これでいいのか 都のコロナ対策
2020年 07月 31日
都議会臨時会終了の直後 あまりに異常
昨日のブログ記事「東京都政でとんでもないことが」でお知らせしたことの続きです。
小池知事は7月30日、「東京都新型コロナウイルス感染症対策条例」を議会に諮らず専決処分で改定しました。27日まで開かれていた都議会臨時会では知事との質疑は一切なく、議会が終了した直後に専決で決めてしまうやり方は、あまりにも異常です。
条例改定の内容も大問題
事業者にも都民にも
条例改定の内容も大問題で、一生懸命に感染防止のために努力しながらも都のガイドラインに沿った対応ができず、ステッカーが張れないお店などの事業者を切り捨てるものです。都民には、「ステッカーのない店にはいくな」と求める。改定条例では努力義務になっていますが、小池知事は30日の会見で「義務」と発言しました。
(1)事業者は、感染防止のガイドラインを遵守するよう努めなければならない
(2)劇場や飲食店などの集客施設を運営する事業者、催し物を主催する者は、施設入り口に「標章」(具体的には「感染防止徹底宣言ステッカー」)を掲示するよう努めなければならない
(3)都民は、ステッカーが掲示されている施設の利用等に努めなければならない
感染防止徹底宣言ステッカー
では、「感染防止徹底宣言ステッカー」を張るにはどうしたらいいのか。都の説明によれば、ざっとこんな手順です。
▽都のホームページから、事業者が実施すべき感染防止対策を掲載したチェックシート(劇場・音楽堂、映画館等24業種と、該当がない業種向けの計25種類)を入手
▽手洗い徹底、マスク着用、ソーシャルディスタンス(できるだけ2メートルの距離を保つ)、3密の回避、清掃・消毒などすべての項目をチェック
▽「感染防止徹底宣言ステッカー」を都のホームページからダウンロードしてプリントし、店舗などに掲示する
私は7月20日、都議会臨時会の総務委員会でこの問題を取り上げて質問しました。問題になっている「感染防止徹底宣言ステッカー」についての部分を紹介します。
ステッカーのないお店を避けるように
知事の呼びかけは適切なのか疑問
原のり子 感染防止徹底宣言ステッカーについてうかがいます。知事が会見でパネルを示して、ステッカーのないお店を避けるようにと都民に呼びかけています。記者会見でも、そういうお店を避けるようにと何度も何度もいっています。そういうやり方が適切なのか、と疑問をもっています。見解をうかがいます。
危機管理調整担当部長 感染拡大を防止するためには、各店舗が適切な感染防止対策を実施することが重要です。こうした対策を実施している店舗を利用していただく一方で、店舗には目安として感染防止徹底宣言ステッカーを活用いただくことが有効であると考えています。
対策をとることが難しいお店もある
休業を要請し補償することは考えないのか
原のり子 (都議会臨時会冒頭の)所信表明で知事は、対策が不十分な店舗などの利用は避けていただくなど、基本的な取り組みへの協力をお願いします、といっていて、お店の利用を避けるというふうに一貫しています。特措法24条9項にもとづく協力の要請をしていますが、強制力があるわけではない。ステッカーがない店にいかないように、避けるように、という知事のそういう権限は、ないんじゃないかと思うんですね。ステッカーを張ってもらうというやり方を知事が進めたいのであれば、そういう(ステッカーがない)お店を避けなさいと都民にいうのではなく、対策をとることが難しいお店、たとえばもともと狭くて、入ったとたんに密になってしまうようなお店もあり、すべての業者がステッカーを張れるようにするためにはどうしたらいいのかを提案するのが知事の役割なのではないか。どうしても対策がとれないお店などの場合、たとえば休業を要請して補償するというようなことは検討しているのでしょうか。
危機管理調整担当部長 現時点では、考えてございません。
理美容店の切実な悩み
都が把握し改善するべきです
原のり子 残念な答弁です。今の知事のやり方だと、小さいお店や事業所が淘汰されてしまうのではないかと危惧しています。チェックシートにすべてチェックがつかないお店もあるんです。一生懸命やっていてもチェックがつかないから感染防止に取り組んでいないというわけではないことを理解する必要がある。困難を抱えているところこそ一緒に対策を考える、補償を検討することが必要なのではないか。
こういう例もありました。理美容店にはそもそもチェックシートがないんですね。全事業共通のシートを使ってください、ということみたいですが、だいたい2メートルくらいの間隔を置いてくださいといわれても、それ自身が難しかったり、対面になったときにガードできるようなものを設置してくださいといわれても、髪の毛を切るために前にいったり横にいったりするわけで、非常に難しい。まじめに一生懸命防止の対策をとりながらがんばってやっている方が、チェックシートのすべてにチェックをつけられないとおっしゃっている例もあるんです。こういうことを把握していただいて、改善を進めていただきたい。
総合防災部長 感染防止ステッカーにつきましては、鋭意普及に努めているところです。根本的な部分で申し上げると、いかに適切に十分な感染防止対策をとっていただくかが一番重要なことではないかと考えておりまして、消毒、換気、マスクの着用等をまずやっていただく。そういったことをしていないお店の利用は避けましょう、その目印の一つとしてステッカーが存在するのではないかと考えております。
まじめにやっているお店
ステッカーが張れるように都が支援すべきです
原のり子 今問題になっているのは、本当にチェックシートでチェックしていくと、一生懸命やっているけれどもチェックがつけられないという場合に、ステッカーが張れないわけですよ。まじめにやっているところがステッカーが張れるように改善していかないといけないのではないか。検討していただきたい。
総合防災部長 適切な感染防止対策をなるべく多くの店舗に普及していただくところをまず努めていきたいと考えております。
すべての事業者が安心して営業できるようにする
そこを応援するのが都の仕事ではないか
原のり子 そうであればですね、ここには知事はいらっしゃらないから直接にはいえないわけですが、知事が対策が不十分な店舗等の利用を避けていただきたいというのは、改めていただきたい。努力をしてもステッカーは張れないと悩まれている方もいらっしゃる。そういうことをちゃんとは把握して、すべての店舗が安心して営業できるようにしていく、そこを応援するのが都の仕事なんだということを発信していただきたいと改めて思います。
by hara-noriko | 2020-07-31 23:30 | 東京都政 | Comments(0)