東京都の来年度予算案を考える
2022年 02月 05日
東京都の2022年度予算案
税収増が都民のために生きていない
先日、東京都の2022年度予算案が発表されました。コロナのもとで、みなさんの暮らしが大変になっています。中小企業のみなさんは営業をこれからも続けていけるかどうか、困難な壁にぶつかっています。そういう状況のときに、都税収入は大きく伸びることがわかりました。法人税が大きく伸びていて、東京都全体で今年度より5858億円も増え、史上最高になるということがわかりました。IT関係や大手製造業などが業績好調なのです。
それだけの税収が増えるのであれば、それをきちんと格差是正に充てていくべきだと改めて思いました。ところが、小池知事の予算案には、そうした視点が大きく欠けています。コロナ対策についても、目新しいものはありません。来年度の予算案のなかには十分に位置づけられていない、というのが大きな特徴になっています。
都立病院・公社病院の独法化が前提
予算は6月分までしか組まれていない
さらに、都立病院・公社病院のすべて、14病院を東京都がだんだんと手を放す独立行政法人にしていくことが前提の予算になっています。都立病院と公社病院の予算は、今年の6月までしか組まれていません。つまり、7月からは独法化しようということです。知事は、コロナ感染が切迫するなかでも当初の方針をまったく変えていないということがわかりました。コロナ危機を乗り越えるための予算をつくらなければならないときに、こういう状況になっています。
税収増を都民のために振り向ける
共産党都議団として努力していきます
私は改めて、東京都は日本一財政力のある自治体なのですから、しかも税収が増えるというのですから、それを都民のために振り向けるべきだということを改めて提案していきたいと思います。日本共産党都議団では、今年も予算組み替え案をしっかりと提起をしていく予定にしています。
都民の取り組みを反映した前進が
18歳までの子ども医療費無料化
2022年度予算案には、都民のみなさん、市民のみなさんと一緒にとりくむなかでの前進も反映されています。
7月に行われた都議会議員選挙のなかで、私も含めてみなさんが押し上げていただいて、共産党が19議席に議席を伸ばしました。いま、都議会のなかでは突出して議席が多い政党はありません。自民党、都民ファースト、公明党、共産党、立憲民主党、ここまでが本当に拮抗しているという状況になりました。そういうなかで、私たちは積極的に条例提案をしてきました。2022年度予算案のなかに、18歳までの子どもたちの医療費無料化を進めていく準備予算が入りました。2023年度から実施できるように検討されます。この18歳までの医療費無料化の条例提案を日本共産党都議団は昨年12月に行っています。このときには「グリーンな東京」だけが賛成して、あとの政党は反対して否決されました。しかし、予算案に盛り込まれました。大きな成果だと思います。東京のどこに住んでいても、子どもたちが安心して医療機関にかかれるようにしていく、このことは当然のことであり、これを機会に、多摩格差も是正して、一部負担が残っている多摩地域の子どもの医療費無料化も改善できるように取り組みたいと思います。
パートナーシップ制度実現へ
さまざまな改善をすすめたい
2022年度予算案には、同性パートナーシップ制度も盛り込まれました。この問題では、清瀬市で活動されている方々もいらっしゃって、「セクシュアルマイノリティーの方々の人権や生き方が認められるようにしてほしい」「異性婚をした方と同じような、当然のサービスを受けられるようにしてほしい」と求めてきました。これは当然のことです。同性パートナーなど、セクシュアルマイノリティーのカップルの方々は、一緒に都営住宅で暮らしたいといっても入居できません。要件を改善していくことが必要です。また、都立病院や公社病院では認められていますが、それ以外の民間の病院では、一般的には同性パートナーの方々が入院の付き添いをすることは認められていません。手術の同意や診断の状況などを聞くということも認められていません。こういうことを改善していくことが必要です。
ファミリーシップ・パートナーシップ制度
東京・足立区を視察して感じたこと
私は先日、都議団のメンバーと東京都足立区のファミリーシップ・パートナーシップ制度についてヒアリングに行ってきました。足立区では、レインボーファミリーと呼ばれるセクシュアルマイノリティーの方々の家族の権利を認める制度を確立しています。本当に喜んでいる声が聞かれました。たとえば、保育園の送り迎えについても、同性カップルの場合には、他人が迎えに来たということで、それさえ認められない場合があるそうです。でも、パートナーとして認められ、ファミリーとして認められることによって、保育園への送迎も当たり前に行えるようになります。こんな当たり前のことでまだまだ差別があるというのが日本の現状です。それを東京都としてパートナーシップ制度、ファミリーシップ制度を実現して、どんな人でも生き方が認められる、その権利が認められる、家族として認められるということを一歩でも二歩でも進めていきたいと思います。都議選のときにも、この問題でジェンダー平等をめざしてトークイベントなどもやりましたが、こういうときのみなさんの声がいま、東京都にようやく届くようになりました。
都民の声が届く政治へ
予算の改善へ力を尽くします
こうやって一歩一歩、改善できている問題はありつつも、先ほどいったように、予算案の全体を見ると、都立病院・公社病院から東京都が手を放そうとしたり、コロナ対策にも十分な予算がかけられていない。そして一方ではカジノの検討をしたり、また改めての臨海開発まで計画したり。大型道路建設も止まらない。そういう状況になっています。来年度の予算案のなかでは、都税収入が5000億円以上も増えると見込んでいるのに、格差是正も進まない。これが今の東京都の実態です。ここを私たちは改善をするために力を尽くしていきたいと思います。ぜひみなさんの声もお寄せいただいて、みなさんの声が届く、当たり前の政治を実現するために引き続きがんばっていきたいと思います。


by hara-noriko | 2022-02-05 00:32 | 東京都政 | Comments(0)