予算特別委員会質問(2)パートナーシップ制度、よりよいものに   

 東京都議会の予算特別委員会で質問に立ちました。3月9日です。30分ほどの質問でしたが、4つのテーマで都の姿勢を質しました。(1)公立保育園の役割と都の責任(2)よりよいパートナーシップ制度の実現(3)障害のある青年・成人の余暇支援・居場所支援の充実(4)子ども医療費無料化の多摩格差解消―です。順次、お伝えしています。2回目は、「よりよいパートナーシップ制度の実現」です。

【私のコメント】

 よりよい制度にしていきたい。…この間、当事者や先行自治体のお話しをうかがってきました。セクシュアルマイノリティの方々が、生きづらい、遅れた日本社会のなかで、苦労して歩んでこられている…そのことをくりかえし考えさせられました。パートナーシップ制度は、当事者の方々だけでなく、だれもが自分らしく生きられる社会をつくるために必要だ、と強く思います。代表質問で米倉春奈さんが質問し、予算特別委員会で私が質問し、これをベースに、さらに、総務委員会でもとりくみました。

パートナーシップの登録申請
オンライン以外の方法も選択できるように

 原のり子 パートナーシップ制度についてうかがいます。ようやく、パートナーシップ制度の実現へと動き出しています。都民、そして何よりセクシュアルマイノリティ当事者の声で練り上げて、よりよいものにしていくことが大切です。いくつもの大事な論点がありますが、とくに根幹にかかわると思われる2つのことについてうかがいます。まず1つは、素案で示された、オンラインで申請から登録まで完結する、ということについてです。その理由はどういうことか、また、オンラインだけでなく、他の方法も選択できるようにすべきではないかと考えますが、いかがですか。

 総務局長 都が実施しました有識者等のヒアリングで、当事者同士が窓口に赴くことで、意図せず性自認や性的指向を知られてしまう、いわゆるアウティングに、当事者の方が不安になるというご意見がございました。そこで、アウティングへの対策に万全を期すため、当事者のデジタル環境が整っていない場合などを除きまして、証明書の発行に至るすべての手続きについて、オンラインで完結する仕組みを全国で初めて導入することとしております。

ご本人たちの希望を尊重しては
直接窓口で申請したい、証明を受け取りたいという声も

 原のり子 オンラインでできるようにすることや、アウティングへの配慮は大事なことだと私も思っています。しかし、原点に返って考えてみると、本来、祝福されるべきことなのに、オープンにすることが難しい今の日本の遅れた現状が問題だというふうに思っています。また、多様な生き方を尊重する制度なのに、オンライン一択というのはどうでしょうか。ご本人たちの希望を尊重し、「直接窓口で申請をしたい」「証明を受け取りたい」、そういうことも検討すべきではないかというふうに思います。これは手続きの問題ではなくて、誰もが自分らしく生きられることを認め合える、そういう制度のあり方にかかわる問題ですので、パブリックコメントの意見もふまえながら検討していっていただきたいと要望しておきます。

「子供の名前を補記できる」とはどういうものか
子どもは大人の付属物ではない


 原のり子 もう1つの課題は、子どもの問題です。パートナーシップ制度素案では、「子供の名前を補記できる」となっていますが、補記とはどういうことですか。

 総務局長 子どもの名前の補記につきましては、パートナー関係にある方々に子どもがいる場合に、希望に応じて、都が発行する受理証明書に、その子どもの名前を記載することにより、保育園の送迎時や病院の付き添いなどに際して受理証明書を活用可能とするものでございます。これにより、子どもに関する困りごとの軽減を図れるものと考えております。

 原のり子 補記というのは、補って書く、書き足す、ということです。子どもは大人の付属物ではありません。子どもの名前を実際に書くかどうかはそれぞれの判断ですが、補記、というこの表現は使うべきではないと思います。

東京都こども基本条例の立場で
「補記」という言葉は改めるべきです


 原のり子 では、セクシュアルマイノリティカップルの子どもたちの権利を守ることについて、こども基本条例ではどう位置付けられているととらえていますか。

 福祉保健局長 東京都こども基本条例の前文では、社会の宝である子どもは、また、社会の一員でもあり、あらゆる場面において権利の主体として尊重される必要がある、としております。

 原のり子 今のこども基本条例で書かれていることはとても大事だと思います。この立場にたって考えていくべきことだというふうに思います。こども基本条例にたてば、補記、というこの言葉はありえないと私は思います。この場では、ぜひとも検討して、見直していただきたい。そのことを強く要望しておきたいと思います。

セクシュアルマイノリティファミリー
命や尊厳にかかわる問題がたくさんある


 原のり子 この間、セクシュアルマイノリティファミリーの方々のお話をいろいろうかがってきました。命や尊厳にかかわるような問題がたくさんあるのだということを知りました。日常的に困りごとがたくさんあって、そのたびにパートナーや子どものことを何度も説明しなければならず、結局理解してもらえず傷つき、もう何もいわない、と決めている人たちもいるということ。また、子どもが骨折をしたときに、実母ではないパートナーが病院に連れて行ったけれども、実母が到着するまで手術をしてもらえなかったこと。パートナーの病気についての説明を受けられなかったこと。パートナーを看取ることもできなかったこと。何かあったときに、家族として認めてもらえない、こういうことがたくさんあることに胸が痛みます。

ファミリーシップ制度の実現を
制度を常にブラッシュアップしていく


 原のり子 パートナーシップ制度とあわせて、ファミリーシップ制度も実現をして、誰もが自分らしく生きていくことを応援する制度にしていかなければならないのではないでしょうか。そして、制度をつくったあとも大事です。証明を受けた方々が、いつでも相談できる体制をつくり、それぞれの悩みや困難を聞き取り、解決につなげていく、制度を常にブラッシュアップしていくことも必要です。そのためにも、当事者による専門職の配置をすべきであることを提案しておきたいと思います。パートナーシップ制度創設とともに、セクシュアルマイノリティの方々の困難に寄り添った施策を前進させていくことが求められています。

ひきこもっている方の中にセクシュアルマイノリティの方が
ダブルマイノリティの方の存在を把握しているか


 原のり子 「ひきこもりUX会議」の調査によると、ひきこもっている方々のなかに、セクシュアルマイノリティの方たちが一定数いるということがわかりました。都としては、こうしたダブルマイノリティの方たちの存在を把握していますか。

 福祉保健局長 ひきこもりの状態にあります性的マイノリティの方がいることにつきましては、「東京都ひきこもりに係る支援協議会」における議論のなかで意見をいただいております。

セクシュアルマイノリティ当事者を孤立させない
寄り添う取り組みの強化が求められている


 原のり子 当事者や家族が協議会に入ったことにより、こういうことが可視化された、とても重要だと改めて思いました。「UX会議」の調査では、「ひきこもり支援は、セクシュアルマイノリティを想定していない」、あるいは、「セクシュアルマイノリティが安心して行ける、話せるひきこもり支援場所がほしい」などの意見が寄せられていました。セクシュアルマイノリティ当事者を孤立させず、寄り添うとりくみの強化が求められています。そのカギは、居場所支援だと考えます。安心して参加できる居場所の必要性について知事はどのように認識されていますか。

 小池知事 自身の性のあり方や生き方について一人で悩みを抱える性的マイノリティ当事者が、他にも同じ悩みを抱える方がいる、ということを知って、互いにつながる機会をもつことは重要であります。そのため都は、当事者同士が安心して集い、語り合うことによって、悩みや困りごとの解消につなげる「交流の場」事業を昨年度からすでに実施をしております。

 原のり子 いま、ご答弁にあった、支援の場の事業ですけれども、LGBTやそうかもしれない若者の居場所支援事業、これは来年度予算案のなかにも位置付けられています。揺れ動く気持ちがあってもいい、自分はLGBTqかどうかまだわからない、そのありのままの状況で、安心して参加できる大事な場です。改めて、定期開催を求めておきたいと思います。先ほど質問したダブルマイノリティの方の居場所をはじめ、参加しやすい居場所を新たに検討することも求められています。居場所を、生きるための大切な場、安全な場として位置付けていくことを求めて次の質問に移ります。

【予算特別委員会での質問】
(1)都は公立保育園をしっかり支えてほしい
(2)パートナーシップ制度、よりよいものに
(3)障害者の余暇支援・居場所支援の充実を
(4)子ども医療費無料化の多摩格差解消


都議会予算特別委員会で質問
予算特別委員会質問(2)パートナーシップ制度、よりよいものに_b0190576_21202996.jpg




by hara-noriko | 2022-03-20 21:20 | 都議会 | Comments(0)

<< 予算特別委員会質問(3)障害者... 東京・清瀬市議補選予定候補 藤... >>