英語スピーキングテスト 都立高校入試への活用は中止を   

こども基本条例に反することがやられている
英語スピーキングテストは本当に問題です


 東京都では「こども基本条例」をつくって、子どもは権利の主体だ、子どもの声をちゃんと聞いて施策をすすめなければいけない、こういうことを全会一致で決めました。しかし、この「こども基本条例」に反するようなことが、次つぎと起きています。そのなかでも、ESAT-J(English Speaking Achievement Test for Junior High School Students)、英語スピーキングテストについては、本当に問題だと思っています。11月27日にテストが実施されましたが、これを都立高校の入試に使ってはなりません。

東京都教育委員会
このテストを都立高校の入試に活用する、と


 英語スピーキングテストは、公立の中学校3年生すべてが受験するということになりました。もともと英語スピーキングテストは、あくまでアチーブメントテスト(学習達成度をはかるテスト)だという位置づけでした。しかし、このテストを実施して、その結果を都立高校の入試に活用しよう、ということを東京都の教育委員会が決めて、すすめています。

テストを受けた子どもたちからさまざまな声が
「隣の人の声が聞こえた」「前半の声が聞こえた」


 このテストは、一人ひとりがヘッドホンをして、タブレットを見ながら英語で話すというものです。都議会では超党派の議連をつくって、「英語スピーキングテストを都立高校の入試に活用するのは中止を」と求めています。もともと、テストの実施の仕方、採点の仕方、個人情報の扱い、ベネッセ1社で実施するなど、さまざまな問題があり、共産党都議団はテストの実施を中止すべきといってきました。議連では、不公平・不公正なテストを入試に活用すべきでない、ということが大きな一致点になり、とりくんでいます。実際にテストをやってみたら、試験を受けた子どもたちから「隣の人の声が聞こえてしまった」などの声があがっているのです。
 また、試験を受ける子どもたちが前半と後半に分かれていて、待っている後半の人たちから「前半の人たちがやっている試験の声が聞こえてしまった」、トイレで会ったりしたときに、こんな問題が出ていると話しているのが聞こえたなど、子どもたちから声が寄せられています。
 ヘッドホンのような形のイヤーマフ(防音耳栓)をして試験をおこなっていますが、「たいへん聞き取りにくかった」「イヤーマフがとても痛くて困った」という声も聞こえています。
 さらには、「受験会場がわからなくて遅刻してしまった」というお子さんもいたということです。

教育的な配慮がないテストのやり方
大きな憤りを感じています


英語スピーキングテストの会場は、同じ中学校の子どもたちは同じ会場に行くことになっていて、「場所があまりにも遠くて困った」という声がありましたが、それでもみんなで同じ会場というのが基本でした。
 しかし、合理的配慮が必要なお子さんたちは、別会場になっていました。同じ学校の友達はほとんどいない、しかも慣れない場所でテストを受ける。教育的な配慮のないテストのやり方に、私はたいへん大きな憤りを感じています。

「子どもを政治利用するな」のヤジが
子どもたちの声を踏みにじっていいのか


 テストを受けている状況が他の人に聞こえてしまっている。自分がしゃべっている声が他の人の声で聞こえなくなってしまった。こういうような声が寄せられているなかで、すでに公平・公正なテストになっていないということは明らかです。
 いま開かれている都議会第4回定例会の代表質問(12月7日)で、日本共産党の曽根はじめ都議がこのことを取り上げて質問しました。子どもの声を紹介して質問すると、「子どもを政治利用するな」というヤジが飛びました。本当にひどいです。「こども基本条例」はどこにいったのでしょう。
 いま実際に中学校3年生から、英語スピーキングテストをやってみたらこんなにおかしいことが起きた、困った、という声が寄せられているのに、このことを東京都の教育委員会は何一つ調査もせず、子どもの声を踏みにじって、「問題はなかった」といってしまっています。
 私は、このことが本当に大きな問題だと思います。

都立高校の入試は公平・公正にやられるべきです
子どもたちの声を都教委はちゃんと受け止めよ


 ご存じの通り、大学で実施しようとした英語スピーキングテストは中止されました。東京都の教育委員会は、公平・公正ではないテストの結果を都立高校の入試に活用していいのか。このことが問われています。
 都立高校の入試は公平・公正にやられるべきだということ、そして、子どもたちから心配や不安の声があがっていることをちゃんと教育委員会が受け止めて、都立高校の入試に活用することは断念する。思想信条、立場の違いを超えて、みんなで一致して、このことを求めていきたいと思います。

都議会からもたくさんの声があがっている
「問題はなかった」という都教委こそ問題


 この問題では、日本共産党だけではなく、立憲民主党や都民ファーストの一部の議員の人たち、ミライ会議という新しい会派のみなさん、無所属議員の方々も含め、たくさん声があがっています。子どもたちの都立高校入試が公平・公正におこなわれるようにする。こんな当たり前のことをわざわざいわなければならない、そこにいまの東京都の深刻さがあると思います。
 東京都教育委員会の教育長は、くりかえし「問題はなかった」と答弁しています。これ自身が本当に問題です。子どもたちの声にちゃんと耳を傾けて、公平・公正な都立高校の入試になるように、しっかり求めていきたいと思います。

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by hara-noriko | 2022-12-13 23:43 | 東京都政 | Comments(0)

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