総務委員会質問(3)市町村総合交付金について
2022年 04月 07日
【私のコメント】
多摩地域・島しょ地域にとって必要不可欠な市町村総合交付金。私が都議になったときは、500億円でした。共産党都議団でも、多摩チームをつくり意識的に増額に向け取り組んできました。市長会・町村会にも直接ご意見をうかがってきました。588億円に増えてきたことは重要です。
しかし、まだまだ足りないというのが実情です。なぜもっと増やせないのか。それは、その根本に、「多摩格差はおおむね解消した」という東京都の認識があるからです。市町村総合交付金総額をふやすとともに、各種事業・施策の補助の拡充を求めました。たとえば、子どもの医療費が18歳までに拡充することを都は打ち出し、3年間は都が全額補助するとしました。それならば、義務教育就学児の医療費の多摩格差も解消すべきです。引き続きとりくんでいきます。
市町村総合交付金 増額された3億円
働き方改革による地域振興が対象とは
原のり子 市町村総合交付金についてうかがいます。
市町村総合交付金は、市町村の行政水準の向上と住民福祉の増進のために創設されたものであり、多摩地域、島しょ地域にとって重要な財政補完制度です。来年度予算案では3億円増の588億円になったものの、3億円は政策連携枠となり、働き方改革による地域振興が対象とのことです。
どういう内容なのか、具体的に説明をお願いします。
総務局行政部長 働き方改革による地域振興では、テレワークや職住近接の環境を整備することによる移住、定住の促進など、多様な働き方による地域振興を推進する市町村の取り組みを支援する観点から、ワーケーション施設やサテライトオフィス、コワーキングスペースの整備などを支援していくことを想定しております。具体的な対象事業については、今後、市町村からご意見を伺いながら制度設計を進めてまいります。
働き方改革による地域振興
なぜ政策連携枠に位置づけることにしたのか
原のり子 今後、市町村からご意見をうかがいながら制度設計していくということでした。よく意見を聞いていただきたいと思うのですが、なぜ働き方改革による地域振興を政策連携枠に位置づけることにしたのでしようか。
行政部長 多摩・島しょ地域では、すでに人口減少が進んでいる市町村もございます。令和2年(2020年)3月の東京都の人口予測では、多摩・島しょ地域の人口は2040年には400万人を割り込むとの予測がなされております。こうしたなか、民間企業におけるテレワークは、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、急速に導入が進んでおります。
今年度実施した知事と区市町村長との意見交換においても、市町村長からは、テレワークを活用したサテライトオフィスやワーケーションについての市町村独自の取り組みや、都への要望をうかがったところでございます。今後、多摩・島しょ地域の振興に当たっては、これらの取り組みをより重点的に支援していくことが重要でございまして、来年度から政策連携枠の対象に加えたものでございます。
5つ目の政策連携枠になる
既存の政策連携枠25億円の内訳は?
原のり子 新たに5つ目の政策連携枠ということになるわけですが、昨年度の市町村別交付額が決定されましたけれども、これまでの既存の政策連携枠25億円の内訳は、どのようになっていますか。
行政部長 令和三年度(2021年度)市町村総合交付金交付額のうち、政策連携枠の4項目の内訳については、待機児童対策が約12億2700万円、電気自動車の導入が約6100万円、消防団活動の充実が約5400万円、行政のデジタル化が約11億5900万円となっております。
既存の政策連携枠
拡充する内容はあるのか
原のり子 4つの項目、それぞれ違いますから、単純に比較とかはできないんですけれども、ただ、交付額の内訳に結構ばらつきがあるんだなというふうに思いました。政策連携枠の既存の項目については、来年度(2022年度)に拡充する内容などはあるんでしようか。
変更があれば教えてください。
行政部長 令和4年度(2022年度)には、既存の待機児童対策、電気自動車の導入、消防団活動の充実の項目について対象を拡充いたします。
まず、待機児童対策については、保育所の待機児童対策に加えて、学童クラブの待機児童対策を支援することとしております。また、電気自動車の導入については、項目の名称をゼロエミッションの推進に改め、庁舎や公共施設への太陽光発電の導入等も支援することとしております。
消防団活動の充実につきましては、これまで特別区の配備基準に基づいて、装備品や資機材を新たに購入する場合に支援を行ってまいりましたが、その更新についても支援することとしております。
政策連携枠をどうしていくか
改めて議論が必要になっているのではないか
原のり子 いろいろ状況も変わってきますから、対象を拡大するということになったのだと思いますけれども、最初の設定とはかなり変更が出てきているなかで、改めて政策連携枠をどうしていくのかという議論が必要になっているんじゃないかと私は聞いていて思います。
政策連携枠の項目というのは、これからも増やしていくという考えなんでしようか。
行政部長 今後とも市町村のご意見を十分にうかがいつつ、多摩・島しょ地域の実情や課題を踏まえて総合交付金を有効に活用していただけるよう、政策連携枠も含めて、市町村総合交付金の制度の充実に努めてまいります。
市町村の裁量で使えるよう総額を増やしてほしい
これが市長会や町村会の要望なのではないか
原のり子 項目を増やす、また、同じ項目でも今までの対象もそのままで、さらに拡大するというのであれば、市町村への影響というのはないのかもしれないんですけれども、例えば項目を減らす、対象を変えるというふうになると、まったく話が変わってきます。
これまでは対象になっていたものが、希望が少ないから廃止します、変更しますというふうになった場合、市町村で使おうと思って計画していたのに、できなくなるということが起こりかねないというふうに思います。
市長会からの来年度予算要望の最重点要望では、2番目に市町村総合交付金制度の充実強化があげられ、交付金の総額の増額と、個別事情がより的確に反映できるようにと求められています。町村会からも、拡充と財政補完機能の強化が求められています。
つまり、市長会や町村会の基本的な要望は、本来の総合交付金の在り方に立った形での要望、使い道を限定しての交付金ではなく、市町村の裁量で使える総合交付金として総額を増やしてほしいというものだと思います。
この要望をどう受け止め、検討したのかうかがいます。
行政部長 市町村総合交付金については、これまでも市長会、町村会からの要望を踏まえて拡充に努めてきたところでございます。令和4年度(2022年度)については、過去最高額となる588億円の予算を計上するとともに政策連携枠の対象項目の拡充を求める市長会からの要望も踏まえて、政策連携枠の対象に新たに働き方改革による地域振興を加えたほか、既存の項目についても支援対象を拡充したものでございます。
市町村の要望に応じてさらに拡充してほしい
各種事業の補助割合も拡充して多摩格差解消を
原のり子 政策連携枠が現に設けられているなかで、その拡充もいわなければならないということであって、本来は、さっきいったように最重点要望しているその内容が要望の基本です。先ほど述べたところですが、このことを改めてしつかり受け止めていただきたいというふうに思います。
また、何でも市町村総合交付金というふうにならないようにすることも大事で、事業そのもの、さまざまな事業がありますけれども、それぞれの事業の補助割合を例えば拡充するとか、そういう対応も必要です。そうでなければ、総合交付金の額によって、市民サービスが変動してしまうということにもなります。
市町村総合交付金を市町村の要望に応じて、さらに拡充するとともに、各種事業の補助割合なども必要な見直し、拡充を行い、多摩格差や地域間格差が起きないようにすることを強く求めておきたいと思います。
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by hara-noriko | 2022-04-07 21:14 | 都議会 | Comments(0)