総務委員会 ロードマップ質疑(上)   

 都議会第2回定例会の総務委員会でおこなった質問をひきつづき紹介します。今回は、東京都が作成した「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」についての質問(6月5日)です。上下2回に分けてお知らせします。緊急事態宣言が解除されたもとでも都による自粛要請が続いています。「ロードマップ質疑」の「上」は、自粛要請の法的な根拠、自粛要請と合わせた経済的支援の必要性、パチンコ店を特定して名前を公表したことの評価、小池知事の姿勢などを問いました。

緊急事態宣言が解除された
自粛要請が続いているのはなぜか

 原のり子 「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」についてうかがいます。資料提出ありがとうございました。本当に職員のみなさんも連日大変な状況だと思います。お疲れさまです。このロードマップについてまず確認したいのは、「緊急事態宣言を解除した後も、自粛・休業要請をされているが、なぜですか」と都民の方から疑問の声が寄せられました。これについて、法的な根拠について説明をしていただきたい。

 総務局総合防災部長 国の緊急事態宣言の発令を受け、都は特別措置法第24条第9項および第45条第1項に基づきまして、施設の使用停止、イベントの制限の要請と、都民への外出自粛等の要請を行いました。国の緊急事態宣言が解除された後においても、慎重にステップを踏む必要があるため、知事の権限で特別措置法第24条第9項に基づき必要な協力を求めることとしております。

緊急事態宣言時と今とでは法的根拠が違う
ロードマップでそれが明らかになっているか
 原のり子 現在、緊急事態宣言は解除されているわけですが、されたけれども都として知事の責任において必要な要請をしている、それに対してご協力を都民のみなさんにお願いをしているということだと思います。緊急事態宣言時と現時点では、法的な根拠というのは違いがあるわけで、そのことを誰から見ても分かるように明確にしておくということは重要なことだと思っているのですが、ロードマップにはそのことは書かれているのでしょうか。


 総合防災部長 緊急事態が解除された後におきましても、協力要請をすることにおいて、5月25日に都の対策本部会議を開かしていただいております。その際に対策本部の資料のなかで、法律的な観点から都民に対して今私が申し上げましたことについて記載してございます。

都がどういう立場から都民にお願いしているのか
ロードマップでここを明確にすることが大事

 原のり子 本部会議の資料では示されていますということですが、この都民のみなさんにも見ていただくこのロードマップには法的な根拠というのはとくに記載はないんですね。7ページの「外出自粛、休業要請等の緩和措置の内容」というところを見ても、ステップを踏んでいくということで、緊急事態宣言とは違うということが分かるようにはなっていない。都民のみなさんに、いま、どういう状態にあって、みなさんにどういう立場から東京都がお願いしているかを明確にするのは大事だと指摘しておきたい。

なぜパチンコ店の店名を公表したのか
恣意的にならないよう歯止めをどうかけたのか

 原のり子 緊急事態宣言中に東京都がパチンコ店を特定しての店名公表がありましたけれども、緊急事態宣言を解除した現時点で行えるのかどうか。

 総合防災部長 新型インフルエンザ等対策特別措置法では、国が緊急事態を宣言している間、知事は同法第45条第2項に基づき、施設の使用停止の要請等を行うことができるとされております。また、要請を行った場合には、同条第4項に基づき速やかに公表することとされております。現在、国の緊急事態宣言は解除されており、同条第4項に基づく公表はできないこととなっております。

 原のり子 今は法に基づいてできないということです。今後のこともあるので、振り返って2点確認します。そもそも、なぜパチンコ店について公表したのか、そして、恣意的に都の判断でいずれかの施設を特定して公表するということもできてしまわないか、歯止めをどうかけたのか。

 総合防災部長 パチンコ店は、新型コロナウイルス感染症のまん延を防止するために必要があると考えられるため、特別措置法第24条第9項に基づきまして施設の使用停止等の協力を要請してきたところでございます。その後、国の緊急事態宣言下においても営業を継続しているパチンコ店に対しましては、同法第45条第2項に基づき施設の使用停止等を要請し、同条第4項に基づき施設名等を公表してきたところでございます。なお、都が施設の使用停止要請を行うにあたりましては、東京都新型コロナウイルス感染症対策条例第5条第2項により、東京都新型コロナウイルス感染症対策審議会の意見を聞かなければならないとされており、専門的見地から意見を聴取したうえで実施したところでございます。

パチンコ店を特定した理由
明確に説明してほしい

 原のり子 パチンコ店はクラスターが発生していたというわけではありませんでした。コロナのまん延を防ぐために段階を踏んで法に基づいて店名公表に至ったということですが、パチンコ店以外にもこの感染リスクの高い施設というのはいろいろあるわけですね。そのなかでパチンコ店を特定した。その理由をもう少し明確にご説明いただきますでしょうか。

 総合防災部長 パチンコ店につきましては、その業務の性質上、いわゆる3密、3つの密にあたる環境が発生しやすく、営業の継続によるクラスターが発生するリスクが高まると考えられるため、対象にしたところでございます。

恣意的な公表はすべきでない
経済的なサポートはどうなっているのか

 原のり子 そういうリスクの高い施設はほかにもあると思います、というふうに先ほどいったんですけれども。それでもなおパチンコ店だけを特定したのはなぜか。都民の方々からも多く意見が寄せられたというお話も聞きました。私は、この問題がなんで大事といっているのかといいますと、恣意的に、その特定のところを公表するっていうことがやられるようなことになると困るので、なぜここなのかということを明確にする必要がある、それを都民に明確にしていく必要があると思うからです。
それで審議会にも意見を聞いて実施しているということで、たしかに4月25日に書面開催の審議会で意見が出されています。このときに、営業存続の危機を回避できるような経済面の支援策が予定されていることも踏まえて措置について認める、というような意見も委員から出されています。この、経済面の支援策が予定されている、つまり公表するだけではなくて、そのパチンコ店ならパチンコ店に、きちんとそういうサポート、支えがあるということが明らかだということを踏まえて措置を認めるという意見だと思うんですけれども、この場合の経済面の支援策というのは何を指していたんでしょうか。

 総合防災部長 パチンコ店にかかわらず、休業要請の対象となりました事業者に対しましての経済支援につきましては、都と施策のいろいろな融資制度等々を活用した支援を実施してきているところでございます。

 原のり子 いろいろ実施してきているということですが、ちょっとよく分かりませんけれども、先ほどいったように誰から見ても理由が明確で、恣意的な判断ではないということを東京都がはっきりさせることが必要だといっています。パチンコ店だからいいとか悪いとか、そういう問題ではないんですよね。
今後、緊急事態宣言がまたあるということは本当に避けなければいけません。しかし、今後の予測はできませんので、そういうときに法に基づいて東京都がきちんと対応していくことが必要だと思うので、あえて確認をしました。

波紋呼ぶ小池知事の「夜の街」発言
法的な根拠はあるのか

 原のり子 その上で、現時点は緊急事態宣言ではないんですけれども、私がいまとても問題に思っているのは、先ほど来もお話に出ていますが、「夜の街」の問題なんです。
 「夜の街」といういい方や「新宿エリア」という言葉を都知事がおっしゃっているんですね。都知事の発言というのは重みがありまして、波紋をよんでいると思っています。知事は「新宿エリア」あるいは「夜の街」とあえていっている根拠、法的な根拠を含めて何かあるのでしょうか。

 総合防災部長 「夜の街」という表現でございますけれど、特定の業種を表現しているものではございません。3密が発生しやすいようなお店なんかが集積しているような場所をわかりやすくというか、明らかにするために使っているものでございます。

PCR検査などで感染の全体像を明らかにする
それをふまえてサポートを示すことが必要

 原のり子 ちょっと疑問なんですけども…。いままで緊急事態宣言が長く続いてきたなかで、これまでの損失をようやく取り戻していかなければならないと思っていた矢先に感染がまた新たに増えて、ここで一括りに「夜の街」と表現されていることに非常にとまどいが広がっている、ということなんですよね。知事がこうした発言をするには、PCR検査などを十分におこないながら全体像を明らかにして、その分のサポートを、こういうことをやっていきますよ、ということを示していることが必要だと思うんです。

驚かされた小池都知事の記者会見
都民に責任を押し付けていいのか

 原のり子 それで、振り返ってみますと、知事の発言でとても気になっているのは、5月1日の定例会見のとき、緊急事態宣言を延長することになったことでどういったところが至らなかったのか、足りなかった点は、と記者に聞かれて、知事は「この結果をだすのはお一人お一人の行動にかかっています。これが長引くのは、みなさま一人一人の行動の結果」「残念ながらご理解いただけない、僕だけはいいや、と思っている人たちがこれだけいらっしゃる。そのことで結局、長引いてしまう」「遊技場の方に密でずらっと並んでおられて、そんなのいいですよみたいなことをおっしゃっている」という発言をされていて、たいへん驚いたわけです。みなさんの責任ですよ、ということをここでいっているんですけども、一方、これは岩手県の知事だったと思いますが、感染者がいないというなかで「自分が感染第1号になることを恐れないでください」と発信されています。
 みなさんの責任ですよ、というのか、それとも、自分が感染者であることを恐れないで検査もきちんと受けてもらいながら全体像を明らかにしながら対策をとるのか。これは本当に大きな違いがあると思うんです。(つづく)

ハクセキレイ
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by hara-noriko | 2020-06-10 20:06 | 都議会 | Comments(0)

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