陳情審査 DV被害に遭った男性を一時保護するためのシェルター設置に関する陳情   

厚生委員会で請願・陳情を審査
子ども医療費、DV被害


 都議会厚生委員会で福祉局への請願・陳情を審査しました(2024年11月29日)。私は、「子どもの医療費助成の拡充に関する請願」「DV被害に遭った男性を一時保護するためのシェルター設置に関する陳情」について質問しました。

DV被害の男性を保護するためのシェルター設置を求める陳情
趣旨採択すべきだ、という立場から質問


 今回は、「DV被害に遭った男性を一時保護するためのシェルター設置に関する陳情」質疑を紹介します。
 「DV被害に遭った男性を一時保護するためのシェルター設置に関する陳情」は、DV被害にあった男性を一時保護するシェルターを都として確保を求めるもの。趣旨採択を求めたのは共産と立憲。自民、都ファ、公明、自由が不採択を主張し、結果は不採択でした。

【原のり子のコメント】

 東京都はDV被害に遭った男性の相談は受けているのに、対応できる一時保護の場を確保していない。誰にも知られることなく、安全にいられる場所を準備することは必要です。また、男性に限らず、どの性別の方でも安心して保護される場所がなければなりません。男性に対するDVが実際にどのようなものなのか、被害者はどのように苦しんでいるのか、一時保護所がなければならないのはなぜなのか、など今後さらに議論をしていかなければならないと思っています。
 以下が質疑の内容です。

DV被害に遭った男性の一時保護シェルターがない
都が率先して設置を行うべきだ、という陳情


 原のり子 それでは、陳情六第四二号、DV被害に遭った男性を一時保護するためのシェルター設置に関する陳情についてうかがいます。
 本陳情は、男性がDV被害に遭った際に利用可能な一時保護シェルターの設置を求めています。被害に遭った女性については一時保護施設がありますが、男性にはなく、被害に遭った男性の人権が十分に守られていないと指摘し、都が率先して一時保護シェルターの設置を行うべきと述べています。

ウィメンズプラザが受け付けた男性の相談
一時保護が必要だというケースは


 原のり子 ウィメンズプラザでは以前から男性の相談を受けていますが、昨年度の相談件数はどのぐらいありましたか。そこから、一時保護が必要だというケースがあったのか、うかがいます。

 福祉局子供・子育て施策推進担当部長 東京ウィメンズプラザにおける令和5年度(2023年度)の配偶者等暴力被害者からの相談のうち、男性からの相談は337件でございました。そのうち、一次保護が必要になったケースはないと、生活文化スポーツ局から聞いております。

実際に保護が必要だと判断した場合
どのような対応をしているのか


 原のり子 ケースはないということですけれども、そもそも相談につながれているのかという問題などもありますので、社会のなかでニーズがないということはできないと思います。
 実際に保護が必要だと判断した場合は、どのような対応をしていますか。

 子供・子育て施策推進担当部長 東京ウィメンズプラザでは、男性被害者が保護を求めるケースにつきましては、関係機関で連携して一時利用が可能な施設の活用を含めて、相談者の状況に応じた適切な支援を行うこととしている、と生活文化スポーツ局から聞いております。

居場所がわからないように暮らせる場の確保
都として用意しているのか


 原のり子 適切な支援を行うこととしているとのことですが、DV被害を受けて、居場所が分からないようにして安心して暮らせる場を確保する必要があると思いますけれども、都としては用意をしているのですか。

 子供・子育て施策推進担当部長 都や区市町村の配偶者暴力相談支援センターとの相談窓口では、男性被害者からの相談のうち、保護を求めるケースにつきましては、一時利用が可能な施設の活用を含めて、相談者の状況に応じた適切な支援が行えるよう関係機関で連携して対応をしております。

男性を対象とする施設を都として確保していない
検討が必要ではないか


 原のり子 関係機関で連携して対応ということですけれども、DV防止法に基づく一時保護について、男性を対象とする施設を都として確保しているということがないということだと思うんですね。
 DV防止法は、女性の被害者だけではなくて、性別に関わらず一時保護の対象となります。それなのに、男性がDVから逃れてきたときに、安全に過ごせる場所を用意しておかなくていいのかということが問われていると思います。
 他県では、民間シェルターと提携するなど工夫しているところもあります。検討は必要ではないでしようか。

 子供・子育て施策推進担当部長 都や区市町村の配偶者暴力相談支援センター等の相談窓口では、男性の被害者からの相談のうち、保護を求めるケースにつきましては、一時利用が可能な施設の活用を含めて、相談者の状況に応じた適切な支援が行えるよう関係機関で連携して対応をしております。

11道府県が男性の一時保護シェルターを確保
行政として逃れてきた人をちゃんと守ることが必要


 原のり子 全国では、男性の一時保護を民間シェルターと提携して確保しているのは11道府県とのことです。私は、連携していろいろその都度対応するということだけではなくて、やはり何があっても逃れてきた人をちゃんと守る、居場所が分からないように過ごせる場所を確保しておく、それはやはり行政として検討しなければいけないと思います。

トランスジェンダーの方の対応も課題
どのような性別の人にも確保することを急いで検討を


 原のり子 東京都としては、男性だけではなくてトランスジェンダーの方の対応も課題になっています。DVから逃れてきた人を受け止める場をどのような性別の人にも整備していく、それぞれに適切な場所を整備していくということは、急ぎ検討しなければならない課題だと思います。
 よって、本陳情は趣旨採択すべきと主張して質問を終わります。

真冬のネコジャラシ
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by hara-noriko | 2025-01-17 20:24 | 都議会 | Comments(0)

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