総務委員会質問(4)子どもを主人公にした施策の強化を   

子ども政策連携室への質問
「子供政策の加速に向けた論点整理」をめぐって


 2022年都議会第3回定例会での質問を紹介します。いずれも9月30日におこなった総務委員会での質問です。私は、デジタルサービス局、政策企画局、子供政策連携室、総務局に対して質問しました。4回に分けて掲載します。
 最終回の4回目は、子供政策連携室への質問です。都が7月にまとめた「チルドレンファースト 子供政策の加速に向けた論点整理」をめぐって質疑したものです。

こども基本条例の施行をふまえて
子供政策連携室を設置


 東京都は4月、東京都こども基本条例の施行(昨年4月)をふまえて「子供政策連携室」を設置。子供政策を総合的に推進していく、としています。「子供目線に立った取り組み」の推進をうたっています。「チルドレンファースト 子供政策の加速に向けた論点整理」について都は、子供政策の更なる加速につなげていくため、取り組みの現在地と、政策強化に向けた具体的な方向を示したもの、と説明しています。そして、パブリックコメントが実施され、その都民意見と、さらに子どもの意見も聞いて「こども未来アクション(仮)」を今年度中に策定するとしています。

子どもの声をどう聞き生かしていくか
今後も働きかけていきます


 子どもの声をどう聞いていくか、どう生かしていくか。子どもは権利の主体、と位置付けた「こども基本条例」立ち、形式的ではない取り組みが求められます。そして、その取り組みが、「こども基本条例」の附則で規定した、条例の3年後の見直しでは子どもの意見を聞いて子どもの意見を反映させる、ということにもつながっていきます。
 そうした問題意識で質問しました。都が、子どもの意見を聞くということを位置付けて考えていることは、とても大事な一歩です。今後も働きかけていきます。

 以下が私の質疑です。

【子供政策連携室への質問】

子どもに関する総合的・定点的な実態調査
どういう内容を想定していますか


 原のり子 それでは、うかがいたいと思います。
 論点整理の8ページには、子どもに関する総合的・定点的な実態調査ということで盛り込まれました。これは本当に重要だと受け止めています。この具体化が、先ほど議論にあった補正予算案に示されたということだと受け止めています。
 改めて、この論点整理、8ページに書かれている子どもに関する総合的・定点的な実態調査は、どういう内容を想定しているのか、うかがいます。

 子供政策連携室事業調整担当部長 子供が直面している課題は複雑化、複合化していることから、子供の実態や意識の変化を把握する調査を実施してまいります。
 具体的には、今後、子供に精通した学識経験者等による検討会議におきまして、内容等も含め検討してまいります。

定点調査は毎年実施するのですね
「毎年度実施することとしております」


 原のり子 それで、この定点調査について継続して実施していく考え等をうかがおうと思っていましたが、これまでの議論でよく分かりましたのでここは省略するんですけれども、ちょっと私、1点聞き漏らしまして、先ほど来の質疑の中で、定点調査については毎年度行うということになっているのかなと思ったんですが、それだけちょっと確認してよろしいですか。

 事業調整担当部長 定点調査につきましては、毎年度実施することとしております。

 原のり子 わかりました、確認しました。毎年度なんですね。
 定点調査は継続的に実施していくというところに意味があるので、毎年度というとなかなかテンポも速いわけで、十分に内容が吟味されていく必要があるなと思いました。今後検討会議で検討されるということですので、そのことについては見守っていきたいと思います。

提案したいことがあります
首都大学東京の調査など過去の調査も参考にしてほしい


 原のり子 それで私は、こういう調査を継続していく上で提案をしたいんですけれども、かつて東京都は、当時の首都大学東京(現・都立大学)に委託して、福祉保健局で「東京都子供の生活実態調査」を行っています。その報告書は2017年に示されています。
 首都大学東京の子ども・若者貧困研究センターが行ったわけですが、この調査、非常に高く評価されていて、この調査を参考に全国で300余りの自治体がほぼ同じ内容で調査を実施したという経緯もあると聞いています。
 総合的・定点的な実態調査をするに当たっては、こうした過去の調査についても参考にして検討していくことが必要だと思いますけれども、いかがでしようか。

 事業調整担当部長 子供に関する定点調査におきましては、これまで各局で実施してまいりました調査内容も踏まえ、質問項目等を検討してまいります。

 原のり子 ぜひ、よろしくお願いします。これまでの調査も本当に重要だと思いますので、お願いしたいというふうに思います。

「こども未来アクション」の策定
パブリックコメントをどう生かすかが重要


 原のり子 次に、年度内に「こども未来アクション」をつくっていくということに関わってうかがいます。
 論点整理の最後のページに書かれているとおり、年度内に「こども未来アクション」をまとめていくということで、そのため8月末までバブリックコメントが行われていたわけですよね。このバブリックコメントをどう生かすのかがとても重要だと思っています。いつまでに、このバブリックコメントの結果を発表、公表されるんでしようか。
 (東京都によれば、年度内をめどに先進的な取り組み、横断的な取り組みを体系的にとりまとめた「こども未来アクション(仮称)」を策定するとしています)

 子供政策連携室子供政策調整担当部長 バブリックコメントの結果につきましては現在整理中でございまして、取りまとめ次第、公表を予定しております。

窮屈なスケジュールになっている
パブコメの結果をはやく公表してください


 原のり子 職員の方が直接いろいろ整理もされているというふうに聞いているんですけれども、ちょっと年度内に「こども未来アクション」をまとめていく、そこにバブコメの意見も反映させていくっていうふうになると、大変タイトなスケジュールだと思いますし、また私は、やっぱりバブコメの結果が公表されて、そのことについてもこの委員会でも議論していきたいと思うんですね。
 ですので、「こども未来アクション」をまとめる上での一つの重要な要素になっていますから、この公表はとりまとめ次第、早く公表していただきたいということは要望しておきたいと思うんです。

当事者である子どもの意見を幅広く取り入れる
いつ子どもの意見を聞いていくのでしようか


 原のり子 同時に、このバブリックコメントのプレスリリースが発表されたときに、そこには今後の取り組みについてというふうに書かれていて、年度内を目途にチルドレンファーストの視点から、未来を切り開いていくための先進的な組織や、横断的な取り組みを体系的に取りまとめた「こども未来アクション」を策定する予定ですと書いてあって、策定に当たっては、子どもの参加や対話を通じて、当事者である子どもの意見を幅広く取り入れてまいります、と。
 バブリックコメントも集計して公表していく。同時に、子どもたちの意見も年度末に「こども未来アクション」を取りまとめるその過程で聞いていくということになりますよね。そうすると本当に、繰り返しになりますけど、かなりタイトだなというふうに思っているんですね。
 先ほどもお話、議論もありましたけれども、改めてうかがうんですが、今年度中に「こども未来アクション」を取りまとめていくという中で、どのように、また、いつ子どもの意見を聞いていくのでしようか。

 子供政策調整担当部長 年度内を目途として策定を予定しております「こども未来アクション(仮称)」に子供の意見を幅広く取り入れていくために、今後、都立学校等における出前授業や子供食堂など、子供たちがふだん過ごしている身近な場所でのヒアリングなどを実施していく予定でございます。

子どもたちの声がカギ
ぜひ、努力していただきたい


 原のり子 実際に直接聞いていくということも含めて検討されているということで、これはとても重要ですが、このスケジュール感でどのぐらいできるかっていうところは半分心配なところもあって、でもせっかく「こども未来アクション」を取りまとめていくという上では、子どもたちの声が鍵ですので、ぜひ努力をしていただきたいと思います。

直接、子どもたちの声を聞く
これについて都の見解は?


 原のり子 考え方として、やっぱり都の職員の方が直接子どもたちの声をつかんでいくことが重要だと思っているんですね。もちろんすべできるわけではないんですけれども、直接声を聞いていく機会を持っことは非常に重要だと思います。そのことについての見解をうかがいたいと思います。

 子供政策調整担当部長 当事者である子供の多様な意見を取り入れた政策を練り上げていくため、出前授業において職員が自ら講師を担うなど、職員が直接子供と対話する機会を設けていく予定でございます。

 原のり子 非常に大事なことだというふうに思います。

国立市の子ども条例づくり
職員が子どもたちの声を聞きに行く努力をしています


 原のり子 私たち共産党都議団として、先日、(東京都)国立市の子どもの条例づくりについて担当部のお話をうかがってきたんですけれども、子どもの条例をつくるに当たって、職員が自ら、日頃あまり聞けない子どもたちの声を聞きに行く努力をされていました。そういう中で、若い職員の方がおっしゃっていたんですけれど、「聞き取りをしながら、そっと相談をしてくれる子どもさんなんかもいて、やってよかったと思った」という感想をおっしゃっていたんですね。
 ですので、子どもたちの意見を聞くっていう、そこが大事だということと同時に、職員の方が子どもの声を聞いて、本当にそこから学んだり、いろんなことを感じるっていうこと自体にとっても意味があるんだな、ということを私たちも学んだんです。
 ぜひ、そういう機会を、出前授業で講師をするっていうのももちろん大事ですし、同時にいろんな形で声を聞いていく、そういう工夫をしていただけたらありがたいなというふうに思います。

子どもたちから生の声を聞いてほしい
なかなか話が聞けないところで聞いていく


 原のり子 その中でちょっとうかがいたいのが、いまの7つのチームを立ち上げていろいろ進めていらっしゃいますよね、子供政策連携室が中心になって。この7つのチーム、(1)ヤングケアラー(2)日本語を母語としない子ども(3)ネウボラ的仕組み(4)乳幼児期の集団生活(5)子ども目線によるセーフティ・レビュー(6)ユースへルスケア(7)遊び―ですかね。
 この7つになるかと思うんですけれども、せつかくこの事業を進めようということで始まっていますから、少なくともこれらに関わる子どもたちの生の声を聞いていくというのはとても重要になってくると思うんです。
 すべていっぺんに聞けるわけではないですけれども、例えば小・中・高校はもちろんですし、定時制高校も含めてそうだと思いますし、また外国人学校、朝鮮学校、不登校の子どもたちの居場所、児童館、学童保育、放課後ディサービスなどなど、本当になかなか話が聞けないところで聞いていくという検討をしていただきたい、と思うんですね。
 いまは、どこでどんなふうにというのはこれから具体化するのだと思うので、そういうことも含めて今後検討をされるということでよろしいでしようか。確認したいと思います。

 子供政策調整担当部長 子供の成長や発達段階に応じまして、一人ひとりに寄り添いながら、さまざまな困難を抱える子供の声や思いを把握していくことは大変重要でございます。
このため、さまざまな工夫を凝らしながら子供の声や意見を聞いてまいります。

 原のり子 ぜひよろしくお願いします。

子どもは権利の主体
この立場で施策をすすめてほしい


 原のり子 こども基本条例に基づいて、誰一人取り残さずということと、子どもは権利の主体だということに立って「こども未来アクション」をつくって施策をすすめていく、という点ですすめていかれることを求めまして、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。

【総務委員会質問 2022年第3回定例会】
(1)都職員とパートナーシップ制度
(2)スタートアップ企業との協働をめぐって
(3)デジタル化と自治体の在り方

東京・国立市の子どもの条例づくりについて
話を聞く共産党都議団「子どもの権利チーム」
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(左から)大山とも子都議、原のり子、
とや英津子都議、福手ゆう子都議
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by hara-noriko | 2022-10-17 01:27 | 都議会 | Comments(0)

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