文書質問から(1)朝鮮学校への差別や偏見をなくすとりくみを
2023年 10月 14日
朝鮮学校への差別や偏見をなくすとりくみを推進すべきです
6月の都議会第2回定例会で提出していた私の文書質問に対して、東京都から答弁がきました。質問と答弁とを一問一答形式で紹介します。質問のテーマは(1)朝鮮学校の子どもたちの声に学び、差別や偏見をなくすとりくみを推進することについて(2)清瀬特別支援学校の校舎建て替えに伴う課題について―の2つです。テーマごとに2回に分けて紹介します。1回目は、「朝鮮学校の子どもたちの声に学び、差別や偏見をなくすとりくみを推進することについて」です。
【原のり子のコメント】
現在、都議会では、都民の方たちのはたらきかけにより、「都議会勉強会」がおこなわれています。超党派の都議が参加しています。朝鮮学校だけに補助金が停止されて13年間。この問題を一日も早く解決しなければと、都民のみなさんのとりくみがねばりづよく続けられています。そして、朝鮮学校の子どもたちが、こども基本条例を学び、東京都に意見を提出しました。総務委員だった福手ゆう子議員と私で、人権部と子ども政策連携室に提出する際、同席しました。今回はその事実の確認をとり、そこに書いてあった意見を質問のなかで紹介しました。補助金は、生活文化スポーツ局が所管になるので文教委員会での議論になりますが、こども基本条例はこども政策連携室、人権条例は総務局人権部が所管です。差別をなくす。誰一人とりのこさない。その考え方を確認することが、補助金再開のうえでも大事になってくると考え、質問しています。
なお、私は人権部に対して質問していますが、福手議員は子ども政策連携室に対して、文書質問をおこなっています。
【文書質問 朝鮮学校の子どもたちの声に学び、差別や偏見をなくすとりくみを推進することについて】
13年間も朝鮮学校への補助金が停止されている
政治的な理由で子どもを差別してはならない
13年もの長い間、都内に10校ある朝鮮学校だけに「私立外国人学校教育運営費補助金」が停止されています。きっかけは2010年、当時の石原知事が、拉致問題などをあげ、朝鮮学校が日本に敵意をもつような教育を続けているなら、という趣旨の発言をし、都議会で議論することを求めたことです。そして、あっという間に補助金は停止されてしまいました。この状態をこのままにしておくわけにいかないと、都民の方々が都に働きかけを続けてきました。現在、こども基本条例の学習をしながら、いっそう働きかけを強めています。また、私たち都議会にも声がかかり、勉強会が超党派で行われています。共産党都議団としても、第1回定例会で質疑をおこなっています。
文教委員会で(共産党の)とや英津子議員が質疑を行い、朝鮮学校では反日教育はされていないことを確認しています。政治的な理由をもって子どもを差別することはあってはなりません。
「誰一人取り残されることなく」―こども基本条例の位置づけ
都は議会答弁で「すべての子ども」「国籍は問わない」と明言
東京都は2021年、議員提案により、全会一致で「こども基本条例」を制定しました。そこには、「誰一人取り残されることなく」と位置付け、子どもの権利条約にのっとり子どもに対するあらゆる差別を禁止することが明記されました。(共産党の)福手ゆう子議員は、総務委員会において、こども基本条例の「こども」に朝鮮学校の子どもたちも含まれているか質問しました。それに対し、「すべての子ども」だと子供政策連携室から答弁がありました。
また、人権部も、人権を守る取り組みにおける対象をたずねた私の質問に、「人権尊重条例の前文では、東京に集う多種多様な人々の人権が誰ひとり取り残されることなく尊重されるとしており、国籍は問いません」と答弁しました。
一日も早く補助金を復活すべきであることが、ますます鮮明になっています。
朝鮮学校の子どもたち
都議や行政側に声を届ける
こうした中、朝鮮学校の子どもたちから都議や行政側に声が届けられています。子どもたちは、こども基本条例を学んで感じたことや、日本社会に生きていて感じていることを書いています。この声に学ぶことが大切であると考え、以下人権部に質問します。
(質問1)
朝鮮学校の子どもたちの声を、受け取っていますか。
(答弁1)
「都議会勉強会」実行委員会から「36名のこどもたちの声」と題する文書を受領しています。
「私たちを応援してくれる人もいる」
都は子どもたちの声に向き合うべきだ
中級部3年生の生徒の言葉を紹介します。
・「私たちが接する日本人の中には、私たちに対してイヤな感情を持っている人が多い」
・「現在も高校無償化や幼保無償化問題が続いていますし、スマホやネット上では、日本の人たちから私たち朝鮮学生に対する悪口や差別を受けている」
・「私たちは異国の地に生きながら、醜い偏見や冷たい視線、差別の嵐が吹きます。朝鮮だから、と日本の保育園、幼稚園でいじめられたり、道で朝鮮語で話しているだけで人々の目が鋭くなり、悪く言われるときもあります」
・「私はこれまで日本人というとあまりよくない偏見を抱いていました。試験期間、電車の中でハングルで書かれた教科書を使い勉強していたら、他の人からの視線を感じてしまったり、ミサイルの報道などで差別され心ない言葉を受けた生徒もいます」
・「私たちのまわりには、私たちに差別をしたり、私たちのウリマルを聞いて避ける人もいます」
・「ネット上では、私たちを差別する人が多いです」
人権尊重条例の前文では、「様々な人権に関する不当な差別を許さないこと」を明確にしています。それにも関わらず、朝鮮学校の子どもたちは、日常的に差別と偏見の中で生きているのです。胸が痛いです。そして、衝撃を受けたのは、都議会勉強会の都議のメッセージビデオを見て、自分たちのことを応援してくれる人もいるのだと一様に驚いていることです。こういう中で日々を過ごしているということは看過ごせません。日本社会において子どもたちの人権が保障され、のびのびと成長できるようにしていかなければなりません。「私たちを応援してくれる人もいるのだと知ってありがたかった。そして私は本当に幸せ者だと思ったし、朝鮮学校に通う朝鮮人として堂々と生きていかなければならないと思いました」…
この声に向き合うことが私たちに問われています。
子どもたちが受けている偏見や差別
都はどう認識しているか
(質問2)
そこでうかがいますが、日本に生きていて日常的に子どもたちが受けている偏見や差別についての認識をうかがいます。
(答弁2)
人権尊重条例では、東京に集う多様な人々の人権が、誰一人取り残されることなく尊重され、人権尊重の理念が広く都民等に一層浸透していくこととしています。
被害の相談や解決のための窓口はどこか
東京都人権プラザで相談を実施
(質問3)
子どもたちが偏見や差別による被害を相談し、解決にとりくむための都の窓口はどこになりますか。
(答弁3)
東京都人権プラザにおいて人権相談を実施しているほか、東京都
教育相談センターなど、子供が相談できる窓口を設置しています。
在日朝鮮人ということで差別されてはならない
法や条例ではどのように規定しているか
(質問4)
朝鮮学校の生徒、在日朝鮮人、ということで差別されることはあってはならないことですが、法や条例ではどのように規定していますか。
(答弁4)
ヘイトスピーチ解消法では、本邦外出身者に対する不当な差別的言動は許されないこととされており、人権尊重条例においても同法律に基づき、都の実情に応じた施策を講ずることにより、不当な差別的言動の解消を図るものとしています。
差別をなくす
都はどのようなとりくみをしているか
(質問5)
差別や偏見をなくしていくために、都としてはどのようなとりくみをしていますか。
(答弁5)
都は、人権尊重条例に基づき、都民等からの申出を受け、ヘイトスピーチと認められる表現活動の概要公表を行っているほか、啓発冊子や動画等を活用した広報、人権啓発イベントでの展示などを通じ、都民への啓発に取り組んでいます。
(質問6)
アイデンティティを大事にすることは権利です。人権尊重条例でも、個人の人権が尊重されるべきことが明記されていますが、具体的にどのような規定になっているのかうかがいます。
(答弁6)
人権尊重条例では、東京に集う多様な人々の人権が、誰一人取り残されることなく尊重され、人権尊重の理念が広く都民等に一層浸透していくこととしています。
補助金を停止したままでいること
差別を助長しているのではないか
補助金を停止したままでいることが、朝鮮学校を排除していることを正当化し、差別を助長しているのではないでしょうか。
都民への差別がないように
全庁でとりくんでいくことを求める
(質問7)
差別をなくす、人権を守る立場から、都の事業・施策における都民への差別がないよう全庁でとりくんでいくことを求めますが、いかがですか。
(答弁7)
都は、平成30年(2018年)に人権尊重条例を制定し、人権施策を実施してきました。引き続き、同条例に基づく取組を進めていきます。


by hara-noriko | 2023-10-14 14:29 | 都議会 | Comments(0)