真の共生社会の実現をめざして   

真の共生社会の実現をめざす第17回東京大集会
知的・発達障害など6団体による実行委員会が主催

 去る8月26日、東京都社会福祉協議会知的発達障害部会、東京都発達障害支援協会、東京都手をつなぐ育成会、東京知的障害児・者入所施設保護者会連絡協議会、東京都自閉症協会、日本ダウン症協会の6団体による実行委員会主催の「第17回東京大集会」が開催されました。「真の共生社会の実現を目指して、障害当事者など多様な立場の方々からの問題提起を受けて、施策提言をしていく場」です。

障害当事者の発表、支援者の発言
都議会主要会派によるパネルディスカッション

 障害当事者の発表、支援者の発言、都議会主要会派によるパネルディスカッションがおこなわれました。共産党からは、私がパネリストとして参加しました。東京都社会福祉協議会のホームページに、当日の発言やパネルディスカッションの動画が紹介されています。障害当事者の方々の発表をご覧ください。パネルディスカッションでの私の発言は、前半が34分すぎ、後半が20分すぎです。

今年のテーマは、「生活の場の確保」
一緒に考えあうとても大事な場に


 今年のテーマは、「生活の場の確保」。障害者権利条約についての国連権利委員会からの勧告にもとづき、以下のようによびかけています。「生活の場の確保は、本人の意思のもと、多様な選択肢の中から自ら選択することができる生活の場を確保することであり、それを料とともに質を担保した行政施策としてつくりあげることです。そして、日中が集うと住まいが一体となった入所施設であったり、通所施設とグループホームの生活であったり、一人暮らしであったりなど、考えうる限りの多様な選択肢があってしかるべき」と提起しています。当日は、一人暮らしをしている当事者の方、入所施設に入っている方、さまざまな声を聞くことができ、一緒に考えあうとても大事な場になりました。ぜひ、当事者のみなさんの発表を聞いていただきたいです。
 以下、パネルディスカッションでの私の発言要旨を紹介します。

都議会主要会派によるパネルディスカッション
私の発言要旨

毎年楽しみにしている大会
障害をもっている方々が主人公の集会だから

 こんにちは。日本共産党都議団からまいりました、原のり子といいます。私は、北多摩第4、清瀬・東久留米地域から選出されています。よろしくお願いいたします。「第17回東京大集会」の開催、おめでとうございます。私も、毎年楽しみにしている集会です。なぜ、楽しみかといいますと、障害当事者の方々の発言を聞けること、障害をもっている方々が主人公の集会だからです。前回、前々回は、コロナのためオンライン集会でしたが、それでも、とても中身の濃い内容でした。
 今回は直接先ほど聞かせていただくことができました。6団体素晴らしい発言で、感謝を申し上げます。

みなさんの発言に学んだこと
本当にそうだと、胸にグッときて


 最初に、みなさんの発言から学んだ感想を述べます。
 *お仕事のこととお休みのことをくわしく話してくださり、健康で生きていきたいんだという話。とても重要なことだと思った。
 *生きてゆく権利があるんだ、との話。本当にそうだと、胸にグッときた。
 *入所施設の保護者の方の話。入所した子どもさんが、自分の思っていることを表現できるようになった、いやだと言えるようになった、と。これまでにない変化だと。
 *自閉症の方から感覚過敏の話を詳しく聞くことができ、とても勉強になった。
 *発達障害の方に伴走する支援員の役割も学んだ。障害ある人が体験できる機会が少ないと。改善するために議論していく必要がある。
 *バリアフリーの問題。
 *サポートと経験があれば、自分で選んで行ける、との発言、説得力があった。
 など…。

「生活の場の確保」というテーマ
国連障害者権利委員会からの日本政府への勧告に立って


 私は、6団体のみなさんの発言が、今日のテーマのすべてを語っているんじゃないかな、と思いました。ですから、私が何か言うことがあるのか、とちょっと悩みながらも、少しだけ私の考えも述べてみたいと思います。
 今回、「生活の場の確保」というテーマで、主催者のみなさんの説明に合った通り、障害者権利条約についての国連障害者権利委員会からの日本政府への勧告の意味について、障害者のみなさんが、どこで誰と生活をするのか、どういう選択をするのか、これは自由であり権利であると。このことが十分に保障されることが必要だと、それが勧告されているんだということに立ってのテーマ設定であると受け止めています。

この勧告は、国だけの問題ではない
東京都にも、区市町村にも努力していく責任がある


 大事なのは、政府に出されている勧告ですが、では国だけの問題かというとそうではないという点です。この間、権利に詳しい弁護士さんや障害者権利条約を深めている専門の先生方にもご意見をうかがってきましたが、この勧告は、自治体は関係ないということではないという点が大事です。
 ある先生は、「地方自治体も締約国の構成員として、条約の権利を実現する義務を負う。締約国とは『統治機構の総体』であり、国会・裁判所と中央・地方の政府で構成される」と述べています。そして、日本国憲法第98条で、締結した条約を誠実に遵守することを位置づけていること。また、自由権規約第2条に関して採択された一般的意見に、地方も含めてあらゆるレベルにあっても締約国の責任を引き受けるとなっていることを指摘しています。ですから、この集会で指摘している、一人ひとり違う多様な暮らし方を実現するために、選択できるだけの暮らしの場が必要だということについて、全く同じ方向での勧告が出された以上、東京都にも、区市町村にも努力していく責任があるということだと思います。
 ですから、この集会がテーマにしてずっと積み重ねてきたことは、大事なことだと改めて思います。

慣れ親しんだ地域で暮らせるように
身近な地域にもっと入所施設が必要


 それで、私が、強く思っているのは、それぞれの希望や障害特性を踏まえて選択できるようにするということです。つまり、国は地域移行を強調し、入所施設をつくらない方針ですが、こういう画一的なことはやめるべきです。慣れ親しんだ地域で暮らせるように、その地域に障害者支援施設を設置していくことはとても重要なことではないでしょうか。行動障害があって、グループホームに入れなかったというお話を聞くこともあります。そういう方が、地域の地域生活支援型入所施設に入ることができ、住み慣れた地域や実家からもほど近くというなかで落ち着いて暮らしています。一方待機している方、1400人ととても多くいます。やはり、身近な地域にもっと入所施設も必要です。都外施設14県44施設2901人の方が入られていますが、待機者は多いのが現実です。今、障害福祉計画の見直しが進められていますが、重い障害の方も、地域で暮らせるような計画にする必要があると思います。

安心して、生きいきと生活していくために大事なこと
1つめは、医療費の支援の拡充が必要だと思っています


 きょうの発表を聞いていて、安心して、生きいきと生活していくために大事なことがいっぱいあると思いましたが、そのなかで、2つだけお話ししたいと思います。ひとつは、最初の発表でもおっしゃっていた、「健康で生きていきたい、生活したい」というお話があって、健康を支えるということも本当に大事だと思いました。医療費の支援の拡充が必要だと思っています。東京都の障害者医療費助成制度では、愛の手帳3度4度の人が対象になっていません。健康を維持するために、たくさんの医療機関にかかっている方が少なくありませんが、大変な負担、3割負担になっています。「工賃で病院にいったらすぐなくなってしまった」と話してくれた方もいます。「ある方は、お父さんもお母さんも大病を患い、障害をもった娘さんもコロナ禍で具合が悪くなり、1年間で娘さんだけで大変な医療費になった」と涙ながらに話してくださった方もいらっしゃいます。「がまんして病院にいかないようにしている」という声も聞かれます。いま、都議会ではこの医療費への支援の拡充を求める陳情が全会一致で継続審査になっていますので、一日も早く改善を進めたいと思います。

安心して、生きいきと生活していくために大事なこと
2つめは、余暇支援の場を地域にたくさんつくること


 もうひとつは、余暇支援の場です。仕事のあとほっとできる場、仲間とともに余暇を楽しむということを地域で保障していくことが必要です。放課後等デイサービスを卒業したあと、そういう場がなくなります。ある余暇支援の場でお話をうかがうと、ここに来るとほっとする、みんなと好きなことをやれて楽しいと話してくれました。こういう場を地域にたくさんつくれるように、東京都の支援を強めていけるように取り組んでいきたいと思います。

受診控えがとても多い
命にかかわる問題 必要な医療が受けられるようにする


 ≪2回目の発言では、司会の方から、障害者医療費助成に着目しての投げかけがあり、以下のような内容を発言しました≫

 集会のアピールでも健康の問題が指摘されています。どこに住んでいても、都民として必要な医療が受けられるようにする、と。今胸が痛むのは、受診控えがとても多いことです。お金がかかるので病院に行かないようにしている、と。3回行くべきところ1回にしているとか。命にかかわる問題なので、どうしても急ぐ必要があると思います。

かかることのできる医療機関が少ない
差別なく誰もが安心して医療を受けられるようにする


 もうひとつは、かかることのできる医療機関が少ないという問題です。どこへ行っても安心して医療を受けられるかといったら、そうはなっていない。差別発言で傷つけられたというお話もうかがって、都議会で質問をしたこともあります。生理不順で病院にいったら、子どもを産むわけじゃないからいいだろう、とお医者さんに言われたという話があり、放っておけないな、と思い議論しました。東京都もあってはならないことということで発言しました。改めて、医師会の先生方や都立病院機構などにもお願いしていく。差別なく誰もが安心して医療を受けられるようにする。このことをすすめたい。
 そして、医療的ケアが必要な方々は、医療を受けること自体、さらに狭き門です。今、都立病院は独立行政法人化(独法化)されました。私たちは、独法化せず直営で、と求めましたが。ただ、約束として、障害者医療など行政的医療は後退させないと東京都は言いました。そうであれば、こういうところはしっかり約束を守り、障害者のみなさんがお金の心配なく、安心して差別も受けず医療を受けられるように、さらに議論をして求めていきたいと思っています。

秋の川面とヒドリガモ
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色づいた葉とカワセミ
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by hara-noriko | 2023-11-10 23:25 | 活動日誌 | Comments(0)

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