決算特別委質疑(8)不登校について   

 都議会決算特別委員会第2分科会での質問を紹介しています。教育庁への質問は、▽不登校について▽発達障害教育について(自閉症・情緒障害の固定学級、特別支援教室)▽特別支援学校の建て替えについて。どうしてもとりあげたかったテーマです。今回は、不登校について―。

不登校の見方、支援の考え方
国連子どもの権利委員会の勧告の大事さ

 不登校については、不登校の見方、子どもたちや家族への支援の考え方などを確認しながら、地域の親の会や子どもたちの居場所との連携の重要性などを質疑。国連子どもの権利委員会から、「過度に競争的なシステム」から子どもを解放するよう、何度も日本は勧告されています。そのことを質問にたてて、認識を問いました。この勧告の大事さを、不登校の子どもたちが身をもって教えてくれていると思うからです。答弁はあまりかみあってはいませんでしたが、投げかけることができ良かったと思っています。
 (答弁している東京都教育庁の部長は、東京都教育委員会の事務局を担っています)

【10月26日 都議会決算特別委員会質問】

子どもたちへの支援
不登校は誰にも起こり得る


 原のり子 不登校の子どもたちへの支援についてうかがいます。
 不登校の子どもたちは、昨年度、小学校5217人、中学校1万851人で、その前の年に比べて、小学校で899人、中学校で981人ふえています。増加傾向は何年も変わっていません。
 不登校になった子どもたちは、学校に行けない自分を責め、また保護者も育て方がまちがったのかと悩み、苦しみます。不登校は誰にも起こり得ることなのに、その子どもの弱さや親の育て方の問題だとする無理解や偏見がまだまだ社会に根強く存在しています。そのために、適切な相談や支援に結びつくのに時間がかかるケースも少なくありません。
 そうしたなか、どのような支援をしていくのかが重要です。まず、不登校の子どもたちや家族に対する支援について、都教育委員会の昨年度の取り組みと実績をうかがいます。

 東京都教育庁指導部長 昨年度までの3年間、教育支援センターにおける不登校児童生徒の学校復帰や社会的自立に向けた支援の充実を図るため、教育支援センター機能強化モデル事業を実施してまいりました。
 具体的には、モデル地区に指定した11の自治体に対して、人材の配置や学習環境の充実等のメニューの中から、希望するメニューに要する経費を補助してまいりました。
 モデル地区の教育支援センターからは、タブレット端末を家庭学習や担任との連絡に活用したことで、学習意欲の向上や担任との関係の構築につながった事例や、フリースクールと連携して、保護者向け講演会を開催したことにより、保護者同士で不安や悩みを共有できるようになった事例などが報告されております。

保護者や「親の会」の声
検討委員会に反映されるのか


 原のり子 今お話にあったような取り組みも踏まえて、昨年度、「教育委員会及び学校と民間施設・団体との連携検討委員会」による報告書がまとめられています。5回の検討委員会が開かれて取りまとめられていますけれども、検討委員会の委員には、不登校の子どもの保護者や親の会の方はいないようです。そうした方々の声は反映されているのでしようか。

 指導部長 ご指摘の検討委員会は、学識経験者、区市町村教育委員会の関係者に加え、日常的に不登校児童生徒及びその保護者とかかわっている都内公立学校の校長や、フリースクール等の代表者等、10人の委員で構成いたしました。検討委員会における協議のなかでは、保護者の意見も取り上げられており、報告書はそうした協議を踏まえて作成されたものです。

地域の親の会や子どもたちの居場所
ここと連携できるようにすすめてほしい


 原のり子 保護者の意見が取り上げられているというのは、あくまで委員の方々からの発言の中でということだと思います。
 もちろん、日ごろから不登校の子どもたちや保護者とかかわっているフリースクールなどの方々から大事な現場の声が出されていることは認識しています。同時に、フリースクール等には行かず休んでいる子どもたちの思いや、不登校の親の会で交流している内容なども踏まえることは、不登校支援には欠かせません。
 民間施設、団体との連携をすすめていくとされていますが、親の会や地域にある不登校の子どもたちの居場所なども対象としているのでしようか。

 指導部長 今年度新たに「東京都学校・フリースクール等協議会」を設置いたしました。この協議会は、学校や教育委員会と、フリースクール等、民間施設、団体が連携して、不登校児童生徒の社会的自立に向けた支援を行うことができるようにすることを目的に設置した組織でございます。連携の対象となるのは、都内に設置されているか、都内の学校に在籍する児童生徒が通っている施設等のなかで、本協議会の目的に賛同するすべての施設等でございます。したがいまして、不登校児童生徒の保護者による親の会や不登校児童生徒の居場所としての機能を果たしている施設等も対象に含まれております。

 原のり子 不登校児童生徒の保護者による組織や不登校児童生徒の居場所としての機能を果たしている施設も対象に含まれていることは重要だと思います。地域の親の会や子どもたちの居場所などにも漏れなく声がかかって、連携できるようにすすめていただきたいと思います。

大事なのは、不登校の捉え方・支援の視点
都教委はどう整理しているのか

 原のり子 大事なのは、支援の視点です。これは昨年度検討委員会のなかでも議論されてきていますが、都教育委員会として、不登校の捉え方、支援の視点はどのように整理をしていますか。

 指導部長 不登校は、特定の子どもに特有の問題があることによって起こるのではなく、どの子どもにも起こり得ることであり、その行為を問題行動として判断してはならないと捉えております。また、不登校児童生徒への支援は、個々の状況に応じて行う必要があり、登校という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒がみずからの進路を主体的に捉えて、社会的に自立できるようにすることをめざして行われるべきと考えております。

親の会などでは「信じて、まかせて、待つ」と
国連子どもの権利委員会の勧告の重要性

 原のり子 大変重要な視点だと思います。その視点からすると、やはり親の会は重要なのではないかと改めて聞いていて思いました。
 もちろんいうまでもなく、フリースクールなどは、学校が息苦しくなった子どもたちに寄り添って、自分を取り戻して成長する場として大事な役割を果たしています。ただ、心配なのは、東京都学校・フリースクール等協議会という名称からすると、学校に行けなければフリースクールに行くなど、とにかくどこかに所属して欠席扱いにならないようにするということが優先されないかと心配しています。学校を欠席して家でゆっくり休むということが安心してできなくならないかということを心配しているんです。
 これは、教育機会確保法の国会審議のときもポイントの一つになった部分です。子どもたちが不登校になったとき、学校に行けないからといって、もう道がないわけではまったくなくて、ほかのやり方もあると。選択肢をふやすことはとても大事ですが、同時に、多くの子どもたちは学校を休むことで自分を守っています。しっかり休んでエネルギーをためながら、自分の進み方を自分で考えていきます。そこをせかさずに見守ること、そして、その時間は必要な時間であるということを共有することが重要だと思っています。
 親の会などでは、「信じて、まかせて、待つ」ということをよく話されますが、そのことを学校と家庭で共有して、子ども自身の歩みをじっくり見守る、支えるということが保障される必要があると考えています。
 また、不登校の原因はさまざまだといわれていますけれども、根本に、誰もが通いたい学校かどうかという問題があると思っています。不登校の要因の調査結果で、不登校の要因のトップが本人の無気力や不安となっていますが、しかし、もとから無気力だったり、不安があったわけではないわけです。無気力になった、不安が強くなったということだと思います。ある小学校6年生で不登校になったお子さんは、いじめなどがあったわけではなく、勉強も好きで学校に行っていましたが、ある日突然、学校にいると息が苦しくなると訴えて不登校になりました。病気ではありません。
 国連子どもの権利委員会からは、日本の学校環境について繰り返し勧告が出されています。昨年2月に出された勧告は、「ストレスの多い学校環境(過度に競争的なシステムを含む)から子どもを解放するための措置を強化すること」と述べられています。こうした状況を変えていくための都教育委員会の認識と取り組みについてうかがいます。

 指導部長 学校は、すべての児童生徒にとって安心でき、自己存在感や充実感を感じられる場であるとともに、児童生徒が主体となり、日々の授業や行事等で全員が活躍し、互いが認められる魅力ある場でなければならないと捉えております。
 都教育委員会が、こうした魅力ある学校づくりを通して不登校対策の充実が図られるよう、都教育委員会の指導主事等が区市町村教育委員会や交主催の研修会を訪問し、平成31年(2019年)3月に都内全公立小中学校に配布した児童・生徒を支援するためのガイドブックの活用を促すなどしております。

学校自体が変わることもテーマに
子どもの意見表明権を本当に大事にする取り組みを


 原のり子 神戸大学の名誉教授広木克行氏は、東京近隣の登校拒否・不登校を考える親の会の案内のパンフレット、『なやんでゆれて』のなかで次のように書いています。
 「全国一斉学力テストのための勉強や、受験の偏差値を上げるための教育は、子どもの人格の発達を促す教育とは本質的に違います。何十万人という子どもたちの感性が、その教育との矛盾に苦しみ、その苦痛と傷みから自分の心と体を守るために家庭に助けを求めている姿、それが不登校の本当の意味なのです」と。
 国連の勧告が、まさに人格の発達を促す教育を進める大切さを示しています。不登校について、誰にも起こり得るという捉え方に前進している。これはとても大事ですが、それでも個々の子どもの問題としての対策だけになってしまい、学校自体が変わるということがなかなかテーマにならなかったのがこれまでだったと思っています。
 先ほどご答弁で、魅力ある学校づくりをすすめていくということもいわれました。学校を変えていくために最も大事なのは、子ども自身が意見をいえて、それによって改善していくということだと思います。
 昨年度、都教育委員会として、子ども自身の声を聞いていく取り組みについて、どのようなことを実施してきているかうかがいます。

 指導部長 ただいま申し上げました児童・生徒を支援するためのガイドブックには、児童生徒が学校を魅力ある場所と感じられるようにする取り組みの視点として、教職員による居場所づくりと、児童生徒自身によるきずなづくりの重要性を指摘しております。
 具体的には、児童生徒主体のきずなづくりができるような場や機会を設定し、自発的な思いや行動が湧き上がるような取り組みを行うことが重要であると記載しております。
 都教育委員会の指導主事等が区市町村教育委員会や学校主催の研修会を訪問し、指導助言を通して、このガイドブックの学校での活用を促すなど、魅力ある学校づくりを支援しております。

 原のり子 子どもの意見表明権を本当に大事にする取り組みを、ぜひ工夫してやっていっていただきたい、ということを要望しておきたいと思います。

不登校の子どもがいたら教師の力量不足?
「信じて、まかせて、待つ」を学校現場でも大事に


 原のり子 ご答弁のなかに、ガイドブックの話も出てきました。先生方への支援も、とても重要だと思います。ガイドブックの活用の手引を読みますと、不登校が生じない魅力ある学校づくりというふうに書かれているのですが、不登校の子どもがいたら教師の力量不足のような見方をされないかということを、私は少し心配しています。
 大事なのは、「信じて、まかせて、待つ」を学校現場でも大事に共有して、子どもがいつでも戻れる、何度でも安心してチャレンジできる環境を学校でつくっていくことだと思います。そういう点で、ガイドブックや手引も、常に必要な改善などもしていただきたいと要望しておきたいと思います。

清瀬市と東久留米市の各地で都政報告
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秋点描
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by hara-noriko | 2020-11-06 20:30 | 都議会 | Comments(0)

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