総務委員会質問(1)パートナーシップ制度について   

 2022年都議会第1回定例会(予算議会)。総務委員会が3月14日から17日までの4日間、開かれました。私は人事委員会、政策企画局、デジタルサービス局、総務局の予算にかかわって質問しました。その内容を順次、お知らせします。第1回は、3月16日、パートナーシップ制度について総務局に質問した内容です。

【私のコメント】

 パートナーシップ制度について、予算特別委員会で質疑をおこない、そのうえでさらに総務委員会でとりくみました。うれしかったのは、申請の方式を「宣誓」でなく、届け出でもよいのでは、ということや、オンライン一択でない申請・証明も選択できるようにしてもいいのではないか、ということが他の会派の委員からも発言があったことです。やはり、議論を積み重ねていくことは重要だと実感しています。
 また、どの家庭で育つ子も最善の利益が保障されなければならない、ということをすえて予特・総務で質疑をできたことは大切だったと思います。
 パブリックコメント(パブコメ)をふまえ、よりよい制度になるように引き続き働きかけていきます。3月末までパブコメ実施中です。多くの都民のみなさんに意見を出していただけたら、と思います。

知事に対して宣誓を求めている
婚姻届でも宣誓を求める形ではない


 原のり子 「パートナーシップ制度の素案」を中心にうかがいます。
 制度の素案では、制度の名称を「東京都パートナーシップ宣誓制度」としています。そして、知事に対してパートナー関係にあることを宣誓して届け出るとされています。なぜ申請に当たって、知事に対しての宣誓を求めているのか、届出でよいのではないかと私は考えています。このことを質問しようと思いましたが、ほかにも質問された方がいらっしゃいますので、ここは省略したいと思います。
 答弁の趣旨は、東京都としては、パートナー関係にある2人の意思を宣誓という形で、行政として確認するという趣旨の答弁があったというふうに思います。ただ、私はパートナーシップ制度は、ほかの委員の方の議論にもありましたけれども、婚姻とは区別が今されているとはいえ、婚姻届でも宣誓を求めるという形ではない。届出なのに、あえてセクシュアルマイノリティーのカップルには求めるというのは、どうかというふうに思います。
 差別をなくしていくという基本に立つなら、セクシュアルマイノリティーのカップルにだけ、ハードルを上げるというようなことは避けるべきではないかというふうに思います。届出だけでは駄目なのかということについては、検討されたのか、そのことをうかがいたいと思います。

 総務局人権企画調整担当部長 先般公表いたしました制度素案の策定に関しまして、あらゆる角度から検討してございます。また、昨年の秋には、都民へのアンケート調査や支援団体等、有識者のヒアリングのご意見を踏まえまして、今回の制度として策定をしたものでございます。

パブコメなどさまざまな意見を踏まえて
ハードルを低くした制度にしてほしい


 原のり子 提出していただいた資料でも宣誓となっている自治体が多く見えますけれども、届出という自治体もありますし、また、宣誓というふうにしているところでも、実態は届出というふうになっているところもたくさんあるんですね。ですので、今お話にあったように、いろいろ検討はされてきている、と。今ちょうどバブリックコメントもやっていますから、さまざまな意見も踏まえながら決めていっていただきたいというふうに思います。私はできるだけハードルを低くする、そういう制度にしていくということが重要だというふうに思いますので、その点は意見を述べておきたいと思います。

オンライン申請一択ではなく
当事者の選択を尊重してほしい


 原のり子 私は、予算特別委員会で、申請から証明までの手続をオンラインでできることは重要だと受け止めつつ、オンライン一択ではなくて、本来祝福されるべきことだということを大事にして、当事者の選択を尊重してほしいと求めました。先ほども議論がありました。これは改めて強く要望しておきたいと思います。

「補記」は使わないでほしい 子どもは権利の主体
ファミリーシップ制度を位置づける必要がある


 原のり子 そして、予算特別委員会で同時に求めたのが、子どものことなんです。これはどうしてもうかがいたいと思っています。
 希望すれば、子どもを補記できるという、「補記」という言葉は使わないでほしいということも含めて、そのときにいいました。子どもは権利の主体だということをやり取りさせていただいたんです。その上で、やはりこども基本条例に立って、ファミリーシップ制度を位置づけるということが大事ではないかと私は考えていますが、見解をうかがいたいと思います。

 人権企画調整担当部長 ファミリーシップ制度は、パートナーシップ関係にある当事者間の関係の証明だけでなく、未成年の子どもがいる場合に、証明書に子どもの名前を記載した上で、子どもとの関係も併せて、いわゆる家族として証明するものでございます。その場合、子どもの意思確認等の課題が有識者から指摘されております。
 一方で、保育園の送迎時や病院での付添い時におきまして、子どもとその親のパートナーとの関係を証明できずに、苦慮している事例もあると聞いております。そのため、制度素案では、子どもに関する困り事の軽減につなげるため、当事者の子として受理証明書に子どもの名前を記載することにとどめたものでございます。

子どもの意思確認とは
どういうことを指しているのか


 原のり子 今ご答弁の中で、子どもの意思確認等の課題が有識者からは指摘があるということでした。いただいた資料の15ページに、そのことが書かれているんですね。子どもに関することということで、子どもの人権・意思の尊重等について慎重に検討を進める必要があるという、多分このご意見だと思うんですけれども、残念ながらこれだけだと、本当はどういうニュアンスでいっているかというのが、ちょっと読み切れないので分からないんです。
 それで教えていただきたいんですけれども、子どもの意思確認というのは、どういうことを指しているんですか。

 人権企画調整担当部長 先ほどもご答弁いたしましたとおり、ファミリーシップ制度につきましては、いわゆるパートナー関係にあるお2人以外にお子様がいる場合に、それも含めまして、いわゆる家族として証明するといったような制度というふうに認識をしてございます。
 その際に、お子様に関しまして、ご本人のファミリーとなる意思確認というものがどういった形で取れるのかといったようなところが、有識者の方から指摘されてございます。
 また、都といたしましても、家族というものの定義がなかなか難しいものでございますから、その点も踏まえまして、今回につきましては、先ほど答弁したとおり子どもの困り事の解消、軽減が図れるように、受理証明書に子どもの名前を記載するにとどめたといったところでございます。

子どもの意思確認
なぜセクシュアルマイノリティーのカップルにだけ問題になるのか


 原のり子 今ご説明いただいたことは分かりました。説明の内容としては分かりました。
 私は、これはいろいろバブリックコメントも受けながら、本当によくよく検討していく必要があると思うんですけれども、子どもの意思確認ということがセクシュアルマイノリティーカップルの場合にだけなぜ問題になるのかということは、私は重い問題だと思うんです。
 ファミリーシップ制度を実施している自治体にもいくつかお話をこの間、うかがってきています。その中である担当者の方はこういっています。子ども自身が同性パートナーの親の子どもになると望んでいないかもしれないのに、子どもの意思を無視していいのかという意見が寄せられることがあるが、なぜ異性婚では問題にならないことを、同姓パートナーでは問題にするのか、とご説明していますといっていました。私も本当にそうだと思うんです。子どもの意思といいながら、差別につながるようなことだと思うんです。

どんな家庭の子どもも
人権が大事にされて、最善の利益が保障されるべきです

 原のり子 誰もが親を選んで生まれてきているわけではなくて、どんな家庭の子どもでも、ちゃんと人権が大事にされて、最善の利益が保障されて育っていけるように支援をしていく、支えていく、というところに本質があるのであって、子どもの意思確認というのは、有識者の方がどういう意味でいっているかというのは読み切れないですけれども、私はやっぱり子どもの意思が確認できないから、これはやれないという判断ではなくて、今いったように、どの家庭で育とうと、どの子も最善の利益が保障されるようにしよう、と。そのことを明確にするためにも、ファミリーシップ制度を実施する立場に立とうということは必要だというふうに思います。このことについては、ぜひバブリックコメントも受けながら、本当に十分に議論をしていただきたい、検討していただきたいと、この場では求めておきたいというふうに思います。

実態調査の結果がまだ出ていない
条例改正案が出た段階で再度パブコメを実施すべきです


 原のり子 それで、現在バブリックコメントを実施(3月末まで)していますから、その声を十分にいろんな問題で踏まえていただきたいんですけれども、先ほども議論にありました実態調査の結果がまだ出ていないという問題で、私たちも調査結果を早く出していただきたいと、それも踏まえて議論したいということはずっといってきましたが、私たち議員は、先ほど局長がご答弁されていたとおり、たしかに次の議会で条例改正もあるということで、そこでもう一度チャンスがあるんですね。議論を実態調査も踏まえてできるんですけれども、都民の方は、先ほどの質問にもあったように、今もう既にバブリックコメント中なので、そういう機会がないわけです。
 私は、本当の意味で都民やセクシュアルマイノリティー当事者の声を酌み尽くして、よりよい制度を練り上げていくということを考えたときに、これから制度をまとめていくと思うんですけれども、同時に条例改正案も出していく、と。その段階で再度のバブリックコメント、また説明会、あるいは懇談会、こういうものを実施すべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。

 人権企画調整担当部長 都は、これまで制度の検討に当たり、都民等へのアンケート調査や当事者支援団体を含む有識者などへのヒアリングを実施してきました。また、制度素案の公表に合わせ、現在バブリックコメントを実施しておりまして、これらの意見も踏まえ、当事者に寄り添った制度構築を進めてまいります。

人権にかかわる制度
制度案にした段階で都民、当事者の話を聞くべきです

 原のり子 もちろんバブリックコメントを踏まえてというのは大事なんですよね。でも、さらにこれで終わりではなくて、条例改正案をこれから出して議論をするという段階にもなっていくので、そうであれば、もう一度、今は素案ですけど、制度案にした段階でご意見をいただくとか、少なくとも、やつばり都民の皆さんにお知らせをしていくとか、あと当事者の皆さんの声を聞く機会をもつとか、それは必要なんじゃないかと思うんです。
 大事な制度ですし、人権に関わる制度ですから、本当にどこまでも人権を大事にしながら進めていただきたいというふうに思うんです。とりわけ、私は知事自身が当事者の話を聞く、そういう場を設けていくという必要があるのではないかと、この段階でやっていく必要があるのではないかと思いますけれども、いかがですか。

 人権企画調整担当部長 都は、これまで制度の検討に当たり、都民等へのアンケート調査や当事者支援団体を含む有識者などへのヒアリングを行うとともに、現在バブリックコメントを実施するなど、様々な形で当事者などの声を聴取しております。こうした意見につきましては、適宜、知事に報告し共有を図っております。

東京・足立区の経験
当事者の意見をナマで聞くことがいかに大事か


 原のり子 もちろん、知事に報告して共有を図っている、そうだと思います。
 ただ、本当に制度をつくるという段階で、直接そういう意見を聞く場面をつくった方がいいんじゃないかなというふうに思ったのは、たとえば(東京都)足立区では、区長がセクシュアルマイノリティーの方たちに意見を聞く会に何回か、3回とおっしゃっていたかと記憶しているんですけれども、そういうところに出席して、とにかく聞き取りをする、と。
 そういう中で、パートナーシップ、ファミリーシップ制度がスタートしていくんですが、もともと足立の場合は、区議会議員の差別発言があって、それが大きなきっかけになったわけですけれども、知事が出席した意見を聞く会のときに、セクシュアルマイノリティー当事者の方々から、このまま(差別発言があるような)足立に住んでいるのが怖いという発言があったそうなんです。それを区長が聞いて非常にショックを受けた、重く受け止めた、ということがあったというふうに聞きました。
 その後、この制度がスタートする中で、同時に民間病院や不動産関係にも区長も働きかけをしている、と。これは実際に当事者の皆さんの困り事をナマで聞いて、やっぱりなかなか病院で説明を受けることができないとか、私が聞いた方も子どもさんが骨折していても、実の親じゃないからといって、なかなか手術をしてもらえなかったとか、いろんなことが起きているわけです。
 そういう話を聞いて、区として、とにかく民間病院と不動産関係を回って働きかけようと、そういうふうにやっているということを聞きました。やっぱりこういう問題は、本当に直接意見を聞いていくことが、いかに大事かということを実感したんです。
 ですので、東京都は足立区とかと比べたら規模も大きいですから、どういうふうにやっていくかというのは工夫が要りますけれども、ぜひそういう機会をもつように検討していただきたいというふうに思います。

区市町村のパートナーシップ制度との関係
どのように連携していくのか

 原のり子 次に、これもいろいろ議論があったんですが、確認をしたいんですけれども、区市町村のパートナーシップ制度との関係なんですが、実は都の制度ができれば、区市町村でつくる必要はないのではないかという意見が出ていたり、躊躇(ちゅうちょ)しているという、そういう声もありました。
 一方、東京都の制度ができたとしても、地域のいろんな細かい問題で対応できるように自分たちの町ではパートナーシップをつくろうというふうに、今、策定に動いている自治体もあるんですね。それぞれなんですけれども、そういういろんな動きをしている区市町村とどのように連携していくのか、確認させていただきたいと思います。

 人権企画調整担当部長 都は、都内自治体における制度導入の有無にかかわらず、都が発行する受理証明書をすべての区市町村のサービス等での活用を検討していただくよう連携を図ってまいります。また、都内自治体のうち導入済みの自治体とは、証明書の相互活用について調整を図ってまいります。

パートナーシップ制度創設と同時に
相談窓口が必要に 専門職の方を都に配置すべきです

 原のり子 そしてもう1つ、これも区市町村と相談しながら進めていただきたいと思っているのが、パートナーシップ制度創設と同時に、いつでも相談できる体制を強化していくということが必要だと思うんです。東京都としても、相談窓口を新しくつくっていくということは必要だと思いますが、区市町村でも、いろいろ相談が受けられるような体制を連携して取っていっていただきたいと思うんですね。
 パートナーシップ制度ができれば、今までもいろんな相談を受けてくださっていますけれども、この制度で、たとえばこんなことには活用できるのかとか、新たな課題もたくさん出てくると思うんです。私は、そういう窓口が必要だと思いますし、そこに対応できる当事者の方の専門職の方を東京都に配置すべきではないかと、そういうふうに考えるんですけれども、見解をうかがいます。

 総務局人権部長 都は現在、性的マイノリティー当事者等が抱える悩みや不安の解消につなげるため、電話及びSNSを活用した専門相談を実施しており、相談窓口には臨床心理士など専門知識や経験豊富な相談員を配置し、相談者に寄り添った対応を行っております。
 また、制度素案では、受理証明書を保有する方へ定期的に連絡を行い、都の施策に関する情報提供を行うとともに、困り事の把握などに努めることとしております。

証明を受けた方に定期的に連絡を行う
どんな手段で、どのくらいの頻度なのか


 原のり子 1点だけちょっと確認させていただきたいんですけれども、「証明を受けた方に定期的に連絡を行い」という、今ご答弁がありました。この定期的に連絡というのは、どのような手段で、どのぐらいの頻度で行うものなのか教えてください。

 人権企画調整担当部長 受理証明書を保有する方への定期的な連絡でございますが、その手段につきましてはメール等を考えてございます。また、定期的な連絡につきましては、都の施策の情報提共や、また当事者の困り事の把握といった観点から、年に1回程度というふうに今は考えてございます。

これまでの相談事業の延長線上ではなく
新たな体制、窓口が必要になってくるのではないか


 原のり子 メール等で年1回程度と今は考えているということでしたけれども、これもいろいろ当事者の方々のご意見を聞きながら、検討していっていただきたいと思うんですけれども、(兵庫県)明石市では、当事者の方が専門職として採用されていて、相談や研修に力を入れています。そしてパートナーの方たち、証明を受けた方たちと対面で話をして、何かあったら頼ってくれるように、ということで信頼関係をつくる努力をしているんですね。これはやっぱり大事だなというふうにお話を聞いて思いました。
 今までの東京都の相談事業ももちろんやっているんですけれども、その相談の延長線上ではない、こうした新たな体制、窓口が必要になってくるのではないかというふうに思います。
 先ほどいったように、パートナーシップ制度が実現することによって、さまざまな制度のどこが対応できるかということなんかも課題になっていきますし、また都の職員の福利厚生の制度も含めて、ブラッシュアップしていくというようなことも課題になっていきます。
 ですので、こうした窓口、また職員の配置については強化をするということで、これは強く求めておきたいというふうに思います。

LGBTQの皆さんへの支援
居場所支援事業の拡充を求める


 原のり子 最後に、居場所の問題で若干うかがいたいと思います。
 パートナーシップ制度を創設することを機に、LGBTQの皆さんへの支援を本当に強めていくということが大事だと思います。私は、いちばん大きな重要な鍵の1つが居場所支援だと思っています。
 LGBTQや、そうかもしれない若者の居場所支援事業は、単発のイベントではなく、定期的に行っていくことが必要ではないかと提起をしてきました。来年度の予算では今年度と同様に3回の実施ということになっているようですが、拡充が必要ではないかと思いますが、見解をうかがいます。

 人権部長 令和2年度(2020年度)から実施している性的マイノリティー当事者等の交流の場事業につきましては、令和4年度(2022年度)は新型コロナウイルスの感染状況等を踏まえつつ、当事者支援団体と連携して実施する予定でございます。

「毎月やってほしい」という声もある
定期的開催や常設が必要 居場所の紹介も積極的に


 原のり子 これまでどおり実施するということなんですけれども、参加した方からも、できたら毎月やってほしいという声もあります。この居場所というのはイベントではなくて、本当にそこが安全な場所、自分らしくいられる場所、生きていくための場所ということになりますから、定期的に開く、常設するということが必要なのではないかと私は思います。
 そして同時に、各地域でも居場所をやっています。以前も質問したんですけれども、もっと各地域の居場所の紹介を積極的に都がやっていくことが必要だと思いますけれども、いかがですか。

 人権部長 人権部のホームページでは、都内区市町村が実施する類似の事業につきましても情報提供を行っており、今後も、より多くの当事者に情報が届くよう取り組んでまいります。

ホームページに常設のページを
検索しやすいようにしてほしい


 原のり子 ぜひお願いしたいと思うんですけれども、ホームページを見ても、なかなかちょっと情報にたどり着くのに苦労します、正直いって。私は、できれば常設のページをつくって検索しやすいようにしていただきたいというふうに思います。そのことを検討していただきということを求めて、質問を終わります。

咲きはじめた桜(東京都清瀬市)
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by hara-noriko | 2022-03-27 00:03 | 都議会 | Comments(0)

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