多摩北部医療センターの充実こそ   

 5月29日の都政報告懇談会では、都政で焦点となっている問題について報告しました。その1つが、「都立病院・公社病院の独立行政法人化(独法化)ストップ、多摩北部医療センターの充実を」です。コロナ禍で見えてきた「公共を立て直す」ことの重要性に直結したテーマです。その部分の報告を2回にわけて紹介しています。2回目は、東京都保健医療公社が運営する多摩北部医療センターの充実について。1回目と併せてお読みいただけるとうれしいです。

都の公社病院は都立病院に準じた存在
独法化で予算や決算は議会の議決事項でなくなる


 公社病院は独立行政法人化(独法化)した方が都の関与が強まる、という議論があります。独法化を認める意見です。
 この問題を考える上で大事なのは、東京都の公社病院の特徴を踏まえる必要があると思います。(1回目の報告にあったように)都立病院に準じて取り組むことを公社病院は位置づけています。東京都の政策連携団体になっています。都庁グループといっています。ですから、知事は、コロナ対応でも、都立病院と同じように病床確保を求めてきているのです。
 公社病院が独法化することは、都の関与が強まるのではなくて、むしろ逆になる可能性が高いと共産党都議団は指摘しています。
 独法化すると予算や決算は都議会の議決事項ではなくなりますので、だんだんと都の手から離れていくということになります。

独法化した健康長寿医療センターでは
差額ベッドの最大限運用などが求められ


 健康長寿医療センター(板橋区)という独立行政法人の医療施設があります。ここについては、独立行政法人の評価委員会があって、繰り返し経営の効率化、差額ベッドの最大限運用などが求められています。独立行政法人になることによって、こうした対象になっていくことを共産党都議団は指摘しています。

「多摩北部医療センターに産科を」
市民の切実な願い


 多摩北部医療センター(東村山市)をめぐっては、医療の充実を求める運動がねばり強く続けられています。清瀬市と東村山市ではお産ができる病院がなくなってしまったなかで、多摩北部医療センターに産科を設置する検討が本格的にすすんでいることがわかりました。これはみなさんの運動の大きな成果でありますし、清瀬市でいえば4月の市議補欠選挙でもこのことが大きなテーマとして取り組まれました。私自身も、昨年7月の都議選のときに、「多摩北部医療センターに産科・NICU(新生児集中治療室)・小児外科を」と訴えました。

だれもが利用できる産科に
NICUの設置や小児科の充実も

 問題は、どんな産科になるかなんです。このままいくと、独利行政法人になったあとにつくられる産科になります。もうかる産科になってしまうと、だれもが利用できるかどうかが心配です。
 5月20日、「多摩北部医療センターを良くする会」のみなさんが、独法化の中止や機能充実を求めて都と交渉しました。このとき、一緒に参加した清瀬市の山崎美和市議が話をしていました。出産するときに42万円のお金が出ます。でも、実際の出産は42万円では足りないんだ、と。50万円以上かかるのが普通になっていますから。
 こうしたことを考えても、だれもが利用できる産科にならないといけないことが課題になっています。そして、何かあったらすぐに赤ちゃんが入れるNICUが必要なんです。しかし、NICUはどうも検討の課題に入っていないようなので、声を上げていかなければいけないと思っています。
 多摩北部医療センターの建て替えにあたって設置された基本構想検討委員会のなかで、東久留米医師会の方が、産科をつくるなら小児科も充実しておく必要がある、と強調しておられました。そうしたことも今後検討していかなければならない、ということになっています。

産科は設置、でも全体の病床は1つしか増えない?
他の病床を減らしてはなりません


 多摩北部医療センター全体の病床数は337床です。産科をつくるけれど、全体の病床は338床。1つしか増えない計画なのです。産科で何床か増やすと、どこかが削られることになってしまいます。
 私たちは、産科をつくるから他の診療科を縮小することは絶対にないように、と求めています。

出産のときに何かあった場合の対応を
地元の医師からも意見が


 東京都によれば、この地域を見ると、年間1200件くらいが地域の外で出産しているということなんです。そのうちの半数程度の分娩がこの地域であることを想定して、多摩北部医療センターでは1日あたり9人受け入れられるようにしようということが、基本構想検討委員会で検討されています。
 清瀬市の医師会の方が検討委員会で指摘していましたけれど、正常分娩だけで計算してもらっては困る、出産のときに何かあった場合の対応を含めて検討すべきだ、と。こうした議論がおこなわれていますので、しっかり求めていきたいと思っています。

いろいろな意見や要望
しっかり受け止めて議論すべきです


 多摩北部医療センターに対しては、いろんな要望があります。コロナでも障害者や高齢者を積極的に受け止めてくれていて、本当にありがたいという声がある一方で、もっと良くしてほしいという声もたくさんあるんですね、改善してほしいことも含めて。こうしたこともきちんと議論していく必要があると思っています。

安心して子育てできる地域にしたい
高齢になっても住み続けられるように


 東京都は、さらなる再編統合を否定していません。独法化した後、多摩北部医療センターがそのまま残る保障はないんです。清瀬小児病院を廃止して、府中市に小児総合医療センターが行きました。このことを東京都はよかったことと評価しているんです。小児総合医療センターの果たしている役割は本当に大きいです。しかし、この地域にとってみれば清瀬小児病院がなくなり、多摩北部医療センターで小児科・救急を受けることになり、公立昭和病院も努力してくれた。今度は、多摩北部医療センターもあり方が変わってしまうことになると、この地域は何度も再編統合のなかで大変な思いをしていくことになってしまいます。この地域で安心して子育てしたり、高齢になっても住み続けることが保障されなくなってしまいます。そうはさせたくない、という思いでやっています。

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by hara-noriko | 2022-06-02 20:51 | 東京都政 | Comments(0)

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