決算特別委員会質問(2)放課後等デイサービスと学校の連携について   

決算特別委員会質疑
放課後等デイサービスと学校の連携について


 都議会各会計決算特別委員会の質疑が10月に行われました。11月下旬にも質疑が行われます。私は第2分科会に所属して、11のテーマで質問しました。その詳報を随時、紹介していきます。2回目は教育庁への質問で、放課後等デイサービス(放デイ)と学校の連携についてです。

【原のり子のコメント】

 もっと踏み込んでやりとりをしたかった、と反省が残りますが、放課後等デイサービスとの連携について、教育庁に質問するということを初めて行い、状況がわかりました。つまるところ、特別支援学校がどのように放デイと連携しているのか、教育庁としてはあまり把握していない…。国の通知も出ていますが、それにもとづき、教育庁として放デイとの連携を意識的にとりくんできたとはいえないのではないか。そもそも、放デイを利用している子どもがどのぐらいいるかも答弁がありませんでした。驚きました。そういうなかで、「支援が必要な子どもや、その保護者の個々のケースに応じ、その内容は異なりますけれども、いずれにいたしましても、教育と福祉の連携については、その内容に応じてすすめることが重要であると考えてございます」と答弁があったことは今後の足がかりになるのではないかと思います。
 引き続き、改善に向けとりくんでいきたいと思います。以下が質疑の内容です。

放課後等デイサービスは障害をもつ子たちの学童保育
成長していくうえで欠かせない場

 原のり子 放課後等デイサービスと学校の連携についてです。
 放課後等デイサービスは、障害を持つ子どもたちの学童保育です。学校から、ただいまと帰る第2の家であり、また長期休みも支えています。子どもたちにとって、家庭、学校、放課後等デイサービス、それぞれが成長していく上で、どれも欠かすことのできない大切な場といえます。それだけに連携がとても重要だと思います。

都内の特別支援学校、特別支援学級の在籍者数は?
放課後等デイサービスを利用している人数は?


 原のり子 まず、昨年度、都内の特別支援学校、特別支援学級に在籍している人数は何人で、そのうち放課後等デイサービスを利用している人数は何人いると把握をしているか、うかがいます。

 教育庁特別支援教育推進担当部長 東京都では、毎年統計を取っている令和5年度(2023年度)公立学校統計調査報告書において既に公表しておりますとおり、令和5年度東京都公立特別支援学校に在籍する幼児、児童生徒数は1万3978人、東京都公立小中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒数は1万3998人でございます。
 放課後等デイサービスにつきましては、学校に直接迎えに来る事業者ばかりではないことなどから、都教育委員会では利用している人数を把握することはできません。

学校では把握しているのではないか
都教委が全体を把握してしかるべきだ


 原のり子 学校では、少なくとも直接学校に迎えに来る事業者の数と、何人の子どもたちが通っているかは把握されていると思われます。これは連携していく上では基本だと思っていまして、全体の人数のうちどのぐらいの子供が放デイを利用しているのか、各学校が把握をしているのか、都教委が全体を把握してしかるべきと私は思います。

学校と放課後等デイサービスとの連携の大切さ
国の通知を受け都教委はどう考える


 原のり子 今年の4月25日付で、こども家庭庁、文科省、厚労省の連名で、「地域における教育と福祉の一層の連携等の推進について」と題する通知が発出されています。これは学校や区市町村に既に送られていると思いますけれども、教育と福祉の連携については、既に2018年(平成30年)5月24日付で文科省と厚労省連名の「教育と福祉の一層の連携等の推進について」と題する通知が各都道府県等に発出をされています。
 先ほどいった4月25日の通知も、この2018年の通知に基づいて取り組みを一層進めるようにという位置づけになっていますので、この2018年の通知というのは非常に大事だと思います。
 昨年度までは、この2018年の通知に基づいて教育と福祉の連携の努力がされてきたと思われますが、この通知については各特別支援学校、区市町村には送られているのでしょうか。

 特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校及び区市町村教育委員会に対しまして通知を行ってございます。

 原のり子 この2018年の通知では、教育と福祉の連携について、こういうふうに書かれています。「相互理解の促進や保護者も含めた情報共有の必要性が指摘されているところであり、各地方自治体において、教育委員会や福祉部局の主導のもと、支援が必要な子供や保護者が、乳幼児期から学齢期、社会参加に至るまで、地域で切れ目ない支援が受けられる支援体制の整備が求められている」と述べられています。
 この通知も受けて、都教委としては、学校と放課後等デイサービスが連携する大事さについて、どのように捉えていますか。

 特別支援教育推進担当部長 教育と福祉の連携につきましては、その内容に応じてすすめることが重要であると考えてございます。

「内容に応じてすすめることが重要」
これはどういう意味ですか


 原のり子 通知に基づいて学校と放デイが連携する大事さについてどう捉えていますかと聞いたんですけれども、内容に応じてすすめることが重要。これはどういう意味なんでしょうか。教えてください。
 あわせて、連携の重要性について認識されているのかどうか、うかがいます。

 特別支援教育推進担当部長 支援が必要な子どもや、その保護者の個々のケースに応じ、その内容は異なりますけれども、いずれにいたしましても、教育と福祉の連携については、その内容に応じてすすめることが重要であると考えてございます。

通知では、連携の強化が重視されている
そのための方策を具体的に示している


 原のり子 その内容に応じてすすめること、連携は重要だということだと受け止めますが、この通知は発達障害者支援法一部改正を踏まえて、連携の強化が一層重視をされるということで出されているんですよね。具体的にこの通知では、連携の強化のための方策を示しています。かなり具体的な通知になっていたんです。これに沿ってこれまでどういう努力をされてきたかということを、この時点において検証していくことが私は大事だと思っています。

通知は、学校と放デイなどとの関係構築の場の設置を謳っている
都教委としてはどうでしょうか

 原のり子 この通知で指摘されていることについての都としての取り組みを確認したいと思うのですが、まず1つめとして、教育委員会と福祉部局、学校と放デイなどとの関係構築の場を設置するということがこの通知の中には書かれていますが、これについてはいかがですか。

 特別支援教育推進担当部長 放課後等デイサービスは、各家庭が個々の事業者との契約に基づき利用するものでございますが、都立特別支援学校では事業者に対する学校説明会の開催などにより関係構築の場を設けてございます。

学校説明会の開催とは?
継続して連携する場はつくられていないのかどうか

 原のり子 恐らく各学校でそれぞれ工夫してやられていることなどもあると思うんですけれども、学校説明会の開催ということですけれども、これどういうことかということを説明をしていただきたいのと、あと関係構築をしていくために継続して連携する場はつくられていないのかどうか、うかがいます。

 特別支援教育推進担当部長 先ほどご答弁申し上げました説明会とは、事業者に対し学校への理解を深めるために行っている説明の機会でございます。継続してということでございますが、個々学校の必要に応じて対応しているものと認識しております。

各学校が継続しながら関係構築の場を続けているのか
都教委として調査や聞き取りをしてほしい


 原のり子 たしかに、恐らくそれぞれの学校で、それぞれ工夫してやられている面もあるというふうに思います。やっぱり関係構築していくためには継続が非常に重要ですので、どのように各学校が継続しながら関係構築の場を続けているのか、そこはぜひ調査をしていただきたい、聞き取りをしていただきたいと思います。
 また、事業者に対する学校説明会というのも、これを一回やれば、それで関係構築になるのかといったら、そうではないと思いますので、その内容なども確認をしていただきたいと思います。

通知には、障害のある子どもに係る福祉制度の周知が書かれている
これはどのようになっているのか


 原のり子 それでは、通知で具体策として書かれている2つ目として、学校の教職員等への障害のある子どもに係る福祉制度の周知、これをやっていくことが大事と位置づけられていますが、それはどのようになされていますか。

 特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、障害のある子どもに係る福祉制度につきまして、校長会等において周知を図ってございます。

教職員の放デイへの理解を深める機会
都教委はこの機会をどのように設けてきたのか


 原のり子 この通知の中には、例としてこういうふうに書かれています。小中学校から放デイへの送迎時において、放デイについての教職員の理解が深まっていないために、対象児童生徒の学校における様子などの情報提供をはじめとする学校の協力が得られにくいことがあると具体的に書かれているんです。
 教職員の放デイへの理解を深める機会をこれまで都教委ではどのように設けてきたのでしようか。昨年度含めてうかがいます。

 特別支援教育推進担当部長 例えば都立特別支援学校において、地域の福祉部局関係者等を講師とした研修の実施や、福祉制度関連の資料配布などの事例を紹介してございます。

教職員全体が理解を深めるために機会を設けていく
好事例は紹介をしながら広げていただきたい


 原のり子 そういうことをやっている学校もあるということですよね、恐らく。それで先ほどの、その前のご答弁で、校長会等で周知をしているというお話でしたけれども、その校長会で周知をするのも、どのぐらいの頻度でやられているかというのは分かりませんけれども、やっぱり教職員全体が理解を深めるために機会を設けていくということが本当に必要だと思いますので、そこは各学校どのように取り組まれているか、ぜひ都教委でも把握をして、好事例は紹介をしながら広げていただきたい。そのことは求めておきたいと思うんです。

学校と放課後等デイサービス
お互いの活動内容や課題、連絡先の共有はされているのか


 原のり子 通知の中の具体策としての3つ目ですけれども、3つ目として学校と放デイにおいてお互いの活動内容や課題、担当者の連絡先の共有、これは実施されていますか。

 特別支援教育推進担当部長 都立特別支援交では、放課後等デイサービス事業者との間で連絡会を開催するなどの連携を行ってございます。

通知には「連携できていない」とある
この事態は改善されているのか

 原のり子 これは連絡会を開催するなどの連携をしているということなんです。ちょっと先ほどの答弁と、また少し違うなと思いながらも、ただ、学校ごとに恐らくこれも違うということだと思います。そこはどこの学校でも連携できるような、そういう連絡会を開催していくということが必要なんじゃないかと思います。
 それで、これについても通知ではこういうふうに書かれています。
 「学校と放課後等デイサービス事業所において、お互いの活動内容や課題、担当者の連絡先などが共有されていない等により、両者の円滑なコミュニケーションが図れず連携ができていない」と、かなり具体的な指摘がされていますが、これ自身は改善されたということでしようか。

 特別支援教育推進担当部長 都教育委員会といたしましては、通知の趣旨に基づいて学校に通知いたしまして、その趣旨は理解されているものと認識してございます。

学校で子どもの変化があった場合
学校から放デイにはどのように伝えているのか


 原のり子 ちょっと直接のお答えじゃない感じはしましたけれども、ここがとても大事なところで、実際にこの間コロナ禍の下で、学校での感染などの状況が分からなくて、「放デイで対応がかなり苦労した」「不安だった」、こういう声もあったんです。学校と本当に小まめに連携が取れて、よく情報を把握することができれば、対策を取りやすいという声もあったんです。
 それで、もうちょっと具体的に聞きますけれども、学校で何かアクシデントのようなこと、子どもの変化があった場合、学校から放課後等デイサービスにはどのように伝えているんでしようか。

 教育庁指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 児童生徒に体調不良などが起きた場合、学校は保護者に連絡し、保護者が事業者と連絡を取り合っております。

放デイから学校に緊急に問い合わせが必要な場合
すぐに可能な仕組みになっているのか


 原のり子 もう1つ、ちょっとうかがいますけれども、子どもの様子について放課後等デイサービスから学校に緊急に問合せが必要な場合、すぐに可能な仕組みになっていますか。

 指導部長 放課後等デイサービスからの問合せがあった際には、学校は保護者に連絡をしております。

学校で子どもがちょっと元気がない
放デイの送迎車に直接そのことを伝えたりしているのか


 原のり子 ちょっと2つの要素をいっぺんに聞いてしまったんですけれども、例えば学校で何か変化があった場合、子どもさんがちょっと今日は熱などがあるわけではないけれども元気がないよと、そういうようなことがあったときに、学校側からは放課後等デイサービスの車に、送迎の車に乗る前に直接そのことを伝えたり、そういうことはやられていますか。

 指導部長 児童生徒の体調が優れない様子が見られる際には、学校はその段階で保護者に連絡し、保護者が事業者と連絡を取り合っております。

子どもが放デイに来てみたら元気がない
学校に問い合わせが来たら答える体制になっているのか


 原のり子 そうしますと、例えば学校から放課後等デイサービスに子どもさんが来られて、そのときは元気だったけれども、放課後等デイサービスに来てみたら、ちょっと元気がないと、何かあったのかなと。学校で、もしかしたらトラブルがあったのかなと思ったときに、放課後等デイサービスから学校に問合せをする。そのときには学校としてはそれには答える、そういう体制にはなっているんですか。

 指導部長 放課後等デイサービスは、各家庭が個々の事業者との契約に基づき利用するものでありますので、学校は保護者と連絡を取ることとしております。

学校と放デイで連絡を取り合うことを保護者も承諾している
そういう状態にしておいてすぐに対応できるようにする


 原のり子 保護者と連絡を取り合うこと、もちろん大事だと私も思っているんですけれども、ただ、日ごろから連携を放課後等デイサービスと学校の間で強めていって、保護者にも直接、学校と放デイでこういう場合は連絡を取り合うことがありますよということで、保護者も承諾をしているという状態にきちんとしておいて、それで子どもの変化などにすぐに対応できるようにするということは可能なんじゃないかと思うんです。

全国には先進的な取り組みがある
学校と放デイが連絡を取り合う関係をつくっている


 原のり子 これについては、学校と放課後等デイサービスの連携について、全国で先進的な取り組みが成果報告書という形で出されていて、それを読みますと学校と放課後等デイサービスの間で連絡シートを作って日常的に情報共有するとか、また、ある地域では学校が放課後等デイサービスを利用していない子どもについても、ではどのような放課後を過ごしているのかなということを把握をするようにしている、そういう地域もあったり、それから放課後等デイサービスでの子どもたちの様子や実践を学校の先生たちと一緒に学ぶ場を設けるなどの事例も紹介されていたんです。
 ですから、先ほどいったような、何かあったら放課後等デイサービスからも学校に連絡して、様子はどうですかということが聞いたりできる、そういう関係をつくっている、そういう事例もあるんです。

改めて都として努力を求めたい
子どもはすべての場面で成長していくので連携して支えていく


 原のり子 ですので、私は今回、最初にも述べたように、4月に出された通知というのは、文科省、こども家庭庁、厚労省連名で出されていますけれども、教育と福祉の連携のより一層の強化を求めている内容になっていますので、改めて、都としても努力を求めたいと思うんです。
 やっぱり、子どもは学校だけで育つとか、家庭だけで育つ、放デイだけで育つというわけではなくて、すべての場面で子どもが成長していくので、その場面を本当にお互い連携をしながら、子どもの成長を支えていくという点で、ぜひ努力をお願いしたいと思います。

理解促進に加え、人的配置やスペースの確保など
都教委として役割を発揮していただきたい


 原のり子 また、連携していくには学校と放課後等デイサービスの事業者がコミュニケーションや相互理解が図れるだけのゆとりが必要だと思うんです。その条件をつくるために都教委の役割は非常に大きいと思っていますので、理解促進に加え、人的配置やスペースの確保なども含めて、役割を発揮していただけるように要望しておきたいと思います。

【決算特別委員会での質問】
(1)区市町村の公立図書館に都の支援を

日本共産党清瀬市議団の市政報告&懇談会に参加して都政報告
(左から)穴見れいな市議、香川やすのり市議、原のり子、
原田ひろみ市議団長、佐々木あつ子市議
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by hara-noriko | 2024-11-17 21:07 | 都議会 | Comments(0)

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