小中学校のプールの廃止をめぐって記者会見
2023年 10月 19日
小中学校のプールの廃止の検討状況などについて
共産党都議団は10月11日、「小中学校のプールの廃止の検討状況と夏休み・地域への開放状況について」という記者会見を行いました。この調査は、都内すべての区市町村を対象におこないました。その結果をベースに、私が一般質問を行いました。その後、改めて調査結果を精査して記者会見で発表する運びになりました。
会見は、和泉なおみ幹事長、文教委員の斉藤まりこ政調副会長、文教委員のとや英津子議員、日野選出の清水とし子議員、私の5人が参加。和泉幹事長が司会、私が内容を説明しました。
8月、都議団として都内全区市町村の調査を実施
9月、私が本会議の一般質問で取り上げました
プール廃止問題は、葛飾区で動きが起こり、市民運動がねばりづよく続けられています。共産党都議団としては、2021年都議会第1回定例会で葛飾区選出の和泉幹事長が「水泳教育の意義と学校プールの重要性について」文書質問を行いました。その後、各地に廃止の動きが広がる中で、今年の8月に都議団として都内全区市町村の調査を行い、その結果をふまえ、9月に私が本会議一般質問を行いました。
背景に国の政策が
子どもの声を聞かずに進められている
今、学校統廃合の状況も深刻です。同時に、それと連動して、あるいはそれよりも先行してプールの廃止が進められている実態があります。この問題は、国が進める「公共施設等総合管理計画」が背景にあること、子どもたちの大切な施設であるにもかかわらず子どもの声を聞かずにすすめていること、学校教育のなかで子どもたちが習得すべきことが保障されるのか非常に心配であること、などいくつもの問題があります。調査結果をぜひ、ご覧ください。
専門家のコメントを会見で紹介
山本由美先生(和光大教授)と制野俊弘先生(和光大副学長)
今、この調査結果を専門家の先生方にも見ていただいていますが、記者会見では山本由美先生(和光大教授)と制野俊弘先生(和光大副学長)のコメントを紹介させていただきました。
山本由美先生のコメントは
「水泳教育が公教育の民間委託の突破口になっている」
学校統廃合問題、公教育のあり方などについて研究されている山本先生は、次のような重要な指摘をしてくださいました。
「水泳教育が公教育の民間委託の突破口になっている。子どもの成長・発達のための水泳教育、学校プールの必要性、子どもにとって必要な教育条件整備はいかにあるべきかという発想がない。学校体育に造詣の深い研究者を含む、子どもの発達の専門家の声が活かされるべきです」
「学校プール廃止に向けてすでに動いている自治体11、検討中20という事実に驚いた。また、計画されると速やかに実現されてしまい、子ども、保護者、地域の声が反映されていない。財政が豊かな都心部では屋内プール化が進んでいて、激しい多摩格差が明らかになった。教育格差は許してはならないと思う」
制野俊弘先生のコメントは
「無料で水泳ができる学校プールは極めて秀逸な日本独自のシステム」
体育教育学を研究し、保健体育科教員を養成されている制野先生は、次のような大事な指摘をしてくださいました。
「どこでも学校プールがなくなることに対して、子どもの声が無視されている。大人が子どもの楽しみを奪っていることは重大な問題。夏休みに昼食も食べられない子どもがいるなかで、プールにお金を出せない家庭があることも事実。無料で水泳ができる学校プールは極めて秀逸な日本独自のシステム。それを自ら手放すのは愚行」
「予算規模による自治体格差は公教育にとっては致命的。等しく教育を受ける子どもの権利は、自治体の財政状況にかかわりなく、保障されなくてはならない」
そして、子どもたちが校長先生にプールをなくさないでと言いに行ったということも起きていることを紹介し、こういう子どもたちを無視して教育するのですかと聞きたい、と。
記者から質問が
なぜ民間のプールで指導を受けることが悪いのか
記者からは、なぜ、民間のプールに行って民間のインストラクターから指導を受けることが悪いのか疑問、との質問が。
民間のスイミングスクールが悪いと言っているわけではない
学校教育の水泳と内容・目的が違う
私は、「民間のスイミングスクールが悪いと言っているわけではまったくなく、学校教育のなかで習得すべき内容・目的と、競泳を中心とした民間スイミングスクールは目的が違うということを指摘している。学校では、どの子も呼吸法を身に着け命を守れるようにすることが大事」と説明し、「学校プール廃止をすすめ、民間プールに出かけている子どもたちの負担が大きいこと、また、学校によっては、真冬に水泳授業をおこなうなどの問題も出ている」などの内容を話しました。和泉幹事長からも、葛飾の様子も含め説明しました。
区市町村のプール改築に都が財政支援を
広域自治体として改築できない事態をなくす
記者会見後も、数社から質問を受けました。今後のとりくみは、と聞かれましたが、まず東京都として区市町村がプールを改築しようとしたときの財政支援を求めていきたいです。私の一般質問に、教育長が国の補助をふやすように求めていると答弁しているので、国に求めるだけでなく、都は、広域自治体として区市町村の財政力の違いで改築できないということを生み出さないよう、支援していくべきとさらに求めていきたいと思います。
子どもたちにとって必要な教育を充実させる
そして、管理などについての教員の負担を軽減しながら、何よりも、子どもたちにとって必要な教育を後退させず、充実させることが大事ということを訴えていきたい、と思っています。
(左から)清水とし子議員、原のり子、和泉なおみ幹事長、
とや英津子議員、斉藤まりこ政調副会長


by hara-noriko | 2023-10-19 02:31 | 東京都政 | Comments(0)