

公社病院の独立行政法人化
小池知事(左)に中止を求める
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カタクリの花(東京・清瀬市)
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by hara-noriko | 2020-03-26 23:05 | 都議会 | Comments(0)

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