障害者の余暇活動 大事な意味を考えたい
2026年 01月 05日
採択を求める立場から質疑しました
都議会厚生委員会の陳情審査(昨年11月28日)で、「障害のある青年・成人の余暇活動に関する陳情」が不採択になりました。都ファ・自民・公明・国民が反対したためです。私は採択を求める立場から質疑をおこないました。その大要を紹介します。
【原のり子のコメント】
放課後等デイサービスの課題
放課後等デイサービスは学齢期(特別支援学校高等部修了まで)の障害児が対象で、学校卒業後は利用できません。しかし、作業所や一般就労した青年がその仕事後に過ごせる場所や機会がとても少ないことがかねてから大きな課題でした。
ねばり強い取り組みで都が来年度から新たな仕組み
障害のある青年・成人の余暇活動支援、居場所支援をおこなっている団体のねばりづよい働きかけのなかで、ようやく、東京都は包括補助により都と区市町村で2分の1ずつ支援することとしました。しかし、区市町村の財政力によって実施が十分広がらず、障害者団体のみなさんは補助の拡充などを求めて運動を続けてきました。
そして、とうとう、東京都福祉局の来年度予算要求のなかに、新たに「区市町村の居場所づくり促進事業」が盛り込まれました! まだ、詳細は明らかにされていませんが、福祉局は区市町村等へのアンケートもおこない、提案しています。
陳情の趣旨とは
今回の陳情は、こうした動きが公表される前に提出されていますが、主な趣旨は、障害のある青年・成人の余暇活動について、実態やニーズを都として把握すること。そして、将来的な制度化に向け検討会を立ち上げ、当事者や関係者の十分な意見聴取を実施することを求めており、都が新制度を立ち上げるのであれば、当然ふまえるべき重要な内容です。本来は、全会派一緒によりよい制度にするために採択すべき内容だと思います。
私は、よりよい制度にしていくために、そもそもの余暇支援・居場所支援の意義をふまえて質疑をおこないました。ほかに、立憲会派は採択すべきとの立場で意見表明。国民民主は、陳情の内容に理解は示しつつも、予算要求で都の動きがあることを理由に反対の意見表明を行いました。
これからが重要
不採択にはなりましたが、これからが重要です。私もこれまで、運動に学びながら、くりかえし質問をしてきました。より良い制度確立へ、引き続き取り組みます。
以下が質疑の大要です。
放課後等デイサービス卒業後に居場所がなくなる
余暇支援は切実なテーマ
原のり子 陳情七第七〇号、障害のある青年・成人の余暇活動に関する陳情について、質疑を行います。
本陳情は、84団体の連名で提出をされています。放課後等デイサービス卒業後の居場所、余暇支援の切実さを実感します。学齢期が終わると、放課後等デイサービスがなくなり、作業所等の後の居場所がなくなってしまいます。このことは、以前から大きな課題であり、障害当事者や関係者のみなさんは、障害をもつ青年・成人の余暇支援、居場所支援について、国や都に働きかけをずっと続けてきています。
2016年には請願が全会一致で採択されている
余暇支援・居場所支援の場を確保していく課題が急務に
原のり子 2016年には、陳情でも示されているように、障害のある青年・成人の余暇活動に関する請願が、都議会で全会一致で採択をされ、国にも意見書があがり、都は包括補助で支援を行っています。しかし、まだ十分に活用されておらず、17区市にとどまっています。
一方、放課後等デイサービスは、2025年4月1日現在、1383カ所にまで増えています。それに見合っただけの余暇支援、居場所支援の場を確保していく課題が、急務になっています。
都の調査によると夕方の居場所確保の要望がある
2026年度予算の局要望はその具体化だと思うが
原のり子 そうしたなか、東京都が実施した区市町村への障害者の居場所に関する調査により、43区市町が、夕方の居場所確保の要望があると回答しています。
それを受けて、先日、来年度(2026年度)予算に向けての局要求(福祉局の要求)の案で示されたものが、その具体化であると思いますが、その概要とねらいをうかがいます。
福祉局障害者施策推進部長 都は、障害のある方が就労後や休日に地域の人々と交流できる、余暇活動の場を確保する区市町村の取り組みを、包括補助により支援しており、今年度は、取り組み状況を把握するため、調査を実施いたしました。
その結果等を踏まえて、障害者の社会参加等の取り組みについて予算要求をしており、具体的な内容につきましては、予算編成過程の中で検討していくものでございます。
区市町村障害者の居場所づくり促進事業に6億円余を計上
特別区長会もタ方居場所事業に対する補助制度の整備を要求
原のり子 いま、社会参加等の取り組みについて予算要求しているということです。おっしゃられましたけれども、現在、東京都のホームページで、都民のみなさんに公表されている福祉局の予算要求概要には、区市町村障害者の居場所づくり促進事業として、新規事業を提案しています。その予算は、六億千七百万円と書かれていました。
身近な地域において、いまおっしゃったように、障害者の社会参加や、家族の就労継続等のニーズに対応できるよう、その仕組みを検討しているということだと思います。これは大事な動きだと受け止めています。
特別区長会からも、来年度予算に向けて、高校卒業後の障害者の家族が仕事と介護を両立していくため、既存の障害福祉サービス事業所等がタ方の居場所事業を実施する場合の補助制度を整備すること、その際、事業所家賃や利用者数に応じた職員配置、強度行動障害や医療的ケアを含む重度障害への対応なども考慮すること、ということが求められています。
検討中の新しい仕組み
すべての事業所を対象にできるのか
原のり子 よい制度、よいものにしていくためには、いろいろと検討すべき課題があると思います。
そこで1つうかがいますけれども、以前から、余暇支援、居場所支援を行ってきている事業所等もあります。その事業所は、それぞれ週1回とか、あるいは週5日など、さまざまな状況、さまざまな実施状況です。
検討中の新しい仕組みについては、すべての事業所を対象にできるのかどうか、うかがいます。
障害者施策推進部長 具体的な内容につきましては、予算編成過程の中で検討していくものでございます。
余暇支援や居場所支援を工夫して実施してきている団体
制度から排除されないような制度設計を求めておく
原のり子 もちろん予算編成過程の中で検討、そうだとは思いますが、ただ、実際に予算額を見積もって提案をされているわけです、局では。
ですから、当然、いま、私が週何日とかいろんな条件の中でも、どの事業者も適用になるのかというようなことは、おそらく検討されているんだと思うんです。ただ、残念ながら、今の時点ではお答えがないということです。
これから詳細をつめていくからいまは答えない、ということであるのであれば、これまで余暇支援や居場所支援を工夫して実施してきている団体が、制度から排除されないような制度設計を求めておきたいと思います。
また、自治体の財政状況により、実施に格差が出ることのないように、強く求めておきます。
都は包括補助の活用を呼びかけてきた
別の支援制度をつくる必要があると考えたのはなぜか
原のり子 この新たな制度をつくる動きというのは、大変大事な動きだと思いますけれども、改めて確認しておきたいことがあります。
これまで、東京都は、余暇支援、居場所支援については、包括補助の活用を呼びかけてきましたが、別の支援制度をつくる必要があると考えたのはなぜですか。
障害者施策推進部長 調査結果等を踏まえて予算要求をしておりまして、具体的な内容につきましては、予算編成過程の中で検討していくものでございます。
原のり子 具体的な内容はこれからなわけですけれども、でも、新しい制度が必要だと提案しているんですから、その必要性というのはなぜなのかというのは本来答えられるべきではないかと、私は思うんです。
ただ、いまのご答弁の中で、調査結果を踏まえてという言葉がありましたから、調査結果を踏まえて、つまり夕方のニーズが高いということを主に指しているのかなというふうに思いました。
包括補助の活用は17自治体にとどまっている
補助率がハードルになっている、という声もある
原のり子 ただ、本来は、包括補助、いままでやっている包括補助の活用でも、夕方のニーズに応えるということは不可能ではないんですね。しかし、包括補助の活用自治体が増えてきたとはいえ、17自治体にとどまっている。
どこの自治体でも活用するという広がりにはまだまだ、なかなかなっていないということについて、これをなぜと分析をしているのか、ここが大事になってくると思うんです。 広がりが、17自治体以上になかなか、まだ広がっていないということについて、どう分析をされているか。また、2分の1補助、東京都が2分の1で区市町村が2分の一という、この補助率がハードルになっているという、自治体からの声もありますけれども、これらについては検討されたのか、うかがいます。
障害者施策推進部長 都は、地域の実情に応じて、青年・成人期の障害者の余暇活動支援に取り組む区市町村を、包括補助事業において補助率2分の1で支援をしております。
都の包括補助はあるが市の負担があるため実施が難しい
補助率の拡充を求める声を都は把握しているか
原のり子 検討されたのかということへのお答えはないんですけれども、それでは確認しますけれども、ある自治体の障害福祉計画についてのバブリックコメントの中で、青年・成人期の余暇支援について、市民の方から切実な声が出されていたんです。
それに対して市の回答というのは、どういうふうにいっているかというと、都の包括補助はあるが、市の負担があるため、財政状況から実施が難しく、市長会を通じて補助の拡充を求めている、と回答しているんです。現に、2024年度の東京都予算への市長会の要望には、補助率の拡充が要望されていました。
1点聞きたいのは、このことについては把握されていますか。
障害者施策推進部長 ご要望につきましては承知しておりますが、都は、地域の実情に応じて、青年・成人期の障害者の余暇活動支援に取り組む区市町村を、包括補助事業、補助率2分の1で支援をしているところでございます。
都の包括補助 補助率がネックになっている
今後も継続する考えか
原のり子 要望については承知をしているということなんですね。ただ、検討したかどうかということはおっしゃらないという、そういう今回、答弁です。
でも、承知しているということですから、この補助率が1つネックになっているということは明らかだということだと思うんです。
それで、この包括補助については、今後も継続する考えなのかどうか、その点についてうかがいます。
障害者施策推進部長 都は、地域の実情に応じて、青年・成人期の障害者の余暇活動支援に取り組む区市町村を、包括補助により支援をしているところでございます。
新しい制度の検討とともに
補助率の拡充も必要だ
原のり子 私は、この包括補助についても継続するとともに、補助率の拡充をすすめることを強く求めたいと思います。
また、今回の新しい制度を検討されているということですけれども、最終的にどのような内容になるのかというのは、これからということですよね。これが、もし仮に平日のタ方の居場所支援だけが対象ということになると、休日などの余暇支援、居場所支援が対象から外れてしまうということも考えられるわけです。
さまざまな支援メニューを用意する点でも、包括補助の拡充も、新しい制度の検討とともに包括補助の拡充も必要だということを指摘しておきたいと思います。
平日夕方の居場所支援
安心で豊かなものになることが大事
原のり子 平日の夕方の居場所支援を考えたときに、大事なのは、単に親の就労保障をするためというだけではなくて、もちろん、それも大事なんですけれど、それだけではなくて、その支援が安心で豊かなものになることが大事だと思うんです。
余暇支援と居場所支援というのは一体不可分のものです。障害者にとっての余暇活動の重要性を、都はどのように考えていますか。
障害者施策推進部長 障害の有無にかかわらず、レクリエーションなどの余暇活動を楽しむことは、人生を豊かにするものでございます。都は、地域の実情に応じて、青年・成人期の障害者の余暇活動支援に取り組む区市町村を、包括補助により支援をしております。
余暇活動 障害者にとっては特別のものがある
障害者権利条約の中にも余暇が位置づけられている
原のり子 障害の有無にかかわらずということで、ご答弁がありました。もちろんそうなのですが、障害者の方にとっては特別のものがあるということも指摘したいと思います。だからこそ、障害者権利条約の中にも余暇が位置づけられており、一般的意見の中でも、障害のある人が、障害に特有のスポーツ及びレクリエーションの活動を組織し、発展させ、及びこれに参加する機会を有することを確保すること、また、このため適切な指導、訓練及び資源が、他の者との平等を基礎として提供されるよう奨励することを求めているわけです。
余暇を楽しむ場を意識的につくっていく
安心して過ごせる場で力をつける
原のり子 障害のある方が余暇を楽しめる場というのは、まだまだ多くはありません。ですから、意識的につくっていく必要があります。そして、安心して過ごせる場において、障害のある方たちが仕事の場や家庭とはまた違う場所で力をつけていくということが、とても重要だと思います。
余暇支援の現場を見学
びっくりするほど落ち着いて
原のり子 少し紹介をさせていただきたいんですけれども、先日、余暇支援の場を見学させていただきました。何カ所か行かせていただきましたが、ある余暇支援の場では、重度の知的障害の方たちがタ方過ごされていました。
ある方は他害、ほかの方を攻撃してしまう、傷つけてしまうということが、とても激しい方だったそうで、親御さんも家でずっと向き合うことは困難で、余暇支援の場で過ごすようになりました。最初は暴れたり、落ちつけず、大変だったけれども、びっくりするほど今落ち着いて過ごせるようになった、と職員の方が話してくださいました。
ほかの方がいても、時間になると集中して工作をやったり、それをみごとに時間の中で完成させたりして生きいきと過ごしている様子を見させていただきました。
余暇支援の現場を見学
笑いヨガで楽しく交流
原のり子 また、別の余暇支援の場では、2つの団体が合同で、笑いヨガというのがあるんですけれど、笑いヨガを、講師を招いて実施していました。知的障害の人たちが楽しく集中して取り組んでいて、ほかの団体のみなさんとも交流しながら楽しく過ごされているんです。その様子は本当に驚きました。
1つのグループは、笑いヨガの後にカラオケもやって楽しんで、親御さんがお迎えに来た人から順々に帰宅されていましたけれども、お母さんも一緒に1曲歌って帰ったり、本当にリラックスした、いい雰囲気でした。
たくさんあるすばらしい取り組み
活動している団体に意見を聞く必要がある
原のり子 余暇支援、居場所支援を充実するためには、今紹介したような、本当に努力をしている、すばらしい取り組みたくさんありますので、こういう現在、活動している団体に意見を聞く必要があると思うのですが、いかがですか。
障害者施策推進部長 都は、これまでも障害者施策の推進に当たり、東京都障害者施策推進協議会で事業者団体等に参画いただき、意見を丁寧に聞いております。
当事者・関係者の声を聞くことは、とても重要
陳情が最も訴えていることでもある
原のり子 障害者施策推進協議会の構成員の出身団体の中に、余暇支援、居場所支援に取り組んでいる方がいるということは、もちろんあると思いますけれども、協議会が扱うテーマはとても広い一方で、開催回数や時間には限りがあります。個別政策について深く検討しようとするときには、協議会の議論にとどまらず、特別に意見を聞いていく必要があると考えます。
とりわけ、今回、新しい制度もつくろうという動きなので、当事者・関係者の声を聞くことは、とても重要だと思います。この陳情が最も訴えていることは、当事者・関係者の声を十分に聞いて進めてほしい、ということです。そこにどう応えていくのか、うかがいます。
障害者施策推進部長 都は、これまでも障害施策の推進に当たり、東京都障害者施策推進協議会や東京都障害者団体連絡協議会に、当事者である障害者団体に参画いただくなど、さまざまな機会をとらえてご意見を丁寧に聞いております。
原のり子 さまざまな機会をとらえて意見を聴取しているという答弁ですけれども、来年度予算に向けて検討されている、障害者の社会参加や家族の就労継続等のニーズに対応できる仕組みについては、まだ当事者・関係者の声を詳しく聞けているという状況ではないと思います。
実態に合ったものにするために、新しい制度についての考えを広くお知らせし、ご意見をもらって練り上げるということを、やらなければならないと思います。早急にご意見を伺う場を設定していただきたいと思います。利用しようとしている方々、困っている方々の声を聞き取れるようにしていくことを求めます。
さまざまな余暇支援、居場所支援の場を支援していく
このことが求められている
原のり子 特に、都が行った生活介護事業所調査結果では、延長支援についての現利用者の要望が高くは現れませんでした。
しかし、本当は、要望はあるが、伝えられていない方がいる可能性もありますし、何より生活介護の延長の要望はあまりないけれど、生活介護とは別に、夕方の居場所がほしい、余暇活動をしたい、という要望はあるという方はいらっしゃると思います。むしろ間違いなくニーズは高いことは分かっているわけです。
そういう意味でも、みなさんの声を聞き、生活介護事業所の時間延長だけではなく、さまざまな余暇支援、居場所支援の場を支援していくことが求められているということを指摘したいと思います。
大事なのは人として安心して楽しく過ごす場の確保
支援の質が問われる
原のり子 また、親の就労保障はもちろん大事ですけれども、同時に大事なのは、障害者が成長する場、人として安心して楽しく過ごす場の確保であり、その支援の質が問われると考えます。見解をうかがいます。
障害者施策推進部長 障害の有無にかかわらず、レクリエーションなどの余暇活動を楽しむことは、人生を豊かにするものでございまして、都は、余暇活動の場を確保する区市町村の取組を事例集にまとめて紹介をしております。
「放課後連・東京」成人部門連絡会の冊子
余暇活動の大事さがわかりやすく書かれている
原のり子 「放課後連・東京」(障害児グループ連絡会・東京)の成人部門連絡会が作成した冊子には、余暇活動の大事さが実に分かりやすく書かれています。ご紹介させていただきたいと思います。
ひとりで余暇を楽しむことのできない、または集団活動を望んでいる青年・成人たちが、集団の中で自分の居場所をつくり、生活の一部として過ごせるようになってほしい。青年期の余暇活動は、自己実現の場です。青年たちは、健康、学習、生きがいをテーマとするこの活動から、明日への活力や働く意欲、さらには生活力を育み、心を安定させています。たくさんの仲間たちや支援者たちによる集団活動が、青年たちの生きがいにつながっている、と書かれています。
余暇活動の意味
社会に一人ひとりの居場所をつくっていく
原のり子 余暇活動の意味がとてもよく分かりますし、そして、居場所というのは、単にハード面を指しているんではないということがよく分かります。社会に一人ひとりの居場所をつくっていくということが居場所支援なんだということを、この今の文章から学ぶことができると思います。
陳情は採択すべきです
原のり子 障害をもつ青年・成人の余暇支援、居場所支援が拡充するよう、本陳情が最も求めている、声を聞きながらすすめてほしいということに一層応えることを求めて、本陳情は採択すべきとの意見を述べて、質疑を終わります。

by hara-noriko | 2026-01-05 21:53 | 都議会 | Comments(0)

