総務委員会質問(2)スタートアップ企業との協働をめぐって   

政策企画局への質問
「スタートアップとの協働の戦略的展開」に絞って


 2022年都議会第3回定例会での質問を紹介します。いずれも9月30日におこなった総務委員会での質問です。私は、デジタルサービス局、政策企画局、子ども政策連携室、総務局に対して質問しました。4回に分けて掲載します。
 2回目は、政策企画局への質問です。補正予算案の中にある「スタートアップとの協働の戦略的展開」に絞って質問しています。

非常にわかりにくい都の用語
切実な都民の願いを踏まえて考えたい


 東京都は、新しい方針や施策を英語とカタカナで表記する場合がきわめて多く、非常にわかりにくいのが特徴です。「スタートアップ」と聞いて、すぐに企業の話だとわかる人がどれだけいるでしょうか。都のこうした姿勢自体を問いたいとさえ思います。
 質問の冒頭に出てくる「スタートアップ」というのは、新しくビジネスを展開しようとしている企業で、短期間に急成長が期待できる企業という意味合いで使われています。経団連の「スタートアップ躍進ビジョン」に足並みをそろえるもので、都はスタートアップに関係する各部署から庁内横断チーム「Team Tokyo Innovation」を編成。「様々なスタートアップの支援やアイデアの活用、起業の裾野の拡大等、庁内の力を結集し、”ワンチーム”で徹底的に取り組みます」などとしています。港区虎ノ門のビルに「出島」(オフィス)を設置。ステージやニーズに応じた支援策等の紹介、新しい製品・サービスの都政現場への導入に向けた橋渡し、スタートアップとの協働イベントの開催などの活動を展開するとしています。
 東京都は7月、「都政の構造改革」を掲げ、「シン・トセイ加速化方針2022」を発表。事業展開のスピードアップ、スタートアップとの協働の推進、ユーザー起点の「サービスデザイン」の徹底、デジタルを活用した仕事のアップグレード、組織・人材づくりの強化―の5つを方針としました。
 今回の質問は、都のこうした流れのなかの問題を補正予算案との関連で取り上げています。都民の暮らしが厳しくなっているなかで、切実な都民の願いや要求を踏まえて、しっかり考えていかなければならないと思っています。
 答弁の中に出でてくるカタカナ語をあらかじめ日本語に置き換えてみます。
 アクセラレーター=支援事業者
 アントレプレナーシップ=起業家精神

 以下が質疑の内容です。

【政策企画局への質問】

新しい領域の事業
なぜ補正予算に盛り込んだのか


 原のり子 それでは、質問したいと思います。私は、補正予算案の中のスタートアップとの協働の戦略的展開、このことに絞ってうかがいます。
 スタートアップ、先ほどもご質疑の中でも、都民のみなさんの理解ということをおっしやられていて、本当に言葉一つひとつ難しく、私なども一つひとつ調べないと何をいっているのか、正直いって分からない、そういう分野だと思うんですね。このスタートアップという一つの言葉を取っても、どれだけの方が本当に分かっているかというのは、非常に難しいというふうに思います。
 そういう中で、都民の中で、都がどういう政策を出そうとしているのか、やっていこうとしているのかということをきちんと理解が深められるように、私自身も勉強しながら質問したいと思います。
 それで、今回のスタートアップ、つまりこれまで手の届いていないような、新しい領域の事業、起業ということになるわけですが、この協働の戦略的展開というものが出されました。これをなぜ今回、補正予算にしなければならないのかという理由をまずうかがいます。

 政策企画局スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 都自らが新たな観点やプロセスでスタートアップ政策を迅速に展開するため、関係者との連携強化や人材交流を深める観点から、補正予算を計上いたしました。

補正予算案全体はコロナ禍、物価高騰への対応
「スタートアップ」をあえて補正に盛り込む理由は?


 原のり子 もう少し詳しく教えていただきたいと思います。
 今回の補正予算案全体を見ますと、コロナ禍で本当に疲弊している都民の暮らし、また営業、そうそういうことも含めて支援しなければならないということ、物価高騰の対策なども取られるということが全体であるわけですよね。その中で、スタートアップのこの事業について、あえてこの年度途中の補正でなければならない、その理由を聞きたいんですけれども、いかがですか。

 スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 都は庁内の力を結集し、スタートアップ政策を推進していくため、各局のスタートアップ支援や連携を進める業務を担当する職員等から成るチームを編成しております。この新体制の下で、都自らが新たな観点やプロセスでスタートアップ政策を迅速に展開するために、関係者との連携強化、あるいは人材交流を深める観点から補正予算を計上いたしました。

年度途中の新体制
6000万円をどう使うのか


 原のり子 新体制になって間もないわけで、私たちもこの年度途中で新体制になるということも、それ自身も大変驚いたんですけれども、迅速に進めていくために補正で出したということですが、では、6000万円の予算については具体的にどのように使われる予定ですか。

 スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 スタートアップ政策を迅速に展開するために補正予算計上したものでございまして、スタートアップやアクセラレーターとの連携の強化、公共調達の拡大に向けた検討、アントレプレナーシップ育成に向けた若者や学生との交流などの事業を展開してまいります。

スタートアップ企業はどれくらい存在するのか
アクセラレーターの規模は


 原のり子 そうしますと、今回新しい体制もつくられて、このスタートアップとの協働の事業については、ここからさまざま、具体的な企画等も行いながら連携も強めていくという必要性があって、このお金が出されている、と。スタートアップ企業への直接補助ということではなくて、その連携の強化など、また、イベントなどを実施していくというところに重きが置かれているんだというふうに理解しました。
 それで、「シン・トセイ加速化方針」で、庁内横断のチームでスタートアップとの協働をさらに推進するというふうに書かれていましたけれども、スタートアップが東京の成長に必要不可欠な存在だと、ここでも改めて位置づけています。
 そこでちょっとうかがいたいんですけれども、スタートアップは東京に現時点で、何社ぐらいといういい方が適切か分かりませんが、どのぐらい存在されているものなのか、把握しているんでしようか。また、アクセラレーター、つまり起業や成長を支援していくコンサルのような存在だと思いますけれど、アクセラレーターについては、どのような規模なのか、把握されているのか、うかがいます。

 スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 スタートアップにつきましては、民間のデータベースでは1万社余りの登録がございます。また、アクセラレーターは、スタートアップ企業や起業家をサポートし、事業成長を促進する個人や団体でございまして、銀行や投資家、コンサルティング会社など、多岐にわたるものでございます。

スタートアップ、アクセラレーター
すべての相談に応じるのか


 原のり子 スタートアップは1万社ぐらいで、アクセラレーターについては、そういう意味では数字的には把握できないというか、そういう状況なんだなということが分かりました。それぐらいの規模だということですよね。
 それで、知事が所信表明の中で、虎ノ門のシェアオフィスに出島を構えたということで今回お話がありました。いまお話にあったような規模感で、どうやって対応されるのかなということがなかなかイメージが湧かないんですけれども、都庁の職員の方がワンストップで相談に応じるということで、これはスタートアップ企業だけじゃなくて、アクセラレーターも含めて、いろんな相談に乗るというお話だったと思うんですね。このワンストップで相談に応じるということは、すべてのスタートアップ、アクセラレーターを対象にしているという認識でよろしいですか。

 スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 出島を設けましたのは、待ちの姿勢ではなく、スタートアップ等の相談に積極的に応じていく趣旨からでございます。スタートアップ、アクセラレーターにつきまして特段の限定はしておらず、どなたからのお問合せにも対応させていただいております。

若者、学生との交流
具体的に何を予定しているのか


 原のり子 どなたからの問合せにも対応ということで、私は出島として構えている、そういうオフィスに出入りをする方とか、限定的な方に限られるのかなというふうに最初思ったんですが、そういうことではないですよということは確認しました。
 ただ、先ほどのような規模感で、どういうふうに対応していくのかというのはこれからの課題なのかな、ということも併せて感じました。
 それで、今回補正予算案の説明の中に、若者、学生との交流も行っていくというのがあります。これについては、産労局(産業労働局)では今年度すでに、高校生を対象にした企画が実施されているんですよね。そういう事業が行われていると私は思っていました。なぜ、ここで補正の理由の一つにしているのか、具体的に何を予定しているのか、うかがいます。

 スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 スタートアップ施策を迅速に展開していくために、スタートアップや関係者との連携強化や人材交流等を推進するものでございまして、スタートアップと若者、学生が交流するワークショップ等の開催を予定してございます。

どこまで自治体がやるのか
慎重に検討することが必要


 原のり子 ここでいわれているのは、産労局(産業労働局)で高校生のというのを私もいいましたけれども、それとは別に、若者、学生が交流するということで位置づけられているということだと思います。それは分かりました。
 今回補正予算案として出てきていて、新しい取り組みにもなっていくわけですので、率直にいって、既に都民からもさまざまな声があります。スタートアップはもちろん否定しないんですけれども、どこまで自治体がやるのかということも問われていると思っていますし、また、公共調達についても、検討は本当に慎重にしていくことが必要だと私は考えています。

厳しくなっている暮らしの下で
「もっと都民生活を応援してほしい」は切実


 原のり子 とくにいま、厳しくなっている暮らしの下で、もっと都民生活を応援してほしい、あるいは、いまある中小企業や小規模事業者の皆さんも支援を強めてほしいなど、大変都民の願いというか、それは切実になっているんですよね。そういうことも含めて、都民の思いもきちんと受け止めながら、私は検討していく必要があると思っています。
 そういう点では、今後のスタートアップとの連携については、注意深く見ていきながら、その都度、意見も述べさせていただきたいというふうに思っています。その意見を述べまして、質問は終わります。

【総務委員会質問 2022年第3回定例会】
(1)都職員とパートナーシップ制度
(3)デジタル化と自治体の在り方
(4)子どもを主人公にした施策の強化を

総務委員会で質問
左は、福手ゆう子都議
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by hara-noriko | 2022-10-13 22:10 | 都議会 | Comments(0)

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