事務事業質疑から(2)監査請求は都民の大事な権利」
2022年 12月 03日
都民が権利を行使できるように
11月は都議会で事務事業質疑がおこなわれました。都の各局がおこなう仕事の内容やすすめ方について、毎年行われているものです。私が所属する総務委員会は、政策企画局、子供政策連携室、総務局、デジタルサービス局、人事委員会、選挙管理委員会、監査事務局を所管しています。私は、政策企画局、監査事務局、デジタルサービス局、総務局に対して質問しました。その内容を順次紹介しています。2回目は、監査事務局です。
【原のり子のコメント】
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の監査が遅れに遅れていることを指摘して、結果公表のメドを示すよう求めました。また、住民による監査請求は大事な権利なので、権利が行使できるよう丁寧な対応を求めました。
財政援助団体等監査について
どういう基準で監査対象団体を決めているのか
原のり子 最初に、財政援助団体等監査についてうかがいます。
定例監査、工事監査、財政援助団体等監査、行政監査、住民監査請求など多くの監査があるわけですけれども、財政援助団体等監査とは、都が補助金の交付や出資を行っている団体に対する監査です。
すべての団体に対して実施しているわけではありませんが、どういう基準で監査対象の団体を決めているのか、うかがいます。
監査担当部長 財政援助団体等監査の対象となる団体は、法令の定めにより、都が補助金等の財政的援助を与えている団体、都が資本金等の4分の1以上を出資、出捐(しゅつえん)している団体などとされております。
対象団体の選定に当たっては、財政援助の種類と都の関与の度合いなどに応じて、監査の実施頻度の目安を定めており、たとえば、補助金等交付団体につきましては、交付金額の多寡や事業の重要性等を総合的に勘案し、選定しております。
オリ・パラ組織委員会の監査結果
公表が遅れに遅れ、メドも示されていない
原のり子 そうした基準の中で、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会について監査が行われているということです。
組織委員会の監査は、当初、9月までに結果報告、公表の予定でした。それが12月、年内に延びて、さらに現在はメドも示されていません。
重要な監査なので、時期を明確にして、一日も早く公表すべきと思いますが、いかがですか。
監査担当部長 公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会への財政援助団体等監査についてでございますが、大規模な事業であり、検証すべき事項も多岐にわたり、必要な監査にさらに時間を要することから、当初の監査計画を変更し、継続して監査を実施しております。
今後、結果を取りまとめた上で報告、公表を行う予定でございます。
監査結果の公表が遅れている理由は?
「必要な監査にさらに時間を要することから…」
原のり子 大変な監査になるということは、想定できたのではないかなと思うんですけれども、ちょっと改めて、その遅れている理由をうかがいます。
監査担当部長 オリンピック・パラリンピックは大規模な事業であり、検証すべき事項も多岐にわたり、必要な監査にさらに時間を要することから、当初の監査計画を変更し、継続して監査を実施しております。
厳しい体制であることは理解しつつも
遅れに遅れることには疑問を感じる
原のり子 先ほど来、他の委員の方の質問にもあるとおり、コロナの中で、本当にさまざま体制も厳しい中であるということは理解しつつも、ただ、そういう中でもオリンピック・パラリンピックが開かれて、そして大事な監査を行う状況になっているわけですので、これがどんどんどんどん公表の時期が遅れているということについては、ちょっとやはり、疑問を私は感じています。
それで、やっぱりどうしても確認したいんですけれども、いま、継続して監査実施していますとおっしゃっているんですけれども、この監査はいくらでも延ばせる、時期を延ばせるものなんですか。
監査担当部長 繰り返しになりますけれども、オリンピック・パラリンピックは大規模な事業でございまして、検証すべき事項も多岐にわたる、必要な監査にさらに時間を要するということで、計画を変更して継続して監査を実施しております。
監査終了後、結果の報告、公表を行う予定でございます。
メドもないまま公表を延ばしていく…
監査の意義、重要性とはどういうものなのか
原のり子 監査が終了したら公表しますって、それはそうだと思うんですけれども、ずっとメドもないまま延ばしていくというのは、ちょっとどうなのかな、と思います。
それで、改めてちょっと聞きますが、財政援助団体等監査の意義、重要性についてはどういうものですか。
監査担当部長 財政援助団体等監査は、都が財政援助を行っている団体について、事業が財政援助の目的に沿って適切に行われているか等を検証することにより、都の行財政運営の適正性の向上に寄与することなどを目的として実施しております。
大会組織委員会 不祥事も連続している
きちんと監査されることが重要だ
原のり子 やっぱり改めてうかがうと、本当に重要だなと思います。その重要性に立てば、組織委員会の監査というのは極めて重要だと認識しました。
とくに、今回、不祥事も連続して起きていたり、高橋元理事の逮捕などもあったり、こうした中で、果たして事業が財政援助の目的に沿っていたか、公金の使い方はどうだったのかなど、きちんと監査されていくことが重要です。
監査の重要性からみて
いつまでに示すのかを出すべきではないか
原のり子 先ほどいったように、とても全体は分かりやすいですけど、この東京都の監査のあらましというパンフレットの中にも、10ページには、わざわざ令和4年(2022年)中に報告書を取りまとめる、と書いてあって、それでいまはめどもなく延ばしているということで、この監査の重要性に鑑みると、私はやっぱり早く、いつまでに示すんだということを出すべきじゃないかと思います。
清算法人が解散した後に監査結果が出る
そんなことはないですよね
原のり子 この問題で最後に、どうしても、もう一つ確認したいんですけれども、まさかとは思うんですけれども、清算法人が解散した後にこの監査の結果が出てくるというようなことはないですよね。そのことだけちょっと確認させてください。
監査担当部長 結果の報告ですね、監査結果の報告、公表につきましては、計画上、監査終了後ということになっておりますので、そういう予定でございます。
清算法人にも監査結果を示すことが重要
そこは明確にしていただきたい
原のり子 清算法人に組織委員会が移行していて、たしかに先ほど来議論があるとおり、このまま清算業務が終了すれば終わっていくというわけなんですけれども、ただ、清算法人の役割も非常に大きく、継続している業務などはきちんと終了しなければいけないことなど役割がありますし、それを(組織委員会の)評議員会もちゃんと最後までチェックをするということになっていますから、私は、やはりきちんと清算法人にも、監査の結果を示していくことは当然だと思うんですね。
ですので、やはりそこはきちんと明確にしていただきたいと、そのことは強く要望しておきますので、よろしくお願いします。
住民監査請求について
その目的と意義は?
原のり子 次に、住民監査請求についてうかがいます。
まず、住民監査請求の目的と意義について、うかがいます。
監査担当部長 住民監査請求は、地方自治法第242条に基づき、普通地方公共団体の住民が当該普通地方公共団体の執行機関または職員について、違法または不当な財務会計上の行為があると認めるときに、これらを証する書面を添え、監査委員に対して監査を求め、損害の補填など、必要な措置を請求できる制度でございます。
住民自らが違法の防止または是正を図る
こうした意義にたって取り組んでいくことが大事
原のり子 最高裁の判例などでも、地方自治の本旨に基づく住民参政の一環、地方公共団体の判断と住民の判断が相反する場合に、住民自らが違法の防止または是正を図ることができるという点に、制度の本来の意義があるということも示されています。
こうした意義に立って取り組んでいくことが大事だというふうに思いますが、まず請求があった場合、要件審査が行われるわけですね。この要件審査とはどういうことかというのを、どのように行うのかというのを、改めて教えてください。
監査担当部長 要件審査とは、監査委員が住民監査請求について、地方自治法第242条に定める要件を備えているか審査することでございます。
具体的には、請求人が都の住民であるか、都の財務会計上の行為について具体的に特定しているか、請求の期限が当該行為のあった日または終わった日から1年以内であるかなどについて審査を行っております。
5年間で住民監査請求78件
実施せずは74件、4件実施し勧告はゼロ
原のり子 そういうことですよね。ただ、東京都は、ほとんどの住民監査が要件審査で却下されているんですよね。事務事業の23ページを見ますと、5年間の住民監査請求の状況が示されていますけれども、請求78件、監査実施せずが74件、監査を実施した4件が理由なし、勧告は0件ということです。
請求結果を不服として訴訟になったケースは、5年間で何件になりますか。
監査担当部長 普通地方公共団体の住民は、地方自治法第242条の2に基づき、監査委員の監査結果や勧告等に不服があるときは訴訟を提起することができます。
住民監査請求をへて訴訟が提起された案件について、裁判所から監査委員に対して連絡はなく、監査委員は訴訟になった件数を把握してございません。
監査請求 最初の要件審査
監査委員の合議が調わなかった場合はどうなるのか
原のり子 そこは把握はしていないということですね。東京都としては、何か訴訟が起きれば、当然、法務の方で分かるわけですけれども、監査事務局としては、そこは把握していないということだということは分かりました。
住民監査は、却下されたことに対して不服があったら、一気に訴訟を提起するかどうかという話になるんですよね。非常にこれがハードルが高いといわれています。
では、住民監査で、最初の要件審査の段階で監査委員の合議が調わなかった場合、どういう対応になりますか。
監査担当部長 地方自治法第242条第6項により、監査委員の監査および勧告は、住民監査請求があった日から60日以内に行わなければならないと規定されております。この期間内に、監査委員が監査または勧告を行わないときは、地方自治法第242条の2の規定により、請求人は、期間が経過した日から30日以内に訴訟を提起することができることとされております。
監査請求が却下されたとき
新たに請求を出しなおすことは可能
原のり子 いずれにしても、請求人の責任で訴訟を提起するということになるということです。
要件審査で却下になった場合、すぐに訴訟ではなくて、たとえば新たに請求を出し直すということは可能なのか、また、そういう例はあるか、うかがいます。
監査担当部長 要件審査において監査しないこととなった場合、請求人は、新たな事実を加えて主張するなど、再度の請求を行うことは可能であり、そうした事例もございます。
原のり子 そういうことも含めて、都民のみなさんに周知をしていただけるといいなと私は思いました。住民監査請求を出しても、非常にハードルが高いというのが多くの方の実感ですので、そこはお願いしたいなと思います。
審査すべきではないかと感じるようなケースもある
英語スピーキングテスト事業の住民監査請求など
原のり子 ホームページには監査結果が載っていて、それを見ることができます。正直なところ、私から見るとですけれども、要件は整っているのだから審査すべきではないかと感じるようなケースもあります。
そこは私はプロではないので、私の見た感じなんですけれども、たとえば直近で見ますと、9月9日付で提出された英語スピーキングテスト事業の住民監査請求などは、要件は整っているんじゃないかなと私は読んで思いました。その監査の結果で、こういうふうに書いてあるんですよね。請求人は、本件事業の実施に当たっての都教委の行為の違法性または不当性についてるる主張するが、これらの主張は結局、都教委が行う施策である本件事業の適否を問うものだ、と書いてあって、これ、そうなのかな、というふうに私は疑問に感じたんですね。
新しい事実を加えて再度の請求ができる
このことをしっかり周知していただきたい
原のり子 ただ、これも、こういう結果が出て、これに対して不服であれば訴訟を提起するということになるわけですね。
私はそのときに、先ほどお話しいただいたような再度の請求を、新しい事実を加えて主張するということもあり、そういう事例もあるんだということは、ぜひ、いま、例として出した英語スピーキングについてということではなくて、全体に周知をしていただきたいと思います。
なぜそう思うかというと、都民の大事な権利ですので、この権利を十分に行使できるように進めていっていただきたい、そういう周知をしていっていただきたい、と思っていますので、そのことを強く求めまして私の質問は終わります。よろしくお願いします。
【2022年事務事業質疑から】
五輪を開催した都の責任
by hara-noriko | 2022-12-03 22:47 | 都議会 | Comments(0)