総務委員会質問から(1)専決処分は必要だったのか
2020年 10月 17日
小池知事は、コロナ対策の補正予算を可決した都議会臨時会の直後に、「新型コロナウイルス感染症対策条例」を改正する専決処分をおこないました。臨時会の終了が7月27日。専決処分の発表が3日後の30日。地方自治法179条では、緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないなどの場合は、知事が自ら処理することができるとされています。これを専決処分といいます。
臨時会終了から3日後に専決処分を発表するのは、あまりに異常です。なぜ臨時会の延長を提案しなかったのか。臨時会終了後に専決処分をするだけの緊急性が求められていたのか。
コロナ対策条例の改正は、感染拡大防止ガイドラインの遵守、ステッカーの掲示、都民は掲示している施設を利用する、通知サービスの活用―などについて、事業者と都民にそれぞれ努力義務を課すものです。都民の権利や義務にかかわる内容です。それだけ重大な内容を議会に諮らず強行していいのか。
こうした問題意識から、総務委員会の質問に臨みました。総務委員会の質疑には知事が出席しないため、都の担当者が答弁に立っています。
「総務委員会質問から」の1回目は、本当に専決処分が必要だったのかを聞いています。
議会に諮る必要を考えなかったのか
原のり子 コロナ対策条例改正の専決処分についてうかがいます。専決処分は、特に緊急を要するため、議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであるということで実施されています。共産党都議団として、代表質問で知事に質問しました。しかし、知事は一切答弁されませんでした。余りに無責任。この条例改正が都民の権利や義務にかかわる重大な内容であることから、議会に諮る必要があるとは考えなかったのでしょうか。
総務局総合防災部長 7月27日の臨時会の閉会後、ステッカー等の取り組みを努力義務とする条例改正の検討を開始いたしました。努力義務を課す都民及び事業者に速やかに周知いたしまして、一刻も早く効力を発生させる必要があり、また議会を招集する時間的余裕がなかったため、専門家の意見等も踏まえまして、専決処分によるほかないと考えたところでございます。
原のり子 通常で考えれば、30日のモニタリング会議を受けて、どうするか決めるということがあり得たのではないか。
総合防災部長 7月27日に検討を開始した段階では、緊急性に鑑みまして、専決処分を含めました検討を開始いたしましたが、最終的に専決処分を判断したのは、専門家等の意見を踏まえた30日でございます。
原のり子 専決処分は7月30日に行われています。臨時会は7月27日までやっていたことからすれば、臨時会中から検討していたのではないかと普通は思います。臨時会中に条例改正の必要性については検討していたのではないですか。
総合防災部長 臨時会開会中は、今般の条例改正の必要性については検討してございません。
答弁に2つの矛盾
原のり子 本当に何も検討していなかったのなら、臨時会直後、7月27日にどうしても条例改正をしなければならない重大な出来事があったということになるのではないかと思いますが、それは何でしようか。
総合防災部長 7月23日の4連休の初日には、新規陽性者数が366人と前日の238名より急激に増加しております。また26日までの7日間移動平均も250人を超えるなど、感染状況が危機的な状況となっておりました。加えまして、27日には入院患者数が1260人と前日より100人近くも増加いたしまして、医療提供体制が危機的な状況に陥るおそれがございまして、緊急に感染症に対する措置の強化を図る必要があったことから、閉会後に条例改正に着手したところでございます。
原のり子 今の答弁は、2つの矛盾があると思います。1つは、臨時会中には何も検討していないといいながら、臨時会中に感染状況が危機的になっているということを今答弁されています。特に新規感染者が366人になった、これは23日です。逆に実は27日は新規感染者が減っている。この時期で会期延長して検討していくなど、臨時会中に検討することは十分できたのではないか。
総合防災部長 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、開会中につきましては、検討はしてございません。
原のり子 もう1つの矛盾は、入院患者数の問題なんですけれども、27日に確かに95人ふえている。臨時会初日、17日は836人だったんですが、26日までに329九人ふえています。つまりその日一日だけではなくて、緊迫した状況は臨時会中ずっとあった。ですから、臨時会が終わって、突然これは必要だと気づいて、条例改正をするというものではなかったということは明らかではないか。(つづく)
by hara-noriko | 2020-10-17 01:59 | 都議選 | Comments(0)