決算特別委員会質問(4)視覚障害のあるあんまマッサージ指圧師雇用への支援
2024年 11月 20日
視覚障害のあるあんまマッサージ指圧師雇用への支援について
都議会各会計決算特別委員会の質疑が10月に行われました。11月下旬にも質疑が行われます。私は第2分科会に所属して、11のテーマで質問しました。その詳報を随時、紹介していきます。4回目は福祉局への質問で、特別養護老人ホームでの、視覚障害のあるあんまマッサージ指圧師雇用への支援についてです。
【原のり子のコメント】
東京都は、特別養護老人ホームで視覚障害のあるあんまマッサージ指圧師を雇用した場合、特別養護老人ホームに対し補助金を加算していました。これによって、多くの特養ホームで視覚障害者が雇用され、資格と技術を生かす大事な職場となっていました。
しかし、介護保険制度になったときに、この補助金の加算を都はやめることとしました。介護保険のなかで機能訓練指導員への補助があることが理由です。しかし、都がもともと出していた補助金の加算よりも金額が低いため、都は、その時点で働いていた視覚障害の方が退職するまでの間は、その差額分を特養ホームに経営支援補助金として補助することとして現在に至っています。結局、今は14人にまで減少してしまいました。
私は、東京都からの支援はなくても、特養ホームで視覚障害のあるあんまマッサージ指圧師を雇用している人数なども聞きましたが、東京都は把握していませんでした。障害者雇用を促進していくために、少なくともまず、現状を把握すべきではないか。そして、経営支援補助金を、新たに視覚障害者の方を雇用した場合も特養に出すようにすべきです。実際、東京都の補助が出るのであれば、雇用したいという特養ホームがあることも指摘しました。何より、生きいきと仕事をする視覚障害者の姿に接し、多くの人に知ってほしいと思い質問しました。
障害者が働ける場を減らさず、広げていくため、東京都に働きかけを強めたいと思います。以下が質疑の内容です。
特別養護老人ホームでの、視覚障害のあるあんまマッサージ師雇用
技術を生かせる貴重な場の一つが失われていく危険が
原のり子 日本共産党の原のり子です。よろしくお願いいたします。特別養護老人ホーム経営支援事業による視覚障害のある、あん摩マッサージ指圧師についてです。
東京都は介護保険制度が実施される以前から、特別養護老人ホームにおいて視覚障害のあるあん摩マッサージ指圧師を雇用した場合、都加算をしてきました。介護保険制度が開始されて以降は、その時点までに働いていた常勤の方については、その方が退職されるまでの間、経営支援事業で補助を継続するが、新しく雇用された方は対象とせず、やがて廃止をしていくこととしています。退職された後、施設で新たに視覚障害のあるあん摩マッサージ指圧師の雇用をしなければ、視覚障害者のみなさんにとっては、勉強して資格を取って、その技術を生かせる貴重な場の一つが失われていくことになります。
昨年度の時点で雇用されている人の数は
昨年度の予算額、決算額は
原のり子 まず最初にうかがいたいんですけれども、介護保険制度が開始される前の時点、1999年度(平成11年度)には136人の方々が雇用されていたとのことですけれども、昨年度時点での人数は何人か。また、昨年度の予算、決算はいくらでしようか。
福祉局高齢者施策推進担当部長 特別養護老人ホーム経営支援事業におけるあん摩マッサージ指圧師加算の対象者は、令和5年度(2023年度)は14人でございました。また、本事業におけるあん摩マッサージ指圧師加算の令和5年度(2023年度)の予算額は3871万2000円、決算額は3271万2000円でございます。
視覚障害のあるあん摩マッサージ指圧師の方の雇用
この20年ほどで136人から14人に
原のり子 この20年ほどで136人いらした、視覚障害のあるあん摩マッサージ指圧師の方が14人にまで大きく減ってしまっているということです。
この補助は、介護保険開始前に働いている人が継続して働いている場合には出されているものですけれども、その方が辞めて、先ほどもいいましたけれども、次の方が入っても補助が出ないという仕組みです。
退職された視覚障害者のあと
同じように視覚障害者を採用した施設はどのくらいか
原のり子 うかがいたいんですけれども、補助は出なくても、退職された視覚障害者の後を、同じように視覚障害者を採用した施設はどのぐらいありますか。
高齢者施策推進担当部長 お話の平成12年(2000年)4月1日以降に新たに雇用したあん摩マッサージ指圧師については、お話の加算の対象とならないことから、採用状況の報告は求めておりません。
把握していない、という答弁
障害者雇用推進の立場から把握すべきだ
原のり子 報告を求めていないということで、把握はしていないということですよね。ただ、本来は障害者雇用を推進していくという立場からしても、把握してしかるべきだと私は思います。
特別養護老人ホームにお話をうかがうと、視覚障害の方を続けて、その方、退職したけれども、続けてまた視覚障害の方を雇用したいと思ったけれども、東京都からの支援を受けられなくなったので断念したという声もありました。
介護保険のなかで
機能訓練指導員として配置する場合の加算はあるのか
原のり子 そこでうかがいたいのですが、介護保険制度の中で、視覚障害を有するあん摩マッサージ指圧師を機能訓練指導員として配置する場合の加算はあるのでしようか。
高齢者施策推進担当部長 特別養護老人ホームでは、機能訓練指導員を配置することとされておりまして、その配置に係る経費は介護報酬で措置をされております。また、視覚障害のあるあん摩マッサージ指圧師を含め、常勤専従の機能訓練指導員を配置し、看護職員や介護職員等と共同して個別機能訓練計画を作成し、計画的に機能訓練を実施している場合には介護報酬が加算される仕組みとなっております。
今の答弁で確認したい
障害者雇用に係る加算ではないですよね
原のり子 確認したいんですけれども、いまのご答弁でおっしゃっていたのは、障害者雇用に係る加算ではないですよね。確認したいので、お願いいたします。
高齢者施策推進担当部長 介護報酬におきましては、障害者雇用に係る加算は設けられておりません。
原のり子 そうなんですよね。それで、そういう、介護保険の方ではそういうふうになっているということです。
あん摩マッサージ指圧師加算の金額
どのように決まっているのか
原のり子 では、あん摩マッサージ指圧師加算の金額はどのようにして決まっているのか、うかがいたいと思います。
高齢者施策推進担当部長 特別養護老人ホームでは機能訓練指導員の配置に係る経費を介護報酬で賄うことが原則でございますが、都は介護保険制度導入前から雇用されていた視覚障害のあるあん摩マッサージ指圧師の機能訓練指導員としての継続雇用を図る観点から、この加算によりまして経過措置として支援を行っております。
現行の加算額につきましては、介護保険制度導入前の補助事業で定められていた加算額から、特別養護老人ホームにおけるサービスに対する介護報酬として設定された機能訓練指導員の配置に係る人件費相当額を差し引いた額により設定をしております。
決算額から考えると1人当たりの加算は233万円
これがあるかどうかは非常に大きい
原のり子 そういう設定になっていますので、先ほどご答弁していただいた決算額から考えると、1人当たり233万円ほどの補助になっているのではないかなと思います。
先ほど介護報酬の説明がありましたが、介護報酬では都加算で出ていた金額は出ないということなんですよね。ですから、その差額を出しているわけです。現場にとっては、この加算があるかどうか、この差額分出してもらえるかどうかで、非常に大きいと思います。それがあれば、視覚障害の方の雇用を引き続き考えたいという施設も現にあるのですから、本当にもったいないと私は思っています。
あん摩マッサージ指圧師が仕事をすることについて
福祉局は、意義があると考えているか
原のり子 福祉局では、特別養護老人ホームで視覚障害のあるあん摩マッサージ指圧師が仕事をすることについて、意義があると考えているのか、働いてもらえるように推奨しているのか、うかがいます。
高齢者施策推進担当部長 特別養護老人ホームにおいては、あん摩マッサージ指圧師のほか、理学療法士、作業療法士などの資格を有する機能訓練指導員を配置することとされておりまして、各施設では入所者の方の心身の状況やニーズなどを踏まえ、機能訓練指導員を配置をしております。
原のり子 私が聞いているのはそうではなくて、特別養護老人ホームで視覚障害のあるあん摩マッサージ指圧師が仕事をすることの意義について、どう考えているか。意義があることだと考えているのかということをうかがいたいのですが、お答えください。
高齢者施策推進担当部長 先ほどご答弁しましたように、機能訓練指導員の資格要件には理学療法士、作業療法士、あん摩マッサージ指圧師等がございまして、視覚障害のあるあん摩マッサージ指圧師の方についても、いま申し上げた他の有資格者の方と同様、機能訓練指導員としての日々の業務を通じて、入所者に対して適切なサービスを提供しておられるものと考えております。
視覚障害者の方々
資格や技術を生かせるということは、とても大事
原のり子 視覚障害のあるあん摩マッサージ指圧師のみなさんも機能訓練指導員として役割を果たしているでしょうというお話ですが、本当に視覚障害者の方々が資格や技術を生かせるということは、とても大事なんです。
機能訓練指導員は何人いらっしゃるのか
そのうち視覚障害者の人数は
原のり子 機能訓練指導員というのは、いまお話にも少しありましたけれども、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、柔道整復師、そしてあん摩マッサージ指圧師、あるいは一定の実務経験を有するはり師、きゅう師の資格を持つ人たちがなれるということになっているんですけれども、それでは昨年度の都内の特別養護老人ホームの機能訓練指導員は何人いらっしゃるのか。そのうち、視覚障害者は何人いらっしゃるのか、うかがいます。
高齢者施策推進担当部長 東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例施行規則によりまして、特別養護老人ホームにおいては、1以上の機能訓練指導員の配置が必要とされておりますが、制度上、配置状況について都への報告は義務づけられておりませんので、人数については把握をしておりません。
どのぐらいの人数がいらっしゃるか
これを把握することは大事なんじゃないか
原のり子 都内の特別養護老人ホームには1人以上、1以上ということで配置されているというご答弁がありました。それだけの人数、機能訓練指導員の方はいらっしゃるということですけれども、他職種と兼務の場合もあるかもしれませんので、そこの数字は実際にどうなのか分かりませんが、必ず配置されているということですよね。その中に視覚障害のあるあん摩マッサージ指圧師の方たちもいるわけで、必ずしもこの経営支援補助で雇用されている人ばかりではないかもしれないんです。ですので、私はどのぐらいの人数がいらっしゃるかということを把握することは大事なんじゃないかと思うんです。そのことは、ぜひ把握していただきたいということで要望しておきたいと思うんです。
視覚障害のある方を雇用した場合
記録を音声に変換するソフトなどの支援はあるのか
原のり子 それで、視覚障害のある方を雇用した場合、日々の記録をしていってもらうことができるかどうか、それが1つのポイントになっていると話してくれた特別養護老人ホームの施設長もいます。
先日、機能訓練指導員として働いている視覚障害のある方の仕事を見学させていただいたんですけれども、その方は40人の入所者を担当されていて、その記録を音声に変換するソフトを活用して、ご自分でパソコンに打ち込んでいました。機能訓練指導員として視覚障害のある方が仕事をする、このようにパソコンを使って記録などを行う際に、音声に変換するソフトを用意するなどへの支援はあるのかどうか、うかがいます。
高齢者施策推進担当部長 特別養護老人ホームの経営事業者を含めまして、事業者が障害者を雇用する場合には国による支援制度がございまして、特別養護老人ホームが機能訓練指導員として障害、視覚障害のある方を雇用する場合にも、そうした制度を活用することが可能となっております。
都の経営支援事業補助の中にも使えるメニューがある
実際の使い勝手などを把握していただきたい
原のり子 いま、国の制度で活用が可能だというものも紹介をされましたが、都の経営支援事業補助の中にも使えるメニューがあると思うんです。これは金額的には小さいかもしれませんけれども、そういうものが一応あるのではないかと思います。
ただ、これらが、こういう制度が実際の使い勝手はどうなのか、実際に利用されているのかどうか、これを私は今後把握していただきたいと、この場では求めておきたいと思います。
機能訓練指導員に対する研修
どのように実施しているのか
原のり子 それで、機能訓練指導員に対する研修についてもうかがいたいのですが、研修はとても大事だと思いますけれども、どのように実施しているのでしようか。
高齢者施策推進担当部長 あん摩マッサージ指圧師を含め、機能訓練指導員を対象とした研修については、東京都社会福祉協議会など複数の民間団体により実施されていると承知しております。
ある機能訓練指導員の体験
「研修はとても大事な機会になっている」
原のり子 お話をうかがった視覚障害のある機能訓練指導員の方も、こうした、いまご紹介があった研修に年数回参加しているといっていました。とても大事な機会となっていると話していました。
このお話をうかがった方は弱視なんですけれども、でも人の顔はもうほとんどまったく分からなくて、声で一人ひとりを認識しているというお話でした。その方が、特別養護老人ホームの広いフロアに高齢者が集まって、お一人で体操を指導していたんです。もちろん、介護職のみなさんはいらっしゃるんですけれども、実際には本当に見えないわけだけれども、とても的確な言葉がけをされて、本当にすばらしい指導をされていて、私も感激したんですけれども。高齢者の方々もお互いに、「もっと手は上だよ」とか教え合ったりして、とってもいい雰囲気で体操もされていたんです。それで、こんな力があるんだなということを改めて実感したんです。
そして、体操だけじゃなくて、一人ひとりに対する訓練とかマッサージなども、この方が行われているんですけれども、40人も担当されていて、お一人おひとり訪ねて、そういうことも、訓練もやっているんです。
その話も聞きましたら、最初は話もしてくれなかった高齢者の方が話をしてくれたときの喜びとか、あるいは対応が難しい方、認知症の方などもいらっしゃいますから、そういう方については介護職の方と相談したり、あと一緒に働いている機能訓練指導員の方、もう一人いらして、その方と検討したりしながらやれるので、とてもよいという話をしてくれました。
視覚障害のある、あん摩マッサージ指圧師の方が働ける場を本当に減らさないでほしいなと改めて実感をしてきました。
経営支援事業の継続と拡充
資格を生かせる職場の確保を
原のり子 こういう場を減らさず増やしていくために、経営支援事業の継続と拡充、また資格を生かせる職場の確保を東京都として進めること、これを強く求めて次の質問に移ります。
【決算特別委員会での質問】
(1)区市町村の公立図書館に都の支援を
(2)放課後等デイサービスと学校の連携について
(3)小中学校でのエアコン設置について
「市民みんなのまつり 商工祭・農業祭」であいさつしました(11月9日)
(左から)永田まさ子市議、原のり子
かもしだ芳美市議、北村りゅうた市議
by hara-noriko | 2024-11-20 21:53 | 都議会 | Comments(0)