都議会厚生委員会質問(6)市販薬の過剰摂取などの依存症対策   

福祉局に質問
依存症対策 悩んでいる人に届く施策を


 昨年11月、都議会厚生委員会で質問しました。7日は保健医療局の、16日は福祉局の仕事の内容(事務事業)について。その内容を順に紹介しています。すでに保健医療局への質問5回分を掲載しました。福祉局に対しては(1)障害者医療費助成制度(2)依存症対策(3)摂食障害の治療支援―の3つの課題で質問しました。
 福祉局質問の1回目(厚生委員会質問の6回目)は、市販薬の過剰摂取などの依存症対策です。悩んでいる10代・20代の人に届く施策の必要性を訴えました。

【原のり子のコメント】

 誰にも相談できない、どこに相談したらよいかわからないまま、市販薬OD(オーバードーズ=過剰摂取)で悩んでいる子ども・若者に届く支援はどうあるべきか、質問しました。その前提になるのは、子ども・若者に対する見方です。心が弱い人たち、特別な人たち、という見方が世間にありますが、そういう自己責任的な見方を変える必要があると強く思います。今回の質問でまだまだ深め切れていないことは、引き続き取り組みたいと思います。また、多摩地域には依存症の相談をできる場所が少ないこと、精神保健福祉センターや保健所をふやす必要性についても触れました。今後さらに調査していく予定にしています。

『市販薬・処方薬の乱用・依存』
精神保健福祉センター発行のリーフはどう活用されていますか


 原のり子 依存症対策について、うかがいます。まず、先日、保健医療局の事務事業質疑で質問した市販薬OD(オーバードーズ=過剰摂取)について、うかがいます。
 昨年、精神保健福祉センターでは、『市販薬・処方薬の乱用・依存』というリーフレットを発行していますけれども、どのぐらい、どこで配布、活用されているのか、うかがいます。

 福祉局障害者医療担当部長 令和4年(2022年)3月、リーフレットを1万部発行いたしました。区市町村や学校関係者に送付するとともに、来所者等に配布して普及啓発をすすめております。

 原のり子 このリーフレットは、理解しやすいように工夫されていると同時に、大事だと思ったのは、回復できるということを打ち出しているという点だと思っています。ぜひ普及をしていっていただきたいというふうに思います。

リーフレットをさらに充実させて
広く普及することを求めたい


 原のり子 国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦薬物依存研究部長らが行った全国の精神科医療施設における薬物関連精神医療実態調査によると、薬物依存の10代の65%が市販薬だということが明らかになっています。そうした状況から考え、10代、20代の若者の苦しさに着目してリーフレットをさらに充実をさせ、広く普及することを求めますが、いかがですか。

 障害者医療担当部長 10代や20代の若者に対して、今後も、保健医療局と連携しながら、普及啓発、相談等を実施してまいります。

いまを生きる若者に寄り添う工夫を
カギは、どうしたら信頼できる人と出会えるか


 原のり子 10代、20代の人たちにアプローチするには、いま出されているリーフレットをさらに充実させるのがいいのか、それとも別につくるのがいいのか、どのようにすれば届きやすいか、ぜひ検討していただきたいと思います。また、いまを生きる若者の苦しさに寄り添った発信をする場合、SNSを活用するなどの工夫も一層必要だというふうに思います。カギは、どうしたら安心して相談できるところへつながるか、信頼できる人と出会えるかだと思います。

市販薬過剰摂取 回復できることを伝え
相談できる連絡先を薬剤師さんから渡すことができないか


 原のり子 保健医療局の質疑のときに、薬剤師さんとの出会いで市販薬ODについて相談でき、手放すことができた20代の方のケースを話しました。そして、乱用のおそれのある薬の規制がすすめられているなか、悩んでいる10代、20代の人たちが薬局やドラッグストアに行ったときに、相談にのれるような対策が大事であること、そのために、人目を気にせず話ができるような環境づくりも必要ではないか、と指摘をしました。
 ぜひ、市販薬ODについて正しい理解を広げ、回復はできるということを伝え、そして、安心して相談できる連絡先をチラシなどにして薬剤師さんから渡すなどの取り組みを局連携で取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。

 障害者医療担当部長 市販薬・処方薬の乱用・依存について、引き続き保健医療局と連携し、保健所や保健センター等、相談先の周知等、取り組みをすすめてまいります。

 原のり子 ぜひすすめていっていただきたいというふうに思います。

依存症の種類・定義は
アルコール、薬物、ギャンブルなどやめたくてもやめられない状態


 原のり子 次に、依存症対策全般と精神保健福祉センターに関わる問題について、うかがいます。まず、依存症の種類および定義について、うかがいます。

 障害者医療担当部長 厚生労働省の資料によりますと、特定の物質や行為、過程に対して、やめたくてもやめられない、ほどほどにできない状態を依存症とされております。代表的なものに、アルコール、薬物、ギャンブル等がございます。

いくつもの依存症をかかえている人もいる
依存症が悪化していくケースも指摘されている


 原のり子 特定の物質や行為、過程といわれたように、依存症の幅は非常に広く、1つだけではなくいくつも抱えている人も多いです。依存するものが変わりながら、何とか生きているという方も多いです。
 先ほど触れた松本俊彦医師は、依存症の人は上手に依存できない人だと指摘をされています。人は誰でも誰かに頼ったりしながら生きているものです。でも、それが上手にできないということです。学校でいじめにあっていても、親を悲しませてはいけないと考えて、休まず、薬を飲んででも登校する。親からは期待が強く、そのことを裏切れないから、家でも本当の自分を出せず、甘えられないなどの状況のなかで、依存症が悪化していくケースなども指摘されています。

強く生きることを求めるメッセージではなく
本人や家族が安心して相談できる環境を整えていく


 原のり子 競争社会、格差社会のなかで、いまを生きる子どもたちの困難さは厳しさを増しているともいえると思います。依存せずに強く生きていくことを求めるようなメッセージではなくて、本人、また、家族が安心して相談できる環境を整えていくということがとても重要だと思います。

重要な役割を果たす精神保健福祉センター
相談件数の推移、特徴、誰からの相談ですか

 原のり子 そのためにも、重要な役割を果たす精神保健福祉センターの充実について質問をしていきたいと思います。
 まず、センターがどのような役割を果たしているかについて確認をしたいと思います。都の精神保健福祉センター3カ所それぞれでの依存症についての相談件数、その推移、特徴をうかがいます。また、誰からの相談なのか、内訳をうかがいます。

 障害者医療担当部長 都は、都内3カ所の精神保健福祉センターで、電話や面接等により依存症の相談を受けており、令和4年度(2022年度)の相談実績は、中部総合精神保健福祉センターで2160件、多摩総合精神保健福祉センターで992件、精神保健福祉センターで1235件でございます。
 相談件数の合計は4000件から5000件で推移しておりまして、依存症の種類別では、アルコールは横ばい、薬物関連は減少傾向にある一方で、ギャンブル等は増加傾向にございます。
 相談は本人や家族からのものが多く、このほか、保健所や福祉関係者からの相談も多いです。

 原のり子 ありがとうございます。状況が分かりました。

依存症回復支援、再発予防のプログラム、依存症家族教室
利用人数の推移はどうなっていますか

 原のり子 精神保健福祉センターでは、相談だけではなく本人や家族を直接支援していますけれども、その主な事業についてもうかがいたいと思います。まず、依存症回復支援、再発予防のプログラム、依存症家族教室の利用人数の推移はどうなっていますか。

 障害者医療担当部長 都内3カ所の精神保健福祉センターにおける依存症再発予防プログラムの延べ参加者数は、令和4年度(2022年度)、1008人でございます。依存症家族教室の延べ参加者数は、令和四年度、1099でございます。いずれも令和2年度(2020年度)以降、増加傾向にございます。

 原のり子 増加傾向だということです。

思春期、青年期本人グループ、家族教室
ひきこもり支援の利用人数の推移と特徴は


 原のり子 また、センターでは、依存症に関すること以外にも大事な活動をしています。その1つとして、ひきこもり支援として実施をされている思春期、青年期本人グループ、家族教室の利用人数、その推移、特徴をうかがいます。

 障害者医療担当部長 都内の精神保健福祉センターにおける、思春期、青年期本人グループの参加人数は、令和4年度(2022年度)、のべ239人でございます。家族教室の参加人数は、令和4年度、238人でございます。参加人数は、いずれも200人から300人台で推移しております。

デイケア利用者数
多い市町村の上位3カ所、利用者数は


 原のり子 センターでは、ほかにもデイケアや、また、公開講座など、大事な活動を行っています。市町村や保健所への支援なども行っています。そのなかで、本人や家族が通う必要があるものについては、アクセスのしやすさが重要になってくると思います。そのことに関してうかがいますが、デイケアの利用者数が多い市町村の上位3カ所、それぞれの利用者数をうかがいます。

 障害者医療担当部長 デイケアの利用者数が多い市町村は、令和4年度(2022年度)の実績で、多い順に、八王子市、多摩市が各13人、町田市、11人でございます。

多摩総合精神保健福祉センターの支所
西多摩地域につくってほしい

 原のり子 いま、ご答弁にありましたこの3市で、多摩のセンター(多摩総合精神保健福祉センター=東京都多摩市)のデイケア利用者数の6割近くになります。やはり実施しているセンターのそばの人たちが多く利用しているということだと思います。多摩地域の場合は地域が広く、しかも保健所も少ないです。センターに気軽に通える距離ではない地域も多くあります。多摩総合精神保健福祉センターの支所を西多摩地域につくることを、共産党都議団としてはこれまでも提案してきました。検討を求めますが、いかがですか。

 障害者医療担当部長 精神保健福祉センターは、精神保健福祉法等の規定に基づき、都道府県及び政令指定都市が設置をしております。都を除く道府県及び政令指定都市では、すべて1カ所設置しているなか、都では、区部の2カ所と、多摩地域には多摩総合精神保健福祉センターを設置しております。
 今後とも、保健所及び市町村とも連携をしながら、精神保健福祉に係る業務を行ってまいります。

体制強化は真剣に検討すべきです
オンラインで参加できるなどの工夫はできませんか

 原のり子 区部に2カ所、多摩に1カ所ということですけれども、やっぱり、この多摩の広さを考えれば、本当にセンターに行って相談したくても、また、デイケアなどを利用したくても、距離がその行動しようと思う場合の障害になっているんじゃないかと思うんですね。センターの支所の設置、また、保健所の増設や体制強化は、やはり真剣に検討すべきではないかというふうに考えます。
 その検討をすすめつつ、いま、現時点でもできる改善をすすめていただきたいと思っています。
 センターがやってくださっている事業の内容によっては、可能なものはオンラインで参加できるようにするなどの工夫はできないでしようか。

 障害者医療担当部長 相談等を対面で行うことにより、本人または家族の状況等をより正確に把握し、実態を踏まえた相談等を行うことができることから、対面実施を基本としております。なお、依存症支援者研修や依存症対策普及啓発フォーラムについては、オンラインで実施しております。

講師の講演をオンラインで見られるようにする
検討していただけないか


 原のり子 オンラインで実施をしている部分もあるわけですよね。公開講座なども行われていて、参加したくても現地までは行けないという声もあります。申込制になっているんですよね。それで、やっぱり現地まで行かなくても、例えば講師の講演をオンラインで見られるようにするなどの工夫はできないのかなというふうに思うんですが、検討していただけないでしようか。いかがでしようか。

 障害者医療担当部長 相談等を対面で行うことにより、本人または家族の状況等をより正確に把握し、実態を踏まえた相談等を行うことができることから、そのため対面実施を基本としております。なお、依存症支援者研修や依存症対策普及啓発フォーラムについては、オンラインで実施しております。

 原のり子 ちょっと同じ繰り返しだったんですけれども、ぜひ検討してくださいとお願いをしておきたいと思います。本当にいい内容の講座もあって、これが本当にそこまでは行けないけれども、オンラインで見ることができたらという声が寄せられていますので、ぜひお願いします。

LINE相談の実施も必要ではないか
啓発資料の充実も検討すべきです


 原のり子 そして、同時に、10代、20代の人たちが相談しやすくするためにはLINE(ライン)相談なども実施するというような検討も必要になってきているのではないかというふうに思います。
 依存症の正しい理解を広げることが、早く治療につながる助けになります。そうした啓発資料の充実についても検討すべきと思いますが、いかがですか。

 障害者医療担当部長 これまでも、依存症に関するリーフレットを作成、適宜更新するとともに、「こころの健康だより」においても依存症の特集記事を掲載してまいりました。また、都ホームページにおいても最新の情報を掲載するなど、普及啓発に努めております。

10代、20代の悩んでいる人たちに届くもの
これがやっぱり必要です


 原のり子 依存症のリーフレットも、とても分かりやすいものだというふうに思っています。ただ、依存症の背景にある、生きていく上での苦しさを抱える方に働きかけるという点では、改善の余地もあるのかなというふうに思います。
 とくに、10代、20代の悩んでいる人たちに届くもの、これがやっぱり必要だなと、この点でも思っています。それを別につくる必要があるのか、また、検討が必要なのではないかと思います。また、先ほどもLINE相談のことをいいましたけれども、やっぱり10代、20代の人たちが相談の一歩を踏み出せるような、いろんな形でのアプローチを考えていくことが必要だということを指摘しておきたいと思います。

【昨年11月の厚生員会質問】

(1)保健所の体制強化
(2)保健所での障害者健診 充実・継続を
(3)多摩北部医療センターの充実急いで
(4)感染症対策の強化を
(5)市販薬の過剰摂取 悩んでいる人に寄り添った支援を

フキノトウ
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by hara-noriko | 2024-02-26 23:11 | 都議会 | Comments(0)

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