2023年1定総務委員会質問(5)障害者の都職員採用   

都議会総務委員会で質問
障害者の都職員採用をめぐって


 都議会2023年第1回定例会の総務委員会で行った私の質問を順次、紹介しています。5回目は、人事委員会に対する質問(3月13日)です。障害者の都職員採用をめぐる課題や問題を質しました。

【私のコメント】

 私は、都議になって以来、障害者の都職員採用について質問を重ねています。とくに、障害者対象の3類採用選考で、知的障害の人が試験を受けられるとしながらも、合格はできないことについては、合理的配慮に著しく欠けている、差別にもつながることだと問題意識をもって是正を求めてきました。今回初めて、知的障害の方で合格された方がひとりいらっしゃいました。そのことを受けて、改めて、知的障害の方一人ひとりの特性に配慮した試験の在り方を真剣に検討することを求めています。
 障害者の都職員採用を広げる問題は、福手ゆう子都議も質問しています。引き続き力を入れていきます。

障害者3類選考について
対象年齢の引き上げをどう周知したのか

 原のり子 まず、障害者3類選考について、うかがいます。
 今年度から、対象年齢の上限を40歳未満から60歳未満に引き上げられました。この年齢引上げに伴い、周知についてはどのような工夫をされたのか、うかがいます。

 人事委員会試験部長 障害者を対象とする3類採用選考の実施に当たりましては、東京都職員採用ホームページで周知するほか、都内盲・ろう・特別支援学校、障害者福祉センター等へ選考案内をご送付しております。
 (注)障害者3類は高校卒業程度

 原のり子 1月27日に、雇用機会の拡大を図るため対象年齢を広げたという旨の記述がホームページに掲載されています。とても大事な情報なので、必要な方に確実に伝わるよう、さらに周知を工夫していただきたいと思います。
 特に、障害者の方は、ホームページを見る方ばかりではなくて、本当に、ここには配慮が必要だと思うので、今ご答弁にあったようなことをすすめると同時に、さらにもっと拡大できないのか、ご検討いただけたらいい、というふうに思います。

今回対象年齢を引き上げた効果は?
40代・50代の受験はあったのか


 原のり子 今回対象年齢を引き上げた効果については、どのように見ていらっしゃいますか。実際に40代、50代の方の受験はあったのか、また、合格者もいるのでしようか。

申込者は前年度より105人増加
年齢などの属性は公表していない


 試験部長 年齢の上限を60歳未満に引き上げました今年度の障害者3類採用選考では、申込者数が399人となり、前年度に比べて105人増加しております。
なお、1類B採用試験なども含め、東京都職員採用試験においては、年齢等の受験者の属性を公表しておりません。
 (注)1類B採用試験は大学卒業程度

対象年齢引き上げに伴い
職務内容をどのように案内しているのか


 原のり子 105人増加ということで、これは本当に重要だと思います。
 年齢等の属性は公表していないということですけれども、年齢が広がったことは、間違いなくプラスの影響があるのではないかと思います。
 それで、大事なのは仕事の内容ということになると思います。年齢引上げに伴い、職務内容についてはどのように案内をしていますか。

 試験部長 令和4年度(2022年度)の採用選考案内では、例年同様、主な配属予定先及び職務内容を、各局の本庁及び事業所における調査統計の集計事務、電話応対、窓口対応、文書管理、庶務などの一般事務としております。

年齢の高い方がやりがいをもって仕事ができるように
よく相談にものりながらすすめていくことが重要


 原のり子 職務内容については例年と変わらない内容で、年齢は引き上げたということだというふうに思います。
 若い年代の方は、長いスパンで仕事に従事できます。ただ、年齢の高い方とはやっぱり違いがあると思うんですね。年齢の高い方も、やりがいを持って仕事ができるように、よく相談にも乗りながらすすめていくということが重要になってくると思います。このことは総務局に求めていきたいというふうに思っています。

試験方法 面接が2回になった
その成果について、どうみているのか


 原のり子 次に、試験方法についてですけれども、以前はグループ討論の形をとっていたわけですが、これを面接に切り替えて、面接を2回行う方法に変更されています。その成果についてどう見ているか、うかがいます。

 試験部長 個別面接を同じ日に2回行うことによりまして、受験者一人ひとりの能力、適性等について、より適切な評価が可能となったと考えております。

 原のり子 私も何度か、グループ討論についてはこれまで質疑をしてきたことがあるんですけれども、障害特性にそれぞれ配慮してグループ討論をするというのは、なかなか難しい課題もあるというふうに感じていました。個別の面接を2回行うことで、一人ひとりの能力や適性をより適切に評価できるようになったという、その成果については非常に重要だというふうに受け止めました。

初めて知的障害者の方が合格
合理的な配慮などの工夫があったのか

 原のり子 今回、こうしたなかで初めて知的障害の方の合格がありましたが、これ、とてもよかったと思っていますが、何か合理的配慮など特に工夫したことがあったのかどうか、うかがいます。

 試験部長 従来より、選考の実施に当たりましては、障害の種別にかかわらず、試験等において能力を発揮できるよう、個別の相談への対応も含めまして、必要な合理的配慮を行い、選考の公平性を確保しております。

 原のり子 合理的配慮については、どの障害についても、個別の対応も含めて取り組んでいるということは、非常に重要だというふうに思っています。また、今回、知的障害の方で初めての合格者が生まれるという背景には、面接を丁寧に行う、こういうこともしながら、適切な評価ができたということもあるのではないかというふうに考えます。

知的障害の受験や合格
さらに広がるようどのように力を入れていくのか


 原のり子 ただ、知的障害の方の場合は、そもそも高校卒業程度という高いハードルがあります。知的障害の方の受験や合格者が広がるように、どのようなことに力を入れていく考えか、うかがいます。

 試験部長 先ほどもお答えしたとおりでございますが、障害者3類採用選考の実施に当たりましては、引き続き、職員採用ホームページで周知するほか、都内盲・ろう・特別支援判交、障害者福祉センター等へ選考案内をお送りし、周知に努めてまいります。

非常勤から常勤への仕組みの継続
特性を生かした採用へ研究していくことが大事


 原のり子 今回のように、知的障害者の方で合格される方もいらっしゃるということですので、3類採用選考も継続をしながら、一方で、オフィスサポーター制度により、非常勤から常勤へとステップアップしていく仕組みの継続、同時に、もっと特性を生かした採用もできるように研究していくことが大事だと私は考えています。

コロナの感染リスクが高い障害者
受験者への十分な配慮が必要だと思うが


 原のり子 3類採用選考についてもう1つ、うかがいます。
 試験のときの合理的配慮については、コロナの中でもさまざまな努力をされてきていると認識をしています。コロナは5類に移行するということで国が決めていますけれども、今後どのような状況になるのか、まだまだ油断はできない、予断を許さないというふうに思っています。
 たとえ類型は移行したとしても、コロナの感染力が変わるわけではないので、非常に注意が必要だ、と。特に、感染リスクの高い障害のある受験者については、十分な配慮が必要だと思っています。どのように考えていらっしゃいますか。

 試験部長 感染症対策につきましては、国の動向や感染状況等を踏まえまして、引き続き適切に対応するとともに、受験者への個別の対応についても、従来どおり必要な合理的配慮を行ってまいります。

 原のり子 この間もいろいろ努力をされていて、障害等の理由でマスクが着用できないという方についても別室で受験をするなど、様々個別の相談に応じながら対応されてきていると思います。今後とも、コロナの状況を見ながら、安心して受験できるように配慮をお願いをしたいということを改めて求めておきたいと思います。

採用試験運営の業務委託
その目的は?


 原のり子 次に、採用試験運営業務委託について、うかがいます。
 来年度予算案で、採用試験運営業務委託について債務負担行為が設定されています。この目的を改めてうかがいます。

 総務局任用公平部長 例年、年度の初めに開始する試験は、年度当初に準備の事務が集中していることから、令和5年度(2023年度)中に試験の準備を行うことや、人事委員会勧告を踏まえ、試験内容を見直す場合に、令和6年(2024年)当初からの試験運営に反映することを可能とするよう、債務負担行為を設定したものでございます。

実際に業務委託ものは?
今後の計画は?


 原のり子 実際に業務委託をしているもの、現在はどのようなものがあるのか、うかがいます。

 試験部長 例えば採用PR業務委託は、都の採用試験情報や都で働く魅力を発信する専用のサイトの運営を、必要な専門性、技術力を有する事業者に委託しております。

 原のり子 資料も出していただいて、業務委託の内容については分かりましたし、今のご説明でも分かりましたが、そういう範囲で行われているということです。では、今後、さらにどのような内容を業務委託しようと考えているのか、確認をさせてください。

 試験部長 採用試験の実施に必要な会場借り上げ、システムの運用、PRなどの試験の準備や、勧告を踏まえた今後の検討内容が対象となると考えております。

業務委託 公務員としてのあり方にかかわる
試験の見直しは慎重に


 原のり子 人事委員会から昨年10月に出された「人事制度及び勤務環境に関する報告(意見)」では、人材確保、育成に向けた取り組みの中で、採用試験、選考制度の検証について書かれています。いまお話にあったように、その中で課題が出ているわけですけれども、この中に書かれているものを改めて読みますと、まとめていうと、1類採用試験の必要性を含め見直すこと、それから、キャリア活用採用選考で採用された人が各職場で活躍できているか、専門性が合致しているかなどについて検証して、在り方を見直していくこと、民間企業経験者を対象とする試験での適性検査の有効性や拡大について検討するなどというふうに書かれていました。
 重要なのは、公務員としての在り方、仕事の仕方に関わる問題だというふうに、私はこれを読んでいて思いました。業務委託先にありきではなくて、試験の見直しについては慎重に行わなければならないのではないかと考えますが、見解をうかがいます。

 試験部長 もとより、勧告を踏まえた今後については、人事委員会における議論により、検討されていくものでございます。

大事なのは、業務委託先にありきではなくて中身
何を委託するのか、してはいけないのか


 原のり子 もちろん、人事委員会で検討して決めていくということだと思いますけれども、私は、人事委員会事務局としても、この勧告の内容を検討していく上で、やつばり大事なところを押さえておく必要があるというふうに思うんですね。
 大事なのは、業務委託先にありきではなくて中身ですので、今回の債務負担行為の出し方は業務委託前提なんですよね、この出し方というのは。でも、本当は中身をよく議論した上で、何を委託するのか、してはいけないのか、そういうことが十分に議論されなければならないのではないかと思います。議論の結果、どういうふうに対応するかが決まっていくというふうに思うんです。
 それで、念のためもう一度確認したいんですけれども、いまの時点で、どういう業務委託をするのか、あるいはしないのか、そういうことは決まっていないということで確認してよろしいですね。

 試験部長 試験の実施に当たりまして、会場借り上げやシステム運用、PRなどの試験の準備や、勧告を踏まえた今後の検討内容が対象となると考えております。

公平・公正な試験 個人情報の管理
業務委託は慎重に行われるべきです


 原のり子 いまの時点で決まっていないということで、私は確認をさせていただいたというふうに思います。もし違うということであれば、いっていただければと思いますが、試験は公平、公正に行わなければならないですし、極めて慎重に扱わなければならない個人情報も多く含むものです。
 さらに、先ほど指摘したように、公務員の在り方、自治体の在り方に関わる非常に重要な問題ですので、十分な検討が行われるべきであると、慎重にすすめるべきであるということをもう一度指摘をして、質問を終わります。よろしくお願いします。

質問する原のり子
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後ろは、福手ゆう子都議
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by hara-noriko | 2023-05-10 22:46 | 都議会 | Comments(0)

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