一日も早く心身障害者福祉手当の拡充を   

心身障害者福祉手当の拡充を求める陳情
全会一致で継続審査に 都議会厚生委員会


 「障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会」が都議会に提出していた心身障害者福祉手当の拡充を求める陳情が、5月24日の厚生委員会において全会一致で継続審査になったことは、すでにお知らせしました。ずっと不採択になってきただけに、大きな変化です。私は、この陳情に賛成する立場から都の福祉局に質問しました。その内容を紹介します。

【原のり子のコメント】

蓮舫知事の誕生で
障害福祉分野を前進させたい


 この陳情については、5月28日付のしんぶん赤旗、6月30日付の東京民報でもとりあげられました。障害者福祉手当は、28年間1円も引き上げられず、障害者の7人に1人しか対象にしていません。小池都政8年間でも検討されてこなかったことが今回の質問で明らかになりました。
これまで福祉手当拡充の請願・陳情は不採択になってきましたが、今回、障害当事者のみなさんが資料をつくって各議員に働きかけ、傍聴席で見守るなか、初めて、継続審査に!本当は採択できればいちばんよいのですが、だれも反対者が出ず、継続審査になった意義は本当に大きいです。みなさんの努力に感動し敬服するとともに、とてもうれしかったです。
あわせて、障害者医療費助成の拡充を求める陳情もすでに継続審査になっており、福祉手当と医療費助成という障害者分野の2大課題が、障害者のねばりづよい運動によって動きつつあります。
いよいよ、都知事選が大事になってきました。ボトムアップで都政をすすめることを約束している蓮舫知事の誕生で、障害者福祉分野を前進させたい。事務所ニュースとあわせて、お読みください。


【原のり子 都議会厚生委員会質問】

心身障害者福祉手当の拡充を求める
「障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会」の陳情


 原のり子 それでは、お願いいたします。本陳情は、「障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会」(障都連)のみなさんから、署名を添えて提出されています。心身障害者福祉手当の拡充を求める請願や陳情は、これまでも繰り返し提出をされてきています。残念ながら近年は採択されたことはありませんけれども、28年間も手当額が引き上げられない。手帳を持っていても受けられない人を残している。この状況でよいのかどうか、改めて問われていると思います。

心身障害者福祉手当
効果をどのようにみているのか


 原のり子 それではうかがっていきます。まず、1974年、昭和49年以来実施してきての効果をどのように見ているのか、うかがいます。

 福祉局障害者施策推進部長 東京都心身障害者福祉手当は、国の所得保障や在宅サービスが不十分であった昭和40年代におきまして、障害者の経済的負担を軽減し、在宅での生活を支援するための手当として都独自に事業を創設し、支給しているものでございます。

福祉手当はとても大事な役割を果たしている
各種手帳を持っている人数と福祉手当の対象の人数は?


 原のり子 そのように創設してスタートをして、その結果がどうだったのかを聞いているんです。先ほどの説明では、心身障害者の経済的、精神的負担を軽減し、福祉の増進に資することが目的と話されました。これ、とても大事だというふうに思います。今も、国の所得保障が不十分で、福祉手当はとても大事な役割を持っていると思います。現在、20歳以上の方で、愛の手帳1度から3度の知的障害の方、身体障害者手帳1級・2級の身体障害者、脳性麻痺または進行性筋萎縮症の方が対象になっていて、月1万5500円ということです。
 それでは、手帳を持っている障害者全体の人数と、そのうち福祉手当の対象になっている人数、支給額はどうなっているか教えてください。

手帳所持者は74万人
受給者は10万9500人


 障害者施策推進部長 令和5年(2023年)3月31日現在の手帳所持者数は、身体障害者手帳は48万6142人、愛の手帳は10万907人、精神障害者保健福祉手帳は15万1603人の、合計73万8652人でございます。東京都心身障害者福祉手当の令和4年度(2022年度)実績は、特別区の財調分も含めまして、受給者が約10万9500人、支給額は約203億8300万円でございます。

手帳を持っている人の7人に1人しか手当をもらっていない
線引きした理由はどういうことだったのか


 原のり子 およそ7人に1人が受けているという範囲だと思います。手帳を持っていても かなりの人が受けられていないというのが現状です。
 そもそもすべての手帳所持者を対象にしていないということについて、その線引きをしたその理由がどういうことだったのか、うかがいます。

 障害者施策推進部長 東京都心身障害者福祉手当は、介護を必要とする重度の身体障害者、知的障害者に対する福祉サービスの提供が十分でない時期に創設したものでございます。一方、精神障害者につきましては、その障害の特性から、精神科救急医療体制の整備や通院医療費の助成など、医療を確保することを重点に支援策を展開してまいりました。

重度の障害者へのサービス、というが
条例には「重度」という言葉はないのだが


 原のり子 すみません。一点確認をさせていただきたいんですけれども。介護を必要とする重度の障害者への福祉サービスが十分でない時期に創設をされたというお話がありましたけれども。重度という言葉があったんですが、条例については、条例の条文には重度っていう言葉はないと思うんです。
 それで、この心身障害者福祉手当では、重度の人を対象にしている条例という位置づけなのかどうか、そこを確認させてください。

 障害者施策推進部長 重度の方の在宅生活を支えるための手当でございます。

「重度」の定義はどういうものか
条例では「重度」という規定にはなっていない


 原のり子 そうすると、その重度の定義はどういうものかというのがちょっと分からないので、ご説明いただければありがたいと思います。
 この条例の別表を見ますと支給対象が書いてあって、そこには知的障害者については中度以上である者と書かれています。身体障害者であって、身体の障害の程度が2級以上である者というふうにも書いてあって、それから脳性麻痺または進行生筋萎縮症を有する者というふうにあるんです。ですから、重度のというふうな規定にはなっていないのではないかと思いますが、もう一度確認させてください。

 障害者施策推進部長 支給対象者でございますが、20歳以上で、身体障害者手帳1級及び2級の身体障害者、愛の手帳1度から3度までの知的障害者及び脳性麻痺または進行性筋萎縮症を有する方でございます。

「重度」という規定はしていない
第1条の目的から照らして必要な見直しはできる


 原のり子 つまり、重度というふうに規定はしてないわけです。であれば、なおのことなんですけれども、心身障害者の福祉の増進に資するというその第1条の目的に照らして、必要な見直しは当然できるというふうに思いますし、手当の対象外の方々の収入が低くないということでも今ないということですので、ぜひ改善を図っていく必要があるというふうに思います。

なぜ精神障害者を対象にしていないのか
理由はどういうことか


 原のり子 それで、1つ疑問なのは、なぜ精神障害者を対象にしていないのかということです。過去の厚生委員会でもいろいろ議論をされてきているところだと思いますが、改めて教えていただきたいんです。精神障害者、また難病者の方をきちんと障害に位置づけるというふうになったときに検討されなかったのかどうか。精神障害者を対象にしていないことの理由はどういうことか、うかがいます。

 障害者施策推進部長 精神障害者につきましては、その障害の特性から、精神科救急医療体制の整備や通院医療費の助成など、医療を確保することを重点に施策を展開してまいりました。

福祉手当の対象拡大
これまで検討したことはあるのか


 原のり子 もちろんそれは大事なことではあると思いますけれども、だからといって福祉手当の代わりになるものかといえば、違うと思うんです。
 それでは、これまでに福祉手当の対象の拡大を検討したことがあるのかどうか、うかがいます。

 障害者施策推進部長 障害のある方の所得保障は基本的に国の役割でございまして、都は、他の自治体とも連携し、障害基礎年金など障害者の所得保障の充実を国に要望しております。

 原のり子 私は、福祉手当の対象の拡大を検討したことはないのですかっていうふうに聞いていますので、そこにぜひ答えていただきたいんですが。
 じゃあ、これまでというと幅がかなり28年間で長いので、ではこの小池都知事になってからの8年間では検討したことがあるのかどうか、うかがいます。

 障害者施策推進部長 繰り返しになりますが、障害基礎年金など障害者の所得保障の充実につきましては、国に要望をしております。

都で拡大の検討はしないで
国に要望しているということなのか


 原のり子 検討したことがありますかっていうことですので、繰り返しの答弁ではなく、やはりちゃんと答えていただきたいなと思います。障害者団体のみなさんからも、毎年、この陳情とか請願だけではなくて、予算の要望なども出されているわけですから、当然、みなさん、ご存じのことだと思うんです。その要望を受けて検討したかどうかっていうことを、やっぱりちゃんと答えていただきたいというふうに思います。
 それで、そのことは求めておきながら、今、おっしゃっていたみたいに、国に要望しています、ということです。東京都の拡大の検討はしないで国に要望しているということなのか、本当にちょっと疑問なんですけれども。

都として検討するのは当然のこと
対象の拡大や金額の引き上げに踏み出すべきです


 原のり子 障害者基本法は、国と地方公共団体の両方に対して、年金、手当等の制度に関し必要な施策を講じなければならないとしていて、東京都としても検討するのは当然のことなんです。しかも、東京都が国の役割だといって検討せずにいる間に、区市町村では精神障害者への支給が増えている。都のまとめた資料によると、昨年度は16区1町が実施しています。地域格差をなくすため、都としても拡大に踏み出すべきだというふうに思いますし、金額の引上げの検討も必要だというふうに思います。

福祉手当の金額、28年間も据え置かれたまま
この状態でいいのでしょうか


 原のり子 それで、都制度である福祉手当が1996年以来、金額が1万5500円のままだと、先ほどもいいましたけれども、28年間据え置かれていると。この状態でいいのかどうかということなんです。その理由はどういうことか。また、1996年の前までは、毎年見直しをされてきたわけです。増やしてきているわけです。その理由も併せてうかがいます。

 障害者施策推進部長 東京都心身障害者福祉手当は、国の所得保障や在宅サービスが不十分でありました昭和40年代におきまして、障害者の経済的負担を軽減し、在宅での生活を支援するための手当として都独自に事業を開始したものでございます。その後、国の年金制度が充実されるなど社会状況が大きく変化し、その対応や社会保障制度との整合、負担の公平生の確保などの観点から、経済給付的事業を見直す一方で、福祉サービスの量的・質的な充実に向け施策の転換を図ったものでございます。

質問への明確な答弁がありません
所得保障は十分ではない、と都も認識しているのでは


 原のり子 私の質問に対しての明確な答弁というのはないんで、本当に残念なんですけれども。いま、ご答弁にあった国の所得保障ですけれども、では本当に充実して大きく変化しているのかっていうことが、そこが問われていると思うんです。都としても、他の道府県とも連携して、国に対して所得保障の充実を求めているということは、これは大事だと、もちろん思っています。
 この中には、こういうふうに書いてあるんです。「障害基礎年金の増額、住居手当の創設、年金受給前の対策など、所得保障制度を充実すること」、こういうふうに国に求めているんです。つまり、現状では、所得保障は十分ではないと都としても認識をしているということではないかと思いますが、いかがですか。

 障害者施策推進部長 障害者の所得保障は基本的に国の役割でございまして、都は、他の自治体とも連携をし、障害基礎年金など障害者の所得県障の充実を国に要望をしております。

 原のり子 答えがありませんけれども、十分保障されているのであれば、要望する必要はないんです。ですから、現状不足しているということだと思うんです。実際に障害年金は、物価上昇に見合うだけの増額がされない仕組みが導入されていて、この間はむしろ悪くなっているといえると思います。障害者権利委員会からも、障害年金は市民の平均的な所得と比べて著しく低額であると指摘をされて、見直すよう勧告をされているんです。

70代の視覚障害者夫妻の場合
障害者の社会参加にはまだまだ厚い壁がある


 原のり子 陳情者が各議員に配ってくださった資料でも、こういう事例が紹介されていました。
 70代の視覚障害者夫妻の月々の収支の例が書かれていました。収入は、障害基礎年金1人当たり月8万2812円、これは昨年度です。心身障害者福祉手当1人当たり月1万5500円と。2人合わせて約20万円の収入だということです。医療費は、医療費助成制度の対象になっているので、無料だということです。そのほかに、家賃とか、光熱費とか、食費とか、もう本当にかかる、と。それだけでも13万円ほどになる、と。残り7万円ほどなんですけれども、そのほかに交通費がかかったり、日用品や交際費などは、本当に僅かになってしまうということです。
 さらに、直接お話もうかがったんですけれども、本当は視覚障害者にもっと便利な携帯電話に変えたい、と。でも、お金がかかるから、そういうことはなかなかできないということや、パソコンなどの文字を音声化する、そういうソフトを買うとか。あるいは、メール用のソフトなど、本当に日進月歩なので更新していきたいと思うけれども、数年に1回しか更新できない、ということなんです。それもお金がないので、数年に1回の更新というのも日常生活用具で補助が出る範囲でしかできない、とおっしやっていました。障害者の社会参加には本当にまだまだ厚い壁があるということだと思うんです。

本来国がやるべきもの、といいながら
必要なものは都として実施しているではないですか


 原のり子 東京都は、この間、「018サポート」とか、子どもの医療費無料化を実施したり、給食費の負担軽減など、国が実施するまでの間、必要なものは実施するということをすすめているんです。小池知事は、本来国がやるべきものといいながらも、そういう判断をしているものもあるわけです。そうであれば、障害者福祉手当についても、都としてもっと充実させるという考えに立つべきではないかというふうに思います。

障害者の暮らしや社会参加がより厳しくなっている
改善を図らないのは問題ではないか


 原のり子 日本が障害者権利条約の批准に向けて制定した障害者差別解消法がありますけれども、行政と事業者が社会的障壁を除去するために、合理的配慮が義務化されています。さらに東京都がそれに上乗せをする条例を制定をして社会的障壁を取り除くことは、社会全体の責任だと位置づけているんです。現実には、そうはいっても、多くの社会的障壁が残っています。所得保障が不十分で障害者の収入は全体としてとても少ない一方で、障害者がほかの人よりも多くの支払いをさせられているものが、実はたくさんあるというふうに思います。
 例えば、コンサートに行く際に支援が必要な場合、移動支援が同行援護を使えたとしても、チケットを2人分買わなくてはなりません。また、脳性麻痺があって歩くときには、靴がよりすり減りやすい場合は、靴代がほかの人よりも多くかかります。
 こうした経済的負担に対して、個別の補助制度をつくることも重要ですが、すべてのものに個別の制度をつくるというのは無理な話だと思うんです。そのため、十分な額の現金を給付して、それをどう使うかは障害者本人が決められるようにするということが、社会的障壁をなくすためには不可欠だというふうに思います。
 ところが、現状ではあまりにも不十分で、障害者の収入はとても低い、そういう実態だということです。さまざまな社会的障壁があることで、障害者の暮らしや社会参加がより厳しくなっている現状があり、さらにそのことを当事者の方たちが訴えているのに、改善を図らないことは問題があるのではないかと、私は思います。

障害者権利条約に照らして
制度の拡充が必要ではないか

 原のり子 そもそも障害者権利条約では、第28条1項には、生活条件の不断の改善についての権利が、また、第4条2項では、経済的社会的権利について利用可能な手段を最大限に用いるとあります。ここに照らしての制度の拡充が必要ではないかと思いますが、見解をうかがいます。

 障害者施策推進部長 国は、障害者の権利に関する条約の批准に伴いまして、障害者総合支援法などの国内法を整備し、都は、条約や法の考え方を踏まえ施策を行っております。都は、グループホームや日中活動の場の整備など、地域で安心して暮らせるサービス基盤の整備に取り組むとともに、当事者のご意見もうかがいながら、さまざまな福祉施策を推進しております。所得保障は基本的に国の役割でございまして、都は、他の自治体とも連携し、障害基礎年金など障害者の所得保障の充実を国に要望しております。

手当の引き上げを求める声に応えてんほしい
暮らしが厳しくなっているという認識を持っているか


 原のり子 いまのご答弁の中で、条約や法を踏まえる、また当事者の意見も聞きながらという考え方については、重要だというふうには思います。でも、そうであれば、手当の引き上げを求める声にも応えていただきたいというふうに思います。
 改めてうかがいますが、障害者の暮らしが厳しくなっているという認識は、持っているのでしようか。

 障害者施策推進部長 障害のある方の暮らし向きは、国の年金や手当、自治体の手当のほか、就労による収納などによって構成されておりまして、障害種別や等級、家族構成等の違いによってさまざまでございます。都は、グループホームなどの地域居住の場や通所施設などの日中活動の場を重点的に整備するなど、障害者が地域で安心して暮らせるためのサービス基盤の整備を促進しております。

認識を聞いているが、なぜ答えが出ないのか
昨年実施した障害者の実態調査 年間収入額は

 原のり子 認識を聞いていますけれども、なぜ答えが出ないのかというふうに思います。
 それでは、昨年度実施した障害者の実態調査、ここでは障害者の年間収入額についても質問がありました。これについては、どのような結果が出ていますか。

 福祉局総務部長 令和5年度(2023年度)東京都福祉保健基礎調査障害者の生活実態におきまして、令和四年中の障害者ご本人の生活保護費を除く収入額を聞きましたところ、身体障害者では、回答のございました2669人のうち、100万円未満が30.9%、100万円以上300円未満が41.7%、300万円以上500万円未満が11.4%、500万円以上が8.5%となってございます。
 また、知的障害者につきましては、回答のございました864名のうち、100万円未満が42.0%、100万円以上200万円未満が3.8%、200万円以上300万円未満が1.7%、300万円以上が2.1%となってございます。
 さらに、精神障害者では、回答のございました871人のうち、100万円未満が51.4%、100万円以上200万円未満が24.1%、200万円以上300万円未満が10.0%、300万円以上が6.4%となってございます。
 さらに、難病患者では、回答のございました1075名のうち、100万円未満が30.2%、100万円以上300万円未満が34.9%、300万円以上500万円未満が15.1%、500万円以上が16.3%となっております。

 【障害者本人の生活保護費を除く収入額 2022年度】
   東京都福祉保健基礎調査障害者の生活実態
 ■身体障害者(回答2669人)
  100万円未満         30.9%
  100万円以上300万円未満  41.7%
  300万円以上500万円未満  11.4%
  500万円以上          8.5%
 ■知的障害者(回答864人)
  100万円未満         42.0%
  100万円以上200万円未満   3.8%
  200万円以上300万円未満   1.7%
  300万円以上          2.1%
 ■精神障害者(回答871人)
  100万円未満         51.4%
  100万円以上200万円未満  24.1%
  200万円以上300万円未満  10.0%
  300万円以上          6.4%
 ■難病患者(回答1075人)
  100万円未満         30.2%
  100万円以上300万円未満  34.9%
  300万円以上500万円未満  15.1%
  500万円以上         16.3%

福祉手当の実質的な価値は下がっている
切実な障害者の声にどう応えていくのか


 原のり子 それぞれ障害種別に応じて答えていただきましたけれども、やはり大変厳しいということが分かるわけです。実態調査の速報では、身体障害者、精神障害者及び難病患者は50万円から100円未満の割合が最も高い、知的障害者は100万円から150万円未満の割合が21.7%と最も高くなっていると書かれています。知的障害者の場合は、約65%が150万円未満の収入ということです。
 都の実態調査では、5年前、10年前と比較をしていますけれども、大きな変化はなく、相変わらず障害者の収入が低いということが、この速報でも分かります。しかも、物価が上がっていますから、福祉手当の実質的な価値は下がっているといわなければならないと思います。
 陳情には、もともとの文章に、「全ての障害者の健康で文化的な生活を保障するため、東京都心身障害者福祉手当を増額すること」というふうに書かれて求められているんです。
 いまの障害基礎年金や福祉手当の状況では、健康で文化的な生活が十分保障されているとはいえないというふうに思います。障害のあるなしにかかわらず人が人として生きていく、豊かに生きていくためには、文化的な生活、社会参加は欠かせません。でも、そこを削らなければ暮らせないという障害者の声にどう応えていくのか、これが問われています。

障害者の社会参加の重要性
都の認識は


 原のり子 都は、障害者の社会参加の重要性については、どのような認識を持っていますか。

 障害者施策推進部長 障害者基本法におきまして、すべて障害者は社会を構成する一員として、社会、経済、文化、その他、あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されることとされております。これを踏まえまして、都は、障害者総合美術展やふれあいコンサートなど、文化芸術活動の推進や、障害や障害者への理解の促進を分かりやすく発信するホームページなどを通じまして、すべての都民が共に暮らす共生社会の実現に向けて取り組んでおります。

福祉手当を拡充して
社会参加を諦めない状況をつくることが必要


 原のり子 実態調査では、社会参加をする上で妨げになっていることとして、これも質問項目にありますけれども、この答えでは、精神障害者の方は経済的な理由を挙げる人が37.4%といちばん多くなっています。また、障害や難病のために諦めたり妥協したことは何ですかという質問もあるんです。これに対して、身体障害者は旅行や遠距離の外出32.9%、知的障害者は人付き合い31.4%、精神障害者は就職41.9%、そして人付き合いが39.4%、難病患者の方は旅行や遠距離の外出41.0%となっているんです。
 バリアフリー化や社会の理解増進によって解決すべき場合ももちろんたくさんあるんですけれども、旅行や遠距離の外出や人付き合いはお金がかかるのも特徴で、経済的な理由も大きなハードルになっているのではないかと思います。なぜ困難になっているのか、より掘り下げて考える必要があると思います。また、就職ができないということは、経済的な困難にもつながります。やはり福祉手当を拡充して、社会参加を諦めない状況をつくっていくことが必要ではないでしようか。

福祉手当は一日も早く拡充を
積極的な議論をすすめることが必要


 原のり子 この実態調査は、障害当事者の方も参加されて実施されています。とても重要なものです。今はまだ速報ですけれども、これから秋にはまとめた詳細なものが出されるとうかがっています。その内容をよく分析して検討していくことが必要だというふうに思います。共産党都議団としては、福祉手当は一日も早く拡充をという立場で取り組んでいますけれども、この実態調査をよく踏まえて検討する、継続して積極的な議論をすすめることが必要であるというふうに考えて、その意見を述べて、質問は終わります。

都議会厚生委員会で質問
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by hara-noriko | 2024-06-29 14:14 | 都議会 | Comments(0)

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