事務事業質疑から(1)障害者の医療費負担軽減を急いで   

事務事業質疑 福祉局
障害者の医療費の負担軽減について


 都議会厚生委員会で所管する各局への事務事業質疑がおこなわれました(昨年11月)。事務事業質疑というのは、各局の仕事全般にわたって質問できるもので、重視して取り組んでいます。質疑の内容を随時、掲載します。
 まず福祉局に対して、(1)障害者の医療費の負担軽減について(2)子ども・若者の依存症対策について(3)都外の医療型障害児入所施設のサービス推進費について(4)障害者福祉会館のネット環境についてーの4テーマで質問しました。
 それでは「障害者の医療費の負担軽減について」から始めます。

【原のり子のコメント】

 子どもの医療費助成が大きく前進していますが、障害者医療費助成はどの障害も中度・軽度の方は対象にされないまま。医療費の負担は3割負担です。子どもの医療費助成で医療費無料になっていても、18歳になると突然3割負担になります。まさに「18歳の壁」です。障害の中度・軽度の方の所得の低さは都自身の調査で明らかになっているのに、医療費助成の対象をかたくなに広げない東京都の姿勢は本当に問題です。
 「工賃をもって病院に行ったらすぐなくなってしまった」という当事者の声。「親亡きあとを考え、せめて生命保険に加入しようと思ったが、障害があり手術の可能性もあるということでどこにも入れない」という保護者の声。本当に胸が痛いです。
 都は、018サポートは所得制限なしですべての子どもたちを対象に、年1200億円の予算を計上しています。私は、東京都の財政力なら、障害者医療費助成の拡充もすぐにできることを、試算で示しました。
 自民党や立憲民主党など、だんだんと質問する会派も増えてきました! 一日も早く拡充されるよう取り組みを強めます。
 以下が質疑の内容です。

障害者の生活実態調査
調査の目的は何か


 原のり子 日本共産党の原のり子です。まず最初に、障害者の医療費の負担軽減についてうかがいます。
 東京都は、昨年度(2023年度)、障害者の生活実態調査を行いました。改めて、この調査の目的は何か、うかがいます。

 福祉局総務部長 東京都福祉保健基礎調査「障害者の生活実態」は、5年に1度実施しておりまして、東京都内に居住する身体障害者、知的障害者及び精神障害者並びに難病患者の生活実態を把握することにより、東京都における障害者施策の充実などのための基礎資料を得ることを目的としております。

生活実態調査で障害者の年収の低さが改めて鮮明に
「病院に十分通えない」「通院をちゅうちょする」と


 原のり子 障害者の方たちの生活実態を把握することにより、障害者施策の充実などのための基礎資料となるということで、改めて重要だと思います。よく分析をして、生かしていくための議論が必要だと思います。
 今回の調査では、障害者の年収の低さが改めて鮮明になりました。例えば、知的障害の方でいえば、年収100円未満が42%、年収200万円未満で見れば76%です。お金がかかるので病院に十分通えない、通院をちゅうちょするという声も聞きます。調査結果にはどのようにあらわれていると分析していますか。

 福祉局事業調整担当部長 福祉保健基礎調査「障害者の生活実態」では、障害の状況、健康、医療、日常生活の状況、就労の状況、障害福祉サービスの利用状況等、都内に居住する障害者の生活実態を調査しております。
 なお、障害者の暮らし向きは、国の年金や手当のほか、就労収入等により構成され、障害種別や等級、家族構成等の違いにより、医療費の負担感はさまざまでございます。

「負担感はさまざま」と答弁されたが
年収の低さに現状があらわれている


 原のり子 負担感はさまざまだということですけれども、この年収の低さというところに、今の状況ははっきりあらわれているのではないかと思います。
 今、直接のご答弁ではありませんでした。今回も、医療費負担自体は調べられていませんけれども、でも、この調査はさまざまな角度から生活実態を捉えていく内容になっていて、多くのことを読み取ることができます。

障害が中度、軽度である方たちの年収の低さ
「障害者の医療費が誰でも無料になってほしい」の意見も


 原のり子 調査結果で注目される1つは、障害が中度、軽度である方たちの年収の低さです。先ほど、知的障害の方の年収が低いことを指摘しましたけれども、特に愛の手帳3度(中度)の方は、年収100円未満が55%、年収200円未満で見ると86%にもなります。愛の手帳4度(軽度)の方も、年収100円未満が36%、年収200円未満では70%です。手帳が3度や4度だからといって、経済的に余裕があるわけではないということです。
 医療費負担そのものの設問はありませんけれども、自由記述を見ますと、医療費免除なので本当に助かっていますという意見がある一方で、医療費の自己負担額も非常に大きく、本人が生涯にわたって安心して生きていける状況には、まだ達していない感がありますという意見や、障害者の医療費が誰でも無料になってほしいという意見があります。医療費助成を受けられるかどうかの違いが大きいことのあらわれではないかと思います。

障害の中度、軽度の方々は、医療費3割負担
年収の低いところに重い負担が


 原のり子 (2024年)11月14日に都議会議事堂内で行われた、愛の手帳3度(中度)、4度(軽度)の障害者の医療費負担軽減を求める第2回シンポジウムでは、当事者や保護者の切実な発言が相次ぎました。障害者医療費助成制度の対象にならない障害の中度、軽度の方々は、医療費3割負担のため負担がとても重くなっている実態が語られました。先ほど、調査結果で、中度、軽度の方の年収の低さがあらわれていると指摘しましたけれども、そういう状態の上に医療費3割負担が強いられているわけです。
 直接障害に起因していなくても、持病があったり、あるいは虚弱体質で病気になりやすい方もたくさんいらっしゃいます。たくさんの診療科に通わなければならず、そのたびに3割負担を強いられる。そのため診療科を絞っているという内容の発言もありました。

「病気の発見が遅れる」「生命保険にも入れない」
経済的な心配なく安心して医療を受けられるように


 原のり子 障害があることにより、病気の発見が遅れ、悪化してしまうということ。また、生命保険にも入れないという、そういう声も複数の方から指摘されました。その上で、シンポジウムでは、要望書が東京都に対しても手渡されました。
 どの障害者も、経済的な心配なく安心して医療を受けられるようにしていくことは大切です。これらの意見をどう受け止めたのか、見解をうかがいます。

 事業調整担当部長 障害をお持ちの方が地域のなかで生活を送るうえで、医療費をはじめとする負担が大きいなど、さまざまなご意見があるということは承知しております。
 障害者の医療費につきましては、国の医療保険制度のほか、自立支援医療費の支給などで負担軽減策を講じております。
 また、収入が低い方については、医療保険制度の下、所得に応じた加入保険料の軽減措置がなされているほか、高額療養費制度による自己負担限度額により、家計に対する医療費等の自己負担が過重なものとならないよう配慮されております。

生の声をどう受け止めたのかを聞きたかった
真摯(しんし)に向き合っていただきたい


 原のり子 私は、声をどう受け止めたのかと聞いたんですけれども、直接それにはお答えになりませんでした。
 さまざまなご意見があるということは承知しているということでしたけれども、でも、この当日は、生活福祉部長さんをはじめ、課長さんも来られて、直接みなさんの声、生の声を聞いてくださっているわけですよね。そのシンポジウムでの発言は、医療費の負担軽減の必要性が本当によく分かる、伝わるお話でしたし、この切実な声を聞いて要望書を受け取って、生の声をどう受け止めたのかということを聞きたかったわけです。真摯(しんし)に向き合っていただきたいと思います。

医療の問題は命に直結している
「18歳の壁」を解決するために負担軽減策を


 原のり子 医療の問題は命に直結しているので、支援が途切れないようにすることが重要です。その点で、子どもの医療費助成が18歳まで大きく拡充してきていることは。とても重要だと思っています。障害児のご家庭でも大変喜ばれています。
 しかし、18歳の壁があります。支援の必要性は減るわけじゃない。ますます切実になったりするにもかかわらず、手帳の等級や所得制限によって、突然、そこで医療費3割負担になってしまう人が多くいらっしゃいます。
 障害者は加齢の進行が速いとも指摘されていること、また、作業所の工賃も非常に低いこと、保護者の方も高齢になっていくことなどを考えると、18歳の壁の問題は解決が必要だと私は思います。障害者医療費助成制度の拡充など、医療費の負担軽減策を検討すべきと考えますが、いかがですか。

 事業調整担当部長 都は、心身障害者の保健の向上と福祉の増進を図ることを目的として、重度障害者の医療費の一部助成する福祉施策として、心身障害者医療費助成制度を実施しております。
 本制度の対象要件は、趣旨を同じくいたします所得税の特別障害者控除との整合性や、医療に係る経済的負担が特に大きいことを踏まえ設定しております。

障害児が大人になっても親がケアし続けなければならない
医療費負担まで家族に負わせてよいのか


 原のり子 繰り返しその答弁をされるんですけれども、それで十分ではないということが、先日のシンポジウムでも明らかになっているわけですよね。
 いまの日本社会では、障害児が大人になっても親がケアし続けなければならない、そういう状況になっています。そのような社会自体を変えなければなりませんけれども、変えられていない上に、医療費負担まで家族に負わせてよいのかということが問われているわけです。

障害者の生活実態調査
十分な医療を受けられることを望む声が増加

 原のり子 障害者の生活実態調査では、先ほど紹介したこと以外にもとても大事な設問があって、ちょっと紹介したいんですけれども。日常生活を送るために、もっとあったらいいと思うことは何かという質問があって、それ、3つまで回答してもらうという内容になっています。知的障害の方の回答のトップは、生活をしていくのに困らない収入が得られること。33.8%です。2位が、障害者が暮らしやすい住宅を増やすこと。これが25.2%、そして3位が、病気やけがなど必要なときに十分な医療が受けられること。
そういう結果なんです。この設問も、質問の仕方が5年前よりもより分かりやすく、改善をされているんです。ですから、その分、より切実な声が今回はっきりあらわれたと思っています。
 このほかにも、相談できる人や場所の大事さ、障害への理解なども高い回答にはなっているんですけれども、本当に今回の結果を見ると、はっきり出たのは、経済的な問題が最も高く、十分な医療を受けられるということが5年前よりも大きく増えているということなんです。ここに注目すべきだと思います。

医療費負担の軽減
親なきあとを心配しないですむ大事な要素


 原のり子 十分な医療を受けられるために重要なのが、医療費負担の軽減だと思います。小池知事は知事選の公約で、障害児を育てる家庭への支援拡充を挙げています。障害児の保護者の方々は、この子よりも一日でも長く生きなければと、わが子が大人になってからもずっと支え続けています。せめて安心してわが子が医療を受け続けることができるように、親なき後を心配しなくてもいいようにするということは、障害児を育てる家庭への支援拡充の1つの大事な要素だと思います。
 医療費の負担軽減、そういう角度からも検討すべきだと思いますがいかがですか。

 事業調整担当部長 繰り返しのご答弁となりますが、都は、心身障害者の保健の向上と福祉の増進を図ることを目的として、重度障害者の医療費の一部を助成する福祉施策として、心身障害者医療費助成制度を実施しております。本制度の対象要件は趣旨を同じくする所得税の特別障害者控除との整合生や、医療に係る経済的負担が特に大きいことを踏まえて設定しております。

質問にぜひ向き合ってほしい
答弁は都民に向けてしているものですから


 原のり子 繰り返しで答えるというのが、何か決まりでもあるんですかね。本当に、質問していることに対して、ぜひ向き合ってもらいたいですし、特にこれは、先ほども紹介したように、シンポジウムで生の声が直接伝えられている、そういう内容ですので、答弁は都民に向けてしているものですから、私は本当に、ちゃんと向き合ってほしいと思います。
 都の実態調査からも切実さが浮き彫りになって、本人や家族の声も大きく広がっているもとで、今こそ検討して改善すべきだと思います。障害者の生活実態調査は、冒頭の答弁にあったとおり、施策の充実のための基礎資料ということなんですから、この実態調査から酌み取れるものは最大限酌み取って、医療費助成の拡充につなげるべきだと思います。

医療費助成の拡充
私の試算では21億円あればできる


 原のり子 先ほど、はまなか副委員長のご質問の中でもさまざまな大事なご指摘がありました。そのなかで、愛の手帳3度(中度)、4度(軽度)の方を制度の対象にした場合の1つの試算が示されました。私も、またちょっと違う角度からの試算というのをしているんですけれども、以前の厚生委員会で、一度いった部分もあるんですけれども、私の場合は、愛の手帳3度の方を対象にしている杉並区の実績、これを基に、東京都の3度の方を当てはめたらどうなるかっていう、そういう試算をしてみました。
 そうすると、大体、3度だけだと7億円程度になると。4度と3度を合わせると21億円程度と試算しているんです。でも、いずれにしても、今の都政において十分に実現可能であると思います。私は、東京都にも、ぜひ真剣に、試算も含めてやってみてもらいたいというふうに思っています。


給食費無償化、子どもの医療費無料化をすすめている
障害者の医療費助成充実は都としてやるべき問題だ

 原のり子 「手をつなぐ育成会」(社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会)の予算要望にはこう書いてあります。一般の人と同じ3割負担では負担が大き過ぎ、体調が悪くても受診を控える人もいると書かれています。こうした声に誠実に向き合うべきです。
 都はこの間、給食費無償化も、子どもの医療費助成も国に先駆けてすすめています。障害者の所得保障は国がもっと力を入れるべき問題です。しかし、国待ちにならず、都として実施している医療費助成などを充実させていくことは、やるべき課題ではないでしようか。
 障害を持った人が子どもから大人になっても、途切れることなく命を支えていけるように施策の充実を強く求めておきたいと思います。

原のり子事務所ニュースを配布
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右は、北村りゅうた・東久留米市議
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by hara-noriko | 2025-01-18 22:16 | 都議会 | Comments(0)

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