代表質問から(7)2021年度予算と多摩格差解消   

 2021年2月24日、都議会本会議で日本共産党都議団を代表して質問しました。いくつかの項目に絞って、質問と答弁を紹介したいと思います。第7回は、2021年度(質問の時点では「来年度予算案」といっています)をめぐる問題と多摩格差解消です。
 代表質問は、1問1答で質疑がおこなわれるわけではありません。先に質問者が質問を行い、そのあとに知事や局長らが答弁するので、質疑の対応がわかりにくいです。そこで、議事録をもとに、1問1答の形式に直して紹介します。

大型幹線道路建設や大型開発を抜本的に改めよ
財政力を発揮してコロナ対策に集中すべきとき


 原のり子の質問 今定例会に提出された新年度予算案(2021年度予算のこと)は、大型幹線道路建設だけでも900億円もの巨額を計上するなど、従来の予算編成と変わっていません。カジノ誘致の検討予算は8年連続計上され、五輪関連予算も4224億円と巨額です。
 一方、都立・公社病院を後退させる独法化準備予算が、今年度の6倍、39億円も計上されています。認可保育園整備を支援する待機児童区市町村支援事業も、障害者(児)施設の整備も、大幅減額です。
 今年度(2020年度)と新年度(2021年度)のコロナ対策について、補正予算案が提出されますが、財源の89%が国庫負担で、都の財政出動による独自事業は、ほとんどありません。中身も従来の延長線です。
 知事、都の予算総額は15兆円を超え、ノルウェーやスウェーデンの国家予算に匹敵します。今こそ、大型幹線道路建設や大型開発を抜本的に改め、その財政力を発揮して、コロナ対策に集中すべき時ではありませんか。答弁を求めます。
 わが党は、予算の組み替え提案を行うことを含め、コロナ禍のもと、都民のいのち、暮らし、営業を守り抜き、自己責任ではなく、都民を支えるあたたかい都政に切り換えるため、全力をつくします。

 潮田勉財務局長の答弁 都はこれまで、新型コロナウイルス感染症対策として、本定例会に提案中のものも含め、合計20回の補正予算を編成し、感染拡大を阻止する対策やセーフティーネット対策など、総額2.8兆円を超える対策を講じてまいりました。
 また、東京の都市機能を支えるインフラ整備については、来年度予算におきましても、必要な投資は積極的に行うと同時に、執行状況等を踏まえまして、経費の精査も徹底しております。
 今後とも、新型コロナウイルス感染症対策にしっかりと取り組みつつ、都政の課題解決に向け、見直すべきものは見直しを行った上で、必要な取り組みは的確に実施してまいります。

《感想》
 補正予算でコロナ対策について都は計上していますが、たとえば、議会最終日に出した補正予算(4月1日から21日までの補正予算…協力金、飲食店1店舗84万円)も99%が国の予算で、都としての支出はほとんどありません。予算全体のなかでも、コロナへの見るべき対策、独自の対策がほとんどありません。15兆円もの財政力があり、見直すべき項目もたくさんあるのに…。答弁で見直すべきものは見直しを行うといいつつ、予算案では都市計画道路の見直しもありません。

都内市町村の税収予測は約345億円
都はこの結果をどう受け止めるのか


 原のり子の質問 日本共産党都議団は、都内市町村の新年度の税収予測などについて調査を行いました。その結果、市町村合計で、約345億円もの減収見込みになることがわかりました。今年度と変わらないと答えた島しょ地域の3自治体以外のすべての自治体で減収となると答えており、市民生活への影響が心配されます。この結果を、どう受け止めますか。

 山手斉総務局長の答弁 市町村の税収減への対応についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の影響により、地方税等が大幅な減収となる中、国は、地方交付税の増額等によりまして、標準的な歳出に充当する一般財源の総額につきまして、前年度を上回る額を確保するとともに、地方債に対する公的資金についても大幅に増額することとしております。
 都としても、引き続き、市町村総合交付金や区市町村振興基金を効果的に活用いたしまして、市町村の財政運営を支援してまいります。

多摩格差解消へ
自治体への支援を強化すべきだ


 原のり子の質問 知事は、「多摩格差をどのようにして削減していくか、縮減していくかということについて努力をしている」と答弁しています。そうであれば、コロナ禍で財政運営に苦労している多摩地域の自治体への支援を強化すべきです。見解を求めます。

 山手斉総務局長の答弁 多摩格差への支援についてでございますが、従来からの公共下水道や道路などの課題につきましては、これまで都と市町村が連携し、課題の解決に努めた結果、いわゆる多摩格差はかなりの部分で解消していると認識してございます。
 一方で、多摩地域は、人口減少や少子高齢化、交通インフラの整備、防災対策など、依然として、それぞれの地域で課題を抱えてございます。このような課題に対して、都はこれまでも、市町村総合交付金を活用し、各市町村の課題解決に向けた取り組みに要する一般財源を補完することで市町村を支援してまいりました。
 今後とも、各市町村の実情、課題に即した市町村総合交付金の適切な運用に努めてまいります。

《感想》
 多摩格差は解消しているといいつつ、課題を抱えているという。つまり格差はあるのです。保健所もNICUも子ども医療費も…様々な課題で格差があります。でも、知事は答弁しなくなりました。都民ファーストと一緒に、「多摩格差ゼロ」を公約していたのに…。

市町村総合交付金の増額は市長会の重点要望
配分は自主性尊重でこそ


 原のり子の質問 市町村総合交付金の増額は、市長会の最重点要望です。「交付額の総額を増額するとともに、配分に当たっては、各市の自主性特殊性を尊重し、個別事情がより的確に反映できるよう、十分協議されたい」と記されています。
 知事、この要望に正面からこたえるべきです。いかがですか。

 小池知事の答弁 市町村からの要望への対応についてでございます。
 平成28年度(2016年度)以降、毎年、市町村長の皆様との意見交換を実施しております。今年度もリモート会議システムを活用しまして、地域の課題や取り組みの状況などを伺いました。また、昨年十一月には、市長会及び町村会から、行政のデジタル化に向けた支援の要望も受けております。
 こうしたさまざまな機会を通じていただいたご意見やご要望を踏まえまして、来年度の市町村総合交付金を増額いたしまして、政策連携枠の対象に行政のデジタル化を新たに加えて、地域の実情に応じた市町村の取り組みを支援してまいります。

5億円増額したが
少なすぎる 抜本的に増額を

 原のり子の質問 新年度予算案(2021年度予算)では(市町村総合交付金を)5億円増額していますが、税収減の状況に照らして少なすぎます。抜本的に増額すべきです。答弁を求めます。

 山手斉総務局長の答弁 市町村総合交付金の増額についてでございますが、平成28年度(2016年度)からの4年間で90億円と大幅に増額しており、来年度予算についても、新型コロナウイルス感染症の影響により、都財政が厳しい中にあって、過去最高額となる585億円を計上してございます。
 区市町村振興基金も効果的に活用し、今後とも、市町村の健全な財政運営に向けた支援を行ってまいります。

《感想》
 4年前に都議になったときは、500億円だった市町村総合交付金。2021年度で585億円にまで増えました。共産党都議団でも、毎年増額を強く求めてきました。私も、総務委員会でも質問を重ねてきました。ただ、課題は、まだまだ額が少ないうえに、585億円すべてを市町村の裁量だけで使えるのではないということです。25億円分は、「政策連携枠」として、保育園待機児解消・電気自動車購入・消防団支援・デジタル化のために使う、と限定されています。市町村総合交付金の本来の目的からいえば、すべてを市町村の裁量で使えるようにすべきだと思います。

市町村新型コロナウイルス感染症緊急対策特別交付金
第2弾が切望されている


 原のり子の質問 コロナの収束が見込めないなか、市町村新型コロナウイルス感染症緊急対策特別交付金の第2弾が、切望されています。実施を求めます。いかがですか。

 山手斉総務局長の答弁 緊急対策特別交付金についてでございますが、都では、昨年4月に緊急対策として、総額百億円の特別交付金の交付を行い、その後も、市町村への支援策を拡充してまいりました。
 さらに今月、国の地方創生臨時交付金の第3次交付限度額が示され、単独事業分については、令和3年度予算(2021年度予算)に充当することも可能になる予定でございます。
 今後も、都の各種支援策や地方創生臨時交付金を効果的に活用していただけるよう、適切な支援に努めてまいります。

《感想》
 直接お話をした市長さんから、「コロナが長引いているなか、もう一度コロナ交付金を出してほしい」と要望もありました。とても使い勝手もよかった、と。この交付金は、消毒などに手がかかるなか、人手が不足していることについての対応もできるものでした。今こそ、第2弾を、ということを引き続き求めていきます。

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春真っ盛り
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by hara-noriko | 2021-04-01 02:44 | 東京都政 | Comments(0)

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