2023年1定総務委員会質問(2)ヘイトスピーチ   

 都議会2023年第1回定例会でおこなった私の質問を順次、紹介しています。3月15日、総務委員会での質問の2回目は、ヘイトスピーチをめぐる質問です。答弁の中に出てくる「今年度」というのは、2022年度のことです。

【私のコメント】

 今議会、大きな議論になったひとつが、朝鮮学校に13年もの間、都の補助金を停止していることについて是正すべきだ、ということです。ねばりづよく運動を続けられているみなさんは、地域で「こども基本条例」の学習会をすすめ、みなさんの働きかけにより、超党派の勉強会も実施されました。これには、自民・公明・共産・立憲・無所属(ネット、グリーン)から議員が多数参加しています。補助金の所管は生活文化スポーツ局なので、総務委員会ではありませんが、補助金を停止していること自体がヘイトを助長していることから、人権部に対し質問しました。そして、その後、人権部と子供政策連携室に、朝鮮学校の子どもたちの声を直接届けました。
 また、関東大震災のときに、朝鮮人虐殺が行われたという史実について、共産党の代表質問で知事は明確に認めず、将来の歴史家がひもとく、という答弁がされました。一方、前議会の総務委員会で私が質問したときには、人権部としては史実と認める発言をしています。知事は、追悼式典への追悼文を再開すべきです。

人権尊重条例にもとづく審査会
ヘイトスピーチを認定した件数の推移は?


 原のり子 人権課題、ヘイトスピーチについてうかがいます。
 人権尊重条例では、ヘイトスピーチについて位置づけて、審査会が持たれています。これまでのヘイトスピーチの件数、認定数の推移をうががいます。

 総務局人権部長 へイトスピーチの概要等の公表件数につきましては、取り組みを開始した令和元年度(2019年度)が5件、2年度(20年度)が7件、3年度(21年度)が4件、今年度(22年度)はこれまでで4件でございます。

ヘイトスピーチ
都民から寄せられた申し出の件数は?


 原のり子 それでは、東京都にヘイトスピーチに当たるのではないかと、都民から寄せられた申し出の件数、これはどのぐらいあるでしようか。

 人権部長 過去3年間における申出件数は、令和元年度(2019年度)が51件、2年度(20年度)が76件、3年度(21年度)が18件でございます。

ヘイトスピーチとはどういうものか
改めて法での位置づけを確認したい


 原のり子 わかりました。かなりのご意見が寄せられていると、情報が寄せられているということです。その中で審査会で諮って、ヘイトスピーチに当たるというものがその内容が公表されているということで、こういうことを通じて、ヘイトスピーチをなくしていく、それを都民のみなさんに伝えていこうということです。
 それで、ヘイトスピーチというのはどういうものか、改めて法での位置づけを確認したいと思います。

 人権部長 へイトスピーチ解消法の第2条では、ヘイトスピーチについて、本邦外出身者に対する差別的意識を助長し、または誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉、もしくは財産に危害を加える旨を告知し、または本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外による国または地域の出身者であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動をいうと規定しております。

●都の人権尊重条例ではどう位置づけているか
●こども基本条例でも差別禁止が位置づけられている

 原のり子 それでは、その法での位置づけを踏まえて、人権尊重条例ではどのように位置づけているのかということを1つ聞きたいのと、もう1つは、こども基本条例でも差別禁止が位置づけられています。この条例もヘイトスピーチをなくしていく取り組みの中では非常に重要だというふうに思いますが、認識をうかがいます。

 人権部長 人権尊重条例第8条におきまして、不当な差別的言動とは、ヘイトスピーチ解消法第2条に規定するものをいうと定めております。
 また、人権尊重条例の前文では、東京に集う多様な人々の人権が誰一人取り残されることなく尊重されるとしており、子どもの人権についてもここに含まれております。

 原のり子 すみません、ちょっと確認なんですけど、後段の今おっしゃったのは「こども基本条例」についてですか。「人権尊重条例」についてですか。ちょっと確認させてください。

 人権部長 人権尊重条例の前文にそのように記載されております。

こども基本条例の差別禁止規定も含めて
都の人権部としてヘイトスピーチ対策をするのか


 原のり子 人権尊重条例にも、子どもも含めてそのように前文でいわれているということをおっしゃったということですよね。
 私は、その上でちょっともう1つ聞きたいのは、今、こども基本条例もできている中で、ヘイトスピーチ対策をしていく上で、人権尊重条例、もともと法律があり人権尊重条例があり、さらにこども基本条例で差別禁止を位置づけている。このことも含めて、人権部としては、それらを基にヘイトスピーチ対策をやっていくというふうに考えているかどうかというのを聞きたいです。


 人権部長 こども基本条例の趣旨も踏まえ、施策に取り組んでいるところでございます。

 原のり子 それらの条例を踏まえて取り組んでいくということを確認させていただきました。

東京に暮らしている在日朝鮮人の方
都民と認めない、と執拗に繰り返すのはヘイトに当たるのでは

 原のり子 それで、具体的にうかがっていきたいと思います。例えば、在日朝鮮人の方が東京都に暮らしている人を都民と認めない発言を執拗に繰り返すということは、ヘイトスピーチに当たりませんか。

 人権部長 へイトスピーチに該当するかどうかにつきましては、憲法で保障されている表現の自由に配慮しつつ、事案ごとに背景、文脈、趣旨等の諸事情を総合的に勘案して判断する必要がございます。都においては、人権尊重条例に基づき、学識経験者等で構成される審査会を設置しており、表現の自由を侵害しないよう、審査会での調査審議も踏まえ、ヘイトスピーチへの該当性について慎重に判断を行っております。

在日朝鮮人の方たちも含めて人権を守る
人権部としてそう捉えているのか

 原のり子 基本はそうだと私も思うんですが、ただ、私が今いったことは、審査会にかけなくても分かることではないかというふうに思うんですね。人権部としては、在日朝鮮人の方たちも含めて、人権を守る取り組みをしていく対象だというふうに捉えていらっしやるのかどうか、その点を確認させていただきたいと思います。

東京に集う多種多様な人々の人権
誰一人取り残されることなく尊重される


 人権部長 人権尊重条例の前文では、東京に集う多種多様な人々の人権が誰一人取り残されることなく尊重されるとしており、国籍は問いません。

都民から在日朝鮮人を除く
都の局長の発言は直ちに是正が求められる

 原のり子 確認させていただきました。ですから、先ほどいったその方が東京に住んでいる方なのに、都民だと認めないような言葉をいうというのは、本当に問題だと思っているんですね。
 私はちょっとこの言葉、絶対使いたくないなと思っているんですけれども、意味が通じないといけないので1回だけいいますけれども、それは朝鮮学校に補助を出すことについて、都民の理解を得られないと、所管の局長が答弁をしていることなんですね。都民から在日朝鮮人の人を除くというこの発言を、都の職員が発するということは本当に問題だと私は思っています。あなたは都民じゃないと繰り返しいわれるようなことはあってはいけないと。直ちに是正が求められるというふうに思っているんです。

朝鮮学校に対するツイート
これもヘイトスピーチではないか


 原のり子 それで、もう1つ具体的にうかがいます。例えば、こういうツイートがありました。日本に向かってミサイルを打つ国の反日教育を行う教育機関に、なぜ日本の税金を充てなければならないのか。そもそも朝鮮学校は日本の学校ではありません。子どもを差別しているのではなく、補助金を交付すべきでない対象を区別しているのです。拉致被害者を返せ。このツィートは、ヘイトスピーチに当たるのではないでしょうか。

 人権部長 へイトスピーチに該当するかどうかにつきましては、表現の自由に配慮しつつ、事案ごとに背景、文脈、趣旨等の諸事情を総合的に勘案する必要があり、都においては、人権尊重条例に基づき設置している審査会での調査審議も踏まえ、慎重に判断を行っております。

 原のり子 審査会での審議も踏まえ慎重に判断というのは、私はそれは理解できるんですね。例えば、言葉の一部だけを取って解釈をするとか、そういうことで逆の差別を生んでしまったりするのはいけないので、そのこと自身は理解をしているんです。ただ、やっぱりこのツイートは非常に問題だというふうに、審査会にかけるまでもなく、いわなければいけないというふうに思うんです。

このツイートは差別であると同時に事実とも違う
東京都のやっていることがヘイトを助長することになる

 原のり子 このツイートは差別であると同時に、事実とも違う大きな誤りを含んでいるんですね。反日教育をやっている学校と決めつけていますけれども、昨日も文教委員会で、とや英津子都議(共産党)も質疑をしていますけれども、そういうことはまったくないわけです。
 また、外国人学校の中で、朝鮮学校だけ今補助を出していないんですけれども、朝鮮学校だけ調査をして、その結果をホームページに出すということをやっている。ほかの学校にはやっていない。このことも明らかになっているんですね。こういうやり方を積み重ねていくと、ヘイトを本当に助長するということになると思うんです。
 私は、これ所管が違いますけれども、でもやっぱり人権、そしてヘイトスピーチを取り扱う人権部、総務局のみなさんには、本当にこの状況を知っていただきたいと思うんです。
 また、自分のルーツや民族のことなどを学ぶということは、誰にでもある権利なんですね。そして、子どもたちはどこで生まれようと、どこで暮らそうと、どんな政治状況であろうと、最善の利益を保障されなければならないです。それなのにミサイルを打つ国、拉致被害者を返せなどの言葉を浴びせるということは、本当に許されないというふうに思います。
 このツイート、消されたようなんですけれども、こういう声が都議会から出てくるという事態を繰り返してはいけないと思い、今うかがったところです。

ヘイトにおびえる朝鮮学校の子どもたち
一日も早く解決しないといけない

 原のり子 おととい福手ゆう子都議(共産党)の質問で、子供政策連携室の質問の中で、子どもたちの思いをそこでも紹介したとおりなんですけれども、朝鮮学校の子どもたちがヘイトにおびえなければいけないという事態を一日も早く解決していく必要があると思っているんです。朝鮮の言葉で話しているだけでにらまれたり、本当にひどい例では死ねという言葉を浴びせられたり、そういうことが今もたくさんあるんですね。そこを早く解決しないといけないというふうに思っているんです。

傷ついた人の相談、どこで受け止めてもらえるのか
ヘイトスピーチをなくすための教育、啓発の強化を


 原のり子 東京都にヘイトスピーチの情報提供をして、先ほどもたくさん情報提供されているということが分かりましたが、それが認定されなかった場合でも、内容的には重大な場合もあります。傷ついた人が相談する場合、どこで受け止めてもらえるのか。また、ヘイトスピーチをなくすための教育、啓発を強めることを求めて見解をうかがいます。

 人権部長 都は、東京都人権プラザにおきまして人権相談を実施し、ヘイトスピーチに関する相談にも対応しているほか、相談者が人権侵犯事件としての調査、救済を希望する場合は、東京法務局の相談窓口を紹介することとしております。
 また、ヘイトスピーチの解消に向け、さまざまな機会を捉えて啓発を行っており、引き続きヘイトスピーチは決して許されないというメッセージを発信してまいります。

朝鮮学校への補助だけ外す
この状況がヘイトを助長している


 原のり子 朝鮮学校の補助だけ外していると、補助から外しているというこの問題をやっぱり解決することが本当に必要だと思っています。都が出している私立外国人学校教育運営費補助金ですけれども、朝鮮学校10校だけ、もともと受けていたのに不当にも外すということをやって10年以上経過しているという、こういう問題が続いていく、この状況が続いていくことがヘイトを助長しているというふうに思います。子どもたちの人権が守られ安心してこの東京で成長できるように、各局連携して取り組んでいただきたいというふうに思います。

朝鮮学校の子どもたちの声を聞いて
ヘイトスピーチ対策を強化してほしい

 原のり子 (朝鮮学校の)子どもたちの声をぜひ人権部長や総務局長にも聞いていただいて、ヘイトスピーチ対策の強化をしていただくことを強く求めたいと思いますが、いかがですか。

 人権部長 都は、ヘイトスピーチの解消に向けさまざまな機会を捉えて啓発を行っており、引き続きへイトスピーチは決して許されないというメッセージを発信してまいります。

 原のり子 ぜひ、子どもたちの声を私たちも届けていきたいと思いますので、差別のない東京をつくっていく、ヘイトスピーチのない東京をつくっていくという点で、先ほどいったように、各局連携をして取り組んでいただきたいということを強く求めたいと思います。

関東大震災百年の取り組み
史実に基づき、人権を守ることを位置づけるべきです


 原のり子 最後に、関東大震災百年の取り組みについてうかがいます。
 さまざま、今回、関東大震災で予算化されているんですけれども、なぜか人権部は何にも関わっていないというふうに思いました。3月10日の知事会見で、今年は関東大震災から百年の節目の年であります、その最初の大法要が本日の午前中、営まれたわけでございます、そこで震災による極度の混乱下での事情で犠牲となった方も含めて、すべての方々に対して慰霊する気持ちを改めて表したものでございますと、知事が発言されました。
 今回、私たち共産党都議団の代表質問のときには、知事は、朝鮮人虐殺について将来の歴史家がひもとくものと答弁していたんですね。このことを私たちは批判しましたが、この3月10日の知事の会見の発言というのは、ニュアンスが変わったなと私は感じました。
 改めて史実に基づき、朝鮮人虐殺のような犠牲が繰り返されることのないように、関東大震災百年の取り組みの中でも人権を守ることを位置づけるべきと考えますが、見解を求めます。

 人権部長 災害時における人権侵害を防止するためには、平時から都民の意識啓発を図ることが重要でございまして、都は、引き続き様々な機会を捉えた効果的な啓発を行ってまいります。

人権部として
人権が守られるよう取り組みを強めてほしい

 原のり子 人権部としては、前議会の総務委員会で、朝鮮人虐殺、歴史認識の問題について私も質疑をさせていただいて、人権部としては史実として捉えている答弁があったと受け止めています。そこに立って、人権が守られるよう取り組みを強めることを求めて、質問を終わります。

ギンラン
2023年1定総務委員会質問(2)ヘイトスピーチ_b0190576_21262845.jpg
2023年1定総務委員会質問(2)ヘイトスピーチ_b0190576_21263050.jpg
2023年1定総務委員会質問(2)ヘイトスピーチ_b0190576_21263108.jpg




by hara-noriko | 2023-05-06 21:40 | 都議会 | Comments(0)

<< 2023年1定総務委員会質問(... かもしだ芳美市議がYouTub... >>