事務事業質疑から(5)人権プラザ企画展・附帯事業をめぐって
2022年 12月 09日
11月は都議会で事務事業質疑がおこなわれました。都の各局がおこなう仕事の内容やすすめ方について、毎年行われているものです。私が所属する総務委員会は、政策企画局、子供政策連携室、総務局、デジタルサービス局、人事委員会、選挙管理委員会、監査事務局を所管しています。私は、政策企画局、監査事務局、デジタルサービス局、総務局に対して質問しました。その内容を順次紹介しています。5回目は、総務局です。人権プラザ企画展・附帯事業の問題について都の姿勢を質しました。
【原のり子のコメント】
東京都人権プラザは、東京都が設置した人権啓発のための拠点施設(港区)です。公益財団法人東京都人権啓発センターが指定管理者として管理運営しています。
企画展というのは、東京都と人権プラザの間の年度協定にもとづき実施されるもので、「プラザ展示室に関する基本的な考え方」にのっとって行われます。附帯事業は企画展と連動して行われるもので、あわせて都の承認を受け実施されます。
今回の問題は、精神障害をテーマとした、美術作家・飯山由貴さんの「あなたの本当の家を探しにいく」展で、附帯事業として実施したいとしていた映像作品「In-Mates」が、都の人権部により上映できなくなった、その背景は、関東大震災における朝鮮人虐殺に触れた内容を問題視されたことがあると指摘されたもの。実際に、上映しないと決めるまでの間、人権部職員から人権啓発センターにあてたメールの中には、そういう内容が書かれていて、このような認識で東京都が仕事をしていることは大きな問題であることは明らかです。結果として、朝鮮人虐殺問題が上映しない理由ではない、としていますが不可解です。
私は、いま明らかになっている資料によってはっきりしている、歴史認識問題を都としてきちんと正す必要があること、同時に、企画展・附帯事業の経緯については十分調査をしたうえで議論する必要があると考えます。今回の質疑は、そういう段階での質疑です。人権にかかわる問題なので、十分な調査をしながら考えていきたいと思っています。
人権プラザ企画展・附帯事業
「In-Mates」が上映できなくなった
原のり子 人権プラザ企画展・附帯事業の問題についてうかがいます。
8月30日から11月30日まで開催されてきた東京都人権プラザにおける企画展「あなたの本当の家を探しにいく」について、10月28日に飯山由貴さんにより「東京都の歴史修正主義とレイシズムによる検閲反対」との記者会見がおこなわれました。私も記者会見を拝見しました。まず、こういう状況に至った経緯について人権部としてはどのようにとらえているのかうかがいます。
総務局人権部長 都と指定管理者である人権啓発センターとの協定に基づき運営されている人権プラザでは、毎年度3回程度、企画展を実施しており、今年度第2期は、障害者と人権をテーマとして実施することとしておりました。企画展の効果を高めるために連動して実施している附帯事業につきまして、5月にセンターから「飯山氏へのインタビュー動画」や、飯山氏の映画作品である「『In-Mates』の上映とトーク」を含む事業計画案が、センターの担当者から人権部の担当者に検討段階のものとして提出されました。
この内、「In-Mates」については、今回の企画展の趣旨に合わないと考え、都からセンターへ再検討を依頼しました。その後、8月にかけて、センターと飯山氏が附帯事業に関する調整を行い、8月中旬にセンターから人権部に対し、実施内容はインタビュー動画の制作・配信とすることで飯山氏から了承を得た旨、報告がありました。センターと飯山氏側が同内容を含む委託契約を8月24日付で締結しました。企画展は8月30日から、附帯事業は10月21日から、実施しております。
なぜこういうことが起きたのか
きちんと検証していく必要がある
原のり子 人権部から見ての経緯はいまおっしゃられたことだと思うんですが、これについては飯山さん側からは別の意見も出ている、ということを聞いています。
それで私は、人権プラザの企画展および附帯事業については、東京都と指定管理者である人権啓発センターの間で締結されている基本協定があります。基本協定に位置付けられたものとして実施される、ということですよね。これがまず基本です。
そこに立って実施されていくんですが、じゃあなんで今回のようなことが起きたのかということは検証していく必要があると思っていて、いま私が知っているだけの材料ではまだ検証しきれないなと思っているんですね。
企画展のそもそもの在り方、基本協定に基づいた在り方を踏まえながら、東京都の関与の仕方はどうだったのか、人権啓発センターや専門員の役割はどうであったのか、そこをきちんと検証していく必要があると思います。
本来、現場でよく話し合って、企画展、よりよいものをつくりあげていくというものだと思いますし、また、芸術作品についてはさまざまなとらえ方があるのが当然であって、そのなかで、企画展・附帯事業の目的にふさわしいものが展示されていくということだと思うんですね、通常の流れは。そうした基本に立って、今回の問題はどうなのかということが1つ検証すべきテーマとして私はあると思っています。
ですので、現時点ではその関係については議論することは難しいと思うので、いまわかっている、はっきりしていることで、見すごすことができない問題点について質問していきたいと思います。
人権部職員が出した5月12日付のメール
そこに書かれた歴史認識
原のり子 今回の経過のなかではっきりしているのは、さきほど五十嵐理事から配布された5月12日付の人権部職員から人権啓発センターに送られたメールの存在、これに端を発しているということだと思うんです。これはもうはっきりしているんですよね。
このメールでは、「In-Mates」について「仮に附帯事業として扱うとしても下記3点について誤解が生じないよう十分配慮する必要があるのではないか」というふうに述べて、その1番目に①として書かれていますけれども、関東大震災での朝鮮人大虐殺の問題についてが書かれているわけです。この歴史認識がこういうふうに書かれていて、ふつうに読めば、五十嵐理事も指摘された通りだと思うんですけど、これをふつうに読んでいけば、これが上映できない理由なのかなとふつうは受け止められる、と私も思いました。
このメールは、人権部の職員から人権啓発センターに行っているメールなので、飯山さんに直接行っているわけではないんですよね。飯山さんは、人権啓発センターの職員からこの内容を聞いた、ということだと思います。これは記者会見でもおっしゃっていたので、そうなんだと思います。
(5月12日付のメールは以下のように書いています。「関東大震災での朝鮮人大虐殺について、インタビュー内で『日本人が朝鮮人を殺したのは事実』と言っています。これに対して都ではこの歴史認識ついて言及をしておりません。小池知事は毎年9月1日に行われる朝鮮人大虐殺追悼祭について、都知事として追悼文を発出しておらず、これに対しての世論を騒がせています。都知事がこうした立場を取っているのも関わらず、朝鮮人大虐殺を『事実』と発言する動画を使用する事に懸念があります」)
関東大震災での朝鮮人虐殺
東京都、小池知事の認識は
原のり子 いずれにしても、これは表に出た事実になったわけです。そこで確認しますが、関東大震災での朝鮮人虐殺問題についての歴史認識、東京都の見解を改めて教えてください。併せて、小池知事の認識はどのように表明されているのか、確認します。
人権部長 人権部としては、関東大震災時の朝鮮人殺傷事件につきましては、史実として教科書や中央防災会議の報告書にも掲載されているものと認識しております。知事は、毎年、横網町公園内の東京都慰霊堂で開かれる大法要で、関東大震災とそれに続くさまざまな事情で不幸にも亡くなられたすべての方々へ哀悼の意を表しております。
メールの内容は
史実とは違う、誤りということになる
原のり子 いろいろありますけれど、とにかく史実としては認識はしているということだと思うんですよね。それは否定できない、ということですよね。そうすると、5月122日付の人権部職員から人権啓発センターに送られたメールの歴史認識について書かれている部分は、史実とは違う、誤りだということになると思うんですね。そのことについて、見解を求めます。
人権部長 5月12日付のメールは、メール本文にも記載されている通り、附帯事業の検討過程で、最初に当該映像作品を見た人権部の担当職員が、あくまで担当として確認した限りのものとして、いくつかの疑問点を確認する目的で人権啓発センターの担当職員あてに送付したものであり、人権部としての見解を示したものではありません。
人権部としての見解ではない、というけれども
誤りとしてはっきり認めるべきだ
原のり子 人権部としての見解ではない、というけれども、職員のメールで書かれたことは検討過程では出されていたわけですよね。そのことは事実なわけだから、そこが史実とは違うんだということについては、私は、ちゃんと誤りとしてはっきり認めるべきだというふうに思うんです。人権部の見解ではないから関係ないということではなくてですね、そこはちゃんと認めるべきではないかと思います。いかがですか。
人権部長 5月12日付のメールは、付帯事業の検討過程で最初に当該映像作品を見た人権部の担当職員が、あくまで担当として確認した限りのものとして、いくつかの疑問点を確認する目的で人権啓発センターの担当職員あてに送付したものであり、人権部としての見解を示したものではありません。
事実と違うことを職員が言ってしまった場合
都として是正することが必要
原のり子 同じ答弁を繰り返されました。やっぱりこれはですね、検討過程で出されたものだっていうけれども、そこに東京都がちゃんと認めている、東京都の歴史としても本当に重要な部分であって、その事実と違うことを職員が言ってしまった場合には、ちゃんと是正していくことが必要だと思うんです。
関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典
小池知事が追悼文送付をやめてしまった負の重み
原のり子 共産党都議団としては、小池知事が関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典への追悼文を送ることをやめて以降、毎年都に対して抗議の申し入れもおこなっていて、代表質問でもとりあげてきています。
大事だと思うので紹介したいのは、知事が(追悼文送付を)とりやめた直後ですけれども、2017年の3定(都議会第3回定例会)の代表質問で取り上げたときには、(共産党の大山とも子都議は)こういうふうに言っています。
「関東大震災直後、朝鮮人が混乱に乗じて暴動を起こすなどの流言飛語が広まり、軍隊、警察、自警団などによって、朝鮮人や中国人が暴行、虐殺されました」ということを指摘もし、「それから50年目の1973年、犠牲者を悼み、当時の都議会各会派の幹事長も呼びかけ人に加わり、追悼碑を建立し、以来、追悼式典には歴代都知事が追悼の辞を送ってきました。小池知事も昨年は『多くの在日朝鮮人の方々がいわれのない被害を受け、犠牲になられたという事件は、わが国の歴史の中でもまれに見るまことに痛ましい出来事、このような不幸な出来事を二度と繰り返すことなく、誰もが安全な社会を営めるよう、世代を超えて語り継いでいかなければなりません』と追悼の辞を送付しました」と。
先ほど五十嵐理事もおっしゃっていたけれども、こういうふうに(追悼文を)出していた、という事実があって、それ(追悼文の送付)をやめるという行為がどれだけ重いかっていうことを指摘しなければならないと思うんです。
同時に、知事のこの行為が、ヘイトスピーチを助長することになりかねないですよ、ということを私たち(共産党)も指摘してきたんですね。
それで、知事の姿勢を改めることを求めるというのは当然なんですけれども、同時に、都の職員のみなさんには、東京都として認めている歴史の事実を踏まえて仕事をしていただくということを、改めて強く求めておきたいと思うんです。この件はまた議論したいと思いますが、ちょっと先に進みます。
メールにある「嫌悪感」という表現
やはり問題ではないか
原のり子 5月12日付のメールの2つ目の理由のところも問題があるんですけれども、これは後にふれます。で、3つ目の理由として、私はこの理由が看過できないと思っているんですね。というのは、「嫌悪感」という表現をされているんですね。
(5月12日付のメールは次のように書いています。「動画全体を視聴した感想ですが、『在日朝鮮人は日本で生きづらい』という面が強調されており、それが歴史感、民族の問題、日本の問題、などと連想してしまうところがあります。参加者がこういう点について嫌悪感を抱かない様な配慮が必要かと思います」)
この「嫌悪感」という言葉を使ったということは、やはり問題ではないかと思いますが、見解を求めます。
人権部長 メールの記載は、人権部の担当職員があくまで担当として、映像作品を確認した限りのものとして、映像を見た方に、在日コリアンの方々がみな日本で生きづらいといった葛藤を抱えているという誤解を与えないような配慮について、人権啓発センターと担当者間で確認しようとしたものでございます。
メールの5日後に
上映しない方針が固まる
原のり子 それがなぜ「嫌悪感」という言葉になるのか、というのが私は本当に疑問です。いまのご答弁ではまったく説明になっていないんですね。
さらに不可解なのは、5月12日のメールがあるわけですけれども、その直後に、数日後に、上映しないという方針が固まることなんですね。ふつうだと、このメールはあくまで個人、ということではなくて、人権部で打ち合わせをして出されているんじゃないか、とふつうは思います。いかがですか。
人権部長 本メールにつきましては、附帯事業の検討過程で人権部の担当職員があくまで担当として、映像作品を確認した限りのものとして、いくつかの疑問点を確認する目的で、人権啓発センターの担当職員あてに5月12日に送付したものであり、人権部で打ち合わせた上で出されたものではありません。附帯事業の内容を検討するにあたり、管理職がそれぞれ映像を見た上で、5月17日に議論をした結果、本作品には精神障害への理解促進につながる直接的な表現がなく、幅広い都民が精神障害への理解を深めるという観点からは分かりづらく、企画展の趣旨に合わない、との結論になったものでございます。そこでセンターに対し、改めて再検討を依頼するよう職員に指示いたしました。
なお、人権部の管理職がメールの存在を把握したのは6月下旬であり、5月17日の判断には影響しておりません。
メールの内容を
都としてどう受け止めているのか
原のり子 それでは、組織として問題ないということなんでしょうか。メールの内容について、組織としてどう受け止めているんでしょうか。
人権部長 本メールについては、附帯事業の検討過程で人権部の担当職員があくまで担当として、映像作品を確認した限りのものとして、いくつかの疑問点を確認する目的で、人権啓発センターの担当職員に送付したものでございます。
メールの中で誤解を招く表現を使ったことについては、別の表現を用いるべきであったというふうに考えております。
問題の根底には歴史認識がある
都として是正、謝罪することが必要だ
原のり子 このメールが、人権部としては議論したものではないっていうことだったですけれども、私は、人権部、東京都として責任があるというふうに思うんですね。
今回の問題の根底には、このメールに示された歴史認識があるというふうに思うんです。正式にやっぱり都として、ここで書かれたことは歴史の事実とは違うんだ、ということでそのことを明らかにして是正をする、と。また都民に向けても、飯山さんをはじめ都民に向けても、そのこと自身は謝罪をする、これは必要なんじゃないかと思いますが、いかがですか。
人権部長 本メールについては、附帯事業の検討過程で、最初に当該映像作品を見た人権部の担当職員があくまで担当として確認した限りのものとして、いくつかの疑問点を確認する目的で、センターの担当職員に送付したものであり、都としての歴史認識を示したものではございません、
今回の企画展および附帯事業は精神障害をテーマとし、参加者にわかりやすく精神障害への理解を深め、障害者と人権について考えていただくきっかけとなることを期待して企画しており、このような観点から事業内容を決定したものでございます。
原のり子 都としての歴史認識を示したものではないんだっていうふうにおっしゃっている、だから違うんだっていうことですよね。そのことを私は、ちゃんと明らかにするとともに、職員の間でもきちんと確認をして認識を改めていくということが必要だと思います。このことは指摘をしてきたいと思います。
「嫌悪感」という言葉を人権部が使う
ヘイトスピーチととられかねない
原のり子 もう1つ、先ほど言った「嫌悪感」なんですけどね、私、ほんとにこれ気になっていまして、この言葉を人権部で使うっていうこと事態は、ヘイトスピーチととられかねないな、というふうにちょっと指摘せざるを得ないなと思っているんですね。これはきちんと整理して、謝罪し是正をすべきというふうに思いますが、その点についての見解をお願いします。
人権部長 附帯事業におきまして映像を見た参加者が、在日コリアンの方々がみな日本で生きづらいといった葛藤を抱えていると誤解することや、参加者の中に在日コリアンの方がいらした場合に、自分はそういった葛藤を抱えていると周囲から誤解されたくないと感じることなどを懸念し、担当者はそのような表現を使ってしまった、と聞いております。
原のり子 この文脈で「嫌悪感」というのはない、というふうに思います。このことは指摘をしておきたいですし、ぜひ深めて検討してもらいたい、とこの場では要望しておきます。人権問題でとても大事なところだというふうに私は思いますので、そのことは指摘をしておきます。
人権啓発センターが出した5月20日付のメール
上映しないことを作者に伝える内容、歴史認識にはふれず
原のり子 5月12日のメールのことがありましたけれど、このあと5月20日付で、上映はしませんという旨を伝えた人権啓発センターから(飯山由貴さん)ご本人に送られたメールもあるんですよね。ここでは一切、5月12日付のメールで歴史認識のこととか知事のこととかいろいろ書いてあったわけですが、そこにはまったく触れないで、上映できない理由を説明しているんですね。
(5月20日付のメールは以下のように書いています。「『In-Mates』は、全体を通じて第2次世界大戦前の在日コリアンの方々の生き方についての葛藤や、人間模様に焦点を当てた内容となっており、精神障害者当事者が経験する世界を歌にした部分もありますが、上記の目的から離れてしまっていると考えます」「また。映像作品の中では、『朝鮮人は全員抹殺だ』『朝鮮人は一人残らずぶっ殺してやる』という『ヘイトスピーチ』で使われるような暴力的な言葉が出てきます。動画全体を視聴すればヘイトスピーチではないという事がわかりますが、参加者の受け取り方は人それぞれであり、言葉だけを切り取って受け取られる可能性もあります。このリスクは、東京都の政策連携団体である当センターでは取ることが出来ません」「これらのことを以って、東京都と調整した結果、都からこの映像作品を企画展の附帯事業として上映することは困難であるとの結論を得るに至ったとの示達を受けました」)
なぜ上映できないか、わからない
あまり理由になっていないのではないか
原のり子 この内容を見ると、なんで上映できないのかなというのがちょっとよくわからなかったんですけれども、そもそもの目的から離れてしまっている、と。精神障害の理解という点でということや、動画全体を見ればヘイトスピーチではないということがわかるけども、切り取られると心配で、人権プラザとしてはそのリスクを取れない、というふうに言っているんですけれども、これはですね、あまり理由になってなくて、ぜんぜんクリアできる理由だと思うんですね。いかがでしょうか。
人権部長 (都の)人権部と人権啓発センターが協議の上で映像作品を使用しないこととした理由は、センターから飯山氏に5月20日付で送った文書に書かれております通り、精神障害への理解を深めるという企画展の趣旨とは合わないと判断したことによるものでございます。朝鮮人殺傷事件に触れていることを理由とするものではなかったため、同文書には記載しておりません。
工夫をすればクリアできるもの
それぞれの受け止め方を勝手に決めてはいけない
原のり子 ただですね、最後におっしゃっていた部分については、先ほど言ったように、人権部から人権啓発センターに送られた5月12日のメールは、その内容を飯山さんが聞いていて、共有しているわけですよね、中身としては。そういうことがあって上映できないというところにつながっている、と当然理解をされたというふうにふつうは思うので、そこをきちんと5月20日付の文書(メールのこと)ではきちんと書かれるべきなんじゃないかなっていうふうに思うんですよね。そういう理由ではないというのであれば。でも何もなく、説明もなく、そこは抜け落ちている。だから、これ(5月20日のメール)は、人権啓発センターの責任で書かれた文書だというふうに思いますので、人権啓発センターに聞いてみないとわからないのかもしれませんけれども、ちょっと不自然だなというふうに私は感じました。
そういう中で、理由としてあげているものについては、さっき言ったように工夫をすればクリアできる内容になっていると思うんですね。たとえば、全体としてはヘイトスピーチではないというのはわかる、といっているわけだから、じゃあ変に切り取られないように解説を工夫しようとか、上映の仕方を工夫しようということは、当然考えられる、と。先ほど来の質疑でも、飯山さん側も考えもあったということも言われているそうです。
作品の受け取り方というのはそれぞれなんですよね。人権部の職員の方が見て、精神障害者の問題が直接言われていないって例えば思ったとしても、いや芸術作品を通して障害者の問題がすごくよくわかるっていう受け止めだって当然ありますし、それぞれの受け止め方を勝手に決めてはいけないと思うんですね。そういう人の内心に踏み込むような形で、できる・できないというのは、これは私はよくないんじゃないかというふうに思うんです。
是正すべきところ、謝罪すべきところ
東京都としてきちんと正していただきたい
原のり子 それで改めて、大元に戻って、きょうはこれ以上の議論はできないと思っていて、企画展の位置づけや事実関係、今回の状況に至るまでのやりとりなど、きちんと資料も見ながら議論していく必要があるし、人権啓発センターに人権プラザにやってもらうこうした事業について、企画展について、東京都としてはどういうふうに依頼しているのか、あるいは人権啓発センターからアーティストの方にどういうふうにそれが伝わっているのか。そういうことも含めて、きちんと検証しながら、せっかくやる企画展ですから、これからもいい形でやられるようにしていかなければいけないんじゃないかなという意見は述べていきたいと思います。
そして、いま、はっきりしているのは、先ほど言ったように、歴史認識の問題でこれだけの大きな問題になったということについて、しっかり受け止めて、是正すべきところ、謝罪すべきところはちゃんとやって、東京都として正していただきたい、ということを強く求めて、私の質問は終わります。
【2022年事務事業質疑から】
(1)五輪を開催した都の責任
(2)遅れているオリ・パラ組織委員会の監査結果/監査請求は都民の大事な権利
(3)東京のデジタル化推進をめぐって
(4)マイナンバーカードの取得は任意
by hara-noriko | 2022-12-09 22:51 | 都議会 | Comments(0)