本会議一般質問から(1)障害者雇用   

都議会第3回定例会 本会議一般質問に立ちました
3つの柱で質問 1回目は障害者雇用について

 都議会第3回定例会の本会議(9月27日)で、一般質問に立ちました。質問の柱は、(1)障害者雇用について(2)学校プールの廃止と水泳指導について(3)都市農業振興について―の3つです。その柱に沿って、3回に分けて質問と答弁を紹介します。わかりやすくするために、一問一答形式にしました。最初は、障害者雇用についてです。

【原のり子のコメント】

 東久留米市において、地域の連携のなかで、超短時間の障害者雇用が進められていることを、ぜひ取り上げたいと思っていました。当事者のAさんのお話しにたくさんのことを学び、そのことをベースにしました。
 問題意識と得られた答弁は…
 (1)商工会が都の補助事業を活用して推進していますが、この補助事業を継続してほしいと思い質問。→「成果をあげている」と答弁した。
 (2)障害者雇用は、時間の長短だけではかるべきではない。また、一般就労や福祉的就労など、どの働き方も大事だ。→知事が、共生社会の実現が大切だと述べたうえで、福祉的就労への支援も含めてとりくんでいることに言及した。
 (3)生活訓練事業所の役割を明らかにしたい。→「障害者の地域での生活を支える役割を担って」いると意義を認めた。
 (4)余暇支援の場は精神障害の人たちにも、もっとつくられることが必要との問題意識で質問。→さまざまな障害の方へとの包括補助で支援すること、活用を働きかけていくことが答弁された。
 これらは、今後の足掛かりになる大事な答弁と思います。
 そして、何より私がいいたかったのは、この質問の最後の部分です。ぜひ、お読みいただければうれしいです。

【障害者雇用について】

一人ひとりの状況や思いを大事にした障害者雇用へ
統合失調症のAさんが働き続けることになったわけは

 最初に、一人ひとりの状況や思いを大事にした障害者雇用についてうかがいます。
 統合失調症で30代のAさんは、現在、東久留米市にある機械メーカーの工場で週3日、1日3時間働いています。Aさんの仕事は、機械部品の不要な突起物を取り除くバリ取りという作業です。今は、安定的に仕事をしていますが、ここに至るまでにはいろいろな苦労があったとうかがいました。
 大学卒業後、大手物流会社に就職しましたが、うつ病を発症します。その後、静養しながらもくりかえし、就労にチャレンジします。途中、統合失調症を発症し、障害者雇用で就職もしますが、心身ともに不調となって退職し、生活訓練事業所に通うことになります。
 生活訓練事業所で、日常の生活を大事にしながら、社会体験として、企業などの仕事を見学する会に参加します。これは、東久留米市商工会議所が都の地域人材確保総合支援事業を活用して、障害者やひきこもり経験者向けに実施したものです。そこで、バリ取りの作業をみて、ぜひやりたいと思い、3カ月間の就業体験をします。それがきっかけで、その後も、働き続けることになったのです。
 Aさんに、「仕事をしていて充実している、と感じるときはどういうときですか」とうかがうと、「私がバリ取りした部品が組み立てられている光景をみたとき。すごい仕事をしているんだとわかる」と話してくれました。社会に出て、たくさん苦労してきたAさんが、今やりがいを感じながら、社員の人たちと一緒に仕事をしていることに感動します。

地域人材確保総合支援事業
目的と実績は


 まず、質問1 東京都の地域人材確保総合支援事業の目的と実績をうかがいます。
 (注)地域人材確保総合支援事業について都は、ホームページで次のように説明しています。「地域の実情に応じて実施する、中小企業の人材確保に向けた区市町村等の自主自立的な取組の継続や、他の地域のモデルとなる先進的な取組を支援します。区市町村や商工会等へ補助金を交付し実施します」

 産業労働局長の答弁 地域での中小企業の人材の確保と定着についてでございますが、都は、地域の実情に応じた区市町村による中小企業の人材の確保や定着に向けた取り組みに支援をおこない、成果をあげているところでございます。

一人ひとりの状況や特性に応じた柔軟な働き方へ
事業を継続し希望する自治体がもれなく活用できるように

 質問2 この事業を活用することにより、一人ひとりの状況や特性に応じた柔軟な働き方が可能になり、障害者やひきこもり経験者をはじめ、生きづらさを抱えた方たちの選択肢が増えていくことが望まれます。これからも事業を継続し、希望する自治体がもれなく活用できるようにしていくことを求めますがいかがですか。あわせて、好事例を積極的に自治体に紹介することを求めます、いかがですか。

 産業労働局長の答弁 区市町村の雇用施策への支援についてでございますが、都は、地域の実情に応じ、中小企業の人材の確保や定着に向け取り組みをおこなう区市町村の希望に応じ支援をおこなっており、その事例はウェブで紹介しております。

障害者雇用で大事なこと
障害特性に応じて生きいきと仕事ができているか


 質問3 Aさんの労働時間は週9時間です。障害者雇用率制度にもとづく来年度からの短時間労働者の基準からすると、あと1時間足りません。しかし、雇用率を上げるために、あと1時間無理して延ばす、としていないことは重要です。障害者雇用において大事なのは、時間の長さだけで評価するのでなく、障害特性に応じて生きいきと仕事ができているかだと思います。見解をうかがいます。

 産業労働局長の答弁 障害者の働き方についてでございますが、都は、職場で働く障害者の方が、その状況に応じ仕事を適切にすすめることができるよう、専門家による支援をおこなっております。

障害者を支える各機関の連携と生活訓練事業所
「今後の人生を歩む上での気づきをした場所」


 Aさんの新たな挑戦を支えたのは、商工会、企業、就労支援相談室、生活訓練事業所などの連携の力。そして、生活訓練事業所の存在です。Aさんは、生活訓練事業所について、「今後の人生を歩む上での気づきをした場所」と話してくれました。一人ひとり違っていいんだと気づき、「早く働かなければ」という焦りから少しずつ解放され、生活を大事にする力をつけていきます。
 質問4 生活訓練事業所は2年間、事情により3年間通うことが認められます。生活訓練事業所で、自分を見つめ、暮らしや就労について学び、体験することができる、その重要性について、どのように認識していますか。

 福祉局長の答弁 生活訓練事業所は、障害者が自立した日常生活または社会生活ができるよう、生活能力の向上のために必要な訓練、生活等に関する相談および助言をおこなっておりまして、障害者の地域での生活を支える役割を担っております。

仕事をしたあとの余暇支援の場
補助率を引き上げて活用を広げるべきだ


 質問5 就労したあとも大切です。仕事のあとに立ち寄ってほっとできる、仲間と過ごせる余暇支援の場は、孤立せず、日々の生活を豊かにするために必要です。都の補助を活用して余暇支援を実施している自治体は少しずつ増えて現在15自治体と聞いています。障害種別にかかわらず、余暇活動の場を確保するために都の補助を活用できることをもっと周知するとともに、補助率を引き上げて活用を広げるべきではないでしょうか。都の見解をうかがいます。

 福祉局長の答弁 都は、さまざまな障害を有する方が就労後や休日に地域の人々と交流できる余暇活動の場を確保する区市町村の取り組みを、包括補助により支援をしております。また、こうした地域の実践を事例集にまとめまして区市町村に紹介するとともに、引き続き、事業説明会等の場におきまして包括補助の活用を働きかけてまいります。

一人ひとりに応じた働き方、生き方を保障してこそ
一般就労、長短時間雇用、福祉的就労…選択できることが大事


 戦後、日本では、障害者が働くことがあたりまえにならず、1960年代から、共同作業所が自主的に全国各地域につくられていきました。障害者の働きたいという願いの実現、そして、障害者を仕事に合わせるのでなく、その人にあった仕事をつくりだし、それを地域に根差して進める大事な役割を果たしてきました。こうした歴史もふまえ、
 質問6 障害者雇用は、一人ひとりに応じた働き方、生き方を保障するという観点が大事です。一般就労もある、超短時間の雇用もあれば、福祉的就労もある。どれも大切にされ、選択できることが大事だと考えますが、知事の見解をうかがいます。

 小池知事の答弁 誰もが障害の有無にかかわらず、職場や地域の中でともに暮らし、支え合う共生社会の実現が大切であります。都は、障害のある方が自分らしく働き、希望する地域で安心して暮らせるよう、障害者の雇用促進や福祉施設におけます就労支援など、さまざまな施策に取り組んでいるところでございます。

働けるか働けないかという物差しではなく
だれもが「生きていていい」と思える社会へ


 そして、根本的には、働けるか働けないかという物差しではなく、一人ひとりの存在そのものに価値があり、だれもが「生きていていい」と思える社会にしていくことが必要だと強く述べたいと思います。

【2023年9月 本会議一般質問】
(1)障害者雇用について
(2)学校プールの廃止と水泳指導
(3)都市農業振興 東京ビーフ・東京牛乳

毎週土曜日の夕方
東久留米駅前で定例の訴えを続けています
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by hara-noriko | 2023-10-08 23:19 | 都議会 | Comments(0)

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