本会議一般質問から(2)学校プールの廃止と水泳指導   

都議会第3回定例会 本会議一般質問に立ちました
3つの柱で質問 2回目は学校プールの廃止と水泳指導

 都議会第3回定例会の本会議(9月27日)で、一般質問に立ちました。質問の柱は、(1)障害者雇用について(2)学校プールの廃止と水泳指導について(3)都市農業振興について―の3つです。その柱に沿って、3回に分けて質問と答弁を紹介します。わかりやすくするために、一問一答形式にしました。2回目は、学校プールの廃止と水泳指導についてです。

【原のり子のコメント】

 私は子どものころ、「ドル平」を父から教わって泳げるようになりました。息つぎと力をぬくことを覚えると、確実に、難しくなく泳げるようになる体験をしました。速くは泳げませんが、長く、無理なく泳げる力はつきました。新日本スポーツ連盟の地域の水泳クラブにも参加し、毎年、海に遠泳に行ったり、大人になってからは指導員にもなり、夏の学校プールにも行きました。そうした経験からも、今、学校プールを廃止する自治体が出てきている中で、本当にそれでいいのか、ということを問いたいと思いとりあげました。
 今回のやりとりのなかでよかったのは…
 (1)プールを改築・新築する場合の国の補助が3分の1しかなく、都は補助をしていないため、区市町村の負担が大きい。都の支援を。と求めたところ、教育長が、国に補助率の引き上げを要請していると答えたこと。
 (2)学習指導要領にも、呼吸、長く泳げるようにする、安全確保のための背浮きなどがきちんと書かれていることが答弁され、学校の水泳指導は、民間のスイミングスクールの競泳を中心とした指導とは目的が違うことを明確にできたこと。
 (3)特別支援学校でも、楽しく水に親しむと同時に、水のなかでの基本的な動きを身に着けることが大事だと位置づけられていること。
 (4)スポーツ振興条例については答弁されませんでしたが、障害のある人達を含め、スポーツ振興を着実にすすめていくと答弁があったこと。
 これらの答弁は、今後の足掛かりになります。
 なお、質問のなかでも触れた共産党都議団の調査、「小中学校のプール廃止の検討状況と夏休み・地域への開放状況について」は、来週、記者会見で報告を予定しています。
 (注)ドル平…1960年代に、どの子も泳げるようにと、現場の教師たちが考案した泳法

【学校プールの廃止と水泳指導について】

私の体験から
学校プールは地域の財産


 学校プールの廃止と水泳指導についてうかがいます。
 私は、子どものころから、地域の水泳クラブに参加し、子どもから大人まで、障害のある人もない人も一緒に泳いでいました。お互いに教えあい、遊び、交流した経験はとても大きなものです。指導員になって夏休みの学校プールへも行っていました。学校プールは地域の財産だと実感しています。

学校プールの廃止がすすめられている
教育内容の後退につながらないか


 しかし現在、都内も含め全国的に学校プールの廃止がすすめられ、水泳の授業は民間スポーツクラブにバスで行き、民間インストラクターの指導により実施するなどの状況が生まれています。その背景には、国がすすめる公共施設等総合管理計画があります。公共施設の統廃合などを推進し、経済効率性が最優先されています。
 学校プールを廃止することで、教育内容の後退につながらないか、心配です。

東日本大震災 宮城県東松島市の中学校教師
「もっと学校の水泳指導を大事にしなければ」


 私は、東日本大震災で津波に見舞われた、宮城県東松島市の中学校で保健体育の教師をされていた先生にお話をうかがいました。「気づくと川の中にいた」という生徒が、水泳の授業で習ったことを思い出して、息をいっぱい肺にためてもぐり、がれきのないところで顔を出して助かったこと。一方、まだ泳げるようになっていない生徒が亡くなり、学校で泳ぎきらせたかった、教え子の命を守りきれなかった、もっと学校の水泳指導を大事にしなければと話してくださいました。

学校での水泳指導
命を守る指導は欠かせない


 学校での水泳指導は、呼吸法を身に付け、命を守れるようにすることが大事な目的で、競泳を中心とした民間のスイミングスクールとは目的が違います。
 学校プールをなくし、民間に指導も委託して、一人ひとりの泳ぐ力をきちんと把握できるのか。いざというときに命を守れるのか。臨海学校やキャンプ、川遊びなどの行事に支障をきたさないか心配です。私の地元、清瀬・東久留米では、子どもたちがたくさん川で遊んでいます。命をまもる水泳指導は欠かせないものです。

小学校5・6年生の水泳指導
どのように位置づけられているか


 質問1 学習指導要領では、小学校5・6年生の水泳指導の内容について、どのように書かれていますか。また、都教委(東京都教育委員会)としては、川や海で気を付けることや、命を守るために必要なことを、どのように指導していますか。都立の学校では、着衣泳などは実施していますか。

 教育長の答弁 学習指導要領では、小学校5・6年生の水泳指導の内容に、クロールと平泳ぎで長く泳ぐことや、安全確保につながる運動として、背浮きをしながら長く泳ぐことなどが示されています。
 また、都教育委員会は、安全な水泳指導のためのテキストを作成するとともに、水泳を担当する教員を対象とした講習会を毎年行っております。
 なお、着衣泳につきましては、各学校が実態に応じて実施をしております。

障害のある子どもたちにとっても重要
特別支援学校小学部の指導はどう位置づけられているか


 質問2 また、水泳は、全身運動として、そして精神面でも、障害のある子どもたちにとっても重要です。特別支援学校の小学部における水泳指導の内容について、学習指導要領には、どのように書かれていますか。

 教育長の答弁 学習指導要領では、発達の段階に応じて、水遊びを楽しくすることや水の中での基本的な動きを身につけることなどが示されています。

「みんなでしていた遊びなどが消えてしまった」
子どもの声を聞かずに廃止してはならない


 授業での水遊び、水泳は本来とても楽しいものです。どの子もたくさん経験できるようにすべきであり、学校プールの廃止で体験格差が生じてはなりません。学校プールを廃止し、指導を民間に委託した自治体のアンケートに「みんなでしていた遊びなどが消えてしまった」という子どもの声も寄せられていました。子どもの施設を子どもの声を聞かずに廃止してはならないのではないでしょうか。

学校プール廃止・統合、検討中は合わせて31自治体
「修繕のための財政的な負担が大きい」などの声が


 また、民間プールまでの移動に時間がかかり、子どもの負担になっていたり、ひとつの施設を複数の学校が使用するため、真冬に水泳授業をする学校があるなど、見過ごせない問題も生じています。
 日本共産党都議団で実施した都内区市町村に対する調査では、一部実施を含め学校プールの統合や廃止をすすめている自治体は11自治体。検討中は20自治体です。「老朽化が激しく、修繕のための財政的な負担が大きい」「維持管理の経費や人手の負担」などの声が聞かれます。

学校プールの改築、新築
国の補助をもっと拡充し、都としても支援を

 質問3 自治体が老朽化した学校プールを改築、新築しようとした場合、国が3分の1の補助を出しています。もっと拡充してほしいとの声があります。東京都としても、支援すべきではないでしょうか。

 教育長の答弁 老朽化した学校プールについてでございますが、公立小中学校の施設整備の経費は、原則として設置者である区市町村が負担することとされております。
 なお、都は、区市町村に対し、国の補助制度を活用し施設整備がすすめられるよう支援するとともに、国に対し、補助率の引き上げ等を要望しております。

夏の学校プール開放は32自治体 地域開放は25自治体
学校プールが減少すればこうした場が減ってしまう


 学校プールは地域スポーツの場としても重要です。
 私たちが行った調査では、子どもたちへの夏のプール開放は32自治体、地域開放は25自治体が実施しています。学校プールが減少すればこうした場が減ってしまいます。学校のプール開放がなくなり、市民プールは遠いので気軽に行けず、子どもたちの楽しみが奪われた事例もあります。

授業が公営プールで行われるようになった自治体
一般の方が入れる時間が制約される問題も


 また、学校の子どもたちの授業が公営プールで行われるようになった自治体では、一般の方が入れる時間が制約され問題になるなど、さまざまな矛盾が出ています。

スポーツ振興条例を制定し
だれもがスポーツを楽しめる環境をつくるべきです


 質問4 国際大会には力を入れる一方で、誰もがスポーツに参加できる環境が後退していくのでは本末転倒です。
 都として、スポーツ基本法にもとづく、都のスポーツ振興条例を制定し、障害の有無にかかわらず、だれもがスポーツを楽しめる環境をつくっていく必要があると思いますが、見解をうかがいます。

 生活文化スポーツ局長の答弁 都民のスポーツ振興についてでありますが、都はこれまでも、スポーツ基本法に基づき東京都スポーツ推進総合計画を策定するとともに、昨年には、スポーツを東京に一層根づかせるため、スポーツレガシービジョンを公表いたしました。
 こうした計画等に基づき、都立特別支援学校の体育館やグラウンドの活用などを含め、誰もが身近な地域でスポーツ活動ができるよう取り組んでまいりました。
 引き続き、都民のスポーツ振興を着実にすすめてまいります。

学校プール 廃止ではなく
水泳授業の場、地域スポーツの場として充実を


 学校プールは廃止するのでなく、管理などの教員の負担を軽減しながら、水泳授業の場、地域スポーツの場として充実することこそ求められていると主張します。

【2023年9月 本会議一般質問】
(1)障害者雇用について
(2)学校プールの廃止と水泳指導
(3)都市農業振興 東京ビーフ・東京牛乳

駅前で都政報告
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by hara-noriko | 2023-10-09 20:04 | 都議会 | Comments(0)

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