原のり子 代表質問全文   

 私は2月24日、東京都議会本会議で日本共産党都議団を代表して質問しました。質問時間は51分(答弁を除く)。小池知事の姿勢をただすとともに、共産党都議団として積極的な提案をおこないました。その全文を紹介します。小池知事の答弁はきわめて不十分だったので、再質問をしました。再質問と小池都知事や局長の答弁は、議事録ができたところで紹介したいと思います。

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 この間、新型コロナに感染し、お亡くなりになられた方々に、心より哀悼の意を表します。そして闘病されている方々に、心からのお見舞いを申し上げます。

 日本共産党都議団を代表して質問します。

【新型コロナ 感染を抑え込む5つの提案】

 予算議会における知事の施政方針は、都民が直面している課題に正面から向き合い、打開する具体策を示すべきものです。
 ところが小池知事は、新型コロナ対策のPCR検査にも、保健所の体制強化にも、医療機関への支援にも、驚くべきことに、ひと言も触れませんでした。都民に協力をお願いしただけです。これでは、自己責任おしつけ、無為無策の菅政権と変わりません。
 日本共産党都議団は、感染を抑え込み、都民のいのちを守るために、以下「5つの提案」を行います。

第1の提案 PCR検査の抜本的拡大

 第1に、PCR検査を抜本的に拡大することです。

 Q1 都内の新規陽性者は減少傾向ですが、ゼロコロナをめざし、新規感染者を徹底して減らし、再拡大を抑え込むことが必要です。知事は、どう認識していますか。

 PCR検査の数を抜本的に増やして、無症状の陽性者を早く把握して保護することが必要です。ところが都内の検査件数は、1月12日の1万8000件をピークに減少し、最近は1日あたり数千件です。これでは、変異株の感染者を見逃す可能性もあります。
 ワクチン接種が始まりつつありますが、社会全体での効果が確認されるにはかなりの時間がかかるというのが、専門家の一致した見解です。ワクチン接種と感染抑止対策を、同時並行で行うことが大事です。

 Q2 新規陽性者数が減った時こそ、検査数を減らすのではなく、市中感染を抑えるための積極的な検査が重要です。
 国の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は、感染リスクの高い場所や集団で、無症状者に焦点をあてた積極的な検査を、しかも頻回にやることが重要だと指摘しています。知事はどう受け止めていますか。

 Q3 東京都モニタリング会議の専門家コメントでは、感染を抑え込むためには、都が確保している通常時1日3万7000件、最大稼働時6万8000件の検査能力を有効に活用して、陽性率の高い地域や対象におけるPCR検査等の積極的推進、無症状者も含めた集中的なPCR検査等の戦略を検討する必要があるとしています。これを具体化し実行すべきです。知事いかがですか。

 Q4 高齢者・障害者施設、保育園などへのPCR検査、いわゆる社会的検査を始めた自治体では、無症状の陽性者が見つかり、有効性が日々証明されています。国の新方針を受け、都が高齢者施設と障害者施設に対し、職員のPCR検査を、3月末までに少なくとも一度は実施してほしいと通知したことは前進です。定期的な検査を行うようにし、来年度も継続して実施することを求めますが、いかがですか。

 Q5 また、より対象を広げて、高齢者や障害者の通所・訪問事業所、医療機関や特別支援学校などにも、定期的な検査をすべきです。

 Q6 一人でも感染者が出た場合はどこでも、濃厚接触者に限らず、広く検査を実施すべきです。見解を求めます。

 Q7 感染は自己責任と考える人の割合が、日本は諸外国にくらべ格段に高いことを、知事はどう受け止めていますか。

 Q8 そのことが、検査を受けるさまたげにもなっています。
 感染した人が職場であたかも悪者のように扱われ、回復したあとも休職するよう求められた事例もあります。都内で、「自分のせいで周りに迷惑をかけた」と30代の女性が自ら命を絶つという、あってはならないことも起きました。
 知事、感染は自己責任ではないというメッセージを、つよく打ち出すことが必要です。いかがですか。

第2の提案 保健所体制の抜本的拡充

 第2に、保健所体制の抜本的拡充です。

 Q1 保健所の体制がぜい弱なため、都は感染ルートを追跡する積極的疫学調査を縮小せざるをえなくなりました。しかし、感染ルートの追跡は感染を抑え込むうえで非常に重要です。保健所の体制を強化し、可能なかぎり早く、積極的疫学調査を元に戻すべきです。知事いかがですか。
 積極的疫学調査の縮小に追い込まれたのは、自民党政権と都が一体になって、保健所の設置数と職員数を減らしてきたからです。新年度に保健師定数を11人増やすことは重要ですが、それだけでは不十分です。

 Q2 知事は、保健所の取り組みについて検証し、あり方を検討すると答弁していますが、急ぐ必要があります。どう取り組むのですか。

 Q3 私たちは、東京iCDC専門家ボードの委員で、公衆衛生の第一人者である谷口清州先生にお話を伺いましたが、普段の能力に余裕がなければ、危機に対応できるわけがないと話されていました。
 先日、1都3県の知事が国に出した要望でも、「保健所の恒常的な人員体制」について、「感染拡大期を想定した必要な保健師の増員」への財政措置を求めていますが、保健所は平常時にぎりぎり運営できる体制ではなく、感染拡大時に必要となる体制を普段から確保しておくことが求められます。
 知事の見解をうかがいます。そのためには保健師を抜本的に増やすことが必要です。知事、いかがですか。

 Q4 23区の保健所は、不十分とはいえ、各区に1カ所ずつあります。ところが多摩地域は、八王子市と町田市を除く28市町村で、都の保健所が5カ所しかありません。この多摩格差を是正し、都の保健所の増設、拡充に踏み出すべきです。答弁を求めます。

第3の提案 医療機関・医療従事者への支援

 第3の提案は、 医療機関・医療従事者への支援の強化です。

 「新年度予算が組めない」「ボーナスが払えない」など、医療機関と医療従事者のひっ迫は、コロナ感染症患者を受け入れているかどうかにかかわらず深刻です。本気で打開しようとしない菅政権と小池知事の責任は重大です。

 Q1 コロナ患者を受け入れている、いないにかかわらず、困っている医療機関と医療従事者に、国と東京都が減収補てんなど十分な支援を行い、東京の医療体制の抜本的立て直しに踏み出すべきです。いかがですか。

 Q2 医療機関がこれほどひっ迫している根底には、この数十年来、診療報酬も、病床の数も、医師の数も抑制・削減してきた政策の失敗があります。転換が必要ですが、知事はどう認識していますか。

第4の提案 東京2020大会を中止する

 第4の提案は、この夏の東京2020大会を中止することです。

 Q1 新型コロナ感染が世界的に拡大し、より感染力がつよい変異株が発生していることなどにより、日本共産党都議団は1月26日、知事に対し、「今夏の五輪大会は中止しコロナ対策に集中すべき」と申し入れを行いました。「この夏は中止」の世論が、日に日に広がっています。
 島根県知事は「感染拡大を助長する世界的イベントの開催は理解できない。五輪開催に反対せざるを得ない」と述べました。また、WHOコーディネーターの渋谷健司教授は、「現状では安心して開催できる保証はない」「コロナの封じ込めに全力をあげるべきと思う」と語っています。知事は、どう受け止めていますか。

 Q2 知事は、施政方針で改めて開催しかありえないという姿勢を示しましたが、何を科学的根拠として、今夏の東京大会が可能だと考えているのですか。

 Q3 五輪大会では、医療スタッフは一万人以上必要です。さらに、選手や関係者を受け入れるオリンピック病院に、都立広尾病院、墨東病院、多摩総合医療センターなどが選定されています。
 コロナ患者を多く受け入れ、都内の医療を支えている都立病院に、7月になれば余裕が生じる見通しがあるのですか。

第5の提案 都立・公社病院の独立行政法人化を中止

 第5の提案は、都立・公社病院の独立行政法人化を中止し、医療体制を拡充することです。

 Q1 都立・公社病院はコロナ患者を先頭に立って受け入れ、最近もコロナ専用病床を約5割増やしました。都立・公社病院の病床数は、都内の5.6%ですがコロナ専用病床に占める割合は34%です。
 これほど大規模に既存病床をコロナ専用に振り分けることは、民間の医療機関ではできないことです。都立・公社病院がこのような対応ができた理由を、知事はどのように認識していますか。十分、柔軟な対応をしていると思いませんか。

 Q2 コロナ専用病床を増やし、旧府中療育センターに100床ものコロナ専門病院を新たに開設して、コロナ患者を多く受け入れているにもかかわらず、新年度の都立病院の定数は、看護職員を4名減らすとしています。驚くべきことです。知事、抜本的に増やすことこそ必要ではありませんか。

 Q3 知事は、柔軟な医療人材の確保が独法化の目的だと説明していますが、これほどひっ迫した状況の中で、看護職員の定数を減らすという、知事の姿勢にこそ重大な問題があります。変えるべきは都立病院の経営形態ではなく、知事の姿勢です。答弁を求めます。

Q4 公社病院の多摩北部医療センターは、全面改築されることになり、「基本構想検討委員会」が設置され、議論が始まりました。その中で、産科の設置や小児科の充実を求める発言が多く出されていることを、知事は、どう受け止めていますか。
 新生児集中治療室NICUや、小児外科の設置、高齢者の聞こえの支援の充実などの要求も切実です。

 Q5 地域住民の声を直接聞いて、今後の改築計画にぜひ反映していただきたいと思いますが、いかがですか。
 今ほど都立・公社病院の役割の発揮が求められている時はありません。都は、今定例会に独立行政法人を設置する「定款」の議案を出すことができませんでした。財政支出を減らすことが目的の独法化は中止し、都が責任をもって抜本的に拡充・強化することを、改めてきびしく求めるものです。

【コロナ禍 営業と雇用への支援4つの提案】

第1の提案 自粛要請による損失を補償する

 次に、コロナ禍における営業と雇用を守るための提案です。第一は、自粛要請による直接・間接の損失を補償することです。

 Q1 コロナの影響による倒産や廃業が増えています。全国の倒産件数の4分の1が東京です。
 東商リサーチは、「収束が長引くと小・零細企業を中心にコロナ関連の経営破綻は増加する可能性が高まっている」としています。
 中小・小規模企業は、地域経済の主人公です。雇用の7割、生産の5割を担っています。廃業が増えれば地域におよぼす影響は大きく、コロナ後の経済、暮らしがより困難になります。
 今後、緊急事態宣言による自粛要請が解除された後も、コロナ禍による深刻な打撃はつづきます。
国と都が全力で中小・小規模企業が生き抜くための支援を行い、廃業を食い止め、明日への希望がもてるようにする必要があります。知事いかがですか。

 Q2 知事は、補償は国の責任だと言いますが、菅政権は動こうとしません。知事自ら、「補償が必要だ」というメッセージを発信し、国がやらないなら都が踏み出すべきではありませんか。

第2の提案 協力金の抜本的拡充

 第2の提案は、協力金の抜本的拡充です。

 Q3 協力金が、1事業者ごとの支給から、わが党が求めた1店舗ごとになったことは重要です。しかし小池知事は、飲食店等に対し1日6万円を、国制度どおり支給しているだけです。小規模なお店から「助かる」という声も出ていますが、家賃が高い、規模が大きい事業者からは、全然足りないとの声が寄せられています。
 事業の規模により必要な固定費は大きく変わるのに、一律の協力金とされたことで、不満や分断が起きていることを、知事はどう認識していますか。

 Q4 事業規模に応じた支給額にする、協力した日数に応じた日割りの支給にするなどの拡充・改善が
必要です。見解を伺います。

 Q5 東京小売酒販組合政治連盟の方々から、小売酒販店や関連業種に対しても、飲食店と同様の支援をとの要望が寄せられました。飲食店との取引が多い酒屋は、深刻な影響を受けています。
 国が一時支援金を検討していますが、対象がせまく金額も少なすぎます。都として上乗せすべきです。いかがですか。
 コロナの影響による事業者のひっ迫は、自己責任ではありません。困っているすべての事業者を支援すべきです。

第3の支援 家賃支援給付金の拡充

 第3に、家賃支援給付金の拡充です。

 Q6 どの業種もコロナ禍による打撃が深刻で、家賃への支援が求められているのに、都は今年度最終補正予算案で、「家賃等支援給付金」を276億円も減らしています。使い残したから減額すると言いますが、給付対象期間の拡大や、支給対象を広げるなど拡充にあてるべきです。いかがですか。

第4の提案 失業を生まない対策と雇用調整助成金の拡充

 第4に、失業を生まない対策と雇用調整助成金の拡充です。

 全国のコロナ禍による失業者は昨年5月に1万人を超え、年明けには8万人を超えました。都内はその4分の1にあたる、約2万人におよびます。コロナ禍による失業者を生まないための支援と、労働者の暮らしの支援が必要です。

 Q7 新潟県三条市では、雇用調整助成金の上乗せ補助として、「解雇等を行わない場合を条件とし、雇用調整助成金の助成上限日額1万5千円を超える休業手当を支払う場合に休業手当の10分の1を補助」しています。助成金の前倒し貸付も行い、事業者と労働者を支援してきました。
 東京都も、雇用調整助成金の前倒し貸付や、国への上乗せなどを行うべきです。いかがですか。

【暮らし・福祉の充実への提案】

 つづいて暮らし・福祉充実への提案です。

 Q1 東京都が行った「都民生活に関する世論調査」で、この1年間に暮らし向きが「苦しくなった」という方が、前年より9ポイントも増え、33%を超えました。理由のトップは、「営業不振などで給料や収益が増えない又は減った」で、前年より18ポイントも増えて56%におよびます。
 知事は、この結果をどう受け止めていますか。困っている都民の暮らしの支援に、今こそ全力をあげる必要があります。いかがですか。

 Q2 なかでも国民健康保険料、保険税の負担軽減は急務です。
 先の世論調査では、国保加入世帯が多い自営・家族従業の約5割が、暮らし向きが「苦しくなった」と答えています。私の地元、東久留米市と清瀬市はじめ少なくとも7市が、国保税を据え置く方針です。新型コロナの感染拡大による市民への影響を考慮しています。一方、値上げしようとしている自治体もあります。
 都民の暮らしに追い打ちをかけることにならないよう、都が区市町村への財政支援を行い、国保料・国保税の負担軽減を図るべきです。いかがですか。

 Q3 国が、2022年度から乳幼児の均等割を軽減する方針を決めたことは重要です。都独自に前倒しし、就学後の子どもたちも対象にすることを求めます。見解をうかがいます。

 Q4 新年度予算案では、特養ホーム、老人保健施設、認知症グループホームの整備予算は、2年連続大幅減額です。2万9千人を超える高齢者が、特養ホームへの入居を待っています。これら3施設の重要性を、どう認識していますか。超高齢社会に対応するため、整備を促進する必要があります。どう取り組むのですか。

【聞こえの支援】

 高齢者などの聞こえの支援も重要です。

 Q1 コロナ禍にともなうマスクの着用は、口もとや表情が見えないことで、難聴者の困難を増大させています。アクリル板などの設置も、言葉を聞こえにくくしています。民間の研究所による研究では、マスクやアクリル板などの使用で、高音域、つまり子音が聞こえづらくなることが分かりました。加齢性難聴の特性と重なります。
 知事は、コロナ禍で難聴者のコミュニケーションが困難になっている現状を、どう認識していますか。補聴器の使用など、難聴や聴覚障害の方々に対する情報保障の重要性が増していると考えますが、知事いかがですか。

 Q2 補聴器購入費の助成は、新年度から板橋区や練馬区が開始し、少なくとも都内14自治体に広がっています。都として補聴器購入費へのさらなる支援が必要です。いかがですか。

 Q3 知事は、2018年の第1回定例会で、聞こえのバリアフリーに取り組むと答弁しました。今後策定する第8期「高齢者保健福祉計画」に、聞こえのバリアフリーを位置づけることが重要です。見解を求めます。

【障害者施策】

 Q1 知的障害者の正規職員採用への新たな道が、新年度に、都庁として初めてひらかれる予定です。
 障害者を対象とする都職員Ⅲ類採用選考は、高卒程度の学力を求められ、知的障害が軽度の方も合格していない状況です。試験を受けることができるだけ、というのは差別ではないか、知的障害者の特性に応じた試験を、との保護者や関係者からの声がたくさん出たなかで、大事な一歩です。
 現在、会計年度任用職員として働いている障害のある方々が、どのような基準で正規職員にステップアップするのですか。毎年採用を継続してくことが大切です。見解を伺います。

 Q2 知的・精神・身体の障害者が生きいきと働けるように、障害特性をふまえ、合理的配慮を行い、職域を広げる検討を求めます。いかがですか。

【ジェンダー平等】

 次にジェンダー平等です。

 Q1 森喜朗・組織委員会前会長の女性蔑視発言は、ジェンダー平等という、日本を含めた世界中で進められている取り組みに反する、女性に対する蔑視・差別であり、辞任で終わる問題ではありません。にもかかわらず知事は、施政方針でこの問題にひと言もふれませんでした。森前会長の女性蔑視発言をどのように受け止め、日本のジェンダー平等についてどのように認識しているのですか。

 Q2 知事には、SDGsの目標の5番目にも位置づけられている、ジェンダー平等の具体化を進める責務があります。ところが、知事の附属機関である男女平等参画審議会を、この4年間、一度も開いていません。
 審議会を開き、実態把握、分析などを行い、具体的施策に生かすべきではありませんか。

 Q3 ジェンダー平等を都のあらゆる分野で貫くために、「ジェンダー平等推進局」をつくることを提案します。いかがですか。

【パートナーシップ制度】

 パートナーシップ制度に踏み出そうとしない小池知事の姿勢も、きびしく問われます。

 Q1 都の「人権尊重条例」は、第2条で、「多様性を尊重する都市をつくりあげていくため、必要な取組を推進する」ことを都の責務とし、第2章は全体が、「多様な性の理解の推進」を定めています。そして知事は施政方針で、「人」が輝き、多様性にあふれる都市・東京、を掲げ、多様性をもっと圧倒的に高める、と述べました。
 多様な生き方を認めるというなら、同性カップルは家族ではないとして、さまざまな場面で排除される、存在を認められない、という状況を早急になくしていくことが必要です。知事の答弁を求めます。

 Q2 知事は、同性パートナーの方たちが、自分らしく生きる権利を保障すべきだと考えていますか。
 全国74自治体、総人口の3分の1以上に広がったパートナーシップ制度を、東京都でも実施すべきです。いかがですか。

【DV対策】

 Q1 コロナ禍のもと、DV被害が広がっています。「テレワークになった夫の暴力から逃れられない」など深刻です。内閣府の調査では、昨年4月から12月のDV相談件数は、前年同時期の約1・5倍に増えています。都内の相談件数も増えています。この状況を、どう受け止めていますか。

 Q2 DV防止法にもとづいて、都および区市町村に設置される配偶者暴力相談支援センターは、大事な役割をはたしています。区内2カ所に設置している豊島区では、センター設置前と比べ、相談件数が倍増しています。緊急一時保護も増えています。
 身近な場所に、ワンストップで対応できる配偶者暴力相談支援センターがある重要性を、どう認識していますか。

 Q3 センターは都内17区に設置されていますが、多摩地域には1カ所もありません。この現状を知事はどう受け止め、格差是正にどう取り組むのですか。

 Q4 「財政的な負担を考えると踏み出せない」などの声も聞かれます。市町村への財政支援が必要ですが、いかがですか。

【保育の充実】

 保育と教育の充実について提案します。

 Q1 区市町村が実施している保育のなかで、公立保育園がはたしている役割は、大きなものがあります。
 たとえば、都内の保育園で障害児を受け入れているのは、公立園85%、私立認可園57%です。障害児保育を、公立保育園が積極的に担っていることを、どう認識していますか。

 Q2 港区では昨年度から、新設した区立保育園に医療的ケア児のクラスを設置し、送迎も行っています。住民の声を受けて検討を重ね、区が土地を取得して区立園として整備しました。こうした有意義な取り組みを広げるべきだと思いますが、いかがですか。

 Q3 大事な公立保育園ですが、都内では増えるどころか、昨年度だけで27園も廃止されています。
 公立園は、自治体の決断で早く整備できて、自治体の保育士募集には多くの応募があり、保育士不足対策にも効果があります。障害児保育のニーズにもこたえています。
 待機児童ゼロにむけ、質をそなえた保育園の増設が急がれる今、公立保育園も含めた認可保育園の整備を進めることは重要だと思いますが、知事の見解を伺います。

【教育の充実】

 Q1 国は40年ぶりに学級編制の標準を改定し、5年間かけて小学校を35人学級にします。
 少人数学級は、子どもたちへの手厚い教育と、感染症に強い学校を求める多くの人々の願いであり、全国知事会も求めてきた要求でもあります。都内自治体や保護者も、35人学級を歓迎しています。子どもたちにも教員にも良いと思う、個々の児童・生徒の活躍の場を多く設定しやすい、中学も含め早くやってほしいなどの声が届いています。
 知事は、少人数学級の重要性をどのように認識していますか。

 Q2 新年度の2年生からの段階的実施では、3年生以上は卒業まで40人学級のままです。多くの保護者が、1年生と2年生で線引きするのは酷、コロナ禍に、なぜ5年かけて段階的に行わなければならないのか、首都東京が、国が定めたことに従っているだけでいいのかと訴えています。
 都として、小中高等学校全体で、可能な限り前倒しで実施することが必要です。いかがですか。

 Q3 都は「教育施策大綱(案)」を発表しました。東京都の教育の基本的な方向性を示すもので、知事が教育委員会と協議のうえ策定するものです。しかしその中で、少人数学級については、ひと言も触れていません。少人数学級の推進と少人数学級を活かした教育の充実を盛り込むべきです。知事の答弁を求めます。

 Q4 「大綱(案)」は、めざす教育として「誰一人取り残さない」と掲げました。にもかかわらず、現在の大綱で重要事項の1番目にある「子どもの貧困」の視点が消えているのは重大です。コロナ禍のもとで、むしろ位置づけを高め、すべての子どもに学ぶ権利を保障する立場を明確にすることを求めます。知事いかがですか。

 Q5 NGOのセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、コロナの経済的な影響で今後就学を続けられなくなる可能性のある高校生がいることを示し、都が給付型の支援を強めることを求めています。この要望にこたえるべきです。見解を伺います。

【住宅政策】

 コロナ禍は、民間市場の活用を優先してきた都の住宅政策の矛盾も、浮き彫りにしています。今こそ転換が必要です。

 Q1 住宅政策の国際水準は、2016年に開かれた、第3回国連人間居住会議ハビタットⅢで、日本政府も参加して採択された合意文書です。そこには、「適切な居住を得る権利の完全な実現」が明記され、ソーシャルインクルージョンを促進し、持続可能な居住を実現することなどが強調されています。
 知事は、SDGSを踏まえた住宅政策のあり方を示している、この合意文書の重要性を、どう認識していますか。

 Q2 知事は施政方針で、「住宅戦略のバージョンアップを図る」と表明しました。都の住宅政策は、ハビタットⅢの合意文書にそって進める必要がありますが、いかがですか。

 Q3 コロナのもとで、住宅に困窮する都民が増えている今、都営住宅を新規建設や借り上げ方式で大幅に増やすこと、住宅確保要配慮者への家賃補助に取り組むことが必要です。答弁を求めます。 

【防災対策】


 Q1 東日本大震災から10年を迎えます。その後も全国で大きな地震が相次いでいます。ところが、都の住宅耐震改修助成の実績は、年間わずか数百件です。助成予算も、3年前の9億6千万円が、新年度予算案では補助上限額の一部拡充はあるものの、3億2000万円まで減っています。
 一方、高知県や静岡県は、南海トラフ、東海トラフ地震に備えて、知事を先頭に本気で取り組んでいます。知事は施政方針で、「倒れないまちの実現」を表明しました。首都直下型地震がいつ起きてもおかしくない東京における住宅耐震改修助成の重要性、緊急性を、どう認識していますか。

 Q2 現在の「耐震改修促進計画」は、今年度末までに住宅の耐震化率95%を達成する目標です。どこまで到達したのですか。「計画」が改定されますが、95%の目標をいつまでに達成するのですか。お答えください。

 Q3 先日の福島県沖地震では、避難所のコロナ対策が課題となりました。
 相馬市では検温と消毒を徹底するとともに家族ごとにテントを設営し、避難者からは「プライバシーが保たれる」「感染の心配が軽減される」と好評でした。しかし都心の大きな地震では、避難者の数は膨大です。避難所の数と受け入れ人数を大幅に増やすための支援が必要です。
 また、区市町村によるテントや消毒液・マスクなどコロナ対策備品購入への補助が、新年度予算案に新規事業で計上されていますが、都の補助率を引き上げ、予算も増額すべきです。いかがですか。

 Q4 都内の避難所の質が、コロナ禍における災害時にも、国際的な最低基準を定めているスフィア基準を満たすことができるようにすることが重要です。認識をうかがいます。

【農業振興】

 Q1 知事は施政方針で、東京の農林水産業の持続可能な発展を図ると述べました。そのためには、家族農業がはたしている環境、文化などの役割を評価し、国連総会で日本を含む全会一致で可決され2019年からスタートした、国連「家族農業の10年」に沿う取り組みが必要です。
 この10年を通じて、加盟国はSDGSを踏まえて家族農業の持続可能性を促進することが求められています。知事は、国連「家族農業の10年」の意義を、どう認識していますか。

 Q2 都の農業振興プランにも位置づけて、都政で具体化することを提案します。いかがですか。

 Q3 東京の農地の約半分を占める生産緑地の多くが、2022年に指定期限を迎えます。固定資産税の軽減などが継続される、10年ごとの指定延長はありますが、多くの農業者から、農地を守るためには、相続税の軽減や農業用施設や屋敷林などの固定資産税の軽減が必要だと声が上がっています。
 農業者の声を聞き、農業振興や農地保全のため支援の拡充が必要です。見解をうかがいます。 

【気候変動対策】

 気候変動対策について質問します。

 Q1 知事は施政方針で、気候危機への「行動」で世界をリードする、2030年までに、都内の温室効果ガス排出量を2000年比で50%削減する、建物のゼロエミッション化(脱炭素化)を進めると表明しました。
 世界をリードすると言うなら、都市づくりにおいて大規模開発ではなく、環境ファーストでビルなどからのエネルギー消費やCO2排出の削減に取り組むべきです。知事の答弁を求めます。

Q2 都が建築規制を大幅に緩和してつくられる大手町の超高層ビルだけで、CO2排出量は、再開発前の年間1万7900トンから、開発後はなんと4万5000トンへ、2.5倍にもなることが初めて公式に明らかにされました。ほかにも同様の開発が、続々計画されています。 
 規制緩和で巨大開発を進めるのは、知事が言う気候危機への「行動」と相反するのではありませんか。

【外環道工事】

 次に、外環道工事についてです。知事は第4回定例会の所信表明につづき、今回の施政方針でも、ひと言もふれませんでした。

 Q1 日本共産党都議団はこの数年にわたり、酸欠空気や地下水の噴出、異常な振動現象を示し、地上で事故が起こりかねないと警鐘を鳴らしてきました。にもかかわらず知事は、昨年10月の陥没や空洞の発見を受けてもなお、都議会で「今回の陥没と外環工事との因果関係は不明」だと答弁しました。
 しかし2月12日、事故調査を行っている有識者委員会が、事故原因が外環工事にあることを認めました。調布の陥没、空洞発生事故は外環道工事が原因であったことを、知事は認めますか。
 知事は、様々な前兆にまともに対処せず、重大な事故を引き起こした国と、事業者であるネクスコ東日本の責任、それを見逃してきた自らの責任を、どう考えていますか。

 Q2 有識者委員会の調査結果を受け、非公開の住民説明会が開かれました。しかし、集団交渉を拒否し、個別交渉にこだわる姿勢に批判が高まっています。
 被害住民連絡会が行ったアンケートでは、回答者の64.5%が団体交渉を望むと答えています。個別交渉では分断が持ち込まれるからです。
 知事は、このような事業者の姿勢に、問題があると思いませんか。集団交渉に応じるよう求めるべきです。答弁を求めます。

 Q3 被害住民連絡会は、4カ月たった今も事業者との対話のテーブルに着くことができていないなか、知事に現場を見に来てほしい、直接声を聞いてほしいと、つよく訴えています。知事、速やかにこたえるべきです。いかがですか。

 Q4 事業者は、事故の原因解明に必要なデータを出さないなど、情報公開を拒んでいます。事故調査を行っている有識者委員会が非公開で、しかも事故を引き起こしたトンネル施工等検討委員会とほぼ同じメンバーというやり方も、大問題です。
 事業者に徹底した情報公開を求めるとともに、第三者による事故調査検討組織の創設を、知事として求めるべきです。いかがですか。

 Q5 3月末には、知事が認可権をもつ都市計画法の外環道事業の認可期限が来ます。このような状態で延長することは許されません。知事の答弁を求めます。

【予算案】

 今定例会に提出された新年度予算案は、大型幹線道路建設だけでも900億円もの巨額を計上するなど、従来の予算編成と変わっていません。カジノ誘致の検討予算は8年連続計上され、五輪関連予算も4224億円と巨額です。
 一方、都立・公社病院を後退させる独法化準備予算が、今年度の6倍、39億円も計上されています。認可保育園整備を支援する待機児童区市町村支援事業も、障害者(児)施設の整備も、大幅減額です。
 今年度と新年度のコロナ対策について、補正予算案が提出されますが、財源の89%が国庫負担で、都の財政出動による独自事業は、ほとんどありません。中身も従来の延長線です。

 Q1 知事、都の予算総額は15兆円を超え、ノルウェーやスウェーデンの国家予算に匹敵します。今こそ、大型幹線道路建設や大型開発を抜本的に改め、その財政力を発揮して、コロナ対策に集中すべき時ではありませんか。答弁を求めます。
 わが党は、予算の組み替え提案を行うことを含め、コロナ禍のもと、都民のいのち、暮らし、営業を守り抜き、自己責任ではなく、都民を支えるあたたかい都政に切り換えるため、全力をつくします。

 Q2 日本共産党都議団は、都内市町村の新年度の税収予測などについて調査を行いました。その結果、市町村合計で、約345億円もの減収見込みになることがわかりました。今年度と変わらないと答えた島しょ地域の3自治体以外のすべての自治体で減収となると答えており、市民生活への影響が心配されます。この結果を、どう受け止めますか。

 Q3 知事は、「多摩格差をどのようにして削減していくか、縮減していくかということについて努力をしている」と答弁しています。そうであれば、コロナ禍で財政運営に苦労している多摩地域の自治体への支援を強化すべきです。見解を求めます。

 Q4 市町村総合交付金の増額は、市長会の最重点要望です。「交付額の総額を増額するとともに、配分に当たっては、各市の自主性特殊性を尊重し、個別事情がより的確に反映できるよう、十分協議されたい」と記されています。
 知事、この要望に正面からこたえるべきです。いかがですか。

 Q5 新年度予算案では5億円増額していますが、税収減の状況に照らして少なすぎます。抜本的に増額すべきです。答弁を求めます。

 Q6 コロナの収束が見込めないなか、市町村新型コロナウイルス感染症緊急対策特別交付金の第2弾が、切望されています。実施を求めます。いかがですか。

【米軍基地】

 最後に、都内の米軍基地について質問します。

 Q1 第4回定例会のわが党の代表質問に対し、横田基地に配備されたCV22オスプレイは、米軍の特殊作戦部隊の人員や物資等を輸送する任務が想定されているという答弁がありました。特殊作戦部隊にふれた、初めての答弁です。
 まずうかがいますが、横田基地のCV22オスプレイがかかわる米軍の特殊作戦とは、どのようなものですか。夜間に超低空飛行で敵前上陸するとか、森林地帯に降下して作戦を行うなど、きわめて危険なものではないのですか。

 Q2 CV22オスプレイの配備にともない、横田基地に2つの特殊作戦中隊が駐留しています。この中隊は、もともと横田基地に駐留している空輸航空団とまったく別物で、嘉手納基地の特殊作戦グループの指揮下にあります。
 これまでどおり、横田基地が空輸拠点だという話は通用しません。特殊作戦部隊の出撃拠点としての役割が加わったことは明らかです。知事は、どう認識していますか。

 Q3 危険な特殊作戦部隊とCV22オスプレイの横田基地からの撤去を、米軍と日本政府に対し、きびしく求めるべきです。知事いかがですか。

 Q4 清瀬市から埼玉県新座市にまたがる大和田通信基地の周辺も、この数年、米軍の動きが活発になっています。CV22オスプレイが飛来したこともありました。最近も、米軍ヘリが何度も飛来して低空飛行などを行い、住民の不安が広がっています。
 大和田通信基地へのCV22オスプレイや米軍ヘリの飛来状況、およびこの数年、なぜ米軍の動きが活発になっているのか理由を明らかにしてください。

 横田基地、大和田通信基地をはじめ、都内7カ所の米軍基地の整理・縮小・撤去に真剣に取り組むことを求め、再質問を留保して質問をおわります。




by hara-noriko | 2021-02-25 23:58 | 都議会 | Comments(0)

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