放課後等デイサービスの質とは何か
2025年 12月 22日
放課後等デイサービス
都議会厚生委員会で事務事業質疑をおこないました。事務事業質疑は、厚生委員会が所管する福祉局、保健医療局の事業について何でも質問できることになっています。10月30日に福祉局に質問しました。テーマは(1)都外の医療型障害児入所施設のサービス推進費補助について(2)放課後等デイサービスについて(3)こども誰でも通園制度について―の3つです。質疑の大要を順次お知らせします。
【原のり子のコメント】
福祉局への質問の2回目は、放課後等デイサービス(放デイ)についてです。放デイは、家庭・学校とともに子どもの第3の居場所。放デイの質を確保する改善とともに、放デイ利用料の無料化、重症心身障害児を受け入れる事業所の増設などを求めました。
改めて、放デイの役割は何か。子どもたちにとってどういう場であるべきか。放デイの質とはどういうことか。…ということをしっかり考えたいと思い、視察や懇談等も行いながら質問を準備しました。現場でうかがったお話は、本当に大事な内容でした。ぜひ、お読みいただければと思います。
引き続き、都型放デイをより実態にあったものに改善することも含め、とりくんでいきます。
以下が質疑の大要です。
都は都型放課後等デイサービスを始めた
その理由は 設置の目標数と到達点は
原のり子 放課後等デイサービスについてうかがいます。
障害をもった子どもたちの学童保育である放課後等デイサービスですけれども、東京都は、2022年度から都型放課後等デイサービス事業を開始しました。
まず、都型放デイを始めた理由はどういうことだったか、改めて確認します。あわせて、都として、都型放デイ設置の目標数と現在の到達点をうかがいます。
福祉局障害者施策推進部長 都型放課後等デイサービス事業は、放課後等デイサービスの質の向上を図るため、経験豊富なコア職員の配置など、都が定める要件を満たす事業所を独自に支援しております。
「2050東京戦略」の3か年のアクションプランでは、2025年度は、135事業所が本事業を実施することとしております。令和7年(2025年)10月時点の交付決定事業者数は、52事業所でございます。
目標135事業所に対して現時点で52事業所
2021年の報酬改定で赤字になる事業所が
原のり子 つまり今年度の目標135事業所に対し、現時点では52事業所ということです。
2021年の報酬改定の影響が非常に大きく、例えば、20人定員で3カ所の放デイを運営している法人は、年間1000万円以上の赤字になる、とその時点で分かり、次の報酬改定までもちこたえられないという状況になっていました。
都議会にも、障害児放課後グループ連絡会から支援を求める陳情も提出されて、全会一致で趣旨採択となって、都型放デイの実施へとつながったと思います。
しかし、長年地域に根差し、質の高い取り組みをしている事業所が、なかなか都型に移行できないという状況が続いています。このことをどのように分析していますか。
障害者施策推進部長 都型放課後等デイサービス事業では、放課後等デイサービスの質の向上を図るため、経験豊富なコア職員の配置など、都が定める要件を満たす事業所を独自に支援しております。
令和6年度(2024年度)からは、より柔軟にサービスの充実に取り組めるよう、要件の充足状況に応じて補助金額が算定される仕組みへと見直しを行い、質の高い取り組みを行う事業所の参入を促しております。
コア職員の配置、夜7時までの保育、送迎
加算はすべてを実施すれば44万円余 しなければ7万円余
原のり子 2024年の報酬改定で改善された点もあり、都型放デイの内容も変更をされました。運営費補助を6つの型にするなどの変更が行われています。
しかし、児童指導員等加配の加算、専門的支援体制加算の要件に追加してのコア職員の配置や、夜7時までの保育の実施、送迎など、すべて実施をすれば、運営費補助として月44万3200円、これをやらなければ、月7万1680円と大きな格差があります。
都型放デイの条件では
職員をつけなければ低い補助額になってしまう
原のり子 例えば、コア職員の配置についていえば、国の報酬改定で、5年以上経験のある保育士や児童指導員について、専門的支援体制加算がつくようになったわけですね。でも、それ以外に、さらにつける職員を増やさないといけないということを、この都型放デイの1型、4型、5型、6型という型がありますけれども、1型から3型までの条件にしているわけです。ようやく関係者の声が実って、国が改善したんですけれども、それよりもさらに、都型放デイの条件では、職員をつけなければ、低い補助額になってしまうということなんですよね。
補助額が少ないのに仕事量や事務量が相当増える
現場からは「非常に難しい」という声が
原のり子 これら3つの条件、つまり、コア職員の配置、それから送迎、そして夜7時までの開所ですね。この3つの要件を満たさなくても、先ほどの1型から6型まである6型、6型なら、都型放デイで取得はできるんですけれども、その場合は、先ほどいったように、月7万円強しかならない。この補助額に対して、仕事量や事務量は相当増えるというために、現場では非常に難しいということで、話を聞きました。
増える仕事の中身も考える必要がる
職員と保護者が何でもいえる関係をつくっていくことこそ重要
原のり子 その増える仕事の中身も、例えば、保護者評価をやるということが増えるんですけれども、でも、これについても、現場のさまざまな方のお話を聞くと、保護者から評価をするとか、されるとか、そういう関係をつくるよりも、保護者会などを通じて、対等、平等、何でもいえる、職員と保護者が何でもいえる関係をつくっていくことこそ重要なんだという、それが質を高めるということになるんだという、そういうご意見もあるんですね。
今の都のやり方では
都型放デイになかなか手を出せない リスクの方が心配、と
原のり子 報酬改定で赤字になったものを補てんするというのではなく、何か新たに取り組めば、そこにお金をつけるというやり方では、実際には、この都型放デイになかなか手を出せない、出した場合のリスクの方が心配という声もあるわけです。
都型に移らず、やむなく定員を減らした事業所もある
不十分な報酬を補うものにすることが必要ではないか
原のり子 そうした中、都型に移るよりも、何とか運営を維持するために、やむなく定員数を減らした事業所もあります。そのことにより待機児も生まれています。
ですので、そもそもの原点に返って、あれこれの条件をつけずに簡素化して、不十分な報酬を補うものにすることが必要ではないかと考えますが、いかがですか。
障害者施策推進部長 放課後等デイサービスの運営に要する費用につきましては、国が定める給付費により賄われるべきものでございます。
都は国に対して、都型放課後等デイサービス事業の対象事業所のように、サービスの質の向上に取り組む事業所を報酬上適切に評価するよう提案要求をしております。
コア職員、時間延長、送迎 取り組む度合いで6種類に分けている
ここを見直す必要があるのではないか
原のり子 都型の条件を、先ほどいったように、3つですね、コア職員、時間延長、送迎、この3つですけれども、それに取り組む度合いによって6種類に分けている。ここを見直す必要があるんじゃないか、と。私が思うには、少なくとも6型が7万1680円というのはあまりに低くすぎると思います。
日ごろの信頼関係で、子どもの第3の居場所になる
こういうことが放課後等デイサービスの質だと思う
原のり子 先ほど、大変な赤字が出ているといった放課後等デイサービスを紹介しましたけれども、ここでは、こういうお話がありました。
子どもが、学校の担任が替わったりして、非常に緊張していて、それをずっと学校でがまんしていたお子さんがいらっしゃったそうです。それが、とうとうある日爆発をして、特別支援学校の朝、スクールバスに乗ることを拒否したということなんですね。その後、バスが行ってしまった後に、その道路で、もう道で暴れてしまって、それを抑えようとしたお母さんがけがをして、見ず知らずの車に何とか助けを求めて、放デイに行ってくださいと、放デイに連れていってもらったそうなんです。
そして、放課後等デイサービスの、いつも行っている、そこの職員に話を聞いてもらって、その後、しばらく不登校の期間があったんですけれども、そのお子さんは、不登校の期間中、放デイに受け止めてもらったそうなんですね。
これは、本当に日ごろからの信頼関係で、まさに放デイが子どもたちの第3の居場所、学校、家庭、そして第3の居場所の放デイとして、しつかり運営されて、関係を築いていたからこそ、本当に困ったときに、お母さんが放デイに連れていってくださいといえたわけですよね。
私は、こういうことが放課後等デイサービスの質だと思うんです。ここをもっと評価して、東京都として支援をしていくということを求めたいと思うんです。
都の努力を実態に合ったものにする
子どもの成長を支える、質を大事にする観点で改善してほしい
原のり子 都は、こうした都型放デイについても、みなさんの声がある中で、一つひとつ改善をしようと努力をしてきた面も、もちろん理解をしています。
でも、それを実態に合ったものに、そして、本当の意味の子どもの成長を支える、その質を大事にするという観点で、私は、さらに検討し、改善をしてほしいということを強く求めたいと思います。
利用料3万7200円上限の家庭 負担額の平均が1万406円
利用控えが影響しているのではないか
原のり子 次に、利用者の負担についてもうかがいたいんです。
都は、区市町村調査を実施しましたけれども、利用料3万7200円上限の家庭では、利用者負担額の平均が1万406円となっていました。
これは、利用控えが影響しているのではないでしようか。どのように分析をしています
障害者施策推進部長 障害児通所支援事業を利用した場合の利用者負担の上限月額につきましては、児童の保護者の収入に応じて、3つの区分が設定されておりますが、今回の調査結果では、支給決定されたすべての日数を利用している方は、いずれの区分でも約1割でございまして、保護者の収入による差はございませんでした。
1カ月当たりの利用日数が、0日から5日が最多
都はどのように分析しているのか
原のり子 支給決定日数を利用している方は、各区分とも全体の1割ということで、これ自体も非常に重大な結果なのではないかと思うんですけれども、もう1つうかがいたいんですが、1カ月当たりの利用日数が、0日から5日がいちばん多いんですね。1カ月当たりです。週間ではなくて。また、支給決定された日数まで、多くの人が利用していないとの結果になっています。これについては、どのように分析していますか。
障害者施策推進部長 支給決定に係る国の通知では、各月の日数から8日を控除した日数を上限とすることとされており、区市町村は、この国の通知に基つき、支給量を決定しております。
一方、実際のサービスの利用日数は、児童や保護者の状況によって決まるものでございまして、さまざまでございます。
経済的な理由で子どもがケアを受けられない
この状況は解決する必要があると思うが
原のり子 さまざまということですけれども、利用控えという分析は、今の時点ではされていないのかなと思って、今聞きましたが、ただ、実際に事業所や保護者のみなさんにお話をうかがうと、経済的な負担のため、今まで利用していたよりも日数を減らす、こういうことが実際に起きています。
経済的な理由により、子どもが必要なケアを受けられないという状況は解決する必要があると思いますが、いかがですか。
障害者施策推進部長 放課後等デイサービスを利用する際の負担上限月額は、保護者の収入に応じて設定されており、低所得世帯の負担に配慮されております。
経済的理由による利用控えはあってはならない
利用料の無料化に踏み出すべきだ
原のり子 今のご答弁は、質問への答弁にはなっていないと思います。
利用を控えているという声は実際に出されています。経済的理由による利用控えというのは、本来は一件もあってはいけないと思います。
いくつかの自治体で実施をしている放課後等デイサービスの利用料の無料化に、都として踏み出すべきではないかと思いますが、いかがですか。
障害者施策推進部長 放課後等デイサービスの利用に当たっては、児童福祉法等に基づき、児童の保護者が、サービス提供に要した費用の1割を原則として負担することとなっておりまして、国は、負担上限月額を保護者の収入に応じて設定をしております。
原のり子 そもそも障害児だからという理由で経済的負担が生じること自体が理不尽です。また、放課後等デイサービスに通うことは子どもの権利であり、通えば通うほど負担が増えるという、この仕組みは適切ではありません。無料化に踏み出すことを改めて求めておきます。
強度行動障害に着目してのさまざまな設問がある
その理由と結果の分析は?
原のり子 そしてもう1つ、併せて聞きたいんですけれども、障害児通所支援事業所利用状況等調査では、これ、東京都がやった調査では、強度行動障害に着目してのさまざまな設問があります。その理由と結果の分析についてうかがいたいと思います。
障害者施策推進部長 令和6年度(2024年度)の報酬改定におきまして、強度行動障害を有する児童への支援を充実させる観点から、加算の見直しが行われたことなどを踏まえまして、事業所への調査項目の1つとしたものでございます。
調査では、多くの事業所において、児童の障害特性に応じたさまざまな手法を組み合わせて支援しているとの回答がございました。
重度の子どもたちが放デイを十分活用できていない
重度加算の実施を検討する必要がある
原のり子 これをどういうふうに分析していくかというのは、本格的にはこれからなのかもしれませんけれども、2024年度の報酬改定で強度行動障害加算が見直されました。研修を受けた指導員がいるかどうか、また、強度行動障害と認定を受けた子どものケアを行っているかどうかが要件になっています。
このことについても、現場でうかがいますと、強度行動障害の認定を受けることに、そのこと自体に保護者が傷ついてしまっている、そういう事例もあります。
むしろ現場では、重度の子どもを受けたとき、子どもたちが入ってきたときの加算をきちんとつけてくれることによって、さまざまな特性の子どもたちをしっかり支える体制にしたいというお話も聞きました。
放デイは、先ほどもいいましたけれども、障害児にとって第3の居場所であって、安心して過ごせる、のびのびと遊ぶ生活の場です。ところが、このアンケート結果でも、重度の子どもたちが放デイを十分活用できないということがあらわれていたと思います。
そこで、提案をしたいんですけれども、重度加算を実施する、この検討をする必要があると思いますが、ご見解をうかがいたいと思います。
障害者施策推進部長 重度行動障害等の児童につきましては、先ほど申し上げましたとおり、令和6年度(2024年度)の報酬改定において、国において一定の対応がされているものと考えております。
原のり子 私は、強度行動障害のお子さんももちろんそうですし、本当に今、重度のお子さんたちが十分に放デイを活用できていないということが、アンケート結果でも見えてきた中で、やはりその子どもたちを受け止める放課後等デイサービスに重度加算を実施するということは検討すべきだと思います。そのことは求めておきたいと思います。
重症心身障害児、医療的ケア児を受け入れている事業所
これがない自治体はいくつあるか
原のり子 障害の程度に合った事業所がないとの保護者の回答が、20自治体から寄せられています。重症心身障害児、医療的ケア児を受け入れている事業所がない自治体はいくつあるか、うかがいます。
障害者施策推進部長 放課後等デイサービスには、主に重症心身障害児を支援する事業所とそれ以外の事業所がございまして、主に重症心身障害児を支援する事業所でなくとも、重症心身障害児や医療的ケア児を受け入れることは可能でございます。
なお、主に重症心身障害児を支援する放課後等デイサービスを設置していない自治体は、令和7年(2025年)3月末時点で、1区、5市、13町村でございます。
東久留米市には医療的ケア児を受け入れられる放デイがない
他市に通っていたが、やめざるをえなかった
原のり子 今のご答弁ですと、かなり幅広く受け入れられているような、そういうご答弁にも聞こえたんですけれども、実際には、例えば、東久留米市では、医療的ケア児を受け入れられる放課後デイサービスがないんですね。そのため、医療的ケア児のご家庭では、ほかの市、ほかの自治体にお願いをしているわけです。何とか探して、そこに通っていたんですね。
ところが、地元の市民を優先したいのでということで、その方はやめなきゃいけなくなってしまったんですね。やっぱり地元にないということで、他市に行っていたけれども、やめざるをえなかった。こういうことが起きているんです。
待機を余儀なくされている重症心身障害児もいる
都として把握しているか
原のり子 実際にこういう中で、待機を余儀なくされている重症心身障害児もいます。こうした待機をしている重症心身障害児がどのぐらいいるのか、把握をしているんでしようか。うかがいます。
障害者施策推進部長 障害児の援護の実施者は区市町村でございますが、都は、東京都障害者・障害児施策推進計画の策定に当たり、全ての区市町村へのヒアリングを行い、都全体のサービス量を見込んでおります。
待機している子どもたちを都は把握していない
きちんと把握して重症心身障害児を受け入れる事業所を増やすべきだ
原のり子 要するに、待機をしているという子どもたちについては把握をしていないということですね。どのぐらい不足しているのか、きちんと把握をすべきだと。私は思います。重症心身障害児を受け入れる事業所を増やすための支援を強化すべきではないかと考えますが、いかがですか。
障害者施策推進部長 都は、主に重症心身障害児を支援する放課後等デイサービスの施設整備費を補助しております。また、開設前の人材募集等に係る経費を補助する区市町村を包括補助により支援をしております。
最も困っている子どもたちが入れていない
そこに対応することが都に求められている
原のり子 そういう中で、まだ、この施設が足りないという状況なわけですから、私はやっぱり対策を本気で考えていかないと、最も困っている子どもたちが入れていない、また、十分利用できていない、これを解決できないと思います。
そこにきちんと対応していくことが、都としても求められているということを指摘して、次の質問に移ります。


by hara-noriko | 2025-12-22 15:16 | 都議会 | Comments(0)

