総務委員会質問から 子ども政策の強化を   

都議会総務委員会で質問
少子化対策・子ども政策の強化


 9月に開かれた都議会第3回定例会。私は総務委員会(9月29日)で(1)少子化対策(2)都の子ども政策の強化―について質問しました。質疑の内容を順次紹介します。総務委員会での質問は、これが最後でした。今後は厚生委員として、厚生委員会で質問することになります。
 総務委員会質問の2回目は、子ども政策の強化についてです。

【原のり子のコメント】

 子どもの声を聞く、ということが位置付けられてきていることはとても重要です。しかし、聞き置くだけとか、大人の都合のよいときだけ聞く、というのではいけない。今回の答弁のなかで、各段階においてさまざまな手法で意見を聞くという答弁があったことは、今後の足がかりになると思います。子どもの意見表明権の保障は、大人の応答義務が果たされてこそだと思います。引き続き求めていきます。
 東京都では子供政策連携室ができ、各局の子どもにかかわる施策に横ぐしをさす、プロジェクトチームをつくるなどのとりくみが行われていることは大事ですが、具体的な課題を解決していくことが求められています。朝鮮学校の補助金停止問題や不登校問題などは、文教委員会マターですが、子供政策連携室の役割を発揮して解決に向けて具体的にすすめてほしいと切に思います。
 以下が質疑の内容です。

今あるものをなくす、あるいは変更する
そういうときにも子どもの意見を聞くべきです


 原のり子 次に、「チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針2023」について、うかがいます。
 子どもの意見を聞くということを位置づけていることは、とても重要だと思います。この意見を聞くということについて、うかがっていきます。
 まず、2ページには、都庁一丸となった子どもの意見を聞く主な取り組みが載っています。公園整備や地域公共交通の充実、まちづくりについてなど、意見を聞くことが紹介されていまして、これは大事だと思います。
 大事なのは、新たなものをつくるときだけではなくて、子どもに関わる今あるものをなくすとか、あるいは変更するとか、そういうときにも意見を聞くべきだと思いますが、見解をうかがいます。

 子供政策連携室プロジェクト推進担当部長 子供政策の推進に当たりましては、現状把握、企画立案、実行などの各段階で、さまざまな手法により子供の意見を聞くことが重要でございます。

 原のり子 各段階でさまざまな手法により子どもの意見を聞くというご答弁は、私は大事だというふうに受け止めました。

学校プールの廃止、バスケットゴールの取り外し…
子どもが知るのは変更された後 そんなことのないように


 原のり子 私、今回、一般質問でプールの廃止のことを取り上げましたけれども、ほかにも、例えば子どもたちに人気のあった公園がなくなってしまったり、苦情があるからといって突然、子どもたちが大好きだったバスケットゴールが取り外されたり、あるいは児童館がなくなったり、そういうことがあちこちで起きていまして、いつも子どもがそれを知るのは、大体変更された後なんですよね。私は、こういうことのないようにしていくことが本当に大事だと思っています。いつでも子どもたちを権利の主体だと認識して取り組むことが大事ではないかと思います。

大人の都合のよいときだけ意見を聞く
こういうやり方は最悪だ

 原のり子 大人の都合のよいときだけ意見を聞くというやり方は最悪ですので、東京都としては、子どもに関わる問題で大きく変更しようとするときは、きちんと意見を聞くということをぜひ実行するように強く求めておきたいというふうに思います。

意見を聞く場を拡大する、とあるが
どういうところで意見を聞いていくのか

 原のり子 また、意見を聞くという問題では、意見を聞く場をさらに拡大していくということを求めたいと思います。これは6ページにも書かれていますけれども、この方針の中にも今年度拡大していくということで書かれています
 今後、どういうところで意見を聞いていく予定か、うかがいます。

 プロジェクト推進担当部長 より多くの子供から多様な意見を聞くため、今年度、「こども都庁モニター」を創設し、子供の居場所におけるヒアリングの対象施設を拡大したところでございます。

 原のり子 大事なことだというふうに思っています。

社会的にマイノリティーの立場に置かれた子どもたち
意識的に聞き取りをしていただきたい

 原のり子 この方針にも、児童館、子ども食堂、日本語教室、児童養護施設、放課後等ディサービスなどとあります。日ごろ、なかなか意見を聞くことのできない、社会的にマイノリティーの立場に置かれている子どもたちには、意識的に聞き取りをしていただきたいというふうに思っています。

朝鮮学校の子どもたちの声
思いを裏切らないようにしてほしい


 原のり子 前定例会(2023年第2回定例会)の福手ゆう子議員(日本共産党)の文書質問でも取り上げていますけれども、朝鮮学校の子どもたちの声を子供政策連携室では受け取っています。「こども基本条例」を学んで、直接声を寄せている子どもたちの思いを裏切らないようにしてほしいですし、ぜひ直接声を聞いてほしいということをこの場では要望しておきます。

コロナ禍における子どもの状況
さまざまなデータの意味は?


 原のり子 2ページから16ページに書かれていますコロナ禍における子どもの状況について、さまざまなデータが掲載されていますが、その意味はどういうことでしようか。

 子供政策連携室企画調整部長 本年5月、子供の生活や心身に大きな影響を与えてきた新型コロナウイルス感染症が五類感染症に移行したところでございます。「子供政策強化の方針2023」では、こうした社会情勢の変化も的確に捉えながら、子供の意見やエビデンス(裏づけとなる客観的事実)を踏まえ、子供政策を弾力的にバージョンアップしていくこととしております。

 原のり子 このデータについては、今回の方針に盛り込まれているというのでなく、今後、政策をさらにバージョンアップしていくときの大事な資料にしていくということなんだというふうに受け止めました。

各種データ 丁寧な分析が必要だ
たとえば、マスクの着用について


 原のり子 お願いしたいのは、やはりそのときには丁寧な分析が必要だということなんです。特に、コロナは五類になったからといって、感染力が弱まったというわけではありませんし、現に今は第9波ともいわれているわけですよね。今、見えにくくされているだけで、コロナは終わっていないというのが大きな特徴です。精神論では乗り越えられない、そういう問題です。
 例えば、このデータの中にもマスクの着用についても資料があります。外さない子は、例えば神経質だとか、そのような一方的な判断などをされると、非常にまずいと私は思っているんですね。コロナが見えにくくなっている中で、子どもたちがさまざまな、その中でいろいろ学んだり、自分で気をつけたり、そういう中でいろんな判断を取っていると思いますので、そこをきちんと分析するということが必要だと思います。
 そういう中で、今後、政策のバージョンアップに、丁寧な分析の上、それらを活用してほしいということを求めておきたいと思います。

子どものコロナ後遺症
その資料をぜひ加えていただきたい


 原のり子 あわせて、子どものコロナ後遺症についての資料についてもぜひ加えていただいて、今後のバージョンアップの中の資料にしていただきたいと、これは要望しておきたいと思います。

日本語を母語にしない子どもの支援
ルーツやアイデンティティーが大事にされるべきです


 原のり子 次に、30ページからの推進チームによるリーディングプロジェクトの今後の政策強化の方向の中からいくつかうかがいます。
 まず、6番の日本語を母語にしない子どもの支援です。
 ここでは、日本語教育など日本に適応するように支援するということだけでなく、子どものルーツやアイデンティティーが大事にされるべきだと思いますが、考え方をうかがいます。

 企画調整部長 本年1月に公表した「こども未来アクション」では、多文化共生における母国文化等に触れるイベント創出について記載しております。
 また、「子供政策強化の方針2023」では、子供が自分らしく生きいきと活躍できる社会をめざすことを政策強化の方向としております。

母国文化や多文化共生に触れるイベント
日常的に大事だという認識をもっている、と

 原のり子 今、母国文化、多文化共生という言葉もあり、その点、改めて重要だと思います。
 ちょっと1つだけ確認させていただきたいんですけれども、今のご答弁の中で、母国文化や多文化共生に触れるイベントというふうにおっしゃっていましたよね。イベントだけではなくて、こういうことは日常的に大事だという認識を持っていらっしゃるということで確認していいか、うかがいます。

 企画調整部長 本年1月に公表した「こども未来アクショ」ン、また「子供政策強化の方針2023」におきましても、子供の多様性については重要視しているところでございます。

 原のり子 ありがとうございました。その重要性については認識をしていらっしゃるということで、確認させていただきました。

朝鮮学校への補助金停止が13年間も続いている
子どもの支援といいながら排除される子どもを出すとは

 原のり子 この問題、本当にたくさんの外国の子どもたちが来ている中で、本当に重要だと思っています。その中の1つですけれども、これも福手委員が3月の総務委員会で指摘していますけれども、先ほども触れました朝鮮学校の子どもたちは、自分たちの文化、ルーツを学びながら日本社会に生きています。一緒に私たちと生きている存在ですけれども、その環境を守り充実すること、また、学校への補助金停止が13年間も続いているという、本当にこれは改善しなければいけないと改めて思っています。
 そうしないと、今、日本語を母語にしない子どもの支援、大事だということで位置づけられているんだけれども、その中からも例外をつくる、排除されるという子どもたちを出してしまうことになってしまいます。

誰一人取り残さない
こども基本条例に沿うよう役割の発揮を

 原のり子 誰一人取り残さないという「こども基本条例」に、ますます沿わないようなことになってしまう。ですので、子供政策連携室は、連携の要として役割を発揮していただけるように要望しておきたいと思います。

不登校の子 多様な学びの場、居場所は大変重要
同時に、子どもたちが行きたくなる学校に変わる努力も

 原のり子 次に、8番の学齢期の育ちについてうかがいます。
 不登校の子どもたちが増えている状況に立って、多様な学びの場、居場所を支援していく、これは大変重要です。しかし、本当は学校に行きたいけれど行けない子どもたちの思いは、それだけでは救われないということもあると思います。子どもたちが行きたくなる学校に変わっていく努力というのが学校側にも求められていると思います。
 推進チームは、子供政策連携室、生活文化スポーツ局、福祉局、教育庁で構成しているわけですので、この記述の中に、学校も改善、発展する、変わっていくということがあっていいのではないかというふうに思いますけれども、見解をうかがいます。

 企画調整部長 学校教育法で定める学校の所管は、それぞれの設置者に係る関係局でございます。なお、関係局からは、引き続き不登校対策に取り組んでいくと聞いております。

学校に行けなくなることは自己責任ではない
学校がかわらなければならない課題もある


 原のり子 47ページには、在籍校との連携、教育ということも書かれているわけですよね。不登校の子どもたちが学校に行けなくなるということは、自己責任ではありません。一人ひとり違いはありますが、学校が変わらなければならない、そういう課題もたくさんあると思います。そこを曖昧にしないでほしいということを要望しておきたいと思います。

不登校の児童生徒が増え続けている
統計の中には特別支援学校の子どもは含まれているのか


 原のり子 また、不登校に関わって確認をしたいのですが、45ページに東京都の不登校児童生徒数の推移が載っています。2017年度は1万7650人だったものが、2021年度には2万7187に大きく増えています。
 この不登校の統計の中には、特別支援学校、特別支援学級の子どもたちは含まれているのか、うかがいます。

 企画調整部長 関係局に確認したところ、文部科学省が毎年行っている調査における不登校の人数は、特別支援学校は対象ではないが、特別支援学級は対象となっていると聞いております。

特別支援学校の子は不登校の統計に含まれていない
障害のある子どもたちが排除されないようにすべきだ


 原のり子 特別支援学校は含まれていないということですよね。特別支援学校で不登校になっている子どもたちがいることには、注目されていないのではないかと大変心配しています。不登校問題から障害のある子どもたちが排除されないようにすべきです。これを教育庁だけの課題にせず、プロジェクトできちんと位置づけて、把握してほしいと要望しておきたいと思います。

子どもの性被害
本年度の方針に位置づける必要があると思うが


 原のり子 最後に、子どもの性被害についてです。
 今定例会で多くの会派がこの問題を取り上げています。共産党都議団としても代表質問で取り上げました。「子供政策強化の方針2023」には、直接子どもの性被害についての記述はありませんけれども、本年度の方針に位置づける必要があると思いますが、いかがでしようか。

ワンストップ支援センターの増設
LINE(ライン)相談の実施


 原のり子 また、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターで相談等対応しているということですけれども、これも1カ所では足りない状況にますますなっていくのではないかと思います。
 さらに、自分が受けていることを被害だと認識できない場合もあって、子ども自身がどうなんだろうと思ったときに相談しやすい、例えばLINE(ライン)相談等も実施すべきではないかということなども、その中で提案もしたところです。
 改めて、この方針に位置づけ、強化することについてうかがいます。

 企画調整部長 本年1月に発表した「こども未来アクション」では、政策の柱のうち、誰一人取り残さない視点から子供へのサポートを強化の中に、性被害者への支援、性被害の未然防止を位置づけております。
 また、「子供政策強化の方2023」においても、政策の柱の1の中で、政策強化の方向として、さまざまな困難を抱える子供に寄り添い、一人ひとりの状況に応じた支援を強化としております。
 なお、東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターにおいて、子供やその保護者等も含め、24時間365日体制で電話相談を受け付けるなど対応を行っていると総務局から聞いており、本会議でご議論があったように、今後とも、すべての子供の人権が守られる社会の実現に向けて取り組んでいくこととしております。

子どもたちへの性加害の深刻さがある
取り組みをさらに強化してほしい


 原のり子 子どもの性被害の問題については、「未来アクション」で位置づけていることが大本になっているということで、答弁もあり、今後、強化していく方向性も今お話にありました。
 この間の子どもたちへの性加害の深刻さを考え、さらに強化をしていただきたいということを求めて、質問を終わります。

【2023年第3回定例会 総務委員会質問】
 (1)都の少子化対策は見直す必要がある

都議会総務委員会で質問
左は、共産党の福手ゆう子都議

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by hara-noriko | 2023-11-05 17:21 | 都議会 | Comments(0)

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