総務委員会質問(5)「未来の東京戦略」 バージョンアップというのなら   

 2022年都議会第1会定例会(予算議会)。総務委員会が3月14日から17日までの4日間、開かれました。私は人事委員会、政策企画局、デジタルサービス局、総務局の予算にかかわって質問しました。その内容を順次、お知らせしています。第5回は、政策企画局に対する質問(3月14日)で、「未来の東京戦略」のバージョンアップについて都の姿勢を質しました。質疑に出てくる「東京2020大会」とは、東京オリンピック・パラリンピックのことです。

【私のコメント】

 都政運営の基本になる戦略(計画)をバージョンアップする、としてだされたバージョンアップ2022。私は、このコロナ禍に出すのに、コロナ対策を第一に位置付けず、第一に東京オリンピック・パラリンピックについて、コロナ禍でも実施できた、と強調し、反省や教訓もなく位置付けていること。知事の「段差のない社会」と表現していることの問題点。少子化対策に結婚支援を位置付けることが是正されていないこと。…などを質疑しました。都の組織改正により、オリンピック・パラリンピック準備局は解散され、政策企画局に引き継がれたので、もっと深く検討していきたいと思います。また、都の戦略(計画)については、人権尊重条例やこども基本条例を位置付けていくことを大事にしていきたいと思いました。


「『未来の東京』戦略」バージョンアップを問う
戦略に変更はあるのか


 原のり子 「『未来の東京』戦略 version up 2022」についてうかがいます。
今回、「version up 2022」を出した目的は何でしようか。そのことによって、これまでの戦略ゼロから20までについては変更があるのか、うかがいます。

 政策企画局理事 昨年、長期戦略として策定いたしました未来の東京戦略は、20プラス1の戦略を掲げ、強力に推進しているところでございまして、戦略に変更はございません。今回のバージョンアップは、その取り組みを加速させるため、東京2020大会と新型コロナの中で生じたさまざまな変化、変革を踏まえて、政策の強化を図ったものでございます。

オリンピックとコロナを並べて
「さまざまな変化、変革」という答弁に違和感


 原のり子 今、ご答弁の中で、東京2020大会と新型コロナの中で生じたさまざまな変化、変革という言葉がありましたけれども、2020大会とコロナを並べて、さまざまな変化、変革と答えていることに正直、私は違和感を覚えます。
 バージョンアップでは、東京2020大会の成果を前面に出して、パンデミックの中でも大会を開催できることを世界に示した、とコロナ禍の下でも実施したことを評価してい
ますけれども、反省や教訓はないのでしようか。それはどこに書いてあるのか、うかがいます。

 理事 今回のバージョンアップでは、大会を通じて生み出されましたハード、ソフトのさまざまなレガシーを発展させ、多様性と包摂性にあふれた未来の東京をつくり出していくという観点から、これまでの成果や今後の取り組みを整理し、お示ししております。

反省点はないのか
成果だけを強調するのはいかがか


 原のり子 何も反省点はないのでしようか。2020大会については、財政的な面も含めて、検証もまだこれからという段階でもあります。そういう状況の中で、成果があったとだけ強調するというのはいかがかと思います。どんなことでも、実施すれば、成果と、また教訓、反省点があるというふうに思います。

バージョンアップをいうのなら
コロナの長期化に対する取り組みを強めることではないのか


 原のり子 とくに、なぜこのことをいうかというと、コロナの下でも開催できたということで、12ページにもいちばん最初に書いてあるんですけれども、その間、感染して苦しんだ方々や、亡くなられた方々、また、今現在もなお、今もなお後遺症で苦しんでいる方々もいるという、本当にコロナというのは大変な問題なわけです。
 ですから、そういうこともきちんと踏まえた上で、バージョンアップの中身が練られていくべきだと私は思いますので、ちょっと理解ができないんです。
 アスリートの中にも、苦しんだ方もたくさんいらして、それは、スポーツの在り方と、そして社会というのは切り離せないからだというふうに思います。
 そういうことも踏まえて考えますと、今ここでバージョンアップすべきいちばん大きなことは、コロナの長期化によるさまざまな影響、課題に対する取り組みを強めるということだと思います。このことについてはどのように書かれていますか。

 理事 バージョンアップの大きな視点としまして、変化、変革、新型コロナウイルスの長期化の影響を位置づけまして、社会経済活動の再生、回復、困難を抱える方への対応など、幅広い取組を盛り込んでおります。

大事なのは、どういう視点をもって臨むかです
コロナ対策をメインにしたバージョンアップこそ


 原のり子 しかし、やっぱり大事なのは、どういう視点をもって臨むかということなんですね。この「version up 2022」の4ページ、5ページに、今回の視点、いちばん基本になるところが整理をされています。このバージョンアップの視点の「1」というのが、東京2020大会の成果を都市の発展へつなげる、と。まずこれが第一に、視点の第一に来ています。
 その上で、視点の「2」として、時代のニーズや状況変化に迅速に対応、と。これで、この中に3つ項目があって、1つが新型コロナウイルスの長期化の影響、2つ目に世界の都市間競争の激化、そして3つ目に子供の目線からの政策展開の必要性、というふうに3つ入っているんですね。
 視点の「2」で、しかもその3つの中に、状況変化に迅速に対応するという項目の1つとして、人の命が関わっているこのコロナの問題が並べてあるということに、私は大変違和感を感じるわけです。
 本来であれば、このコロナを前面にして、このコロナ対策をメインにしたバージョンアップこそ図られるべきであったのではないかというふうに思います。
 いちばん最初に聞いたところ、このバージョンアップのページでいえば、6ページのところに、「未来の東京戦略」、もともとの戦略が書いてあって、ここに戦略ゼロから戦略20まで書いてありますけれども、この戦略ゼロで、感染症に打ちかつ戦略とありますけれども、これについては、戦略について、変わらないと最初に答弁がありましたので、まん延防止重点措置も延長になった今、本当に全庁あげてのコロナ対策、本当に都民の命を守るという観点で進めていかなければならないということを改めて指摘をしたいと思います。

「段差のない社会」とはどういう意味か
格差とは違うのか


 原のり子 次に、知事が所信表明や施政方針で、「段差のない社会」という言葉を繰り返し使うようになって、今回、都の計画の中でも使われるようになりました。
 共産党都議団の代表質問でも取り上げましたし、ほかの会派の質問でもありましたけれども、この段差というのは何なのか、格差とは違うのか、段差のない社会というのはどういうことを指しているのか、改めてうかがいます。

 理事 社会に色濃く残る物理的、制度的、心理的な数々のバリアを取り除き、人と人が理解し合い、共に暮らす環境を段差のない社会とし、その創出を図っていくこととしております。

「段差」は高低差
「共生社会」は障壁をなくすこと


 原のり子 ちょっとやっぱり十分な説明になっていないというふうに私は思うんですね。
 今回、バージョンアップの中では49ページに、「共生社会 バリアフリー『段差のない社会』」というふうに大きく見出しで掲げられていて、51ページには段差のない社会を創出するんだということが書かれているんですけれども、私は段差のない社会という表現の仕方は、共生社会を表現するのにはあまりふさわしくないんじゃないかと思うんですね。
 というのは、段差というのは、その意味というのは高低差なんですよね。その高低差があるものをフラットにしていくという、そういう考え方なんですけれども、共生社会をつくっていくという場合に、よく心のバリアフリーといういい方もしますけれども、この場合のバリアというのは段差ではなくて障壁なんですよね。
 ですから、私は共生社会をつくっていく、多様性を認め合う社会をつくっていく意味では、段差ではなくて、障壁を取り除いていくという考え方になるんじゃないかというふうに思うんですね。その点について、どういうご見解をもっているか、うかがいます。

 理事 これまで「東京2020大会」に向けまして、例えば、鉄道駅にエレベーターを設置するなど、まちの段差を解消する取り組みを進めてまいりました。これを都市全体に広げていくことを今回示しております。
 また、多様生や包摂性あふれる社会の実現に向けまして、心のバリアをなくすさまざまな取り組みを進めてまいりました。「東京2020大会」でパラアスリートが競い合う姿に共生社会を実感したことをレガシーとしてさらに発展させていくこととしております。
 こうした物理的、制度的、心理的な数々のバリアを取り除いて、人と人が理解し合い、共に暮らす社会の実現をめざしておりまして、それらを包括的に「段差のない社会」と表現したものでございます。

「段差」 格差でもなく障壁とも違う
言葉を整理していく必要があるのではないか


 原のり子 包括的に「段差のない社会」と表現している、と。今、ご答弁の中でも、段差と使っている部分と、バリアというふうに表現されているところとやっぱりあるんですよね。私は段差という言葉が、経済的な、たとえば格差にもイコールではない、当てはまらないし、そして、さっきいったように、人と人の間や社会の中にある障壁ともまた違うと、イコールではないということだというふうに、今、こ答弁を聞きながらも思っています。
 バリアと段差が混在していますので、今回、知事の施政方針では、パートナーシップ制度を実現することについても、「段差のない社会」の中で話されていたんですね。これ、どういう段差なのかというふうに思う方がいても不思議じゃないと思うんです。
 決して、低い立場、高い立場の人がいるということを、それをフラットにしようということではないので、そういう、私は言葉というのは本当に大事だと思うので、そこはやっぱり整理していく必要があるのではないかと意見を述べておきたいと思います。

コロナ禍で精神的・経済的に追いつめられている人たち
誰一人取り残さない取り組みを強化してほしい


 原のり子 それでは、コロナ禍の下で、精神的に、また経済的に追い詰められている人を支えるということについて、今回、バージョンアップの中ではどう掲げていますか。

 理事 今回のバージョンアップでは、コロナ禍で、あらゆる世代の人々がさまざまな困難に直面している状況を踏まえまして、女性、高齢者、障害者など、状況に応じたきめ細かな相談支援や生活困窮者への支援の充実などによりまして、誰一人取り残さないセーフティーネットを強化していくこととしております。

 原のり子 経済的な面も含めて、生活困窮者への支援という言葉もありました。本当にそういう、いま、コロナ禍の下で追い詰められている状態の一人ひとりを支えていく、そのための来年度予算についても、そういうところを充実してほしいということも、私たちも提案しているんですけれども、ぜひ今回、バージョンアップで見直した点で、そうした精神面、経済的な面も含めて、誰一人取り残さないといっていることに基づいて、取り組みを強化をしていただきたいということを求めておきます。

結婚支援を少子化対策に位置づける
これは適切ではない


 原のり子 最後に、今回、バージョンアップされている1つが、都政の政策全般を子ども目線で捉え直して、子ども政策を総合的に推進していくというふうになっている点です。子供政策連携室についても、こども基本条例に基づく位置づけになっているというふうに読みました。
 そうした中、少子化対策の中に結婚支援プロジェクトを位置づけるというふうにこれまでしてきていますけれども、これはこの機会に見直すべきではないかと提案したいと思いますが、いかがですか。

 理事 結婚支援プロジェクトは、個人の価値観や人生観が違うことを十分に配慮しつつ、結婚を希望しながら一歩を踏み出せない人を後押しし、結婚に向けた機運醸成を推進するものでございます。
 一方で、未婚化、晩婚化が少子化の要因の1つになっていることは事実でございまして、本プロジェクトの推進が、子供の笑顔のための戦略がめざす少子化からの脱却に寄与するものと考えられることから、「戦略1」に位置づけております。

 原のり子 「戦略1」に位置づけているということなんですけれども、今回、パートナーシップ制度もつくっていこうという、そうやって多様な生き方が尊重されるようにしようということで、今都庁も進んでいますし、また、子どもは権利の主体なんだというふうに位置づける、そういう政策を進めていこうというふうになっているわけですよね。
 そういう中で、結婚支援を少子化対策に位置づけるというのは、さまざまな本当に一人ひとりの生き方を認めていくという点でも、また、子どもは権利の主体なんだというその考え方から見ても、私はやっぱり適切ではないと思うんです。
 子どもを産んでもらうための支援なのかというふうに取られてしまったら、これは違うというふうに思いますので、この点は、もう前も何回も議論させていただいていますけれども、改めて考え直すことを求めて、今日の質問は終わりたいと思います。

ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡策)=東京都清瀬市
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by hara-noriko | 2022-04-10 22:14 | 都議会 | Comments(0)

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