都議会厚生委員会質問から(5)医療型障害児入所施設   

都議会厚生委員会で質問
都外にある医療型障害児入所施設への支援


 都議会第1回定例会の厚生委員会で質問に立ちました。今回から3月18日の福祉局への質問を順次紹介します。テーマは、▽医療型障害児入所施設について▽社会的養護の施設等について▽困難な問題を抱える女性への支援―の3つです。今回は、医療型障害児入所施設を取り上げ、都民が利用する都外の施設に一日も早く支援してほしい、と訴えました。

【原のり子のコメント】

 医療的ケアが必要なお子さんが利用できる都内施設は本当に少ない、ということ。そのため、都外施設に入っているお子さんも多いこと。それなのに、東京都として都外施設に対する支援が公平に行われていないこと。…さまざまなことがわかりました。実際にカリヨンの杜を視察させていただき、すべての子どもが命を守られ、発達を保障されることの大切さを実感しました。そして、石原都政以来切り縮められてきた福祉を小池都政は継承している、変えようとしていない、ということも実感です。
 東京の子どもたちを受け入れてくださっている都外施設に、公平に支援を行うよう、とりくんでいきます。視察を受け入れてくださったカリヨンの杜、また、同行してくださった榎本なお蓮田市議に心から感謝申し上げます。

医療型障害児入所施設
自閉症児、肢体不自由児、重症心身障害児が対象


 原のり子 初めに、医療型障害児入所施設について、うかがいます。
 医療型障害児入所施設は、自閉症児、肢体不自由児、重症心身障害児が対象で、手帳の有無は問わず、児童相談所、保健センター、医療機関などで療育に必要性が認められた児童が対象です。

都内の施設数と入所児童数は
都内の児童を受け入れている都外の施設数と入所数は


 原のり子 まず、医療型障害児入所施設について、都内の施設数と入所児童数、また、都外で都内からの児童を受け入れている施設数と入所児童数をうかがいます。

 障害者施策推進部長 都内の医療型障害児入所施設に入所している児童数は、令和5年(2023年)4月1日時点で8施設104名でございます。
 都外の医療型障害児入所施設に都内から入所している児童数は、18施設46名でございます。

かなり都外施設で受け入れてもらっている
サービス推進費が出ている施設と出ていない施設の数は


 原のり子 かなり都外施設で受け入れてもらっているということですよね。
 では、都外施設でサービス推進費が出ている施設、出ていない施設はいくつずつですか。

 障害者施策推進部長 都外の医療型障害児入所施設について、民間社会福祉施設サービス推進費の補助対象となっている施設は3施設であり、補助対象となっていない施設は15施設でございます。

圧倒的に補助対象外 そのわけは
サービス推進費の額はいくらか


 原のり子 圧倒的に対像外となっているわけです。
 補助対象とならない理由は何でしようか。また、サービス推進費はいくらか教えてください。

 障害者施策推進部長 平成8年(1996年)5月に、障害者施策について調査、審議する東京都障害者施策推進協議会から、入所施設について、今後は住み慣れた地域で生活し続けたいとする本人や家族の希望選択を最大限尊重するという観点から、第一義的には都内での設置を促進していかなければならないという提言を受けました。
この提言を踏まえ、都外の入所施設について、平成10年度(1998年度)以降、新たな施設整備を行わない方針とし、運営費を対象とするサービス推進費補助においても、平成12年(2000年)1月の制度創設以降、新たな施設は対象としておりません。
 都外の医療型障害児入所施設に関し、主として重症心身障害児を入所させる施設のサービス推進費の基本単価は、児童1人につき月額6万7300円でございます。

障害者推進協議会の提言を根拠にしているが
都外施設にサービス推進費を出すのをやめるとは言っていない


 原のり子 今ご答弁で、障害者推進協議会の提言を根拠にされているんですけれども、提言は、第一義的には都内の設置を促進と述べているのであって、都外施設にサービス推進費を出すのをやめることを提言しているわけではないと思うんです。あたかも協議会から求められているようにいうのは、やめるべきではないかなと私は思います。

都内施設が足りないから都外を利用している
新たな施設には出さない、という線引きがおかしいのではないか


 原のり子 実際に都内施設が足りないために都外施設を利用しているわけですから、新たな施設にはサービス推進費を出さないという線引きがおかしいのではないかというふうに思います。
 実際に都内からの児童を受け入れてくれている施設には、サービス推進費を出すべきで はないでしょうか。うかがいます。

 障害者施策推進部長 繰り返しになりますが、平成8年(1996年)の東京都障害者施策推進協議会の提言を踏まえ、当該の入所施設につきまして、平成10年度(1998年度)以降、新たな施設整備を行わない方針とし、運営費を対象とするサービス推進費補助においても、平成12年(2000年)1月の制度創設以降、新たな施設は対象としてございません。

都内施設だけでは足りない その責任は東京都にある
都外施設にしわ寄せがいくのはおかしい


 原のり子 ですから、それがおかしいのではないかというふうに思うんです。
 都内施設だけでは現状足りないわけですよね。その責任は東京都にあるのに、利用させてもらっている都外施設にしわ寄せが行くのはおかしいし、申し訳ないことだと私は思います。
 先ほどのご答弁にあったように、サービス推進費の基本単価は月6万7300円ということですから、1人のお子さん、年間80万7600円になるわけですよね、これだけ見ても。もし施設で5人受け入れれば、403万8000円、10人受け入れれば807万6000円になります。すごく大きいわけです。
 他県では、千葉県などは補助を出すとなっています。

子どもたちを助けようと思って受けてくださっている
それなのに補助を出さないとは、あり得ない。是正すべきです


 原のり子 子どもたちを助けようと思って受けてくださっているのに補助を出さないというのは、あり得ないと思います。是正すべきではないでしようか。

都は入所施設をつくる予定はないのか
今後も都内で受けられない場合はどう対応するのか


 原のり子 都は入所施設をつくる予定はないのでしようか。ないとすれば、今後も都内で受けられない場合はどのように対応していくのか、うかがいます。

 障害者施策推進部長 都は現時点で、医療型障害児入所施設を新たに整備する予定はございません。
 都は、重症心身障害児等が地域で安心して暮らせるよう、日中活動の場である通所施設の整備を促進するとともに、一時的に家庭での療育が困難になった場合に施設等に短期間入所できる病床を確保するなど、在宅支援サービスの充実に取り組んでおります。

入所が必要なお子さんは必ずいます
都の財政力があればできることではないか


 原のり子 先ほどから引用されている提言には、第一義的には都内の設置を促進とあるわけですけれども、今ご答弁にあったように、新たに入所施設を整備する予定はないということですよね。
 その分、地域で暮らせるように在宅支援サービスを充実させるとおっしゃっているんですけれども、でも入所が必要な子どもさんは必ずいますよ。これからも必ずいるわけです。
 都内に整備する予定がないなら、入所が必要なお子さんはこれからも都外の施設を利用させていただくことは必ず出てくるわけです。
 また、現在入っている子どもさんは、入所している間ずっと当然ながらお金をかけているわけです、施設では。
 今、サービス推進費の対象外になっているお子さんは、先ほど提出していただいた資料によれば38人ということです。
 もし、サービス推進費の対象になっていれば、年間3000万円強、東京都から支出をされるんですよね。施設にとって非常にこれは大きいことです。
 大きいんですけれども、東京都の財政力からすれば十分にできることではないかというふうに思います。

都内の子どもたちを受け入れた都外施設
サービス推進費の対象にするよう改善を


 原のり子 どの都外施設でも、都内の子どもたちを受け入れてもらった場には、サービス推進費の対象にするように改善を求めたいと思います。
 もう一度聞きます。検討を求めますが、いかがですか。

 障害者施策推進部長 繰り返しでございますが、現在、サービス推進補助において、 平成12年(2000年)1月の制度の創設以降、新たな都外施設は対象としてございません。

さいたま市のカリヨンの杜を視察
一人ひとりの成長、発達を保障していく大事な場


 原のり子 繰り返しの答弁でとても残念なんですけれども、でも本当に検討していただきたいというふうに強く求めておきたいと思います。
 先日、里吉都議と一緒に、共産党都議団としてさいたま市にあるカリヨンの杜(医療型障害児入所施設)を視察させていただきました。ここでは10人の都内の子どもたちを受けてくださっています。その10人の子どもたち全員を一人ひとり紹介してくださったんです。
 まず最初にお会いしたのは、これからお昼ですといって、テーブルの周りに車椅子で集まっている3人のお子さん方でした。お昼ですといっても胃瘻(いろう)なんですけれども、そこから栄養をこれから注入してお昼なんだということでテレビを見ていました。その中のあるお子さんは、顎がないために口から食べることはできないんだという、そういうお話なんかも聞きました。
 でも、生活リズムを大事にして楽しい時間を一緒に過ごすそうという雰囲気とか、また、職員の皆さんの本当に温かい声かけがとても印象深かったです。
ほかにも、べッドサイドで学校の先生と勉強しているお子さんもいらっしゃいました。
 また、もっと重度になると、ずっとべッドで横になっている状態のお子さん方も多くいらっしゃいました。
 でもスタッフの方々が本当に声かけしながらサポートしていたんですけれども、理事長の先生が一人ひとり紹介をしてくださりながら、この子はとても成長したんですよということをいってくださるんです。
 私はどんなに重い障害をもっていても、一人ひとりの成長、発達を保障していく、本当に大切な場だというふうに思いました。
 ですから、この10人の子どもたちがここの施設で受け止めてもらえて本当によかったなと、行き場がなかったら大変なことになっていたなというふうに思ったんです。

どの子どもたちにもふさわしい場所が用意されるべきです
子どもが行き先がなくて困るようなことはあってはならない


 原のり子 どの子どもたちにもふさわしい場所がきちんと用意されるべきで、都としても、どの子どもも取り残さないように対応してほしいというふうに思います。
 医療型の施設でないと対応が難しい子どもが、行き先がなくて困るようなことがあってはならないと思います。
 都は、こうした医療が必要な重い障害を持った児童に対し、今後どのように対応していくのか見解をうかがいます。

 障害者施策推進部長 都は、東京都障害者障害児施策推進計画に基づき、どんなに障害が重くても必要とするサービスを利用しながら、障害児やその家族が希望する地域で安心して生活できるよう、引き続き取り組んでまいります。

都外施設への支援
一日も早く改善してほしい


 原のり子 とすると、やはり都外施設への支援は、現状どうしても必要だというふうに思います。
一日も早く改善をしていただいて、こうした施設を利用することが必要だというお子さんがこの先も困ることのないように対応していただきたいというふうに思います。
 そのことを求めて、次の質問に移ります。

さいたま市にある医療型障害児入所施設「カリヨンの杜」を視察
(右から)榎本なお埼玉県蓮田市議、里吉ゆみ都議、原のり子
都議会厚生委員会質問から(5)医療型障害児入所施設_b0190576_21001435.jpg
理事長・施設長の鍵本聖一医師(左)から説明をうかがいました
都議会厚生委員会質問から(5)医療型障害児入所施設_b0190576_21001643.jpg
施設の様子
都議会厚生委員会質問から(5)医療型障害児入所施設_b0190576_21001895.jpg




by hara-noriko | 2024-04-23 21:01 | 都議会 | Comments(0)

<< 都議会厚生委員会質問から(6)... 都議会厚生委員会質問から(4)... >>