犯罪被害者等支援条例が成立
2020年 04月 05日
共産党は修正案を提出
都議会総務委員会でおこなった犯罪被害者等支援条例についての質問(3月17日)を紹介します。
条例は(1)基本理念を定め、都や都民、事業者、民間支援団体の責務等を明らかにする(2)犯罪被害者などへの支援を総合的かつ計画的に推進する(3)被害の回復、軽減、生活の再建を図る―などが目的です。共産党都議団は19日、総務委員会に修正案を提出し、私が趣旨説明をおこないました。修正案は、共産党の原のり子と米倉春奈都議、生活者ネットの山内れい子都議の賛成、反対多数で否決されました。原案は全会一致で可決。27日の最終本会でも全会一致で可決され、成立しました。
私がおこなった17日の質問は、修正案を提案する観点から都の姿勢を質したものです。
条例制定は本当に重要
憲法の理念に基づく規定は?
原のり子 過去に議員提案もされて、私どもの会派も賛成した経過がありますけれども、時期をへて条例が形になるということで、本当に重要だと思っています。今日は条例がいよいよ制定目の前ということで、端的に幾つか確認をします。
ひとつは、条例文には、基本理念が位置づけられていますが、憲法の理念に基づく規定はないと見受けられますが、それはなぜでしようか。
総務局人権部長 犯罪被害者等基本法の基本理念である全て犯罪被害者等は個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有するという規定は、憲法13条の包括的な人権規定にその根拠を置いています。犯罪被害者等支援条例は、この犯罪被害者等基本法の基本理念に基づくものでございます。
原のり子 法の基本理念に基づく、そして、もちろんその大もとに憲法が位置づけられているということだと思います。
支援計画の検証をどうすすめる
都 被害者や識者で会議を設置
原のり子 次に、条例のポイントの一つは支援計画だと思うんですけれども、支援計画の検証をどのようにしていくのか。また、条例をつくるこの機会に協議会を設置しておこなうべきと考えますが、見解をうかがいます。
人権部長 次期犯罪被害者等支援計画の策定に当たっては、被害者等や識者を委員とする会議を設置し、支援計画策定後も当該会議において進捗状況についてご意見をうかがうこととしております。
原のり子 会議を設置するということは非常に重要で、ただ、条例上にはその規定はないのかなというふうに思いますが、ただ、今ご答弁にあったように会議を設置していくということ、また進捗状況も意見をうかがっていくということについては確認させていただきました。
教育をどうすすめていくのか
発達段階に応じた特別の配慮を
原のり子 第19条に、都民の理解の増進が位置づけられています。広報、啓発、その他の施策とあります。この中で教育をどう進めていくのかが重要だと思っています。見解をうかがいます。
人権部長 都では、企業担当者や学校関係者等を対象に、犯罪被害者等支援研修会を実施しており、犯罪被害者等の被害後の心理状態や各種支援制度等について説明しています。中高生に対しては、警視庁が学校と連携し、犯罪被害者等に対する支援や命の大切さについて理解を深めるための講演会を行っております。
原のり子 今、お答えいただいた教育については、今やっていることをお話しいただいたんですが、さらに充実をさせていっていただきたいと思います。この教育をどう進めるのかということと表裏一体の関係にもあるんですけれども、未成年の犯罪被害者に対する支援に当たって、発達段階に応じた特別の配慮をしていくことが重要だと考えますが、見解をうかがいます。
人権部長 本条例第3条では、犯罪被害者等支援は、被害の特性等の犯罪被害者等が置かれている状況、その他の事情に応じ、適切に行われなければならないとしております。
原のり子 この発達段階に応じてということについては、福岡などの条例などにも入っていました。学校に通っている、あるいは施設に行っている、そういうお子さんだけじゃなくて、いろんなお子さんがいらっしゃいますので、所属しているところがない場合もありますので、そうした状況を十分に見て、適切な配慮をしていただきたいということをここでは求めておきたいと思います。
居住の確保も大事
都営住宅に入居できるように
原のり子 犯罪被害者が自宅にいることができなくなる状況もあります。そうした場合に一時的な住居の確保についての支援についてお聞かせください。
人権部長 自宅などで事件にあうことにより、従前の住居に居住することが困難となる犯罪被害者等に対し、都は宿泊施設を提供しています。具体的には、被害後に一時的に居住するために宿泊施設を利用した際の宿泊費について、警視庁の制度とあわせ、原則9泊を上限として助成しております。
原のり子 原則9泊を上限としてということでわかりました。一時的なということで今うかがいましたけれども、同時に、安定した住居を確保するために、都営住宅等に入居できるようにするということが重要になってくると思います。どのような支援策を考えているのかうかがいます。
人権部長 都は犯罪被害者世帯に対し、都営住宅の入居において、当せん率が一般申込者の5倍となる優遇抽せん制度を実施しております。
きめ細かく対応することを要望
原のり子 犯罪被害者支援条例の最後に、私はこれまでも議論してきましたけれども、今回、2次的被害を位置づけたというのはとても重要だというふうに思っています。2次的被害はさまざまな形で起こり得ます。この2次的被害についての啓発と、特に加害の側に立たないための教育、啓発、そして、被害を受けた方の救済措置、これについてお考えをうかがいたいと思います。
人権部長 2次的被害に関して都民の理解を深めるため、都は被害者や被害者遺族の講演会を実施するとともに、犯罪被害者等の人権というリーフレットを作成し、2次的被害についても記載し、ヒューマンライツ・フェスタなどの各種イベントや研修で配布しています。2次的被害を受けた方については、東京都総合相談窓口や性犯罪等被害者ワンストップ支援センターで相談を受けており、個々の状況に応じて、精神的ケアや警察への同行支援等を行うとともに、専門の支援機関に紹介するなどの対応を行っております。
原のり子 2次的被害については本当に深刻だと思うケースがたくさんあります。性被害を受けた方ですけれども、見知らぬ人たちが勝手にネットでどんどん拡散するということで傷ついていくというのももちろんあるんですけれども、それだけではなくて、本当に身近な大人から被害を受けて、そのことを信頼できる身近な人に相談したんだけれども、自分で誘ったのにウソをついているとか、そういうようなことをいわれたり、あなたが悪いのよということをいわれて、それが仲間内で広がって、広げられて、どんどん広げられてしまう。そして、居場所がなくなってしまう。そういうケースで、10代、20代の若い人が苦しんでいる。そういうケースもあるんですね。
ですので、やっぱりいろんな2次的被害を想定して、本当にきめ細かい支援が必要だと思います。そういう点で、今ご答弁いただいたように、ワンストップや総合相談窓口などでの相談を受けて、そして専門の機関につないでいくということをよりきめ細かくやっていただくことをこの場では要望しておきたいと思います。
by hara-noriko | 2020-04-05 19:40 | 都議会 | Comments(0)