都立・公社病院 7月に独法化を強行していいのか   

 5月29日の都政報告懇談会では、都政で焦点となっている問題について報告しました。その1つが、「都立病院・公社病院の独立行政法人化(独法化)ストップ、多摩北部医療センターの充実を」です。コロナ禍で見えてきた「公共を立て直す」ことの重要性に直結したテーマです。その部分の報告を2回にわけて紹介します。

都立病院8 公社病院6
14病院すべてを独法化する計画

 小池知事は、7月1日から都立病院・公社病院のすべてを独立行政法人化(独法化)しようとしています。都立病院は8つあります。公社病院は6つです。計14病院を独法化するというわけです。

東京都の財政支出を減らす
それぞれの病院は独立採算が基本に

 もともとの目的は、都の財政支出を減らしていくことが1つあります。
 東京都が都立病院に支出しているお金は、年間約400億円です。公社については運営費補助を出していまして、年間100億円ほど。これを減らしていくことが大きな目的の1つです。
 独法化すれば、それぞれの病院が独立採算でやることを基本にしてほしい、ということですから、自らが稼いだりしてやってくれ、ということが求められてきます。そういうなかで都の財政支出を減らそうとしているわけです。

目的=公務員を減らす
行政的医療が後退する危険


 もう1つ大きな理由は、公務員を減らすことも目的になっています。
 都立病院で働く公務員は6838人、7000人近くいらっしゃるのですが、この人たちをすべて公務員でなくする。すでにその条例は成立しています。
 ある都立病院の看護師さんから話をうかがってきました。自分としては、都立看護専門学校で勉強させてもらって、東京で働く公務員の看護師になって恩返ししたいと思っていたんです、という方もいらっしゃいました。それが突然、あなたは7月から公務員ではありません、ということになる。これにショックを受けている、という声もありました。

公務員は全体の奉仕者
人の命を支えるために欠かせない公的医療


 公務員は全体の奉仕者ですから、この方たちが仕事を続けてくれることが本当に重要です。とくに都立病院は、行政的医療をおこなうことが使命になっています。行政的医療というのは、コロナのような感染症対策とか、周産期医療とか、障害者の医療とか、難病の医療とか、災害のときの医療とか、採算が合わないような分野だけれども人の命を支えるには絶対に欠かせない医療を担うのが、都立病院なんです。だから都が財政支出をしています。それによって私たち都民が支えられているわけです。

コロナ病床を確保する全国約2000病院
トップ11は都立・公社病院


 コロナ病床を確保している全国2000以上の病院のなかで、もっともコロナ病床を確保しているのが都立病院・公社病院なんです。トップ11がすべて都立・公社病院で、多摩北部医療センターもそのなかに入っています。
 都立病院の使命は行政的医療を担い、それに準じておこなうのが公社病院、と東京都は位置づけてきました。ですから、都立病院に準じて行政的医療をやるというのが公社病院ですので、それをまとめて独法化することになってしまったら、行政的医療が後退する危険があるわけです。
 ですから、独法化は止めないといけない。私たちは改めて、いま思っています。

コロナ禍で独法化を強行すべきではない
野党が一致している姿勢


 コロナのもとで都立・公社病院が果たしている役割はあきらかなので、「コロナ禍で独法化を強行すべきではない」というのが、野党で一致している点です。ですから、公務員でなくしてしまおうという条例には、立憲民主党も含めて一緒に反対しています。
 いまもコロナは出口が見えない状態ですから、少なくとも7月からの実施はありえない、と私たち共産党都議団は思っています。共産党は独法化自体を中止すべきだという立場ですけれども、それにしても7月からの実施はありませんよね、ということで知事にも申し入れをしています。

国もガイドラインを修正
コロナ対応で公立病院の役割が大きいことを認める


 国もいま、方針を修正してきています。コロナ対応での公立病院の役割を認めるガイドラインの修正をしています。
 国は公立病院を再編統合するということを打ち出してきています。これに対する地域の運動があちこちで起こっています。この姿勢の根本はかわっていませんが、「公立病院経営強化ガイドライン」を修正しました。3つの点がポイントになっています。
 (1)コロナ対応で公立病院の役割が大きいということを認めました。
 (2)病院事業においては、単なる人件費の抑制・削減では収益改善につながらず、むしろ積極的に医師、看護師などを確保することで収益改善につながるケースがあることに留意すべきだ、と。これは初めて盛り込まれたものです。単なる人件費の削減ではダメな場合もあるよ、ということを認めたんです。
 (3)十分な議会や住民の理解を得るための説明が必要だ、ということも強調されています。
 国でさえもこうした修正をしています。

共産党都議団 山添拓参院議員と一緒に
総務省に独法化を認可しないよう申し入れ


 5月20日、山添拓参院議員と一緒に共産党都議団として総務省に行って、ガイドラインのヒアリングをしながら、東京都が出している独法化の認可をしないでほしい、と申し入れました(下の写真)。総務省は粛々と認可を進める立場ですけれども、コロナの状況のなかで果たしている役割を踏まえて住民理解が必要だ、といっているのに、一方で独法化の説明も不十分、反対の声が次つぎに寄せられているなかで、都立・公社病院だけは病院のあり方を変えるというのはいかがなものか、と意見を述べてきました。

6月議会でしっかり議論
独法化ストップへ力尽くす


 独法化は知事がすすめていますけれど、自民党、公明党、都民ファースト、維新の会が一緒になって独法化をすすめている状況ですので、私たちは6月議会でしっかり議論してストップをかけたいと思っています。(次回に続く)

山添拓参院議員(左から3人目)と一緒に
総務省の担当者(その右)に申し入れ
(左から)福手ゆう子都議、斉藤まりこ都議、
(右から)原のり子、大山とも子都議、
藤田りょうこ都議、白石たみお都議

都立・公社病院 7月に独法化を強行していいのか_b0190576_23145134.jpg
総務省にヒアリング
都立・公社病院 7月に独法化を強行していいのか_b0190576_23145720.jpg




by hara-noriko | 2022-06-01 23:15 | 東京都政 | Comments(0)

<< 多摩北部医療センターの充実こそ 公共を立て直す >>